袖ヶ浦福祉センター養育園暴行事件その後

12月27日(金)

今年も残すところわずかとなった。
先週20日(金)に県議会が閉会し、議案3本に対する討論を行った。

1つ目の防災基本条例については、地域防災計画と連動しているはずなのに
原子力災害についてまったく書かれていない。
地域防災計画では4編「放射性物質事故」が位置付けられているにも
かかわらず、条例2条災害の定義では、暴風、竜巻、豪雨、地震、津波
といった自然災害だけに限定して書かれている。
原子力災害が意図的に外されているのではないかといった疑念がある。

2つ目は、住民基本台帳ネットワークを利用できる事務を増やす議案。
今年4月から千葉県では住基ネット利用事務を条例化し、現在56の
事務利用が可能になっている。
今回提案されたのは、児童虐待にかかわる本人確認と特定商取引とされた
訪問購入、いわゆる押し買い業者の代表者の確認のための事務について
住基ネットを使えるようにすること。

特に児童虐待にかかわる事務利用については、事務の迅速化を掲げて
いるものの、児童相談所の職員がもよりの県税事務所の端末まで
出向いてアクセスすることになるが、必然性が乏しいのではないか。
現在の確認方法で事足りると思うし、この事務に関して全国の都道府県
でどこも住基ネットを使っていないことを指摘し、反対。
特に驚いたのは、千葉県の事務利用の数が全国トップということ。
住基ネットの事務利用をまったくしていない自治体が青森や沖縄はじめ
8つもある。

住基ネットについては個人情報流出、プライバシー保護の観点で法成立の
時点から反対しており、加えて千葉県でも昨年から今年にかけて
住基ネットにアクセスするための識別カードが紛失する事件も相次いで
起こっている。
システムの管理体制やセキュリティ対策も不完全と言わざるを得ない。

3つ目は補正予算にかかわり、袖ヶ浦福祉センター養育園での虐待暴行
事件について、意見を述べた。
議会閉会後、この件で健康福祉常任委員会が開かれ、18・19日に
県が同施設に立ち入り調査した報告があった。
養育園施設長はじめとする職員が福祉分野のプロであるのか、勤続年数
や経験等はどうなっているのかなど質問が出されたが、県の担当課は
把握していないということで答弁保留。
強度行動障害など重度の知的障がいがある人たちを支援するには、
障がい特性に応じた適切な支援が欠かせないことは「はるにれの里」を
視察して痛感してきた。

新聞でも報じられているが、委託料縮減で現場の支援員の処遇も不十分、
研修も不十分、まして1年契約の職員にスキルを継承することは
難しかったのではないだろうか。
だからといってもちろん暴力行為は決して許されることではない。

今日の午前中、障害福祉課長からファックスが届き、20日常任委員会で
答弁保留していた件について資料が送付されてきた。
それによると、養育園の職員70名のうち契約職員は18名で
社会福祉士や精神保健福祉士など有資格者は正職員のわずか17名のみ。
最初の県の調査で暴行等の事実について「まったく知らない」と言い、
2回目の調査で「報告を受けていた」と前言撤回した施設長は、
社会福祉士の資格を持っているとのこと。
33年8か月もの間、事業団に勤めているというが、いったいどのような
働きをしてきたのだろうか。
ひどいにもほどがある。

12月12日付の発表で暴行行為が確認された5人の職員はいずれも
福祉分野の資格がなく、20日付で暴行の疑義があるとされた3人の職員
も無資格だった。
重い障がいを持つ人をサポートする支援者が資格もなく、トレーニングも
十分にされていないというのは、考えられない。
福祉の貧困を象徴しているのではないか。

今から6年前に国や全国の自治体に先駆けて「障害者差別をなくす条例」
を当事者参加で作った千葉県。
あれから知事も変わり、すっかり千葉県の情報公開や県民参加は
後退している。
当事者の思いや声に耳を傾け、声をあげづらい人たちに光を当てる
千葉県政にどうしたら変えられるのだろうか。

この事件に関する県警の捜査や県の調査は年明けも引き続き行われるが、
引き続き注視していきたい。