令和2年2月議会 会派代表質問(入江担当箇所原稿及び質疑要旨)

2020年2月20日(木)
会派「千葉民主の会」代表質問(入江担当箇所)
「子どもの貧困対策について」
「児童虐待防止について」

なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。

質問内容

子どもの貧困対策について

昨年6月子どもの貧困対策推進法改正を踏まえ、11月には今後5年間の国の対策指針となる新たな大綱が閣議決定されました。大綱の基本方針では、必要な人に支援を確実に届けることが強調され、親の妊娠・出産期から子どもの自立までの切れ目のない支援、将来に向けた学習支援に加え、現在の生活や家計への支援にも力点を置く方針が明記されました。

一方、子どもの貧困率は2015年で13.9%。2012年より2.4ポイント改善したものの、7人に一人と依然として高く、貧困率削減に向けて具体的な数値目標を掲げて進める必要があります。

千葉県においては、昨秋に実施した「子どもの生活実態調査」の結果を踏まえ、
今年2月に社会福祉審議会専門分科会に計画素案が示され、計画決定は次年度の見通しです。国の大綱をベースとしながらも、今回の実態調査で明らかになった政策課題を解決するため、より踏み込んだ対策を講じなければなりません。そこで、お伺いします。

(1)子どもの生活実態調査の結果はどうか。
(2)次期計画素案で示された重点施策や目標指標の特徴はどのようなものか。また、有識者等からどのような意見が出されているのか。

子どもの貧困対策を進めていくためには、官民連携の支援体制が不可欠です。

埼玉県では、「子ども応援ネットワーク埼玉」を立ち上げ、居場所づくりのマッチングや運営のノウハウを伝えるアドバイザーの無償派遣も開始しています。県内63市町村すべての小学校区において子ども食堂や学習支援等の子どもの居場所を設置するという目標を掲げ、計800か所の居場所づくりを支援するとしています。また、沖縄県では子どもの未来県民会議を設置し、官民が手を携えて広報啓発や民間資金を活用した活動支援を進めています。そこで、お伺いします。

(3)官民連携による支援のしくみづくりを進めていく必要があるが、どのように考えているのか。

また、支援を必要とする子どもや家庭にアプローチするうえでも、学校を地域に開かれたプラットホームとし、地域の大人、民間団体等につなげていく体制整備、ネットワークづくりも欠かせません。その要となるのが、スクールソーシャルワーカーといわれています。しかし、千葉県における配置状況は小・中学校及び高校を含め、全体で延べ44名と圧倒的に不足しています。また、おおむね週2日勤務という制約があるため、現場からは思うように活動できないといった声も届いています。スクールソーシャルワーカーの増員や処遇改善は喫緊の課題です。そこで、お伺いします。

(4)教育と福祉の連携の要であるスクールソーシャルワーカーが活動しやすい環境整備をどのように行っていくのか。

再質問1

今回の生活実態調査で対象としなかった高校生世代についても、今後は実施対象に含め、適切な支援策につなげる必要があると考えるがどうか。

再質問2

また、計画改定にあたり、県が独自に重点施策として打ち出した「支援につなぐ体制整備」においても、スクールソーシャルワーカーの役割は重要です。しかし、先の実態調査の結果では、困窮層の約3割に相談ニーズがあるにもかかわらず、スクールソーシャルワーカーにつながっていない実態が明らかになりました。ニーズに気づき、支援つなぐというスクールソーシャルワーカーの活動件数を増やすには計画の指標に位置づけ、目標を定める必要があります。

そのためには、スクールソーシャルワーカーを少なくても各市町村に1名以上配置すべきです。そこで、お伺いします。

今後どのような目標や方向性で増員を図っていくのか。

要望

スクールソーシャルワーカーについては、すべての市町村への配置を含め、計画的な増員を要望します。

児童虐待防止について

昨年11月児童虐待死亡事例検証報告書(第5次答申)が出され、現在、千葉県子どもを虐待から守る基本計画の見直しが行われています。計画素案では、児童虐待の防止に向けた取組みとして、子どもの権利の保障、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援、地域で支援する仕組みづくり、市町村や関係機関との連携強化等が掲げられています。

一方、今年1月24日に公表された野田市による昨年1月の女児虐待死亡事例検証報告書では、今回の柏相談所におけるソーシャルワークについて37項目の問題点を指摘し、県に対して5項目の要望が述べられています。

児童相談所に一時保護された子どもの7割近くが保護解除後に家庭に戻されるという実態があり、県は市町村はじめ地域における支援体制の強化に向けて、より一層力を入れていかなければなりません。

特に、平成28年児童福祉法改正により市町村における設置が努力義務化された「子ども総合家庭支援拠点」については、子ども家庭支援員、心理担当支援員、虐待対応支援員といった専門職による相談支援体制が取られ、虐待対応にも力を発揮しています。しかし、県内の設置状況は13市に留まり、人員体制も十分とは言えません。

また、主に児童養護施設に併設されている「児童家庭支援センター」は県内に11か所あり、地域の子育て相談や保健所から保護児童の指導委託を受けています。児童相談所の体制強化は勿論ですが、地域にある児童家庭支援センターも併せて拡充していくことが必要と考えます。そこで、お伺いします。

(1)すべての市町村における子ども総合家庭支援拠点の設置を進めていくため、県はどのように支援していくのか。
(2)児童家庭支援センターにおける相談件数や指導委託の状況はどうか。また、県は今後どのような方向性で整備していくのか。

再質問

一時保護された子ども自身に対し、子どもの持つ権利を教育し、一時保護解除時には子ども自身がSOSを出せるよう繰り返し伝え続ける等、子どもをエンパワメントし、支援する必要があります。そこで、質問します。

一時保護ガイドラインに位置付けられているが、具体的にどのような形で行っているのか。

要望

今回の野田の事例では子どもが声をあげていながら命を落とすという最悪の結果になりました。野田市の検証委員からも「学校や児童相談所が相談を受け止めきれなかった本事例を踏まえると、子どもの権利擁護機関(子どもオンブズマン制度)の設置を行うべきと提言されています。全国ではすでに33自治体に設置されていますが、本県においても設置に向けて、早急に検討し実現するよう要望します。

答弁要旨