札幌視察(その2)

札幌視察2日目の午前は、自閉症者自立支援センター「ゆい」を訪ねました。
ゆいにて

札幌市の施設をはるにれの里が指定管理者として、管理運営しています。
「ゆい」が開設された経緯は、札幌市ののぞみ学園(第一種医療型自閉症児
施設)の子どもたちが大人になっても次の暮らしの場がなく、人生の大半を
病院や施設で過ごさなければならない現状を何とかしたいと親たちが
十数年にわたる運動によって、H17年11月に開設されました。

こちらは、主に2つの機能を果たしており、1階は短期入所も含む入所支援、
2階は相談業務を行う札幌市自閉症・発達障害支援センターとなっています。
札幌市ではゆいの開設にあたって、自閉症や周辺の発達障がいの人たちを
専門的に支援する「総合支援センター構想」を打ち出し、これは全国の政令市
としては、はじめての試みだったとのことです。

施設の特徴は、次のとおりです。
①自閉症特化型の支援を行う。
②二次的に強い行動障がいを持ってしまった人たちを専門的に支援する。
③自閉症や周辺の発達障がいの人たちのノーマライゼーションを
具体化する。

建物は、一人一部屋のユニット型です。
自閉症の人は、様々な刺激に対して自動的にコントロールすることができない
ため、刺激に対して日々翻弄され、苦しんでいます。
少人数の暮らしは、特に人刺激を制限できるという意味で優しい環境と
なっています。
可動式の壁なので、入所者に変化があった場合、臨機応変に環境を変えらる
と説明がありました。
ユニット型

自閉症については、維新の会がトンデモナイ条例案をつくるなど、世間一般の
理解もまだまだです。
1970年代になって脳に機能的な障がいがある「発達障がい」ということが研究
によって明らかになるまでは、「冷たい親に育てられたことによって起こる
心因性の症状」とされていたとのこと。
また、自閉症の人は耳で聞いた情報よりも目で見た情報を処理する力に
優れているということも明らかになったということも、現場を見せていただき、
納得しました。

敷地内にある作業所では、食材の下準備の仕事を請け負い、入所者と
スタッフが大量のジャガイモの皮むきをしていました。
ジャガイモ皮むき

当日は、「ゆい」の佐藤副所長、スタッフの佐々木さん、蝦名さん、
「おがる」の加藤所長にご案内いただき、たくさんのお話を伺うことができました。
「地域移行ではなく、地域に戻す」という視点にたって、意欲的かつ創造的に
チャレンジされている姿勢に改めて感銘を受けました。
とても素敵な方々との出会いに感謝です。

 

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