令和4年9月議会 会派代表質問(入江担当箇所原稿及び答弁要旨)

2022年9月22日(木)
会派「立憲民主・千葉民主の会」代表質問
(入江担当箇所原稿及び答弁要旨)

なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。

コロナ感染症対策

オミクロン株BA5による感染拡大、いわゆる第7波もピークアウトし、減少傾向にあります。この夏の感染爆発は第6波をはるかに超えるものであり、死者数も過去最多となりました。

限られた医療資源の有効活用するため、千葉県でも重症化リスクの高い高齢者等を優先する病床確保や発熱外来の指定、軽症者を対象とするフォローアップ・相談体制の強化に関係者と一丸となり、取り組んできたと認識しています。

しかしながら、発熱外来を行う医療機関は第7波の受け皿としては不足しており、県民からは医療にアクセスできないとの不安の声が続出し、自宅内療養者の数はピーク時に7万人を超えました。そこで、お伺いします。

(1)第7波における自宅療養者の医療へのアクセスをどのように進めてきたのか。また、今後どのように取り組んでいくのか。

次に、高齢者施設等における対応についてです。

本県では新型コロナウイルスBA・5対策宣言は打ち切りましたが、医療施設や高齢者施設等でのクラスター発生は未だに収まっていません。

県内の月別・施設種別クラスター発生件数を見ると、第6波のピーク時の今年2月は242件/3834人でしたが、今年8月では524件/8617人と2倍以上となっています。

特に高齢者施設での発生が一番多く、約6割を占めています。施設内へのウイルス侵入の未然防止、陽性者発生時の適切な早期対応などの取組みを検証し、今後のさらなる対策を急ぐ必要があります。そこで、2点お伺いします。

(2)第7波におけるクラスターの対応状況はどうか。

(3)高齢者施設職員等への検査の実施状況はどうか。また、施設入所者のワクチン接種の実施状況はどうか。

再質問

政府は今月26日から感染者の全数把握の簡略化を全国一律で実施する方針ですが、先行して見直した自治体では、各種の混乱も見られるとのことです。

千葉県においては、そのようなことがないよう自宅療養者の相談窓口や症状急変時の医療へのアクセスについての体制整備をしっかりと進め、県民に分かりやすく広報する必要があります。

年末年始に向けて、第8波の到来もあるかと言われております。スピード感を持って取り組むよう求めます。
また、高齢者施設の現場では、施設内で療養する入所者への医療支援が必要であり、症状急変時の医療アクセスにも不安を抱えています。そこで、伺います。

高齢者施設と地域の医療機関の連携はどの程度進んでいるのか。

要望

第7波では高齢者施設をはじめ、介護の現場でのクラスターが続出しました。

オミクロン株は、重症化リスクは低いものの、高齢者や障害のある方などが感染した場合、それが起因となって基礎疾患が悪化し、命を落とすこともあります。

早期に医療につなげていくためには、地域の医療機関との連携が必要です。しかし、今年5月時点で医師の往診が可能な高齢者施設は6割弱に留まっていました。引き続き、官憲機関に対し、県から働きかけをするよう要望します。

政府は、社会経済との両立に向けたウィズコロナの新たな方針を示したところですが、千葉県として医療や保健、介護現場等の実情をしっかりと把握し、より一層の取組みを進めていただきたい。

児童相談所一時保護所について

昨年度における県内の虐待相談対応件数は、過去最多の11,870件と12年連続増加しています。平成31年1月、野田市で発生した小学4年生女子児童虐待事件を受けて、県は児童虐待防止緊急対策を策定し、一時保護所の定員を56人増、171人としましたが、入所率は一向に下がっていません。

本年7月における入所児童数は6児相全体で230人、入所率は134.5%となっており、中でも東上総児相は定員の倍近い186.6%、市川児相は167.8%とパンク状態となっています。

また、児童福祉司、児童心理司、児童指導員等の専門職の適正配置が求められていますが、人材不足が大きな課題となっています。さらに、国は児童福祉法施行令を改正し、今年4月までに児童福祉司の配置基準を人口3万人に一人、児童心理士がその半数とするよう求めています。

本県の昨年度の採用状況を見ると、一時保護所で子どものケアを直接行う児童指導員の確保が厳しく採用予定数70名に対し採用数が31名と4割程度しか確保できていません。一時保護所の現場では慢性的な人手不足から過酷な職場環境となっているため、メンタルを病み、長期療養に追い込まれる職員も後を絶ちません。そして、休職等に伴う欠員補充の代替職員についても、十分に確保できないことから、現場の厳しさは増すばかりとなっています。

一方、県が行った第三者評価では児童の権利擁護や環境整備、職員の働き方、業務改善等が課題として指摘されています。また、今年7月には市川児相一時保護所の元児童指導員が県の不当労働を訴え、環境改善を求めて提訴するという事態に至りました。

このような中、県は令和8年度に松戸、印西の両市内において新設される県児相の建設に向けて動き出しており、また中核市である柏、船橋市においても児相新設の準備が進められています。そこで、3点お伺いします。

(1)第三者評価の結果や現場職員の声などを踏まえ、児童の権利擁護や環境改善にどのように取り組んでいるのか。

(2)児童福祉司等の専門職の配置状況はどのようになっているのか。また、今後の人材確保や育成に向けて、どのように進めていくのか。

(3)中核市2市における児童相談所の新設に向けて、県はどのように支援していくのか。

再質問

今年7月末現在、全6児相において退職・休職者数は40人に及び、その代替職員はわずか9人ということです。昨年度においても、療休・休職は31人、退職者は33人とのことでした。特に一時保護所の要となる児童指導員は昨年度から今年度にかけて10名減少、つい先日、合格発表があった令和4年度の採用試験においても採用予定数73名に対し、最終合格者数は29名で、合計44人もの不足と大変深刻な状況となっています。

全国的にも児相の専門職員は不足しており、各県は危機感を強め、採用選考の見直し等、あらゆる手立てを講じています。

千葉県では県が新設する2か所に加え、建替え予定の柏、銚子児相があります。また、児相を新設する中核市からは、県への要望として経験のある県のスーパーバイザーの派遣を求める声が強くあります。県は、これら児相開設までの残された期間において専門職員のキャリアパスをきめ細かく検討し、全体の適正配置を早急に考える必要があります。そこで、再質問します。

□ 専門職確保に向けて、他県の事例を参考に新たな方策を検討すべきと考えるがどうか。

□ 今後の専門職員の需要増を見据え、「人材確保・育成計画」を策定し、戦略的に進めていく必要があるがどうか。

要望

□ AI活用による業務の効率化

先日、政府は年内に児童虐待に省庁横断で対応するため、新たに総合対策を策定し、人材確保や人工知能AI活用による職員負担軽減のシステム開発について、令和6年度からの全国運用開始も目指すとしています。県においては、このような動きを先取りし、来年度予算にはその先鞭をつけていただきたい。

特に、AI 等の最新技術を導入しての業務効率化を早急に行うべきと考えます。昨年、網中議員と入江は江戸川児相を視察し、先行実施されているAIによる相談事案のチーム体制による的確な対応、瞬時の記録作成、保管共有化、等々、大きな効果を実感したところです。

□ 子どもの権利擁護にかかわる県の統一的なマニュアルの必要性

また、一時保護所における子どもの権利擁護を担保するためには、第三者評価でも指摘されているとおり、それぞれの現場任せではなく、統一的な考え方や対応をしっかりと示し、職員の意識改革を浸透させる必要があります。そのため、県においては、一時保護マニュアルの統一化を図ることを要望します。

がん対策について

日本は、二人に1人ががんに罹り、三人に1人はがんで亡くなる「がん大国」ですが、医療技術の進歩により、早期発見・早期治療で不治の病ではなくなりました。

現在、県は「第3期千葉県がん対策推進計画」に基づき、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、がんとの共生等々の施策を進めているところです。特に早期発見のための検診は大変重要であり、県は「がん検診受診率50%」を目標に掲げて取組んでいますが、長引くコロナ感染症による影響が懸念されます。そこで、お伺いします。

(1)県内市町村におけるがん検診受診率の状況と課題はどうか。また、受診率向上に向けて、県はどのように取り組んでいくのか。

また、県内の健康保険加入状況を見ると、国民健康保険(国保)が全体の約2割、残りの8割は民間企業や公務員が加入する被用者保険や後期高齢者医療制度となります。特に中小企業の従業員とその家族が対象となる協会けんぽは日本最大の保険者ですが、平成20年の制度改正以降、協会けんぽの被扶養者は保険者が実施する特定健診と市区町村が実施するがん検診を同時に受けることが難しくなっています。

そこで、福岡県や北海道、青森県では協会けんぽと連携し、特定健診とがん検診を同時に受診できる体制を整備し、がん検診受診率の大幅な向上につなげています。本県でも同様の取組みを進める必要があると考えます。そこで、お伺いします。

(2)協会けんぽの特定健診とがん検診の同時受診など、保険者と市町村が連携し受診しやすい「連携健診」の実施を進めるべきと思うがどうか。

次に、がん診療連携拠点病院における就労支援相談体制の強化についてです。

昨年、国立がん研究センターが行った国内最大規模調査によると、主ながんの「10年生存率」は約6割(59.4%)まで向上しており、治療を受けながら働き続けるケースも増えているとのことです。

がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」においては、働く世代のがん患者が抱える就労問題と経済的問題を包括的に支援する専門性の高い相談支援体制が求められています。従来の医療従事者だけでの対応では難しいことから、ファイナンシャルプランナーと社会保険労務士による相談支援体制の充実が必要です。

しかしながら、県内14箇所のがん診療連携拠点病院のうちわずか1箇所(順天堂大学附属浦安病院)でしか導入されていません。千葉県がんセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院として中心的役割を担っていますが、そうした相談体制はとられていません。

国への報告資料によれば、同センターにおける令和2年中の相談内容では、相談件数3707件のうち「医療費、生活費、社会保障制度」の相談は706件と「受診方法」に次いで2番目に多く、就労・経済面での相談支援のニーズの高さを読み取ることができます。そこで、お伺いします。

(3)県立がんセンターにおいて、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーによる専門相談体制を導入する必要があると思うがどうか。

次に、若年がん患者への在宅療養支援についてです。介護保険適用対象外となる世代では、がんの終末期を在宅で迎える場合、訪問看護、訪問入浴介護、福祉用具貸与購入に対する助成を受けることができず、自己負担となっています。がんとの闘病を経て、最期を住み慣れた自宅で家族と過ごしたいという希望があっても、経済的負担がさらなるハードルとなっているケースがあると聞きます。

一方、このような制度のはざまにある若年がん患者への在宅療養支援を行っている都道府県があり、県内でもすでに助成制度を設けている市町村もあります。千葉県としても市町村と協議のうえ、こうした制度の導入に取り組むべきであると考えます。そこで、お伺いします。

(4)県として若年がん患者への在宅療養支援制度の創設を求めるがどうか。

再質問

県がんセンターにおける専門相談事業についてですが、医療面と同時に患者さんの生活支援、将来設計についても寄り添った対応ができるよう早期の実施を要望します。

また、がん対策について、大変前向きなご答弁をありがとうございました。今月はがん征圧月間ですが、県も長引くコロナ下でのがん検診受診率低下に鑑み、私たちの提案に沿って、特定健診とがん検診の同時受診が可能となるように関係機関との連携体制づくりを開始するなど、危機感を持って取り組んでおられることが分かりました。引き続き県がリーダーシップを発揮し、市町村や医療保険者と連携しての積極的に取組むことを要望します。

そして、さらに連携健診の他にも受診率向上に向けたさらなる対応が必要であると考えます。そこで、お伺いします。

がん検診の受診率向上に向けて、その他具体的に取組んでいくことは何か。

要望

県内の健康保険組合や事業所のうち、3000件を対象としてがん検診実施状況に関わる初めての実態調査を実施するとのことでした。県の積極的な対応を評価します。ぜひがん検診の受診率が低下した原因等を正確に把握し、受診率が向上する有効な対策を講じるための基礎調査となるよう、県の対応を要望します。

答弁要旨

令和4年9月定例県議会(本会議)における答弁要旨