令和7年12月定例県議会 健康福祉常任委員会 健康福祉部/病院局 審議状況(入江質疑箇所)

令和7年12月10日(水)
なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。

健康福祉部

議案第35号千葉リハビリテーションセンター指定管理者選定について

質問

新たな指定管理期間の指定管理料については、1年あたり2億2800万円程度の増額となっているが、その内訳はどうか。

(入江委員)

回答

主な内訳として、まず主な指定管理料の増額の要因としては、令和12年度の居住棟オープンに伴い、入所施設の「愛育園」や児童発達支援センターの定員増を見据え、段階的に職員を確保すること等に伴う人件費の増による増額が約0.8億円。次に外来診療棟の令和8年度の供用開始に伴い、リハビリテーション療法室を拡充する等、センターの施設面積が増加することに伴う施設管理に係る委託費の増等による事業費関係の増額が約1.6億円、等となっています。

また、主な指定管理料減額の要因として、就労支援センター設置に伴う事業収入の増が約0.1億円、外来診療棟の修繕費の減が約0.1億円となっています。

主な増額が合計で約2.4億円、主な減額が合計で約0.2億円となり、差し引き令和8年度の指定管理料は2憶2800万円程度の増額となります。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

再整備に伴う段階的な職員確保の具体的な内容はどうか。

(入江委員)

回答

段階的な職員確保については、令和12年度の新居住棟供用開始に伴い予定されている入所施設の「愛育園」の18床の増床や、児童発達支援センターの14人の定員増等を踏まえ、令和7年度から段階的に職員数を増員し、令和12年度時点で、合計41.4人の増員をする計画です。

前倒しで計画的に増員することにより、看護師・保育士・介護福祉士等の確保が難しい医療・福祉分野の人材確保を図り、高度で専門的な支援を必要とする重症心身障害児者等への看護や施術のスキル習得等を複数年にかけて行うことにより、令和12年度の新居住棟のオープン時の増床に向けた準備を進めていきます。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

今回から「非公募」となったが、選定委員会の評価点数「78.4点」の受け止めはどうか。また、選定委員会からどのような意見が出されたのか。

(入江委員)

回答

今回、「非公募」による指定管理者候補者選定となったが、公募における選定と同様に、外部有識者から意見聴取を行った上で審査基準を決定し、その審査基準に基づき、申請者からの提案内容を採点していただきました。

外部有識者による審査において、必須項目及び一般項目共に全ての項目で評価点数の平均が審査基準の標準を上回るものになっていることから、一定の基準を満たした提案内容であると評価されたと受け止めています。

また、外部有識者からの意見としては、高度で専門的な総合リハビリテーションセンターとして、これからも重症心身障害に対応する医師が増えるよう、研修医の育成をしてもらいたい、という意見や、公募では現在の指定管理者以外の法人が選定された場合のサービス提供に支障が出るのではないかという懸念があったが、非公募となったことでそれが払しょくされた、等といった意見がありました。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

現在のセンター内の各施設の利用状況はどうか。

(入江委員)

回答

センター内の施設における稼働状況だが、令和6年度の利用率は、入院・入所施設について、「リハビリテーション医療施設」は86.1%、「愛育園」は90.0%、障害者支援施設「更生園」の入所は97.5%となっています。

次に、通所については、「児童発達支援センター」のうち、未就学児が対象の「えぶりキッズ」が56.4%、放課後等デイサービスの「えぶりクラブ」が47.5%、重症心身障害者が対象の「えぶり」が85.3%、また障害者支援施設「更生園」の通所は65.6%となっています。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

概ね高い利用率ということはわかったが、通所の稼働率が低い理由はどうか。また、再整備にあたり、どのように改善するのか。

(入江委員)

回答

「児童発達支援センター」のうち利用率が低い放課後等デイサービス「えぶりクラブ」については、理由の一つとして、利用者によって複数の施設を使い分けている実態があると認識しています。また、再整備に当たり、児童発達支援センターは、部屋の拡充などを行う予定となっており、改善が図られるものと考えています。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

千葉リハビリテーションセンターの病院においては、民間では受入れが困難な脊髄損傷だとか高次脳機能障害の方についても診療や支援を行っていると聞いているが、高次脳機能障害について現状はどうか。

(入江委員)

回答

県では、高次脳機能障害のある方への支援の確立を図ることを目的に、千葉リハビリテーションセンターなどにおいて、高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業を行っております。

支援普及事業では、千葉リハビリテーションセンターにおいて、言語聴覚士による機能回復訓練や職場復帰後の企業訪問等による定着支援などを行うとともに、同センターを含む県内4か所ある拠点機関において、高次脳機能障害に関する相談対応や普及啓発などを実施しているところでありまして、令和6年度は相談件数は延べ5,519件となっております。

(葛見障害者福祉推進課長)

質問

千葉リハが高次脳機能障害についても非常に中核的な役割を果たしていることを確認させていただいた。御承知のとおり、今国会において高次脳機能障害についての拡充新法と言われる法律が成立する見通しである。4月1日施行と聞いており、超党派の議員立法ということだが、この法案の成立に関しては、公明党が2018年からPTを立ち上げてずっと取り組んできてこられたということで、非常に、当事者の方が待ち望んでいた法律ができることは喜ばしいことであり、公明党さんの御尽力にも心から感謝をしたいと思っている。

そこで、まだ法律は正式に成立していないが、県としては、新法の成立を受けて、これからどういうふうに高次脳機能障害の方の支援の拡充に取り組んでいくのか。方向性をお示しいただきたい。

(入江委員)

回答

国会において高次脳機能障害者支援法について、審議されていることは承知しております。

県といたしましては、国会における審議の状況等を注視するとともに、法案が可決された場合には、国からガイドライン等が示されると思いますので、その内容を市町村や関係団体へ周知するなど、事業が今後も円滑に実施されるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

(葛見障害者福祉推進課長)

要望

千葉リハビリテーションセンターが令和12年の完成ということで、建物も中身も鋭意取り組んでいただいているところだと思うが、引き続き、県としてしっかりと事業団をバックアップしていただきたい。

(入江委員)

諸般の報告・その他

1)医療施設における生産性向上・賃上げのための補助事業

質問

今年の2月議会で補正予算に盛り込まれた事業で、生産性向上・職場環境整備等支援事業についてお伺いしたい。

医療事業者のさらなる賃上げを図るために、医療機関の生産性向上や職場環境の改善の取り組みを支援する事業となっている。こちらの事業については6月議会で取り組み状況を伺ったが、現在の支給状況などをお聞かせいただきたい。

(入江委員)

回答

本事業は、9月25日から申請受け付けを開始しました。

現在、対象施設2878のうち583施設に対し支給決定を行い、支給決定額4億5748万3000円、決定率は約2割となっております。

種別ごとに申し上げますと、病院につきましては、対象施設250のうち、決定施設48施設、額にして3億5873万1000円、支給決定率約2割です。

同様に診療所の方は2306のうち470施設で決定しておりまして、同じく決定率2割程度、訪問看護ステーション対象322のうち65施設で支給決定しておりまして、やはり2割程度となっております。

(菊地医療整備課長)

質問

この事業については、今年度限りという見方もあるが、非常に使い勝手がいいということでお問い合わせも多いと聞いている。

年度末までの申請、支給について、どのように対応していくのか。2割程度だと、もう少し、プッシュしてなければ厳しいと思うが、その辺りいかがか。

(入江委員)

回答

こちらの事業は令和7年3月31日までに、厚生局にベースアップ評価料を届け出した施設が対象で、対象施設がはっきりこちらでも把握できております。

ということで始める前も案内文を当然出していますが、申請受け付け開始の案内だけではなく、対象施設に対して個別に申請を促す案内文をお送りしまして、また受付期間にしましても年度末ぎりぎりまで事業を行えるように、配慮しながら進めていきたいと考えております。

(菊地医療整備課長)

質問

年度末までぎりぎりといろいろと対応していただくということで安心した。

もともと41億円程度の予算計上がされていたと思うが、すべての対象施設に給付された場合は、金額としてどれぐらい見込んでいるか。

(入江委員)

回答

後ほどお答えさせていただきます。

(菊地医療整備課長)

要望

今、病院も含めて診療所も、医療機関の経営が厳しい、なかなか賃上げができないという中で、新しい国の医療介護パッケージも示されている。

ただ、国の方で緊急事業として、今回の補助事業が急遽組まれたということで、なかなか対応することも厳しかったとは思うが、やはり、訪問看護ステーションであるとか、診療所といった小さなところの、賃上げや生産性向上、業務改善に繋がるようなことに使える非常に有益な補助事業だと思いますので、しっかりと年度末まで、どこまでいけるかなと思いますけれども、個別具体的に対応していただけるということで、しっかりと、進めていただきたい。

(入江委員)

回答

先ほどお答えできなかった数字がわかりました。

予算を要求した際にはすべての医療機関が届け出をするという前提で41億円の予算を組みましたけれども、実際その3月31日まで届出たところで計算しますと、約27億円の執行の予定となっております。

(菊地医療整備課長)

2)医療的ケア児者の入所施設整備・実態調査について

質問

医療的ケア児者の入所施設整備について一般質問でも答弁をいただいたが、深堀りで伺いたい。

入所待機者数の直近の把握状況はどうか。

(入江委員)

回答

県では、障害福祉サービスの利用待機者につきまして、毎年、県内市町村及び児童相談所に照会し、4月1日現在の状況を、把握しているところです。

医療型障害児入所施設の令和7年4月1日現在の待機者は、73名となっています。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

県の第8次障害者計画では、施設整備の目標の定員としては令和8年度に向けて増加を目指すとなっているが、7年度と比べ10名くらい少なくなっており、580人の定員とのことだが、施設定員数と待機者数について、どのように考えているのか。

(入江委員)

回答

まず、待機者数ですが、障害福祉サービスの利用待機者については、市町村や児童相談所を通じて把握しているところであり、医療型障害児入所施設の待機者の中には、様々な要因で緊急性の高い方が含まれるほか、在家庭でも緊急性が低く、将来に備え入所の待機をしている方などがいられると認識しています。

医療型障害児入所施設では、医療的ケア児者等が安心して生活できるよう、医療面を含めた手厚い支援などを行っておりますが、当該施設については、不足をしている地域もあると認識しています。

施設入所を希望する方の待機の要因は様々ですが、県では、待機者調査の結果等を踏まえ、障害児施設の整備方針において、当該入所施設や医療型短期入所事業所等を優先的に補助することとし、整備を促しているところです。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

入所施設の整備が非常に難しいということは良くお聞きするが、一定数の待機者がいる中で、施設整備を進めていくための課題と、今後こういった課題についてどのように対応していくのか伺う。

(入江委員)

回答

一部繰り返しになるが、医療的ケア児等を受け入れる医療型障害児入所施設については、医療面を含めた手厚い支援を行っていることから、福祉型障害児入所施設に比べると、看護師等を多く確保する必要などがあります。

県では、医療型障害児入所施設の整備促進を図るため、令和5年度国庫補助協議分から施設整備方針において、医療型障害児入所を優先的に補助することとしたほか、民間施設の運営費補助として障害児施設給付費等に県単で加算する補助などを行っているところです。

(千代田障害福祉事業課副課長)

質問

制度的にインセンティブを設けてるということは理解しているが、入所しなければ生活できない方もいる。一般質問でも述べたが、入所、通所、そして様々なサービスを実態にニーズに沿った整備していくためにも医療的ケア児者・重症心身障害児者について、詳しい実態調査を行ってもらいたいが県の考えはどうか。

(入江委員)

回答

県では、平成30年度に障害福祉施策の検討及び支援体制構築の基礎資料の作成を目的として実施した実態調査の結果について、身近な地域において支援体制の構築が図られるよう、同意を得られた方のデータを市町村に提供するとともに、医療的ケア児等支援センター「ぽらりす」において、研修や地域における協議の場などを通して、市町村が継続的に実態把握を行えるよう支援しているところです。

(千代田障害福祉事業課副課長)

要望

実態調査を市町村に任せていると聞こえる。地元の佐倉市ではかなり細かい実態調査を行っているが、こういった自治体ばかりではない。自治体だけではカバーできない広域的な支援のやり方もある。資源の格差というものもあるので、是非実態調査を、実施するようにお願いする。引き続き、注視をしていきたい。

(入江委員)

病院局

諸般の報告・その他

1)県立5病院における時間外勤務の現状と対策について

質問

県立5病院における時間外労働の状況はどうか。

(入江委員)

回答

県立病院における令和6年度の時間外勤務の状況であるが、月45時間を超える時間外勤務を行った職員は、医師・歯科医師で145名、その他の職種で130名、合わせて275名である。年間で見ると、年間360時間を超える時間外労働を行った職員は、医師・歯科医師で149名、その他の職種で111名、合わせて260名である。

(土屋経営管理課長)

質問

時間外勤務が一番長いケース上位3名について詳しく説明をお願いしたい。

(入江委員)

回答

令和6年度の全職種を通じての年間の最長時間外勤務時間の上位3名について、一番長かったのが1,403時間53分で循環器病センターの医師である。二番目が1,206時間10分でこちらも循環器病センターの医師である。三番目が1,190時間45分で、総合救急災害医療センターの医師である。

(土屋経営管理課長)

質問

昨年度から医師の働き方改革ということで上限規制が始まっているが、時間外労働の状況がどのように推移してい

回答

令和6年度から医師の働き方改革に基づく上限規制の適用が始まっているが、最長の時間で申し上げると、令和5年度の1,607時間50分に対して、令和6年度は1,403時間53分と、200時間ほど減少しているという状況である。

(土屋経営管理課長)

質問

年間360時間超えが医師以外でもあったとのことだが、労基署の指導が入っているなど問題があるのかどうか、また、医師については最大年間1,860時間が上限ということなので、その点は問題がないのか確認させてほしい。

(入江委員)

回答

医師以外の労基署からの指導等であるが、直近では勤怠管理や時間外勤務に関して法令に違反したことに対して行われる是正勧告はないが、指導という形で申し上げると、月80時間近い時間外勤務を3か月連続で行った事務職員に関して、労働時間の削減に係る指導が令和6年度に1件行われた。医師の上限規制については、1,860時間、960時間と病院によって異なるが、上限を超えた職員はいない。

(土屋経営管理課長)

質問

一定程度、医師の働き方改革も含めて時間の縮減につながっているのかなと受け止めている。医師に関しては、義務的な要請もあって色々な形でタスクシフトやシェアなどを進めてきたわけであるが、その他の看護職や薬剤師、コメディカルを含めて病院全体として働き方改革というものを現在どのように進めているのか。

(入江委員)

回答

医師以外の職員の働き方改革については、例えば看護師では看護補助者など会計年度任用職員の活用などを通じてタスクシェア・タスクシフトの推進を図り、職員の負担を軽減し、心身にわたる健康の保持・増進に努めている。働き方改革としては、職員の負担軽減を図るため時間外勤務の縮減を図ることが重要であると考えている。

(土屋経営管理課長)

訂正

先程の答弁を1点修正させていただく。労基署から指導があったのは令和6年度と申し上げたが、正しくは令和7年度となる。

(土屋経営管理課長)

質問

令和7年度に労基署の指導があったということだが、その内容について簡潔に教えてほしい。それから県立病院においては、ICTを活用することで業務改善をもっとできることがあると思うが、そのあたりの検討についてはどのように進められているのか、どのようなことをやっているのか。

(入江委員)

回答

指導については、月80時間近い時間外勤務を3か月連続で行った職員の労働時間削減に係る指導をいただいたものであり、職員の増員を図るため、新たに会計年度任用職員を配置したり、職員の事務分掌の見直しなどを行い、時間外勤務を45時間以内に縮減できたところである。

ICT等に関しては、この4月から医師以外の職員についてもタブレットを用いた顔認証システムで、入退庁の時間を管理できるようになり、勤務時間の管理の補完を行っている。様々なAIやDXの活用が進んでいるところであり、職員の負担軽減に向けた取組の一つとして現場の意見も聴きながら研究してみたいと考えている。

(土屋経営管理課長)

質問

昨年、病院局長も一緒に、鶴岡市立荘内病院に県外視察へ伺った時に、看護師のシフト表をAIが作って業務改善につなげているという事例を見聞きしてきた。医師の働き方改革にばかり焦点が当たっているが、看護師や薬剤師、コメディカルの働き方というのも今一度しっかりと、どこか改善できることがないのか、ICTを利用して負担軽減できないかということも研究していただきたいと思う。

直近では補正予算で、医療・介護パッケージということで約1兆円、200億円程度、そのようなICT活用に関する予算も計上されていると承知している。国会は、まだ終わっていないので組み換えもあるかもしれないが、そういったところもしっかりと活用できるかどうかを早急に検討していただきたい。最後に見解を伺っておく。

(入江委員)

回答

委員御指摘のとおり、国の方でそういった予算措置がされていると聞いているので、そういったものについてしっかり取り組んでいきたいと考えている。

(土屋経営管理課長)

2)ハラスメント防止策について

質問

よろしくお願いしたい。

最後に、一般質問でも病院局におけるハラスメント対策をお聞きした。その際、12月の撲滅月間に向けて新しくリーフレットを作って、一人ひとりに届けるという話があったので、どういうものなのか現物を見ていないので、お示しいただきたい。

(入江委員)

回答

後程、委員にお配りするが、A4で1枚の表裏になっており、表面は、上の方に前回行ったアンケート結果で、病院局が少し多めであると、3割くらいの方がハラスメントを受けたと感じたということをわかりやすく一番上に書いており、その下に「ハラスメントとは」ということで、個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為であること、それから「あなたにも心当たりはありませんか」ということで職員自身に問いかけをしている。その下に研修動画へのリンクを掲載し、職員がハラスメントについて学べるようになっている。そして、裏面全体を使って、相談窓口について具体的にどういった窓口があるかということや、どのように相談すればよいかというところを今回初めて入れ、活用しやすいよう工夫をしたところである。

(土屋経営管理課長)

要望

ハラスメント防止もそうだが、先ほどの時間外勤務の件も含め、互いに信頼し合いながら働きやすい環境づくりに向けてこれからもしっかりと取り組んでいただきたい。

(入江委員)