沖縄スタディツアーその3

12月31日(月)大晦日を迎えて

辺野古の座り込みテント激励・意見交換(10月19日11:00~)
海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会
(通称:ヘリ基地反対協)の共同代表である安次富浩さんから
お話を伺った。

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◆辺野古に海上基地
2004年から那覇防衛施設局の辺野古ボーリング調査に対して阻止行動、
テントの闘いがスタート。
97年の名護市民投票で海上基地建設のノ―の決断をした。
95年の少女暴行事件。
女性たちの抗議行動、8万人規模の抗議集会を日米政府は放っておくと
やばいということで、普天間返還を橋本・モンデール会談で決定。
96年から16年経ったが、手順は踏まれていない。
県内移設先として、辺野古を飛行場化し、普天間を返す時に他の基地が
必要と言うのは、ふざけた話。
国際法的にもありえないことが起こっているのが、日米関係。
辺野古がなぜ最終的に決定されたか。
いま船が走っている漁港の先の岩のところにリーフサンゴ礁が走っている。
アメリカは64年のベトナム戦争の頃、ここに海上基地をつくろうと
していた。そういう時期に海軍は海上基地をつくろうとしたが、
アメリカの財政事情で幻の案になった。
沖縄の負担軽減ということでこの案が浮上したのは、日本政府の負担で
つくるというアメリカにとっては濡れ手に粟だったから。
アメリカはなぜ海上基地を作ろうとしたのか。
海兵隊の弾薬庫がすぐ傍にあり、キャンプ・シュワブに隣接しているから。
普天間は街中なので弾薬を積むことはできない。
軍事戦略上、弾薬庫に近い辺野古基地は必要だった。

◆基地建設反対の市長が誕生
海上基地構想に反対行動、市民投票が行われたが、比嘉哲也元市長は
金と引き替えに条件付きで寝返った。
反対側が圧倒的で市民投票で勝ったが、橋本首相と相談し、
市長を辞め、助役を市長候補にした。
その助役は運動を一緒にやっていた人だったが、寝返った。
2010年の選挙でようやく基地反対の稲嶺市長が誕生。
これまで基地を推進してきた保守系議員が割れた。
基地の振興漬けになると、名護市の財政が硬直化した。
振興漬けでいいのか、保守系議員が勉強した。
彼らと共闘体制を組み、現在に至っている。
海にも陸にも新基地をつくらせない。
しかし、政府は基地建設を受け入れた前市長時代の合意書は生きていると
押し付けようとしている。

◆非暴力の抵抗運動
海上基地構想NO、2004年防衛施設局によるボーリング調査に対して、
身体を張った抵抗運動を展開した。
しかし、4箇所にやぐらが作られた。
平島の右側に大きな岩があり、岩のそばから滑走路が延びる。
ジャングルジムのような鋼管体がたてられ、カヌーや漁船で抵抗したが、
結果的に負け。
一日5万円で漁民が駆り出されてやぐらが建てられ、そこに座り込んだ。
早朝から日没1時間前まで作業。なぜならジュゴンに影響を与えるから。
作業員が来て、自分たちを蹴ったり殴ったり突き落としたりしたが、
非暴力で対抗した。
周辺の漁民も反対運動に加わり、海上基地建設はご破算になった。
関西空港のようなものができるはずだった。
次に米軍再編の名の下でⅤ字型滑走路になり、
仲井真知事は2期目の選挙で辺野古基地建設反対に。

座り込みテント

◆反対運動の第一の柱は、環境
海ガメとジュゴンは同じ草を食べる。
辺野古岬と島の間を埋め立てると、大浦湾の潮の流れが極端に悪くなる。
海の生物に影響を与えるから、ダメ。
ジャン草が生い茂っているところにジュゴンは2004年ごろまでは来ていた。
すごい量を食べた後の食痕であるトレンチが発見されていた。
しかし、環境調査と称して毎日ヘリを飛ばし、人間がジュゴンの環境を
悪くした。
上等な草が生い茂っているところを埋め立てる計画になっている。

◆第2の柱は、財政
キャンプ・シュワブにある映画館、プール、ボーリング場など
娯楽センターを日本の防衛省の予算2憶5千万円で建設。
財政的に不条理なことをしている。
復興予算による財源確保や消費税増税。
民主党は事業仕分けしたが、年間1800億円の思いやり予算を割り返すと、
1日5億円になる。
アセス手続きは進み、評価書が年末に出され止めた。
あの中で始めてオスプレイ配備が記載された。
アセス準備書と諸手続きの段階ではごまかしてきた。
2010年からオスプレイ配備のための環境調査を米軍はやっていた。
今年4月にレビューが出され、オスプレイが明るみになったのだ。
国民を平気で騙している官僚と政治家。
オスプレイを最初から追求してきたが、ひた隠しにしてきた。
2012年に3500億円の予算が計上されたが、執行はされていない。
知事に埋め立て拒否をさせなければならない。
国民が生活に困っている時になぜ基地建設なのか。
アメリカの言いなりになっているのが、日本の外交。
沖縄問題で明らかになっている。生々しい状況だ。
なぜ私たちが闘っているのか。
現場に来てもらうとよく分かる。

◆第3の柱は、平和
イラクのファルージャへ総攻撃を行ったのは、沖縄とアメリカの海兵隊。
結局は戦争に直結する。何のために憲法9条があるのか。
アジアへの侵略を忘れている。
沖縄戦の体験、現代の戦争でも住民を巻き込む。
戦争は軍人同士で戦うのではない。
私たちは普天間を返せと言っているのであって、
新しい基地が欲しいのではない。
しかし、そうでない沖縄県民もいて1戸当たり、1億5千万円を要求している。
そういう人間を作っているのが、飴と鞭。
権力の良くやる手であり、沖縄でも展開されている。
こういうことで、この滑走路はオスプレイ専用。
オスプレイを止めたら、基地を作ることはない。
10月1日にオスプレイが強硬配備されたが、私たちは復帰前から色々と
戦いをしている。B52撤去、毒ガスも撤去し、あきらめない。
向こうはあきらめるのを待っている。
野髙ゲートで座り込みしている。
「ヤンキーゴーホーム、マリーンアウト」と県民は普天間の閉鎖、
海兵隊いらないと声をあげている最中に海軍兵士2人の暴行事件があった。
「悪い時期に起きた」と平気で官僚は言う。
こういう感覚だから沖縄は余計怒っている。
韓国でもレイプ事件があった。基地があるところにはそういう問題がある。
「日常的にあるではないか」と大和の政治家は平気で言う。
「基地建設をさせない。オスプレイをアメリカに持って帰れ」と
ウチナンチュの方が大和より優しい。
大和で反米闘争があったから、その対処策として本土から海兵隊を
沖縄にぶち込んだ。そういう歴史が沖縄にはある。
私たちはアメリカに持って帰れという。
仲井真知事は「日米安保が必要と言う人には大和に持って行け」というの
も一つ。
「大和に持って行け」という沖縄女性の声もある。
ますます国防費削減、アメリカ財政ピンチということで、
アメリカに持ち帰って雇用拡大をどうぞというのが私の考え。
基本的原則を踏まえないと、その時々の感情では誤った穴に
落ち込んでしまう。
私たちは3107日、8年余り闘ってきたが、
実際は97年からの闘いである。
今の森本防衛大臣は辺野古にと決めているが、アメリカの社説でも
ここでは無理だ。オスプレイは県外に持って行けという記事が出ている
くらいだ。
ヨーロッパでもおかしいという記事が載るくらい、沖縄の闘いは国際的に
注目されている。だから負けられない。

◆辺野古浜のフェンス前で
辺野古フェンス前

キャンプ・シュワブとの境界フェンス近くに電柱が2本立っているのは、
監視カメラ。
平和行進の時に沖縄に来ている右翼集団がフェンスに張られている
横断幕を浜のゴミだと言い、中国脅威論を言って撤去する。
幸福実現党の沖縄支部があり、信者が動いている。
その脱退者が行動右翼となっている。
このフェンスは沖縄防衛局が5千万円かけて作り、錆止めで微電流が
流れている。
この1年間で周りの砂を持って行かれ、フェンスは台風の波で動いている。
前の鉄定紋は台風で倒れた。このフェンスばかりか、海洋基地を作ったら
環境にめちゃくちゃな影響が出るだろう。
横断幕は全国から送られてくる。
右翼はテント村に「出ていけ」とやってくる。
ハングル語に血が上っている。
これを見て、いかに日本の教育が過去の戦争の犯罪性を子どもたちに
教えてこなかったのか。若い人たちに影響が出ている。
沖縄の歴史を屈辱の歴史と言っている。
領土問題をあげて自衛隊を沖縄にと言っているが、八重山の漁師は今まで
何も起っていないのに、漁民同志はちゃんと棲み分けしているのに
この問題で迷惑している。
石原前都知事は尖閣を領有すると言っているのに、都民はなんで
怒らないのか。
なぜ東京都が沖縄の問題に首を突っ込み、税金を使うのか。
尖閣取得のために14億円の金が集まっているのに、
なぜ福島に使わないの?また同じことが起こるな。
また同じ足音が聞こえてくる。
船中八策とか言っている橋本前市長のような人たちが議席をたくさん
取ったら、憲法改悪、戦争への道をたどることになる。
少数派ではだめ、皆さんも多数派になって下さいよ。
沖縄の人間性、生きていくための根源的問いかけをしていかないと。
また沖縄を犠牲にするのですか。
そうならば、沖縄は出ていく。
沖縄の将来像は日本の中にいたら作れない。
そういうことにならないように、独立自治州とかそういう幅広い政策を
考えないと。
僕らはヤマトンチュではないという思いはある。
本土の日本人にも連帯を求め、一緒になってこの国を変えたいと思うが、
沖縄の中にはもう嫌だという声がある。
そういう動きは否定できない。
少なくても琉球自治州を作りたい、外交権も沖縄県民が手にし、
脱却したい。
国会で言っても、共産社民以外は沖縄問題に取り組まない。
そういう国会議員を国民が選んでいる。

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以上、長くなりましたが、安次富さんのお話でした。

防衛省は12月11日に辺野古アセスに関する有識者研究会の最終報告を発表。
翌週18日には沖縄防衛局が沖縄県に補正評価書を提出し、27日から
公告・縦覧手続きをスタートさせ、県知事への埋め立て承認申請も
具体的日程に上ってきました。

来年は沖縄から平和問題をさらに考え、行動していきたいと思います。
1年間、公私ともども大変お世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。