「想定外」も時と場合によりけり
9月25日(火)
雨模様の朝、千駄ヶ谷の日本青年館をめざし、家を出る。
利根川水系の治水計画を審議する利根川・江戸川有識者会議を
傍聴するためだ。
会場に到着すると、国交省・自治体・マスコミ関係者が往来し、
緊迫した雰囲気が漂っていた。
八ッ場ダムが計画に位置付けられるか否か、注目が集まっている。
委員の登場をカメラも待ち構える。
左から、大熊新潟大名誉教授、岡本元日大教授、宮村関東学院大名誉教授、
そして小池東大大学院教授
どなたも肩書からいづれ劣らぬ「学識者」ではある…。
官僚の言いなりなのは、御用学者。
事実に目をそむけないのが、真の科学者。
今回から新たに委員として加わったのは、河川工学がご専門の大熊さん、
拓殖大で森林政策学の関良基さん、国交省からの依頼で治水の検証を
行った日本学術会議の小池座長の3人。
この人選について、8割がたダム推進派の有識者会議に2名のダム反対派が
加わったと報じられている。
会議は事務局が用意したシナリオに沿って、これまでどおり宮村忠氏が
座長として進められようとした。
その時、大熊さんから「ちょっと待て」の異議申し立てが…。
当局の認識は4年5か月ぶりの会議再開ということであるが、
メンバーも変わり、審議事項の継続性も疑問視されるので、
改めて座長を委員の「互選」で決めてはどうかと提案。
東京新聞の野呂報道部次長、関さんも賛同した。
これに対し、群馬大の清水義彦さんが宮村氏を推薦し、
河川情報管理官が委員らの発言を無視して司会進行するなど
混乱があったが、最後は採決に。
座長に立候補した大熊さんに3票、推薦された宮村さんに4票
という結果になった。
棄権した委員が14人中7人で過半数の信任を得ていない。
にも拘らず、なし崩し的に宮村さんが座長に…。
会議資料を23日(日)夕方に投函したという事実も発覚し、
委員の事前準備を妨げようとする悪質なやり方に情けないやら
あきれるやら…。
加えて次回の会議日程について、一部の委員には1週間後の
10月4日に設定していると伝えていたことも発覚した。
だまし討ちのような姑息なやり方に一同唖然…。
いったい何のための会議なのだろうか?
利根川流域の住民の生命財産を守るための審議ではないのか?
時間と財政的な制約の中で「最小の経費で最大の効果」をあげる方策を
検討するところではないのか?
行政御用達の委員が「これからは想定外は許されないという議論を
河川行政でもやらなければならない。だから治水の安全基準は
高い方がいい」と早くも国交省の片棒をかついでいた。
政官業トライアングルに「学」がお墨付きを与え、
利権構造のはい出来上がり?
河川ムラの結束は今なお固い。
国交省のシナリオには、この1~2ヵ月に会議を3、4回ほど開き、
八ッ場ダムにゴーサインを出すと書かれているに違いない。
今日のようなちゃぶ台返し、「想定外」なら、大歓迎!