平成28年3月議会 討論

市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。

会派を代表し、議案第1号一般会計予算及び第25号一般会計補正予算の両議案について、反対の立場から一括して討論します。

新年度一般会計予算は1兆7,139億円。県内経済は緩やかな回復基調にあるとの認識から、法人二税や個人県民税は前年度より微増の見込み。

しかし、99%を占める県内中小企業の景況感は依然として厳しく約7割が納税できていません。

税収不足を補てんする地方交付税や臨時財政対策債は前年度より減少。

一方、28年度当初予算ベースの県債残高は右肩上がりで3兆804億円、県民一人あたりの借金は50万1千円となります。

厳しい財政状況だからこそ、税金は県民の命や暮らし最優先で使い、とりわけ将来世代に借金を積み増す不要不急の事業は厳に改めなければなりません。

 

以下、反対する理由や意見を申し述べます。

その第一は、直面する政策課題へのアプローチが国頼み、国任せで、千葉県としての独自姿勢や地方自治の観点が極めて弱い点です。

昨年10月、国が大筋合意したTPP協定。政府は国会審議の中でその内容や影響を明らかにすることなく、TPP発効ありきで農業関連予算を計上。

千葉県もこれに連動し、27年度補正予算で約19億円、新年度予算で183億円、合計約203億円ものTPP対策を盛り込んでいます。

県内農林水産物への影響は、約28~56億円の減少、総生産額のわずか0.6~1.2%のマイナスと試算。

米については影響額ゼロとする一方、TPP対策として約162億円が水田の大区画化等の土地改良事業に投入。

これで千葉の農業が守れるのでしょうか。

国の交付金や大規模化政策に頼るのではなく、新規就農者を増やし、六次産業化等による雇用創出や所得向上を図るための予算を拡充すべきです。

環境と安全を基本とする千葉の農業政策の確立を求めます。

 

次に、再生可能エネルギー推進予算は、前年度から後退してわずか5億2千万円。

先般、共同通信が行ったアンケート調査では、全自治体の66%の首長が原発縮小或いは将来的廃止、とりわけ8府県の知事が全廃を求めています。

本県は、福島原発事故の被災県です。原発ありきの国のエネルギー政策に追随するのではなく、千葉県から脱原発に向けて、分散・自立型の再生可能エネルギーを大きく推進すべきです。

放射能汚染重点調査地域に指定された県内9市は、原発事故による住民の健康被害を防ぐため、国に健康診断、健康影響調査の実施を求め続けてきましたが、未だに実施されていません。

我が会派は、低線量内部被ばくによる影響が未知数であることから、県が国に要望するだけではなく県独自で実施すべきと一貫して求めてきました。

しかし、新年度でも予算計上ゼロ。

いったいいつまで国の対応を待つのですか。

国頼み、国任せでは、県民の命や健康を守る役割を果たしていません。

 

反対理由の第二は、医療、福祉、教育への予算配分が不足し、「暮らし満足度日本一」を実感できない点についてです。

医療については、国家戦略特区による成田市への医学部新設に対し、来年度からの3年間で35億円の支援金を計上。

「医師確保に大きな効果が認められる」としていますが、地域医療への貢献策は、具体的に担保されていません。今後、新設予定の附属病院が与える影響や保健医療計画への位置づけも不明であり、県医師会も全国医師会も「地域医療の破壊につながる」と反対しています。

十分な議論もなく、一民間大学に巨額の公費を投じるのは、あまりにも性急であり、無責任です。

また、補正予算では、東千葉メディカルセンターに、6億6200万円前倒しで助成。

しかし、資金投入で解決する問題なのでしょうか。

センター開設前からも、314床フルオープンでも3次救急は難しいとの議論があったにもかかわらず、県は3次救急、高度医療に特化した形でセンターを東金・九十九里両市町に開設させ、県立東金病院を廃止したのです。看護師不足を経営難の主な理由としていますが、構造的な問題をどうするのか。県は他人事とせず、地域の医療ニーズに応える解決策を真剣に模索すべきです。

いずれの問題でも、千葉県の医療ビジョンが見えてきません。

 

また、少子化、児童虐待、子どもの貧困への取り組みについても、トータルな視点が欠けています。

非正規雇用が増加する中、少子化を防ぐためには、若年世代の雇用の安定が重要です。ところが、県は27年度まで行っていた若者就労定着支援事業を打ち切りました。

若年者を正規雇用へつなげ、中小企業の若手人材確保にもなっていた有効な事業です。国からの財源がなくなったことを理由に廃止すべきではありません。

 

また、児童虐待への対応も不十分です。児童相談所の現場は常に人手不足ですが、来年度の児童福祉司・児童心理司の配置は1・2名の増と全国平均以下の配置状況から脱していません。新たに国からの9割補助で実施する児童養護施設退所者への生活費等貸付事業では、大学卒業時に460万円もの借金を負うことになります。

貸付型ではなく、給付型の支援を県独自に行うべきです。

 

教育予算では、不登校や家庭環境が厳しい子どもを支援するスクールソーシャルワーカーが公立小中学校で3名増、わずか8名の配置。

夜間定時制高校給食の廃止についても、対象校を2校から5校に拡大し、約3千万円を削減。

夜間定時制高校に通う6割が就労、一食数百円の負担も厳しい子どもたちには、光が当てられないのですか。

「光り輝く教育立県千葉」のスローガンが空しく響きます。

 

最後に、地方創生の問題点と県の将来ビジョンについてです。

安倍政権は人口減少、消滅自治体の危機感をあおり、地方創生総合戦略と交付金配分をセット化。国のお仕着せの地方創生で地方が真に活性化するのか、甚だ疑問です。

千葉県では、新年度「地方創生加速化交付金」7億7千万円を使って、有料道路の無料開放をはじめとする観光促進、併せて東京オリンピック・パラリンピック関連で約20億円もの予算を投入。県内経済を活性化するとのことですが、局地的かつ一過性のカンフル剤で終わりかねません。

国と同様、千葉県も未だに高度経済成長期の重厚長大・一極集中型の経済システム、発想から脱しきれていません。

従って、来年度予算でも必要性のない八ッ場ダムに22億円、新たな工業団地造成に32億円、高規格道路ネットワークに606億円を計上しています。

限られた財源は、施設の維持管理や長寿命化に優先投入すべきです。

 

時代は大きく変化し、今やスーパー・コンピューターとICT(情報通信技術)の発達により、地域分散型の経済へと変えていくことができるようになりました。

千葉県も食と農業、エネルギー、社会福祉を地域で完結させる、内需拡大による地域経済の活性化に目を向ける必要があります。

地方のことは地方で決める、地方自治の立脚点に立ち、分かち合い、支え合いの将来ビジョンをつくるよう強く求め、討論を終わります。