札幌視察(その1)

5月9日(水)~11日(金)
今回、障がい者の地域移行の先進事例と北海道の地域医療の取り組みを学ぶ
ために、会派メンバープラス市民ネット市議2人と札幌に向かいました。

9日の午後、まず訪れたのは、社会福祉法人はるにれの里の「さりゅう」。
当法人は、1987年に厚田はまなす園(旧知的障がい者厚生施設)を開設以降、
石狩市や札幌市において施設や事業所を運営し、知的障がいや自閉症、
発達障がいの人たちが地域でその人らしく生活できるように専門的な支援を
行っています。

今回視察するきっかけとなったのは、千葉県の新年度予算で「強度行動障害の
ある方への支援体制構築事業」が新規に盛り込まれ、その先進事例である
はるにれの里の取り組みを視察するためでした。
重度の自閉症や重度の知的障がいを初めとした発達障がいのある方が
施設ではなく、地域のケアホームで生活するための試みです。
はるにれの里が運営するケアホームは、サテライトも含め28ヶ所、
118人の自閉症をはじめとする重度の障がい者の地域生活を支えています。

生活介護事業所「さりゅう」では、日中の障がい福祉サービスを行っています。
知的に遅れがあるなしに関係なく自閉症・発達障がいを持っている方々が
利用しています。
ここでは、ケアホームでの生活を想定し、掃除や洗濯、炊事、身の回りのこと
など自立を図るプログラムを実施し、余暇活動など常に居心地の良い場所に
するように工夫がこらされていました。

ひとり一人のくつろぎの空間
くつろぎの空間

「さりゅう」をいったん離れ、実際に訪れたケアホームは、住宅街の一角にある
普通の一軒家でした。
ケアホーム

自閉症の方は、一度にたくさんの情報が入ってくると処理できずにパニックに
なることが多いため、それぞれが得意とする方法で生活パターンを確認しな
がら落ち着いて暮らすことができるそうです。
特に視覚的な方法で示すと、理解しやすいとのことでした。

一日の生活の流れ
一日の流れ

この家には、女性が4人住んでいるとのことでしたが、洗濯物もきちんと
たたまれ、どのスペースも整理整頓ができていて、とてもきれい!
洗面台の横には、歯磨きの順番の絵が貼られています。
歯磨き

この後、事務所に戻り、ケアホームでの入所者の方の日常生活を記録した
DVDを見せてもらいましたが、動作に迷いやムダがなく実にたんたんと
穏やかに暮らしている様子にびっくり!
施設入所の時は自傷行為や破壊行為をしていた人もケアホームでは
支援者との信頼関係の下に安全・安心に生活できています。

重い障害のある方が施設を出て地域で暮らすことに、当初、当事者の保護者
たちは不安でいっぱいだったそうですが、ケアホームで自分らしく生活している
我が子を見て、今ではその考えも百八十度変わったとのこと。
これを実現するためには、法人のスタッフはもちろん入所者の食事づくり等
で関わっている地域の方々のバックアップ体制、二重三重のリスク管理が
あってこそと知りました。

気が付くと、時計の針は午後4時過ぎ。
午後1時前から、施設の説明や案内を熱心にしてくださった常務理事の
木村さん、生活介護事業所サービス管理責任者の中野さん、
本当にありがとうございました。
さりゅうにて