平成24年12月定例議会 一般質問
目次
原発事故子ども・被災者支援法への対応について
私の不手際で大変時間が押してしまいましたこと、大変申しわけありません。以後気をつけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
申しおくれました。佐倉市選出、市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。
早速、通告に従い質問に入ります。
初めに、知事の政治姿勢について、原発事故子ども・被災者支援法への対応についてです。
東日本大震災から1年8カ月が経過しましたが、福島原発事故の収束の見通しも立たず、放射性指定廃棄物の最終処分場も定まっていません。原発事故により、それまでの生活を突然奪われ、住みなれた土地を追われ、千葉県内で被災生活を余儀なくされている福島の方々は3,000人を超えています。一方、県内にも東葛地区を初め放射線量の高い地域があり、除染活動が進められているところです。今後数十年にわたる放射能汚染への対応、とりわけ次世代への影響を最小限にするための対策が求められています。
本年6月21日、衆議院本会議において原発事故子ども・被災者支援法が全会一致で可決成立しました。この法律は、与野党超党派による議員立法であり、原子力政策を推進してきた国の社会的責任、自主避難も含む避難の権利、被災地にとどまる権利、子どもの生涯にわたる健康管理、被害者側の立証責任を伴わない医療費減免等が明記されました。東京電力原子力事故による被害者一人一人の生活再建と健康管理を実現させる画期的な法律です。現在、政府内でこの法律を具体化するための基本方針を検討中、12月末には基本方針が策定される予定です。
そこで、以下2点について伺います。
1点目、今後、国の基本方針を受け、本県が被曝県としてしっかりと対応していくのか、知事の基本的な御認識について伺います。
おはようございます。市民ネット・社民・無所属の入江晶子議員の御質問にお答えいたします。
政治姿勢についてお答えいたします。
原発事故子ども・被災者支援法の基本方針を受け、基本的な認識はどうかとの御質問でございますが、原発事故子ども・被災者支援法については、現在、国において施策の基本的方向や支援対象地域などを定める基本方針を策定中であり、県として国の動向を注視しているところでございます。なお、県といたしましては、今般の放射性物質によるさまざまな影響について、放射性物質のモニタリングや県施設の除染など、引き続き適切に対処し、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
2点目、県内で放射線量が高いホットスポットと呼ばれる地域における低線量内部被曝への対応、健康被害の未然防止の観点から、とりわけ住民の健康チェック体制を県独自でつくるよう会派でも求めてきましたが、この間の検討状況はどうか。同法第13条でも、放射線量による健康影響の調査、医療の提供等が明確に規定されたが、今後、県としてどのように取り組んでいくのか。
健康チェック体制の検討状況と今後の取り組みについての御質問でございますが、子供の低線量の長期被曝による健康影響については、科学的に蓄積されたデータが乏しく、高度な専門性に基づき長期的な視野に立って評価する必要があると認識しており、これまで国に対し方針を示すよう求めてきたところでございます。今般制定された原発事故子ども・被災者支援法において、国は、放射線による健康への影響に関する調査について必要な施策を講ずるとされていることから、今後とも国の動向について注視してまいりたい、そのように思っております。
私からは以上でございます。他の問題につきましては担当部局長からお答えをいたします。
児童福祉について
2項目目、児童福祉についてです。
全国的にも児童虐待が急増し、昨年度の県内における虐待相談対応件数は過去最多の2,960件にも上りました。長引く景気低迷、雇用環境の悪化、地域社会の希薄化や孤独な子育てなど、さまざまな経済的・社会的背景があります。生きづらい世の中となり、弱いところに暴力が向かっています。虐待を受けた子供たちはどのような環境に置かれているのか。子供たちの健やかな成長を支援するために何をすべきなのか。
夏から秋にかけて、県立の児童相談所やこども病院、県立児童養護施設富浦学園、そして民間の児童養護施設を会派で訪れ、お話を伺ってきました。それぞれの現場で献身的に子供たちを支えておられる職員の皆さんの姿に頭が下がる思いでしたが、個々の努力ではどうにもならない厳しい現状も目の当たりにしました。お忙しいところを丁寧に対応していただき、ここで改めて感謝申し上げます。社会的養護が必要な子供たちの命や人権を守る最前線に光を当てる、さらなる取り組みが求められています。
そこでまず、児童虐待について5点質問します。
1点目、各児童相談所における相談件数の状況はどのようになっているか。今後、児童相談所の増設を含めた所管エリアの見直しが必要と考えるがどうか。
私からは、児童福祉関連10問と生活保護関連2問の計12問につきましてお答えいたします。
まず初めに、各児童相談所における相談件数、所轄区域の見直しについての御質問ですが、平成23年度の各児童相談所ごとの件数は、中央3,049件、市川2,759件、柏2,607件、銚子888件、東上総1,142件、君津1,561件となっております。児童相談所の所轄区域につきましては、人口増加や交通の利便性といった社会的環境、迅速な対応が求められる児童虐待の増加など、児童相談所の状況に合わせた見直しが必要と考えております。
2点目、児童心理司と児童福祉司の配置状況はどうか。児童心理司のさらなる増員が必要だが、今後どのように人材を確保していくのか。
次に、児童心理司と児童福祉司の配置状況及び児童心理司の増員についての質問でございますが、平成24年4月1日現在、5年前に比べ児童心理司は14名増の49名、児童福祉司は18名増の93名となっております。児童心理司の増加につきましては必要と考えており、児童福祉司の増員に見合った人員配置となるよう人員の確保に努めてまいりたいと考えております。
3点目、中央児童相談所や柏児童相談所など、老朽化の激しい施設の改修を初めとする施設環境の整備計画はどのようになっているか。
次に、児童相談所の改修についての御質問ですが、県所管の6つの児童相談所のうち、4カ所は築30年を超えて老朽化が著しく、また職員の増加により事務室や面接室が手狭となっている児童相談所もあることから、所轄区域の見直しに合わせ、建てかえや移転を検討してまいります。
4点目、今年度から県警職員やOBを児童相談所に配置し、連携強化を図っているが、これまでの成果と課題はどのようなものか。今後、全ての児童相談所に配置を進めていくのか。
次に、県警職員等の児童相談所への配置による成果と課題、今後の配置についての御質問ですが、児童の安全確認や保護が困難な事例につきまして、配置されている警察官等が児童相談所職員の家庭訪問に同行することや保護者面接に同席することなどにより、迅速な児童の安全確認と児童の保護に成果を上げております。今後の配置につきましては、各児童相談所の状況を踏まえ検討してまいります。
5点目、昨年5月に柏市で、2歳10カ月の男の子が長期間にわたり十分な食事を与えられず餓死するという大変痛ましい事件がありました。その5カ月後、柏市は児童虐待検証会議を開き、ことし4月には検証結果報告書が出されました。県においても、今回の虐待死事件の検証が行われたと聞いているが、どのように総括し、再発防止に向けて市町村や関係機関と連携を図っていくのか。
次に、柏市の死亡事例検証を踏まえた再発防止に向けての御質問ですが、今後、社会福祉審議会での審議を経て報告書が出されますが、県といたしましては、市町村の要保護児童対策地域協議会の活性化を図るため、専門家を協議会の研修会に派遣し、市町村職員等に対しては事例検討など体系的な研修を進めております。さらに、児童相談所が専門機関としての役割を果たすため、積極的な協議会への参加を通じて連携強化を図り、再発防止に努めてまいります。
次は、社会的養護が必要な子供たちのバックアップ体制についてです。 施設から家庭的環境へという流れのもと、地域小規模ケアホームや里親制度の拡充が進められています。そこで、現状と課題について5点伺います。
1点目、県内の乳児院及び児童養護施設の入所数、入所率はどのようになっているか。
次に、県内の乳児院及び児童養護施設の入所数、入所率についての御質問ですが、県内には6カ所の乳児院がございます。平成24年10月1日現在、入所定員123名に対して95名が入所し、入所率は77.2%でございます。また、児童養護施設につきましては、平成24年10月1日現在、17カ所、定員995名に対しまして920名が入所し、入所率は92.5%となっております。
2点目、社会的養護を必要とする子供たちの受け皿を、量的、質的に早急に整備していくことが求められているが、今後の施設整備の方向性や課題はどのようなものか。
次に、社会的養護を必要とする子供たちの受け皿となる施設整備の今後の方向性や課題の御質問ですが、県では、社会的養護を必要とする子供たちの受け皿を整備する必要があることから、現在、平成25年度の開設に向けて民間施設整備を進めているところでございます。県といたしましては、昨年7月に国が示した施設の小規模化と家庭的な養護の推進という方向性とも整合性を図りながら、今後、施設の小規模化や里親への委託を推進し、受け皿のさらなる整備に努めてまいります。
3点目、県立児童福祉施設については、県社会福祉審議会の答申や県立児童福祉施設整備検討委員会の報告を踏まえて整備や検討を進めているが、これまでの進捗状況と今後の見通しはどうか。
4点目、民間による受け皿づくりを進めていくために、財政支援を含めたさらなる支援策が必要と考えるがどうか。民間による新たな施設整備、既存施設の改修や職員配置、里親委託の推進などについて、事業者などの担い手からどのような要望が届いているのか。
次に、社会的養護を必要とする子供たちに関する県立と民間の受け皿についての御質問ですが、関連いたしますので一括してお答えいたします。
県立施設のうち富浦学園では、子供のケア単位を小規模化し、居住環境の整備を図るため、現在建てかえをしております。今後、乳児院と生実学校につきましても、県立施設の役割を十分踏まえながら施設のあり方を検討してまいります。民間施設からは、職員配置や施設整備への財政支援の要望が来ております。国の定める職員定数を上回って人員を配置した場合の人件費、現在行っている施設整備への県の上乗せ補助など、民間施設の財政支援に努めております。
5点目、社会的養護が必要な子供たちの高校への進学率と中退率、大学や専門学校等への進学率の現状、財政的支援はどのようになっているか。また、児童養護施設等を退所後、自立に向けてのさらなる支援策が必要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。
次に、児童養護施設入所児童の進学や自立についての質問ですが、施設入所児童の平成24年の進学率は、高等学校等94%、大学等19%となっております。なお、中退率については把握しておりません。また、財政的支援につきましては、国や県の制度により高等学校入学時や在学中の費用、就職や大学進学時の支度費を支給しております。退所時には、就職や住宅契約の保証人に施設長等がなる場合に損害保険料を補助するなど、自立の支援に今後も努めてまいります。
生活保護制度について
3項目目、生活保護制度についてです。
国は、生活保護費削減の方針を明確にしましたが、受給者増加の根本要因である雇用や年金問題は手つかずの状態です。国民の関心は保護費の増大や不正受給に向けられ、憲法第25条の生存権に基づく最後のセーフティーネットであるという共通認識も薄らいでいます。悪質な不正受給はもちろん認められませんが、経費削減そのものを目的化するのであれば本末転倒です。ふえ続ける現役世代受給者の就労をいかに支援するか、貧困の世代間連鎖を断ち切るために子供の学習支援をどのように行っていくのか。貧困対策は喫緊の課題であり、自治体行政の力量を問われる試金石とも言えます。
先月9日、私ども会派は、埼玉県庁の社会福祉課を訪問し、埼玉県が2年前から行っている生活保護受給者チャレンジ支援事業について御説明を伺いました。この事業は、別名アスポート事業といい、教育、就労、住宅の3つの分野から生活保護利用者への自立支援を行っています。アスポートとは、あすに向かって船出をする港、あすへのサポートを意味し、思いを込めてネーミングしたとのことです。この事業の特徴は5つあり、いずれも常識を打破する視点で貫かれています。第1に県が事業の実施主体となる、県と福祉事務所の壁を超える。第2に全県の福祉事務所が対象、福祉事務所の壁を超える。第3に就労、住宅、教育をトータルで支援、担当課の壁を超える。第4に民間との積極的な連携、行政と民間の壁を超える。そして第5に、待つのではなく手を伸ばす支援、相談機関と家庭との壁を超える。特に学習支援については、教員退職者や大学生ボランティアによって行われ、場所は特養の施設ということで高齢者との交流も生まれています。時間の関係で詳細にお伝えできず残念ですが、福祉的な観点に加え、短期的にも財政削減の成果も得て実効性のある取り組みが展開されていました。
そこで2点伺います。1点目、ことし8月から生活保護実務に関する県市協議会が開かれ、11月に報告書がまとめられたが、県内の福祉事務所における課題をどのように捉え、県がどのような役割を果たしていくべきと考えているのか。
次に、生活保護制度に関連しまして、県市協議会の結果報告を受けた福祉事務所における課題と県の対応についての御質問ですが、協議会では、効果的な就労支援や不正受給への対応など、検討課題を整理し、業務の参考に資するため、各福祉事務所に報告書を配付するとともに、国が進めている制度の見直しに反映されるよう、国に対し情報提供を行いました。今後とも各事務所と連携して就労支援策などの取り組みを進め、制度の適正な実施を確保するため、指導、助言を行ってまいります。
2点目、地域から貧困をなくすという課題解決に向けて、対処療法的手法ではなく、中長期的観点からの取り組みが求められています。埼玉県のアスポート事業は、国からの財源100%で行われており、今年度は9億円を計上したとのことでした。来年度には静岡県や熊本県でも同様の事業を実施する予定です。そこで、本県としても先進事例に倣い、県が主体的に取り組む必要があると考えるがどうか。
以上、前向きな御答弁を求めます。
最後に、県としてトータルな事業展開に主体的に取り組む必要があるとの御質問ですが、福祉事務所では、一人一人の受給者に対し、ケースワーカーが個別の援助方針に基づき一貫した支援を行っており、各事務所みずからがそれぞれの地域の実情や受給者の課題に応じた事業に取り組むことで、きめ細かな支援が可能になると考えております。県といたしましては、引き続き先進的な事例の紹介や国の助成制度を活用した事業の実施について働きかけてまいります。
以上でございます。
ダム問題について
4項目目、ダム問題についてです。
国交省は、八ッ場ダムの本体工事建設の予算執行に向け、利根川水系河川整備計画策定作業を急ピッチで進めています。ダム本体予算約18億円の執行に当たり、昨年12月、藤村官房長官の裁定として本整備計画策定が条件となりました。そのために関東地方整備局は、ことし9月下旬から利根川・江戸川有識者会議を開き、形だけの審議で終わらせようとしました。しかし、有識者会議に新たにダム懐疑派の委員が加わり、整備局が八ッ場ダムありきで利根川上流域の洪水氾濫図を捏造したことを指摘されるなど、会議は官僚のシナリオどおりに進まなくなり、現在は事実上打ち切りとなっています。本来、河川整備計画は、私たち利根川流域住民の命と生活を洪水の氾濫から守るためのものです。ところが、今まさに進められているやり方は、流域住民のためではなく、天下り先や省益を死守しようとする官僚組織、そしてダム利権にあやかろうとする一部のゼネコンや政治家のためと言っても過言ではありません。
そこで質問に入ります。
1点目、八ッ場ダムは、現在の基本計画では27年度末に完成予定です。関東地方整備局による関係都県との検討の場において、ダム完成予定は平成30年との説明があり、事業費の増額についても、追加的な地すべり対策の点検、代替地安全対策の点検などにより、約280億円の増額が示されています。これらに加え、東京電力が行っている水力発電への減電補償が150億から200億円以上になるとの試算もあります。
そこで伺います。八ッ場ダム事業の工期延長と事業費増額は必至であるが、今後、国から示される計画変更を受け入れるのか。ダム完成の見通しをどのように考えているのか。
私の方からは、ダムに関して4問、まず八ッ場ダムの計画変更とダム完成の見通しについての御質問でございますが、国は、八ッ場ダムの施工に当たっては、さらなるコストの縮減、工期短縮に努めるとしております。なお、国からは八ッ場ダム事業の計画変更について示されておりません。
2点目、八ッ場ダム建設による本県の治水効果についてです。国交省は、利根川が決壊すると34兆円の被害が出るとし、八ッ場ダムの治水効果を科学的根拠なく、これまでの2.6倍に引き上げ、ダム建設が必要と強弁しています。しかし、昨年11月25日付の政府答弁書によると、利根川及び江戸川本川で60年間破堤はなく、被害額はゼロにもかかわらず、八ッ場ダムがないと毎年の洪水被害額は4,820億円になるというでたらめな費用対効果が明らかになりました。
そこで質問ですが、八ッ場ダム建設による本県の治水効果は具体的にどのようなものか。治水負担金の根拠となっている河川法63条にある著しい利益に照らしてどうなのかお答えください。
次に、八ッ場ダム建設による本県の治水効果は具体的にどうかとの御質問でございますが、国は、ダムが設置されていない吾妻川流域に八ッ場ダムを建設し、さまざまな降雨に対応した洪水調節を行っていくこととしております。八ッ場ダムの効果につきましては、国の試算によると、治水の基準地点である八斗島において、最大毎秒1,820立方メートルの洪水調節効果があり、中下流部の洪水流量の低減が図られることになります。このことから、八ッ場ダムは、最下流部に位置する本県に大きな治水効果を発揮するものと考えております。
3点目、政権交代後のダム検証の基本方針はダムに頼らない治水であり、ダム撤去による水循環の健全化、森林の保水力による緑のダムが世界の潮流です。
そこで伺いますが、ダムに頼らない治水対策はどの程度進んでいるのか。県域の利根川水系における河川改修や堤防強化等の事業の進捗状況と治水安全度は具体的にどのようになっているのかお伺いします。
次に、県域の利根川水系における河川改修や堤防強化等の事業の進捗状況と治水安全度は具体的にどうかとの御質問でございますが、利根川水系では、八ッ場ダムと河川改修による治水対策が最も有利であることが平成23年12月に検証結果から結論づけられ、現在、八ッ場ダム建設とともに河川改修が行われているところでございます。そこで、河川改修等の進捗状況につきましては、利根川の国が管理する区間において、堤防整備必要区間約440キロメートルのうち、現在までに約245キロメートルが整備されているところでございます。また本年度は、我孫子市地先の護岸工事や利根川下流部の河道掘削を実施しております。治水安全度につきましては、平成20年5月に国が示した資料によれば、利根川下流部でおおむね10分の1から20分の1とされております。
次は、ダム事業に参画する目的の1つ、利水についてです。
これまでは高度経済成長期の人口増に伴って水需要もふえ、水源開発が進められてきました。八ッ場ダムが完成する予定の27年では、人口625万5,000人という前提でした。しかし、ことし11月1日現在の最新値によると、県の人口は619万7,503人と既に620万人を切っています。県の総合計画策定に当たっての人口推計においても、29年に626万2,000人をピークに緩やかな減少傾向をたどるとされています。先ほど述べたように、ダム完成予定は、仮に今すぐ着手しても早くて平成30年、人口のピークはとうに過ぎています。利水上も必要性を失った八ッ場ダム初め、無駄な公共事業に巨額の税金を投入する県の姿勢を改めるべきという立場で、以下4点質問します。
1点目、県内で使われていない未利用水利権はどの程度あるのか。新たな水源開発に参画する前に、これらの未利用水を活用し水利権の転用を図るべきと考えるが、この間、水の合理化をどのように進めてきたのか。
私からは、ダム問題についての2問についてお答えします。
最初に、未利用水の状況と合理化についての御質問ですが、ダムなどの水資源開発施設にかかわる参画量のうち、現時点で使われていない水は、千葉県水道局など6水道事業体、合わせて最大毎秒1.238立方メートルですが、そのほとんどは水道事業体が将来必要としているものでございます。なお、県ではこれまでに房総臨海地区の工業用水や江戸川用水などの農業用水のうち使われなくなった水について、必要としている水道事業体への転用を図ってまいりました。
2点目、水循環の健全化や防災危機管理の観点からも、地下水という貴重な水資源の活用がこれまで以上に求められています。県の環境保全条例によって地下水のくみ上げ規制が行われている地域がありますが、地盤沈下との関係等を含めて調査研究し、規制地域の見直しを行っていく必要があると考えるがどうか。
私からは、ダム問題関連初め計4問にお答えをいたします。
まず、地下水のくみ上げ規制地域の見直しを行っていくべきとの御質問でございます。地下水は、本県の水需要の約1割を賄うとともに、災害等の非常時において活用できる貴重な水資源であると考えております。一方、地盤沈下防止を目的として、環境保全条例等により地域を指定し、地下水の揚水規制を行っておりますが、地盤沈下は依然として広範囲に及んでいることから、引き続き現行の揚水規制を行っていくことが必要であると考えております。
3点目、2008年9月にまとめられた千葉県長期水需給調査結果は7年前のデータに基づいてつくられており、人口減少が進む中においても過大な予測となっています。今後、再検証が必要と考えるが、どの時点で見直しを行うのか。
次に、千葉県長期水需給調査結果の見直しについての御質問ですが、千葉県長期水需給調査結果は、平成32年度を目標に各水道事業体等が地域の実情を踏まえ、将来の給水人口なども含めて適切に推計した水需要予測を取りまとめたものであり、現時点では妥当なものと考えております。
以上でございます。
4点目、県内において治水・利水上必要として参画している未完成の3つのダム事業、八ッ場ダム、霞ヶ浦導水、思川開発事業に対する治水、利水、それぞれの負担額と全体総額はどれぐらいか。霞ヶ浦導水や思川開発事業についての今後の見通し、本県への影響についてどのように考えているのかお伺いします。
次でございますが、現在建設中のダム等に対する治水、利水の負担額と全体総額はどのくらいか、霞ヶ浦導水事業等の今後の見通しと本県への影響はどうかとの御質問でございますが、八ッ場ダム建設事業の全体総額につきましては、総事業費約4,600億円となっており、このうち本県及び県内利水者に係る計画負担額は、治水約174億円、利水約331億円となっています。また、霞ヶ浦導水事業及び思川開発事業は、事業主体である国等において事業費の点検を行い、事業の妥当性について検証作業を進めているところでございます。本県としては、関係都県と連携し、今後の検証作業の進捗について注視してまいります。
以上でございます。
エコテック最終処分場について
最後に、エコテック最終処分場についてお伺いします。
旧海上町、現在の旭市、銚子市、東庄町にまたがる農地に産廃最終処分場を設置する問題が12年にわたって裁判で争われ、千葉地裁に引き続き東京高裁でも住民側の勝訴、平成22年には最高裁の上告不受理、許可処分は取り消すべきとの判決が確定し、県は、22年9月16日、株式会社エコテックに対し許可を取り消しました。ところがその後、県は、平成10年6月8日に出された設置許可申請そのものは生きていると恣意的な法解釈を行い、不足する関係書類を出すようエコテックに促し、現在に至っています。
そこで3点伺います。 1点目、事業者であるエコテックから許可申請に必要な全ての関係書類が提出され、現在審査中と聞いています。今回、新たに生活環境影響調査の報告書が提出されているが、この調査報告書の告示、縦覧、関係市町村からの意見聴取をいつ行う予定なのか。本来、事前協議で行うべき周辺住民への説明会開催などの手続を事業者に求めないのか。
次に、エコテック最終処分場関連でございますが、生活環境影響調査報告書の告示、縦覧等の手続についての御質問でございます。廃棄物処理法では、生活環境影響調査報告書の告示、縦覧、関係市町村及び関係住民からの意見聴取などの手続が定められております。エコテックの最終処分場の設置許可申請については、生活環境影響調査報告書などの審査に必要な書類が提出されたことから現在審査を行っているところであり、今後、同法で定められた必要な手続を行うこととなります。
2点目、許可要件の1つである経理的基礎の確認方法について、県は、千葉地裁判決後、国に対して具体的かつ客観的な審査基準の明確化を求めてきた経緯があります。今回の審査に当たってこれらの問題はクリアしているのか。県は、エコテックの経理的基礎や経営実態を把握するために具体的にどのような調査活動を行っているのかお答えください。
次に、経理的基礎についての御質問でございます。設置許可の審査における経理的基礎については、具体的かつ客観的な審査基準を明確に示すように国に対して要望しておりますが、いまだに示されておりません。エコテックの経理的基礎については、従来国から示されている基準により本事業の事業計画書及び事業収支計画書、同社の貸借対照表及び損益計算書などに基づき審査を行っております。
3点目、廃掃法第14条許可基準では、許可しない要件の1つとして、暴力団員等がその事業活動を支配する者という規定があります。暴力団の支配とはどのようなことを指すのでしょうか。民事訴訟の判決の中でエコテックと暴力団との関係が明らかになったことを受け、昨年12月以降、調査継続中とのことですが、どのような関係機関と連携し結論を出すのか。
以上お答えください。これで1回目の質問を終わります。(拍手)
最後に、エコテックと暴力団との関係についての御質問でございます。暴力団員等がその事業活動を支配する者については、国の指針で、暴力団員の親族や暴力団員と密接な関係を有する者などが役員であることのほか、多額の出資または融資を行い、事業活動に相当程度の影響力を有していることなどが該当するとされております。エコテックと暴力団との関係については、同社に係る用地の抵当権の登記について争われた民事訴訟の記録などを確認し、慎重に精査しているところであり、必要に応じて弁護士等とも相談した上で廃棄物処理法の許可基準にのっとり処分を決定することとしております。
以上でございます。
再質問
再質問をさせていただきます。たくさんの質問に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
初めに、1項目目の原発事故子ども・被災者支援法への対応についてです。 確かに、まだ国の基本方針が定まっておりませんが、12月中にも策定されるという予定です。それで、この法律の対象者がどのぐらいになるかとか、具体的に基本方針が策定した後、早急な動きというものが必要になってくると思います。愛知県のほうでは、もう既に市町村を通じて福島その他、原発事故で主に福島、茨城の方もいらっしゃいましたけれど、そういったところから県内に避難している方の状況がどうなっているのかと、そういう調査をあらかじめしたということも聞いております。しっかりと千葉県としても、これからすぐに対応が求められると思いますので、そのあたりの体制づくり、庁内の体制づくり、どのように行っていくのか伺います。
子ども・被災者支援法の基本方針策定後の庁内の体制づくりの御質問でございますけれども、子ども・被災者支援法については、現在、施策の具体的な内容が示されておりませんが、幅広い分野にわたっておりますので、復旧・復興本部において担当部局との連携に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
2点目の児童福祉についてです。
虐待を初めとする相談件数が大変急増しているということで、各6つの児童相談所、大変限られた人員で対応が求められておりますが、特に中央児童相談所は、大変広いエリアを所管しております。成田、富里、佐倉、そして南のほうは市原に至るまで非常に広いエリアですので、ぜひこの児童相談所の管轄エリアの見直しを今のうちから具体的に行っていただいて、それで老朽化した施設の整備も早目にあわせてお願いしたいと思いますが、どのような場でこういった児童相談所の改編を行っていくのか伺いたいと思います。
5点ほど質問があったと思いますが、まず1点目で、中央児相について、所轄区域が広いので見直しをどういった場でということでございましたけれども、見直しは、県下、全事務所の見直しも必要かと思います。そういった中で、今後検討する中でどういった場で専門家の意見を聞きながらやっていくかということは決めていきたいというふうに考えております。
それから、同じく児童虐待についてですが、児童福祉司と心理司、そのバランスのあり方というのが国から示されているはずです。千葉の場合、児童福祉司と心理司の割合が1対2となっておりますが、大幅に児童心理司をふやさなければならない。これをしていくためにどのような課題があるのかということをお聞かせいただければと思います。
人員配置についてのことでございますけれども、人員配置については、県の平成19年の社会福祉審議会の答申に基づいて進めているところでございます。1人当たりの所管人口に照らした全国の平均以上の配置ということで今実施しておりまして、最終的には1対2じゃなくて同じ数ということで進めたいというふうには考えておりますけれども、今後とも人員の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
それから、児童養護施設についてお伺いします。
児童養護施設、先ほど平均的な入所率が92.5%ということで、私は皆さんからいただいた資料で17の養護施設を調べましたけれども、そのうち10施設が100%入所となっている。大変厳しい現状があります。圧倒的に受け皿が足りないというのが千葉の現状ではないかと思います。これから、来年度、25年度に民間の児童養護施設、袖ケ浦と君津にオープンするということですけれども、施設整備と、それから里親制度の推進ということもあわせて、早急にこれは県が取り組むべき課題だと思いますが、そのところについて、これから実際、民間の施設が整備しやすいような助成をさらにしていく予定があるのか。先ほど要望がいろいろと出ているということでしたが、やはり民間の施設は大変今厳しい運営を強いられています。私も幾つかの児童養護施設を見てまいりましたが、そういった現場の声をしっかりと捉えて、県として財政支援をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
それから、民間施設の新設に対して積極的に財政支援をということでお話がございましたが、現在、2施設について県の上乗せ補助もしながら実施しているところでございまして、とりあえず新設については力を入れてやらさせていただいている状況でございます。
あと、東京都の支度金が大きいという話がございまして、千葉県との差があるということでございますけれども、全国的に見て、千葉県の支給額というのは、基本的に国の制度に乗った額でございまして、そういった額が、東京都の子供たちと千葉県の子が違うというのは、状況は承知しておりますけれども、やはりこういったものは、子供たちのことを考えますと、全国一律である程度の支度金が出るような形が望ましいのではないかと考えておりまして、引き続き国に要望していきたいというふうに考えております。
同じく児童養護にかかわりまして、子供たちの義務教育卒業後の進路についてです。 高校の進学率は94%ということですが、中退率は把握されていないとのことでした。民間の児童養護施設に行ってお話を伺いましたら、進学率は90%以上なのですけれども、中退率が40%近くあるということで、ぜひこの実態調査をしていただきたい。東京都では、義務教育を終えた子供たちをサポートしていくためにはどのような支援が必要なのか調査を行っております。具体的に中退をなくしていく、そのことが経済的自立にもつながると思いますので、ぜひこのところをしっかりと調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
あと実態調査、中退者の実態調査を行うのかということで、行ってもらいたいということなんですけど、中退者につきましては結局対象から外れてしまうので、なかなか捕捉、実態調査していく先、住所とかいろいろ難しい面もございますので、今後、研究させていただきたいというように考えております。
以上でございます。
さらに自立支援ということで、大学の進学率19%ということですが、さらなるやはり財政的な支援も子供たちに必要なのではないかと思います。他県では入学の支度金ということで60万円近く支給しているという話もありまして、同じ千葉県の養護施設に入っていながら、東京都出身の子供は大学の入学支度金が60万円近く出て、千葉県ではないと、こういった、大変現場の先生は悩んでいらっしゃいました。この点についても、ぜひ今後とも財政的な支援をしっかりとしていただきたいと思います。
それと、時間がなくなってまいりましたが、3項目目の生活保護制度については、県の御答弁では、県として広域的な、埼玉のような事業をする予定はないというか、まだ検討に入っていないというお答えと受けとめました。千葉県の県内には41の福祉事務所がありますけれど、ケースワーカーの必要数が5月の時点でしたが、36名足りない。こういったところで現場は手いっぱいでやっております。埼玉県からお話を伺ったところ、埼玉としてはケースワーカーの負担軽減ということもあって、埼玉県独自で支援員を雇用して、住宅、教育、そして就労支援にその支援者の人たちをつけることで現場のケースワーカーの負担も軽減している、こんなお話がありました。これは、リーマンショック以降、上田埼玉県知事が、地域から貧困をなくすために、ぜひ早くこの事業を展開するようにとの強いリーダーシップで行われたと聞いておりますので、ぜひ森田知事にも、こういったところでリーダーシップを遺憾なく発揮していただきたいと、これは強く要望させていただきます。
4項目目のダムについてです。 相変わらず、国の基本計画の変更がないので待つだけだというお答えでしたけれども、さらなる事業費の削減、そして工期の厳守というのはどう考えても現実的に不可能ではないでしょうか。今、ダムの本体工事に着手しても、少なくても7年かかると言われているわけです。これに加えまして、ダムの建設予定地は、地すべり、そして岩盤が非常にもろいという指摘が専門家からありますので、工期がさらに延びて、30年にはとてもおさまらないというふうに思いますが、この点、のんきに国からの指示を待っているだけでいいのでしょうか。その点についてしっかりと実情を調査すべきと思いますが、八ッ場ダム現地に行って、つけかえ鉄道の工事の進捗等、どのように国交省の工事事務所から説明を受けてきたでしょうか、伺います。
八ッ場ダムに関しまして、事業、工事の進捗といったような質問がございましたが、まず昨年度、国のほうでダムの建設事業の検証というのを行いまして、その中で予断を持たず検証を進めるという観点から、できるだけ多くの要素を取り入れ、工事費や事業費等の検討が行われたということでございまして、これらの内容は、直ちに基本計画の変更に結びつくものではないと聞いております。なお、国におきましては、実際の施工に当たりましては、さらなるコストの縮減、工期短縮に努めるとともに、県としましては関係都県と連携し、今後の事業の進捗を注視してまいります。また、つけかえ鉄道の話がございましたが、つけかえ鉄道の進捗につきましては、24年3月末時点での工事実施済みの進捗は延長比で85%であり、平成24年度の供用開始に向けて現在整備を進めているところでございます。
以上でございます。
最後に、エコテックについては、先般、議場で聞いたこととほとんどお答えが変わらないんですけれども、エコテックの経営実態があるのか、収益を生み出すような仕事をしているのか、ペーパーカンパニーではないのかという指摘もありますが、この点について伺います。
以上で終わります。
エコテックの経営実態についての御質問でございます。同社の貸借対照表、また損益計算書などに基づきまして審査を行っておるところでございます。
以上でございます。
時間がないので要望させていただきます。
今、ダムにしろ福祉の問題にしろ、国の動向を見て全国一律にというお話や、国からの指示があるまでは動けないというようなことがありましたけれど、地方分権ということの観点で、地方ができること、知事の権限でできることはたくさんあります。ぜひ、私たち県民の命と、また暮らし、そういったところにしっかりと力点を置いた県政運営を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で終わります。