9月議会が終わる

10月18日(火)
9月21日に開会した9月議会が閉会した。
今夏の残暑も長く続いたが、気が付くと朝夕も冷え込み、
確実に秋が深まっている。
毎日忙しいと、季節の移り変わりの感慨にふけっている余裕がない。

閉会日は、議案に対する討論をするため、登壇した。
市議会の時は賛否の理由を詳細に討論したのだが、
県議会は議案が多いので、今回は補正予算の反対討論を行った。
補正予算には、大震災で被災した児童生徒への教育費助成や
農業用水のインフラ整備をはじめ、復興復旧に関する予算も
多く盛り込まれており、もちろんすべてに反対するものではない。
しかし、組み替え動議や修正案を出したくとも、
少数会派とて、力不足で実現不可能…。
ということで、私たちの意思表示としては、反対するしかない。

言い訳がましくなりましたが、当日の討論内容をお知らせします。
少々長くなりますが、原稿を要約している余裕がないので、
ご了承ください。
現在、来週から早朝駅まきする県議会速報の原稿とネットワーク通信の
原稿書きに追われております…。

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 会派を代表し、議案第1号平成23年度千葉県一般会計補正予算について、
反対の立場から討論いたします。以下3点にわたり、反対理由を申し述べます。
 初めに、南房パラダイス管理運営事業1億6348万4千円についてです。
同施設は平成18年度から指定管理者制度を導入し、これまで㈱オーシャン
ヴェール館山が指定管理者として管理運営を行ってきました。
平成21年度からは2度目の指定管理者に選定されましたが、
東日本大震災から1か月後の4月13日、震災による利用者激減を理由に
指定管理者を辞退したい旨の申し入れがあり、県は8月末をもって
指定管理者の取り消しを行いました。オーシャンヴェール館山との協議の
結果、当面は県の直営管理とし、契約残余期間である今年9月から
来年3月末までの管理運営業務を随意契約で同社と結び、
1億6千万円余の委託費が計上されています。
今回は想定外の事態であり、緊急避難的措置としてやむを得ないと
県は判断したとのことです。しかし、震災前から南房パラダイスの収支状況は
5年連続赤字であり、22年度は7400万円の赤字額でした。
いこいの村たてやまの宿泊者数も低迷し、入場者数も減少の一途をたどるなか、
大震災を理由に指定管理者としての責務を放棄したものといわざるをえません。
房総地区の観光業者は今回の震災で同じように厳しい経営を余儀なくされて
おり、ここだけが特別ということにはなりえません。
南房パラダイスは昭和45年に開設し、50年代に建てられた施設の修繕や改修も
ままならず、集客の厳しさもあったとは推察します。
何よりも経営改善が見込めない事業者を再度指定管理者として選定し、
管理運営を任せてきた県の責任は厳しく問われるべきです。
指定管理者制度は民間の創意工夫や経費削減をメリットとして導入されました。
今回のケースにおいて事業計画に問題はなかったのか、十分な経営努力が
あったのか、実績評価は適正だったのか、協定内容の検証をしっかりと行う
必要があります。一方、来年度に向け南房パラダイスを民間移譲する方向で
現在、検討を進めていることも明らかになりました。
昨年3月に示された行革計画の方針に従って結論を急いでいるようですが、
今回の指定管理者取り消しを踏まえ、公の施設の設置目的や管理運営のあり方
そのものを根本的に見直すべきと考えます。
今回補正予算として出されているオーシャンヴェール館山への管理委託費
1億6348万4千円については、指定管理者と県の責任範囲をあいまいに
したまま幕引きを行うものであり、賛成できません。

 2点目は、子宮頸がん等ワクチン接種促進基金事業23億2122万9千円
についてです。国からの臨時特例交付金50億8千万円を積み立てた基金で、
22年度と23年度に市町村が実施する子宮頸がん等の予防接種費用への
助成を行うものです。子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス
(HPⅤ)には15種類のタイプがありますが、日本で承認されているワクチン、
サーバリックスは2種類のタイプ、ガーダシルは4種類のタイプにしか
効果がありません。また、サーバリックスの有効期間は3年とされていますが、
ワクチンの有効性も確立されていません。接種対象者は中学1年生から
高校1年生の女子であり、6ヶ月間に筋肉注射を3回受けなければならず
心身両面での苦痛を強いられます。
そればかりか、一昨年の12月から今年1月末までに重篤な副反応が
110例も報告されており、そのうち25件が失神でした。
ワクチンの開発から6年ほどしか経っておらず、安全性の検証も
不十分なまま巨額の公費を投じることに国も県も慎重であるべきです。
また、何よりもワクチンは万能ではありません。同時にがん検診を
定期的に受けなければなりませんが、千葉県の子宮がん検診率は
昨年度26.8%と低い状況です。
ワクチンへの公費助成ではなく、子宮がんの検診率向上にこそ
力を入れるべきです。
ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンについては、今年3月までに同時接種後の
乳幼児の死亡事例が7件続き、両ワクチンの接種見合わせが行われていました。
3月24日に国の調査会で検証が行われた後、接種再開されています。
しかし、両ワクチンとも発売から2年も経たず、安全性も確立していません。
以上のことから、公費助成によるワクチン接種促進には慎重を期すべきであり、
23億2122万9千円の予算計上に反対いたします。

 最後は、福島原発事故に伴う放射能対策についてです。本補正予算では
放射線のモニタリングポスト設置、放射性物質分析装置整備、
牛肉の放射性物質検査体制強化や県内10市への放射性物質測定器購入
助成など、合わせて1億4187万9千円が計上されています。
しかし、これらすべては国からの委託事業や補助事業であり、県独自の放射能
対応策が一つも今回の補正予算に盛り込まれていません。
福島原発事故を受け、県内ホットスポットといわれる東葛地区をはじめ
多くの市町村が県に対し、放射能測定体制や除染対策、食品の安全確保、
焼却灰や上下水道の汚泥処理などについて、数々の要望を寄せていました。
先月9月9日、県は福島第一原発事故に係る対処方針を出しましたが、
市町村の意見はほとんど取り入れられていませんでした。
さらに、国が8月26日に示した除染に関する緊急実施基本方針も全く
反映されていません。そのため、県立学校の放射線量測定は昨日17日から
ようやくスタートという信じられない対応の遅さです。原発事故から7カ月が
経過しています。この間、財政力にかかわらず、住民生活に直結する
市町村行政は懸命に対応策を模索してきました。
千葉県は国や他県の動向見、県は国の代行機関という姿勢であれば、
どこに存在意義があるのでしょうか。原発事故の損害は風評被害にとどまらず、
現に県民生活の様々な場面に波及しています。
原発事故収束の見通しが立たないなか、何よりも県民、とりわけ子どもたちの
命と健康を守るため、低線量内部被ばくへの具体策を急ぎ進めなければ
なりません。
千葉県として放射能問題に縦割りではなく部局横断的に取り組む体制強化、
対策室の設置を強く求めます。
本補正予算には残念ながら県独自の放射能対策が盛り込まれていないこと
を再度指摘し、反対といたします。以上で討論を終わります。