令和4年2月議会 一般質問

2022年2月28日(月)
立憲民主・千葉民主の会 入江 晶子

なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。

質問原稿

1 循環器病対策におけるロジックモデルの活用について

コロナ感染拡大第6波の収束も未だに見通せない中、救急搬送困難事例の急増、コロナ以外の通常救急医療への圧迫など、厳しい状況が続いています。特に脳卒中や心筋梗塞などの循環器病は救急搬送等の初期対応で生死が分かれ、1分1秒を争う疾病です。また、死亡原因の上位を占めるとともに、要介護状態になる主な原因でもあり、その後の自身や周囲の家族等への生活に大きな影響を与えます。

2018年12月脳卒中・循環器病対策法が議員立法で成立、基本理念では、予防と発症時の適切な対応、適切な救急搬送、迅速かつ適切な医療体制、良質なリハビリテーションの継続等が掲げられています。この理念に基づき、現在千葉県においても循環器病対策推進基本計画の策定作業が進められています。

法制定直後、国会において「超党派脳卒中・循環器病対策フォローアップ議員連盟」が設立され、幹事長代行として立憲民主党小西ひろゆき参議院議員も、熱心に取組んでおります。特に都道府県における計画策定の肝となるのが、ロジックモデルです。計画の実行性を確保するための画期的な手法として、医療分野では初めて導入されます。このロジックモデルを法体系に位置づけるため、小西議員は日本脳卒中協会をはじめとする関係団体との橋渡し、議連内での合意形成、国による計画策定指針の発出など厚労省との折衝を重ねてきました。そこで、2点、お伺いします。

(1) 千葉県の循環器病対策に関する現状と課題はどうか。
(2) 計画策定にあたり、ロジックモデルの活用の意義をどのように認識しているか。

2 教育と福祉の連携について

◆校内居場所カフェについて

議長のお許しを得て、机上に資料を配布させていただきました。ご覧ください。

令和4年2月議会 一般質問配付資料

6年前に県立高校定時制における夜間給食試行的廃止が行われ、それを機に定時制に通う生徒の抱える問題に直面しました。中学校での不登校経験者や外国につながる生徒が多いこと、ひとり親家庭や困窮家庭が多いこと等々、厳しい環境に置かれているケースが少なくありません。現場の教員もそのような実情を認識しながらも、一人ひとりの生徒と十分に関わることが難しい状況にあります。

このような中、支援を必要とする生徒の力になりたいとの思いから、一昨年、定時制高校の教員有志が若者支援のNPOを立ち上げ、私も活動に参加しています。この間、県立高校でのお米や食品の配布会、地域の子ども食堂や大学生ボランティアとの共同で校内居場所カフェも試行的に実施してきました。コロナ禍で厳しさを増す家庭の経済状況、家計を支えるアルバイトの減少、家庭に居場所がないなど、生徒たちの生の声を聞き、改めて教育と福祉の連携の必要性、そのツールとしての校内居場所カフェがこの千葉でも必要だと感じています。

家庭でも学校でもない第三の居場所、サードプレイスとして、すでに大阪府や神奈川県では、自治体の独自事業として行われています。かねてから私は、千葉県でもNPO任せではなく県が主体的に取り組むよう求めてきました。

一昨年には千葉県の健康福祉部と教育庁の担当課が合同で、先進地神奈川県立田奈高校の居場所カフェ「ぴっかりカフェ」を視察し、調査研究が進められてきたところです。その結果、この度の新年度予算に校内居場所カフェが新規事業として盛り込まれたことは大変嬉しいことであります。そこで、お伺いします。

(1)いわゆる「校内居場所カフェ」に県が新たに取組む狙いや効果はどのようなものか。また、今後、学校現場や関係団体と具体的にどのように進めていくのか。

◆スクールソーシャルワーカーついて

支援を必要とする子どもや家庭にアプローチするうえでも、学校を地域に開かれたプラットホームとし、地域のさまざまな主体、活動団体等につなげるネットワークづくりが必要です。その要となるのが、スクールソーシャルワーカーであり、国では中学校区に全校配置という方針も示しています。

ところが、千葉県の配置数は小・中・高を合わせて全体で54名、中学校区は312校区あり、圧倒的に不足しています。近隣では東京284名、埼玉90名、神奈川70名となっています。そこで、お伺いします。

(2)教育と福祉の連携の要となるスクールソーシャルワーカーの増員に向けて、計画的に取組む必要があるがどうか。

3 児童養護 子どもの権利擁護の取組みについて

増え続ける児童虐待相談対応に伴い、一時保護児童数も増加傾向にあり、一時保護所の定員オーバーは慢性化しています。昨年、県は緊急対策として一時保護所を増設、115人だった定員を171人まで増やしましたが、直近の入所状況を見ると、市川や柏では3割から5割も超過し、また保護期間も2カ月を超えるケースが3割以上となっています。一時保護所に入所する子どもの8割が何らかの虐待を受け、家族や住み慣れた自宅から離れ、不安を抱えながら生活しています。子どもたちが傷ついた心身を休め、生きる力を蓄えるためにも、子どもの権利擁護が図られ、安全で安心な環境の下、適切なケアが行われるよう最大限取り組まなければなりません。

2019年6月の児童福祉法改正により、国では一時保護の環境改善や体制強化、子どもの権利擁護の取組みを進めています。千葉県においても児童相談所への嘱託弁護士の配置、一時保護所の第三者評価導入などに着手したところです。しかし、その評価結果から見えてくる実態や課題は予想以上に厳しいものです。そこで、お伺いします。

(1) 一時保護所における子どもの権利擁護にかかわる課題について、どのように取組んでいるのか。

一方、一時保護所を退所後、児童養護施設や里親で暮らす子どもの数も年々増えています。その中には、施設職員や里親等から新たな虐待を受けるケースが後を絶ちません。被措置児童虐待といわれており、千葉県所管の施設での状況は、配布資料にある表のとおりです。そこで、お伺いします。

令和4年2月議会 一般質問配付資料

(2)児童養護施設等で生活する子どもの権利擁護にどう取り組んでいるのか。

また、さらなる取組が必要だがどうか。

◆自立援助ホームについて

自立援助ホームは中学卒業後に親と暮らせなくなったり、児童養護施設を巣立った子どもたちが一つ屋根の下で生活をしながら仕事や学校に通い、社会に出るための準備やその力を蓄える生活の場です。県内では、現在17カ所に設置され、85人が暮らしています。全国自立援助ホーム協議会の実態調査では、NPO法人等による運営が7割で人員配置や財政基盤が不安定であり、入居者の3割強が医療的なケアや障害等があり専門的かつ複合的な支援を必要とする一方、4割弱は高校に通っているとのこと。本来、就労自立のための事業ですが、実際は就学支援と就労支援を兼ねた機能が求められています。

一方、厚労省は今国会に児童福祉法改正案を提出し、児童養護施設や里親家庭で生活できる年齢、原則18歳最長22歳までという年齢制限を撤廃し、施設などを離れた後も自立に向けて切れ目のない支援を行うとしています。そこで、2点お伺いします。

(1) 自立援助ホームが抱える課題をどのように認識し、県としてどのように取組んでいくのか。
(2) 施設などでの社会的養護を離れた若者に対し、今後どのような自立支援に取組んでいくのか。

4 保健所行政

長引くコロナ禍による外出自粛や営業時間の短縮要請等により、飲食店はこれまでの営業スタイルの変更、売上の低下、休業や閉店を余儀なくされるケースも見られます。一方、外食のあり方も変わり、宅配や持ち帰りの需要が高まり、それらの市場規模は昨年10兆円を超えたという調査結果もあります。

このような中、次世代の飲食店のビジネススタイルとして、「シェアキッチン」が注目され、広がりを見せています。「シェアキッチン」とは、複数の料理人や飲食店が厨房を共同使用することを指し、保健所の営業許可が必要です。
最大のメリットは、開店の初期費用が少なくて済むことであり、若い世代の起業やコロナ禍で閉店した飲食店の再チャレンジの場として、また地域活性化の取組みのツールとしても広がっています。しかし、新たな業態のため、許認可にかかわる保健所の対応に差があると聞いています。そこで、2点お伺いします。

(1) 県内の保健所で把握しているシェアキッチンの動向はどうか。
(2) シェアキッチンについて、保健所での対応を今後どのようにしていくのか。

5 インターチェンジ周辺における産業誘致について

地元酒々井町では令和4年度から新たに第6次総合計画を策定し、基本構想に掲げた将来都市像「人、自然、歴史、文化が調和した活力あふれるまち酒々井」の実現に向けて取組むとしています。中でも雇用の創出は、自主財源の確保や定住促進につながる大変重要な施策です。
酒々井町は成田空港や都心で働く人たちの住宅都市として発展してきました。

予算規模約70億円のおよそ半分弱が自主財源であり、その多くを個人住民税が占めています。高齢化に伴い年金受給者が増えており、自主財源の確保に向けて、さらなる企業誘致を待ったなしで進めていかなければならないという危機感があります。

すでに、南部地域にはアウトレットのある新産業団地や墨工業団地がありますが、さらなる活用が課題です。これに加え、新たな総合計画では、東関東自動車道酒々井インターチェンジ等の周辺地域について、広域交通結節点としてのポテンシャルを活かした計画的な土地利用を進め、新たな企業誘致に積極的に取り組むとしています。

しかしながら、実際、新たな産業用地を整備するとなると、町単体で進めるには、ノウハウや財政力においても限界があります。酒々井町からは県の強力な後押しを求める声を聞いております。そこで、確認の意味も込めてお伺いします。

(1)高速道路インターチェンジ等を生かした産業の受け皿づくりについて、市町村をどのように支援していくのか。

6 博物館行政

◆県立博物館のあり方について

2020年9月県教育委員会は「千葉県立博物館の今後の在り方」を策定し、中央博物館については資料や専門職員の集約化と調査研究、教育、市町村支援などの機能強化を図り、地域史と特定テーマを扱う4つの博物館については、地元での利活用を基本に地元自治体への移譲を含めた協議を進めるとの方針が示されました。昭和40年代から県立博物館ネットワーク構想に基づき県内各地に設置された博物館は10館1分館をピークに、その後行革の流れで再編・移譲されてきました。

一方、国では2017年の文化芸術基本法、翌年文科省設置法の改正により、博物館の事務が新たに文化庁に移管され、昨年「これからの時代にふさわしい博物館制度のあり方について」の答申が出されました。このような動きと連動し、千葉県立博物館の将来像が模索されているところです。そこで、お伺いします。

(1) 令和2年9月の「千葉県立博物館の今後の在り方」を踏まえ、どのように取組んでいるのか。

今後の在り方においては、中央博物館を「知の創造」拠点として機能強化を図るとする一方、香取市にある大利根分館は地元での利活用の意向がないことから施設の廃止もやむなし、早期に廃止時期を決めるとされています。しかしながら、県立中央博物館や県の自然誌研究に長らく携わってきた研究者の方々からは、大利根分館が果たしてきた役割やその収蔵資料の価値が評価されていないのではないかと懸念するご意見があります。農業博物館としても価値の高い資料があるということをお聞きし、12月に分館を訪問し、貴重な稲の種子標本やその種子を保存継承するために毎年田植えしている圃場も見学してきました。そこでお伺いします。

(2)中央博物館大利根分館の果たしてきた役割機能をどのように評価しているのか。また、今後の方向性をどのように考えているのか。

◆県立美術館について

長引くコロナ禍により、社会全体の停滞感が漂う中、芸術や文化は人々の心を癒し、明日への活力や希望を与えてくれます。私自身もまたこの2年間は、例年よりも多く地元の佐倉市立美術館、千葉市美術館や千葉県立美術館に足を運び、その都度開かれている特別展や企画展を鑑賞しています。
県立美術館の今後の在り方については、昨年3月に生涯学習審議会から第三次答申が出され、また、昨年12月設置された美術館分野の有識者による「アドバイザリー会議」でも、ご議論いただいていると聞いています。そこでお伺いします。

(1) 県立美術館の活性化に向けた課題と取組状況はどうか。

2回目の再質問と要望

【要望1】循環器病対策におけるロジックモデルについて

昨年5月の医療法改正では、付帯決議第19項目として「2024年からの第8次医療計画より感染症対策を含めた5疾病6事業のすべての都道府県医療計画策定にあたりロジックモデルを活用すること」が盛り込まれました。この附帯決議についても、小西ひろゆき議員が起案しましたが、今回の循環器病対策基本計画における取組みがその第一歩となります。

千葉県では昨年11月から関係医療機関等への実態調査を行い、その取りまとめを行うと聞いています。今後の策定にあたり、沖縄県など先行自治体の優良事例を参考に進めていただきたいと思います。健康寿命延伸をはかり、誰もが元気で暮らせる社会をめざすためにも、循環器病対策は大変重要です。実効性の高い計画となるよう引き続きよろしくお願いいたします。

【要望2】校内居場所カフェについて

熊谷知事が新年度に新たな事業として位置づけたことを高く評価します。今後、学校現場と運営団体等の意思疎通を丁寧に図り、進めていただくよう要望いたします。

(再質問1)スクールソーシャルワーカーについて

今後の計画的な増員について、明確なご答弁はありませんでしたが、やはり計画的な増員が必要です。

今年6月の予算委員会での質疑においても、スクールソーシャルワーカーの相談件数が増えており、一人当たり1500件を超えるケースもあることが分かりました。

その一方、課題を抱えた子どもへの関りを持とうとしても学校現場での理解が得られず、意欲をそがれ、職場を去る事例も少なくないと聞いています。大変残念なことです。福祉と教育の連携とはいっても、福祉サイドが感じる教育の壁はまだまだ高いという現実があります。そこで、お伺いします。

スクールソーシャルワーカーの抱える課題を把握し、改善に向けてどのように取組んでいくのか。

【要望3】 児童養護施設等で生活する子どもの権利擁護について

ご答弁では、弁護士などの第三者による生活評価を行っているとのことでした。しかし、問題のあった施設の中には、閉鎖的で第三者の意見や助言を十分に受け入れないところがあると聞いています。虐待を受けて保護された子どもがまた施設等で新たな虐待を受ける、そのようなことは、決してあってはなりません。問題を軽視、隠蔽させないよう県の厳しい指導を強く求めます。

(再質問2)児童相談所一時保護所における子どもの権利擁護ついて

ご答弁にあった一時保護所職員の研修はもちろん必要ですが、さらに進める必要があるのは、現場で働く児童指導員や保育士の職場環境や処遇改善だと思います。かねてから私は健康福祉常任委員会等でも、一時保護所の職員配置、夜間勤務体制、メンタルヘルスへの対応等々について、改善を求めてきました。

ハードな職場環境でメンタルを病み、長期療養の末、退職した児童指導員らの声も直接聞いてまいりました。長く働き続けることができず、退職するケースも増えています。職員配置についても法的基準がないなど、さまざまな現場の課題があります。そこで、お伺いします。

一時保護所における職場環境の改善に向けて、今後さらにどのように取組んでいくのか。

【要望4】自立援助ホームについて

ご答弁では、人材確保や処遇改善に努めているとのことでしたが、財政的な問題だけではありません。県は定期的にホームを訪問し、入所者の生活ぶりや運営状況をしっかりチェックする必要があります。

昨年、あるホームに措置委託されている19才青年の退所後の進路について、児童相談所の不適切な対応が見られました。二十歳までの入所期限が迫る中、次の生活の場が決まらず、立ち往生するケースがありました。自立援助ホーム任せでは困ります。今後、県はその責任をしっかりと自覚し、円滑な連携を進めていただくよう強く求めます。

【要望5】シェアキッチンについて

県内でも地元の食材、農家や料理人などの地域資源を活用し、食を通して住民や地元事業者の交流を促し、豊かな地域づくりに結びつけようとする動きがあります。今回、地元の関係者からご相談があり、県内保健所の対応状況を調査していただきました。県が食品衛生法に則して指導助言することはもとより、食を通じた地域活性化の取組みを後押ししていただくようお願いいたします。

【要望6】インターチェンジ周辺における産業誘致について

コロナ禍でインターネット消費が急拡大する中、大消費地・東京に近い千葉と埼玉に物流施設が次々と集まっています。酒々井町でも、アウトレットの進出を機に、酒々井インターチェンジ周辺のアクセス道路や国・県の幹線道路沿いに、物流施設の誘致を進める意向です。

県においては、羽田と成田の両方に近い酒々井インターチェンジの特性をアピールし、町とともに物流施設の誘致に尽力いただくよう要望します。

産業用地の整備は、長い年月が必要です。整備が完了する数年後も、まだ物流施設の立地が旺盛かもしれませんが、一方で、社会経済環境が劇的に変化している中、例えばSDGsの実現に寄与するなど、未来につながる産業やそれに係る研究施設の立地についても、可能性としてあるのではないでしょうか。

県においては、産業用地の整備を通じた長期的な視点での企業誘致についても、酒々井町と連携して行っていただくよう強く要望いたします。

【要望7】美術館について

千葉県立美術館のあり方検討について、国内の美術館をリードする錚々たる方々にご議論いただいていることに心が躍ります。ぜひ中長期的な視点で学芸員の確保や資質の向上、また他の美術館との人事交流や他機関との連携についても、積極的に進めていただきたいと思います。

先月には千葉市美術館の山梨恵美子館長や宮本事務局長、上席学芸員の方々と面談する機会をいただきました。学芸員のマルチな活躍や国内外のネットワーク、展覧会開催舞台裏のご苦労など、貴重なお話をお聞きすることができました。改めて美術館の顔としての館長の存在、学芸員の経験や人脈の積み重ねが美術館全体の士気を高め、それらが融合して企画展示をはじめとするコンテンツ・質の高さにつながり、千葉市美術館の魅力をより一層高めているのだと確信しました。そういったことからも、千葉県立美術館が千葉市美術館と切磋琢磨し、千葉のシンボル、誇りとなるような美術館となるよう大いに期待しております。以上で2回目といたします。

(再質問3)大利根分館について

大利根分館は利根川下流域の歴史民俗資料や貴重な約130品種のイネの標本や生の種子等を収集保管しています。そこで、お伺いします。

歴史民俗資料、イネの標本や生の種子など、分館の貴重な資料について、どのような形で保存活用・継承していくのか。

3回目の要望

【要望1】

最後に要望を申しあげます。

スクールソーシャルワーカーについては、ご答弁いただいた実態把握を踏まえ、今後の人材確保と専門性の向上への取組みを進め、他県や他分野に人材が流出しないようにご対応をお願いいたします。

【要望2】

また、子どもの権利擁護については、ご答弁にあったように、今後都道府県がその環境整備を行う方向性が示されています。千葉県においても、現場職員の意識改革や環境整備につなげる具体的なしくみづくりを進めていただくよう強く要望いたします。

昨年12月、千葉市、船橋市、柏市の議員と共に、一昨年新設された江戸川区の児童相談所に視察研修に行きました。施設面での先進性はもとより、子どもの権利擁護の視点を原則にした運営方針、職員のモチベーションの高さや心構え、役割分担等のチームワークについて、貴重な学びの機会となりました。(詳しくは、配布資料に記載しました)

令和4年2月議会 一般質問配付資料

千葉県では、船橋や柏市の新たな児相開設、また県においても松戸市と印西市での増設、柏や銚子の建替えも進められつつあります。ハード面での整備に注目が集まりがちですが、ソフト面として子どもの権利擁護の取組みも大変重要です。重ねて申しあげます。

【要望3】

大利根分館の貴重な資料が中央博に集約されるとのことですが、収蔵スペースは現状でも9割以上埋まっていると聞いており、新たな収蔵庫の整備が必要になると思います。また、イネの種子の継承については、農林総合研究センターや他機関との連携など幅広い選択肢もあろうかと思います。

中央博物館は1989年に自然誌博物館として設置されました。その活動の重点を房総の自然誌におき、山のフィールド・ミュージアムなど身近な環境から地球環境までの自然環境の保全、人間と自然の共存・共生につながる諸研究が続けられ、今に至っています。その知の集積を次世代に継承し、今後の県立博物館のさらなる発展につなげていくようにお願いいたします。

配付資料(PDF)

答弁要旨

1.循環器病対策におけるロジックモデルの活用について

(1)千葉県の循環器病対策に関する現状と課題はどうか。

  1. 本県の令和2年の死因別死亡数によると、循環器病の占める割合は約23パーセントであり、うち心疾患は悪性新生物に次いで2番目に多い約16パーセント、脳血管疾患は約7パーセントとなっております。
  2. 県としては、これまで、生活習慣と循環器病の関係についての周知や、特定健診・特定保健指導による発症予防の推進、救急医療体制の整備、退院後の生活指導等の再発予防に取り組んでまいりましたが、今後の高齢化の進展に伴い患者数の増加も予測されていることから、取組の強化が課題と考えております。

(保健医療担当部長 井口 豪)

(2)計画策定にあたり、ロジックモデルの活用の意義をどのように認識しているか。

  1. 国の計画策定指針においては、各々の施策と解決すべき課題との連関を示すことが重要であるとされております。ロジックモデルは、施策が目標達成に至るまでを体系的に図式化したもので、その活用が計画策定の具体的な方法の一つとして示されております。
  2. 県計画におきましては、例えば発症予防については、脳卒中等の発症の減少を長期的な成果指標としておりますが、発症の原因の一つである高血圧の改善状況や、それを発見するための手段として特定健診・特定保健指導の実施率の増加を中間成果指標とし、施策の実施効果を確認することとしております。
  3. その中で、仮に、健診の実施率が増加しているにもかかわらず、高血圧が改善していない状況であれば、その健診が効果を上げていないことがわかるなど、より効率的・効果的な取組につなげることができると認識しております。

(保健医療担当部長 井口 豪)

(要望)

計画策定に当たっては、沖縄県など、ロジックモデルを活用している先行自治体の優良事例を参考に進めていただきたい。
健康寿命の延伸を図り、誰もが元気で暮らせる社会を目指すためにも循環器病対策は大変重要であり、実効性の高い計画としてほしい。

2.教育と福祉の連携について

(1)いわゆる「校内居場所カフェ」に県が新たに取り組む狙いや効果はどのようなものか。また、今後、学校現場や関係団体と具体的にどのように進めていくのか。

  1. 貧困や家庭環境など様々な原因により、困難な状況にある子どもたちは、自らの苦しさを発信しない、発信できないことが多く、周囲の大人が気づきにくいという背景があります。
  2. このため、県では、支援が必要な子どもに早期に気づき、福祉的な支援につなげるため、高等学校内に、生徒が気軽に相談できる居場所をつくる事業を、来年度予算に盛り込んだところです。
  3. この事業では、中核地域生活支援センターや福祉団体、NPOなどが参加することにより、生徒が悩みや不安を話しやすい場をつくり、必要な支援につなげられるよう、取り組んでまいります。

(知事 熊谷 俊人)

要望

「居場所カフェ」については、熊谷知事が新年度に新たな事業として位置づけたことを高く評価いたします。
今後、学校現場と運営団体との意思疎通を丁寧に図り、進めていただくよう要望いたします。

(2)教育と福祉の連携の要となるスクールソーシャルワーカーの増員に向けて、計画的に取り組む必要があるがどうか。

  1. スクールソーシャルワーカーへの相談件数は年々増加し、そのニーズが 全県的に高まっていることから、昨年9月から各教育事務所に2名ずつ、計10名を追加配置し、より柔軟かつ機動的に対応できるよう体制整備を図りました。
  2. その後、市町村教育委員会からは、これまで対応できなかった事案への支援が可能となったなどの、また、学校からは、経済的に課題のある家庭を福祉部門の関係機関につなげることができたなどの報告を受けています。
  3. 今後も、市町村が配置しているスクールソーシャルワーカーとの情報共有等を通じて連携を強化するとともに、相談件数の推移や相談内容を把握しつつ、更なる支援体制の充実に努めてまいります。

(教育長 冨塚 昌子)

再質問

スクールソーシャルワーカーの抱える課題を把握し、改善に向けてどのように取り組んでいくのか。

県教育委員会では、現在、全県に配置しているスクールソーシャルワーカー一人一人から職務の状況や対応している相談内容、また、課題等についてヒアリングを行っているところです。今後、この結果を踏まえ、学校との緊密な連携の下で、スクールソーシャルワーカーが効果的に支援を行うことができるよう努めてまいります。

(教育長 冨塚 昌子)

要望

今後の人材確保と専門性の向上への取組を進め、他県や他の分野にスクールソーシャルワーカーが流出しないよう対応をお願いする。

3.児童養護について

(1)一時保護所における子どもの権利擁護にかかわる課題について、どのように取り組んでいるのか。

  1. 児童相談所が、子どもの権利を擁護し、適切な支援を行っていくためには、一時保護所においても、子どもの意見や希望を尊重して対応していくことが必要です。
  2. 昨年度実施した東上総児童相談所の第三者評価では、子どもの一時保護の理由や目的、今後の見通しなどについて一時保護所職員が尋ねられた場合には、その対応を児童福祉司に委ねることなく、生活支援に直接携わっている一時保護所職員自らが、子どもの気持ちに寄り添いながら積極的に応えることが必要であるとの指摘を受けたところです。
  3. これらを踏まえて、県では、一時保護所が、子どもにとって、より安心して生活できる場となるよう、今年度から「子どもの権利擁護」について理解を深めるための研修を実施しているところであり、引き続き職員の資質向上に努めてまいります。

(健康福祉部長 加瀬 博夫)

再質問

一時保護所における職場環境の改善に向けて、今後さらにどのように取り組んでいくのか。

県では、一時保護所を含めた児童相談所の職員について、ストレスチェック制度などによりメンタルヘルスの不調の未然防止に努めるとともに、児童相談所ごとに設置された衛生委員会などにおいて、研修や時間外勤務の縮減などの職場環境の改善に取り組んでいるところです。

さらに、今後、新設や建替えを行う児童相談所については、児童の一時保護環境の充実と併せて、執務室や研修室、会議室の拡充など、職員の執務環境の改善を図ってまいります。

(健康福祉部長 加瀬 博夫)

要望

一昨年度に新設された江戸川区の児童相談所を視察研修したところだが、施設面の先進性はもとより、子どもの権利擁護の視点を原則にした運営方針、職員のモチベーションの高さや心構え、役割分担のチームワークについて是非参考にしていただきたい。

千葉県では船橋市や柏市での新たな児相開設、県においても松戸市と印西市での増設、柏や銚子の児相の建替えも進められつつある。ハード面での整備に注目が集まりがちだが、ソフト面としての子どもの権利擁護の取組も大変重要なのでお願いしたい。

(2)児童養護施設等で生活する子どもの権利擁護にどう取り組んでいるのか。また、さらなる取組が必要だがどうか。

  1. 児童養護施設等で生活する子どもから、生活面などに関する意見や希望を聴く機会を設け、改善につなげていくことは、子どもの最善の利益を実現するうえで重要な取組であると考えています。
  2. そのため、児童相談所の職員が定期的に子どもと面会し、日々の生活状況や子どもの思いを聴き取って、施設等と話し合い、生活環境や処遇等の改善に向けて対応しているところです。
  3. また、県内の児童福祉施設にあっては、これらの施設で構成する協議会が独自に取り組む、弁護士や学識経験者等の第三者による生活評価を受けており、県ではこの協議会の取組を支援しています。
  4. なお、国において、子どもの権利擁護の環境整備を都道府県等の業務とすることを法令等で明記する方向で検討されており、県としても国の動向を踏まえながら、適切に対応してまいります。

(健康福祉部長 加瀬 博夫)

要望

虐待を受けて保護された子どもがまた施設等で新たな虐待を受けるということは決してあってはならない。そうした問題を軽視、隠ぺいさせないよう、県は厳しく指導するよう強く要望する。

(3)自立援助ホームが抱える課題をどのように認識し、県としてどのように  取り組んでいくのか。

  1. 自立援助ホームでは、義務教育を修了した20歳未満の児童等に対し、相談その他の日常生活上の援助や生活指導、就業の支援などを行っていますが、被虐待経験者や発達障害を抱えている者などが多く入所していることから、一人一人の状況をより深く理解し寄り添えるよう、支援体制の一層の充実が課題となっています。
  2. そのため県では、自立援助ホームにおける人材確保を支援してきており、今年度からは、児童指導員を目指す者を雇用する際の補助基準の拡充や、夜間業務対応などを行う補助者を雇用する費用の補助を新たに行っています。
  3. さらに、管理宿直職員の配置や職員の賃上げによる処遇改善を支援することにより、自立援助ホームの体制強化を図っているところです。

(健康福祉部長 加瀬 博夫)

要望

県は定期的に各自立援助ホームを直接訪問し、入所者の生活ぶりや運営状況をしっかりチェックするべきである。入所者の支援をホーム任せにするのではなく、責任を自覚し、ホームと円滑な連携を図るよう強く要望する。

(4)施設などでの社会的養護を離れた若者に対し、今後どのような自立支援に 取り組んでいくのか。

  1. 児童養護施設等に入所している児童の自立にあたっては、心理面、経済面で様々な課題を抱えることが多く、それぞれの児童の状況を把握している大人が相談に応じるなど、退所後も継続した支援が必要な場合があります。
  2. そのため県では、退所後においても、その生活や就業に関する相談支援を行うとともに、就職等をする際に、家賃相当額や生活費等を貸し付けるなど、社会的自立のための生活基盤の形成と円滑な自立に向けた支援を行っているところです。
  3. さらに来年度からは、退所後の安定した生活に向けた支援計画を作成するコーディネーターの配置や、退所前の一定期間に一人暮らしの体験をさせる費用の補助を行うなど、自立支援を一層充実させ、社会的養護を離れた若者が精神的、経済的、職業的、社会的自立ができるよう努めてまいります。

(健康福祉部長 加瀬 博夫)

4.保健所行政について

(1)県内の保健所で把握しているシェアキッチンの動向はどうか。

  1. シェアキッチンという言葉は、複数の者が使用する食品取扱施設を指し て使われているが、食品衛生法における業種名ではなく、定義も明確ではないため、正確な動向の把握は困難である。
  2. 県内の保健所において、令和元年度以降に許可した食品営業施設のうち、複数の者が使用することを目的とした施設は28件あり、営業許可の合計は68件で、飲食店営業と菓子製造業の2業種が多い傾向であった。

(保健医療担当部長 井口 豪)

(2)シェアキッチンについて、保健所での対応を今後どのようにしていくのか。

  1. 食品衛生法の趣旨から、許可業種に係る営業は、許可を受けた者のみが、基準に合致した専用の施設を用いて行える行為である。
  2. しかし、一部のシェアキッチンにおいては、施設の所有者自らが複数業種の許可を取得した後に、許可付き物件として貸し出しているケースが見受けられる。
  3. 保健所においては、これまでも営業者の責任について指導してきたとこ ろであるが、今後も、法の趣旨を理解した上で、適切に営業を行うよう、より一層、指導・助言を徹底していく。

(保健医療担当部長 井口 豪)

要望

県は、食品衛生法に則して指導・助言することはもとより、食を通じた地域活性化の取組を後押しして頂きたい。

5.高速道路インターチェンジ等を生かした産業の受け皿づくりについて、市町村をどのように支援していくのか。

  1. 県では、市町村が主体となって進める産業の受け皿づくりに対して、計画的な土地利用が図られるよう、部局横断的に支援する体制などを定めた基本方針に基づき、「ワンストップ 相談窓口」により、開発計画の構想段階から市町村の相談に応じています。
  2. 現在、市町村からは、候補地選定にあたり、土地利用規制や企業誘致などに関して相談が寄せられており、関係部局と連携し、助言等を行うとともに、産業用地としての可能性調査などに対して助成しています。
  3. 今後は、県が行っている産業用地確保に係る基礎調査の結果も踏まえな がら、市町村と連携して企業誘致に取り組んでまいります。

(知事 熊谷 俊人)

要望

県においては、羽田と成田両方に近い酒々井インターチェンジの特性をアピールし、町とともに、物流施設の誘致に尽力していただきたい。

産業用地の整備を通じた長期的な視点での企業誘致についても、町と連携して行っていただきたい。

6.博物館行政について

(1)県立中央博物館について

ア 令和2年9月の「千葉県立博物館の今後の在り方」を踏まえ、どのように取り組んでいるのか。
  1. 県教育委員会では、令和2年9月に示した方向性を踏まえ、中央博物館の機能強化と、同博物館の分館など4館の地元での利活用をそれぞれ進めることとしています。
  2. 中央博物館については、県全域を俯瞰する博物館として、機能の集約・強化と魅力向上を図るため、来年度は、社会的ニーズの調査や基本計画の素案作成など、具体的な検討を進める予定です。
  3. また、分館等については、地域の意向を踏まえ、観光や地域振興においても、有効に活用されるよう関係機関と協議を行っており、これらにより、県の魅力をさらに発信していけるよう、博物館の再編に取り組んでまいります。

(教育長 冨塚 昌子)

イ 中央博物館大利根分館の果たしてきた役割機能をどのように評価しているのか。また、今後の方向性をどのように考えているのか。
  1. 大利根分館は、これまで、水郷の自然や歴史と文化を伝える展示を行うほか、地元観光施設での出張展示や学校教育と連携した出前授業などアウトリーチ型の教育普及事業に力を入れてきました。
  2. 同分館が収蔵している、「利根川の自然と歴史」や「千葉県の農業」などの資料は、本県の文化的財産として重要なものです。また、これまで行ってきた教育普及事業は、子どもたちが実物の歴史資料に触れたり、自然体験から学んだりする貴重な機会であり、全県を対象に、さらに充実させる必要があると考えています。
  3. 今後、県立中央博物館への機能集約を進める中で、分館が果たしてきた役割や機能をしっかりと継承し、多くの方に提供していけるよう取り組んでまいります。

(教育長 冨塚 昌子)

再質問

歴史民俗資料、イネの標本や生の種子など、分館の貴重な資料についてどのような形で保存活用・継承していくのか。

資料は、中央博物館へ集約することとして、適切な収蔵スペースの確保や、有効活用の方策を検討してまいりますが、地元ならではの歴史や文化を伝える一部の資料につきましては、地元の公共施設への展示なども検討してまいります。

(教育長 冨塚 昌子)

要望

中央博物館への資料集約では、新たな収蔵庫の整備が必要と思われる。また、イネの種子の継承については、農林総合研究センターや他団体との連携など、幅広い選択肢も含めて検討してほしい。さらに、中央博物館の自然誌を重点とする知の集積を次世代に継承し、今後の県立博物館のさらなる発展につなげてほしい。

(2)県立美術館の活性化に向けた課題と取組状況はどうか。

  1. 県では今年度、県立美術館の魅力向上と活性化に向け、より具体的な議論を深めるため、美術館分野の専門家によるアドバイザリー会議を立ち上げました。
  2. 昨年12月の第1回会議では、現状を説明した上で、魅力ある企画展の開催や、専門人材の確保と育成、レストランなどアメニティの充実、連携事業による地域貢献など、これから取り組むべき課題について共通理解を図り ました。
  3. 今後は、これらの課題や運営等について、専門的見地からいただく意見等をもとに、具体的な見直しを図り、新たな魅力を加え、千葉のシンボルとなるような美術館を目指してまいります。

要望

中長期的な視点で学芸員確保や資質向上、また他の美術館との人事交流や、他機関との連携についても、積極的に進めていただきたい。