令和元年9月議会 健康福祉常任委員会 審議状況(入江質疑箇所)
目次
2019年10月7日(月)
なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。
健康福祉部
議案第1号 令和元年度千葉県一般会計補正予算(第2号)
質問:入江委員
保育士就業促進事業の実態調査は、調査対象に認可外保育園の施設長は入っているのか。保育士確保が難しいのは、いろいろな要因がある。長時間労働や低賃金なども実態調査の項目に入っているのか。
回答:米本子育て支援課長
認可外保育施設は対象としていない。調査項目の中に賃金関係は入っているが、労働時間については、確定したものではないが、現時点では入っていない。
要望:入江委員
認可外については、ぜひ入れられるよう検討していただきたい。それと併せて、長時間労働、低賃金が保育士を確保できない一番大きな要因と言われているので、千葉県内の保育現場の実態を明らかにすることで、確保に向けた施策検討材料となると思うので、調査項目に入れていただきたい。
要望:入江委員
関連して、待機児童の直近の数について教えてほしい。また、そのうち、保育士不足による待機はどれくらいか。
回答:米本子育て支援課長
直近の待機児童は、平成31年4月1日現在で、県内1,020名となっている。そのうち、保育士不足によると思われるものは、市町村に伺ったところ、約200人であった。
質問:入江委員
保育施設のハード面の整備目標と、保育職員の確保という計画があると思うが、その進捗状況について聞きたい。併せて、10月から幼児教育・保育が無償化になったということで、これから保育ニーズが増えると思うが、県の見通しについて聞きたい。
回答:米本子育て支援課長
保育施設整備の目標と保育職員の状況については、「千葉県子ども・子育て支援事業支援計画」で需給計画を立てていた。平成30年4月1日時点の保育所等認可施設見込数は、1,461施設、利用定員113,747人であった。
実績は、1,454施設、利用定員112,584人という状況である。保育士数については、見込数23,008人のところ、実績は24,706人という状況である。10月から保育・幼児教育の無償化が始まった。ニーズが増えるのでないかという声もあるが、計画は今年度が最終年度で、今、来年度からの5年間の新しい計画を作っているところである。この計画は、まず市町村がそれぞれのニーズ調査などをして計画を作る。県は、それらとの整合性を図りながら、県計画を策定することになる。市町村で保育の量の見込、その確保方策を把握・整理しているところなので、県の審議会である千葉県子ども子育て会議の意見を伺いながら、計画にしっかり盛り込んでいきたいと考えている。
要望:入江委員
保育士の確保に向けて国に求めること、県でできることを重層的に行っていただきたい。また、そのための実態調査にしていただきたい。
それから、最近、企業主導型保育所や認可外が増えて、子どものけがも増加傾向にあるという調査も公表されている。待機児童を減らすのは大事であるが、まず、何よりも保育現場の安全、そして働く保育士の処遇改善、働きやすい環境づくりに向けて、しっかりとした調査を行っていただきたい。
〈発議案〉
②「千葉県子どもを虐待から守る条例」の改正に伴う児童虐待防止対策のさらなる強化を求める附帯決議(案)
説明:宮坂委員
続いて、附帯決議案について説明します。
先程の条例改正案の説明でもお送りさせていただいたが、本事件の再発防止の徹底を第1にという観点から、執行部に対し取組みの開始やその強化が必要な事項を示し、条例第11条に基づく次期基本計画の策定及び児童虐待防止対策のさらなる充実強化を求めるのである。例えば児童相談所の体制強化に関しては、専門職員や補助員の配置・拡充などの量の側面だけでなく、最新のICT化に立つことにより、職員の業務効率化や負担軽減、ケースの適切な進行管理、関係機関を含めたリアルタイムでの情報共有、意思決定の支援、千葉県子ども虐待対応マニュアルの浸透の徹底といった、現場の課題を質の側面から抜本的解決につなげるように求めていく。
ほかに児童相談所と関係機関の連携強化、警察、学校等における体制強化、DV事案への対応、県民への啓発強化、子どもの権利保護と安全確保、予防策、基本計画とPDCAサイクルといった項目など、対策全般を網羅的に触れながらも、事件の要因に近いものに重点を置くような内容となっているので、ご検討をよろしくお願いします。
質問:入江委員
附帯決議案2(4)について、法律制定や条例制定について触れているが、具体的にどのような法整備、条例制定を指しているのか、教えていただきたい。
回答:宮坂委員
今後、本県児童相談所のシステムの抜本的な改革を行い、リアルタイムでの情報共有を実現することとなっているが、将来的には全国統一のものになることが望まれており、その共有範囲は児童相談所間だけでなく、警察、市町村、さらには学校などの関係者、そして県外のものについても情報事項を整理しながら進めて行く必要がある。
現行法においても情報提供や個人情報保護に関する規定はあるものの、リアルタイムでかつ広く県外を含めた関係機関を捉えて共有可能とする規定はないことから、法整備が必要と考えている。
例えば今回の死亡事件が発生する直前に、女児が沖縄県に帰省していると保護者がうそをついていたことを捉えれば、要保護児童の安全確認をどこかの機関が行ったという情報は、瞬時の全共有が望ましいと考える。
意見:入江委員
個人情報の取扱についての法整備や条例制定と理解した。
諸般の報告
質問:入江委員
台風の件について、2点質問する。
国の手配で電源車の配置がされたと伺った。県の仕組みとしてはEMISで被災状況を共有し、災害対策本部に電源車等、停電への対応を求めると伺った。並行して国の方が、千葉県の社会福祉施設や病院が大変な事態に陥っているという危機意識から、厚生労働省が全部の施設に確認を行い、電源車の手配についても、経済産業省と連携しながら行ったと伺っている。その点について確認したい。また、電源車の配置を含めて、今後の仕組みづくりについて検証されるとのことだが、その点について伺いたい。
回答:佐藤医療整備課長
国の方が情報を把握していて、国の中で連携していたのではないかという部分についてお答えする。
先程申し上げたように、県ではEMISを活用し、情報共有をしている。こちらについては、県、市町村、保健所だけではなく、厚生労働省もEMISの情報については見ることができる。そういった意味で申し上げると、我々が把握していた情報は厚生労働省も把握しており、また、厚生労働省からリエゾンという形で県庁に人の配置があったため、適宜、情報の共有は行っていた。経済産業省やエネルギー庁等、様々な関係機関があるため、そういったところに対して働きかけをしていたのではないか、と推察はされるが、県としては必要な情報の共有を行っていた。
今後の体制については、被災した医療機関やDMATといった方々と情報共有を行い、課題について対応していきたいと考えている。
質問:入江委員
今後に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
関連して、災害拠点病院だけではなく、全ての医療機関が自家発電設備を持っていることが一番の備えになるといった印象を持っているが、県内の医療機関における自家発電設備の設置状況はどうなっているのか。また、設置を促進する補助制度等の有無、利用状況はどうか。
回答:佐藤医療整備課長
非常用電源は医療法上必置ではなく、施設ごとの事業継続計画いわゆるBCPで非常用電源がない場合も想定される等、全ての医療機関への自家発電設備の設置が必要かどうかは議論があるところではある。そのため、現在はEMISで自家発電設備に関する情報を把握できない状況にあるが、その必要性については、国で検討が進められているところであり、県としても、災害対応を円滑に行うために、EMIS機能の拡大を要望しているところである。
いずれにしても、医療機関がBCPに基づいて、災害時に非常用電源の有無に関わらず、医療機関が患者の方に支援ができるよう働きかけていきたいと考えている。
非常電源等の補助制度については、各地域の災害拠点病院を中核と位置づけ、災害時に適切な支援をできるようにしているため、災害拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センターといった高度な医療が継続されなければならない施設への補助を行っている。
質問:入江委員
災害拠点病院である循環器病センターにおいて、燃料の確保が一日分しかなく、外来が丸2日間休診となった。このようなことから、災害拠点病院の点検を行っていただきたい。
現時点における災害拠点病院の状況把握についてはどうか。
回答:佐藤医療整備課長
26の災害拠点病院については、非常用電源や受水槽などの設備をもっていただくようお願いしている。また、燃料については、タンクが一日しか持たず、近隣のサービスセンター等から燃料が供給され続けるような場合も含んでいるが、3日分の燃料確保を求めているところである。
災害時にしっかりと対応できるよう、災害拠点病院には今後も働きかけていきたい。
質問:入江委員
続いてもう一つ伺う。千葉県内で10か所の公立・公的病院が、国から再編統合の対象とされたが、今後、県としてどのようなタイムスケジュールや形で地域医療提供体制について具体的に議論していくのか。
回答:中村健康福祉政策課長
委員ご指摘のとおり10の病院が公表されたが、これは国のワーキンググループでの検討の状況であり、国から、まだ正式な通知や考え方が決まったといった形で県に下りていない。
その前提の上で、国が公表している現在の資料では、再検証の対象とされた10か所の医療機関が策定している2025年における役割と医療機能ごとの病床数の方針に関して、見直す必要が有るか無いかについて、地域医療構想調整会議において、今年度末までに検討することを求めるとされているところである。
また、地域医療構想調整会議において、具体的な方針の見直しが必要とされた場合、他の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、ダウンサイジングや機能転換などの具体的な対応方針の内容について、来年の9月末までに結論を求めるとされているところである。
県では、今後、国から提供される分析結果等を確認の上、再検証の対象とされた医療機関に当該データ等を提供し、具体的対応方針の見直しの必要性について、検討を依頼することになると考えている。
その上で、個別の医療機関の将来の方向性については、地域の実情を十分踏まえるとともに、これまでの協議状況等にも留意し、地域医療構想調整会議において丁寧な議論を行っていく必要があると考えているところである。
質問:入江委員
国から名指しで検討に入らなければいけない状況ではあるが、なによりも地域住民の医療提供体制を保っていくという観点からしか、進めていくべきではないと考える。
代表質問と一般質問でも取り上げてさせて頂いた県立佐原病院の病床数の見直しについてだが、香取海匝医療圏の銚子市立病院と多古中央病院が指定されている中で、佐原病院の病床数の見直しを先行して行わなければ、両病院の見直しにあたり、大きな影響が生じると考えるがどうか。
回答:中村健康福祉政策課長
まず、県立佐原病院の具体的な方針については、昨年度開催された地域医療構想調整会議において、地域の医療関係者等の合意を得ているものと認識しており、また、今回の国の再検証の要請対象とはなっていないところである。
県立佐原病院を含めた地域の医療提供体制については、先程も申し上げたが、引き続き、地域医療構想調整会議において、医療関係者等と現状や将来の医療需要等に関する情報を共有し、意見交換等を行ってまいりたいと考えている。
質問:入江委員
病院局と健康福祉部の医療政策のところで、佐原病院の将来の医療ニーズや医療機能について、速やかに議論することが必要だと思うがどうか。
回答:中村健康福祉政策課長
国の資料によると、再編統合については、その病院のダウンサイジングや、機能の分化・連携・集約化、機能転換・連携等が含まれるというところがあるので、今回、指摘された2病院については、まず、それぞれの病院で、今後、国の資料等に基づき、どうしていくのかについて検討していただきたいと考えている。
県立佐原病院についても、今回の再検証の要請の対象にはなってないが、国から今後提供されるデータ等、また、本議会でもいろいろな御意見をいただいているので、その経営のあり方や将来的な機能については、病院局と協力しながら検討していきたいと考えている。
質問:入江委員
2次医療圏ごとに全ての病院の医療提供体制や医療機能を調整していくのが地域医療構想調整会議の目的であり、佐原病院の241床を200床未満にすることは、2つの病院の今後のあり方と切り離して考えることではないと思うがどうか。
回答:中村健康福祉政策課長
昨年度、公立病院の具体的な方針については、一度、この地域の調整会議で合意を得たものと県では考えている。ただ、その中で、特に国のデータに基づき、2病院が具体的な再検証の見直しをするようにとされたところであり、そういった意味では、まず、2病院を重点的に見直しの議論を進めたいと考えている。
委員御指摘のとおり、この圏域自体は、その2病院だけでなっているわけでなく、そういった意味では県立佐原病院だけではなく、その他の病院についても同様なことが言えるが、そういったところについては、地域医療構想調整会議等を含め、今後、意見交換しながら、調整していく必要があると考えているので、そうした中で、佐原病院についても、具体的な役割、位置付けというものが決まってくるものと考えているところである。
要望:入江委員
佐原病院は、医師がなかなか確保できない中で、医師や看護師を効率的に配置することで医業収益を上げて、いかに赤字を減らしていくのか、コンサルタントを入れて、提言書を出しているので、病院局にだけ任せるのではなく、しっかりと両者で議論していただきたい。
病院局
諸般の報告
質問:入江委員
県立病院における台風15号の各病院の診療体制の状況と今後の対応について何点か伺いたい。
まず、各病院で災害対策本部はいつ設置されたのか、その活動状況はどうか。また、自家発電の設置容量は現在のままで十分なのか。特に循環器病センターについては25時間となっており、外来診療を3日間停止している。
さらに、救急医療情報システム、EMISや衛星回線、無線等のいろいろな通信手段を用いて情報提供することで、関係機関間における情報の共有化を行うことになっているが、今回はどのような状況だったのか伺いたい。
回答:見山副参事兼経営企画戦略室長
まず、各病院の災害対策本部の設置に関しては、各病院の災害対策マニュアル等により、災害が発生した場合等に、各病院長の判断により設置することとしているが、今回の台風15号では、こども病院、循環器病センター、佐原病院が災害対策本部を設置した。主な活動は、停電への対応であり、停電が復旧したことを確認し本部を解散した。
次に、自家発電の設置容量については、国の通知により、災害拠点病院では、通常時の6割程度の発電容量の自家発電機等の保有と3日分程度の燃料を確保することとされている。
災害拠点病院に指定されている3病院のうち、救急医療センター、佐原病院では要件を満たしている。循環器病センターでは、6割程度という発電容量は満たしているが、燃料の備蓄量が足らないことから、既に燃料タンクの増設を行うこととしており、本年度に実施設計を行い、来年度に工事をする予定である。
最後に、救急医療情報システムについて、停電が長期化した循環器病センターも含めて、救急医療情報システム等の電源を確保し、状況の定期的な入力を行い、情報の共有化を図った。
質問:入江委員
本局として、各病院の現状把握をいつどのように行い、病院側が必要な情報の提供や職員派遣等の支援をどのように行ったのか。
回答:見山副参事兼経営企画戦略室長
経営管理課では、9月9日の午前8時頃から各病院の被害状況等について電話などで情報収集を開始した。その結果、停電したこども病院と循環器病センターに対しては、災害時に対応可能な給油所のリストを防災危機管理部から入手して提供し、自家発電用の燃料を確保することができた。
また、病院の状況を確認するため、新棟建設中のがんセンターと停電の発生したこども病院、循環器病センターに職員を派遣した。地域的に電話が不通となった循環器病センターについては、病院に代わり経営管理課で自家発電用の燃料調達や衛星電話の手配などを実施した。
質問:入江委員
自家発電以外に課題ととらえているものは何か。また、災害拠点病院以外も全病院について、BCPを策定すべきと思うがどうか。
さらに、風水害の対応については、災害拠点病院もBCPを策定していないが、今後どのように対応するのか。
回答:見山副参事兼経営企画戦略室長
災害拠点以外の3病院では、BCPの策定を義務付けられていないが、今年度中に策定する予定である。
また、停電時に自家発電機はきちんと動いたが、一部空調が動かせなかったことがあるので、BCPでは風水害の想定も含めて、今回の災害を踏まえ見直したいと考えている。
要望:入江委員
しっかりと次の災害に備えて進めてほしい。
質問:入江委員
佐原病院について、事前の聞き取りで耐震改修後は新基準の203床で運営すると説明があり、佐原病院が昨年度から要望する200床未満にするための環境が整うと思われる。現場からの要望内容を受け入れ、あるべき病棟体制を速やかに検討すべきと思うがどうか。
また、代表、一般質問の答弁で、「佐原病院の病床数については、来年度に策定する次期経営改革プランの検討すべき項目の一つと考えている。」とあったが、国の公立病院再編統合の指定があり、状況が変化したことから、佐原病院の病床の見直しについて、次期経営改革プランの策定を待たず直ちに検討を始める必要があると考えている。いたずらに病院や病床数を削減するのではなく、病床の適正化のために見直しの議論が必要と考えているが、対応について見解を伺いたい。
回答:見山副参事兼経営企画戦略室長
許可病床については、地域の医療需要や医療提供体制を踏まえ、佐原病院の担うべき役割を果たすために必要な病床数を確保するといった観点からの検討も重要と考えている。
佐原病院の許可病床数の見直しについて、本会議で「令和3年度を初年度とする次期改革プランの策定に当たっては課題の1つとして留意する」旨を病院局長から答弁したところである。次期改革プランの策定作業は、今年度から着手することを予定している。
また、病床数の検討に当たり、健康福祉部と協議しながら地域医療構想調整会議等で意見を伺っていきたいと考えている。病床数を見直す場合は、地域の医療関係者、住民等の理解を丁寧に得ていく必要があると考えている。
質問:入江委員
まずは病院局と健康福祉部医療整備課等で話をしなければ、地域住民や関係市町への説明はできないのではないか。健康福祉部といつ、どのようなタイミングで検討に入るのか伺いたい。
回答:見山副参事兼経営企画戦略室長
次期改革プランの策定にあたり、健康福祉部と県の医療政策の整合を図る必要がある。今年度から検討に着手する予定であり、まずは病院局内、庁内で検討を始め、その後地域のご意見を伺う手順と考えている。
要望:入江委員
地域に必要な病院をどうやったら残していけるのか、そういった視点で検討を続けいただきたい。佐原病院から昨年度5月から3度も要望書が出されて、棚上げされていた。このことについては問題と感じている。