本当の安全・安心ってなに?(治水編)
4月24日(水)
国土交通省関東地方整備局は利根川・江戸川河川整備計画案を公表し、
八ッ場ダム建設の必要性を明記した。
千葉県を含む1都5県知事に計画案を送付し、意見聴取の手続きに入る。
1月下旬に原案を発表し、パブコメや公聴会で形式的に住民意見を聞いた
ことになっているが、有識者会議への説明もなく八ッ場ダムの本体工事
着工に向けて強行に策定を進められている。
26日(金)に県の治水部門である県土整備部河川計画課に確認したところ、
関東地方整備局からは24日にメールで資料が送られてきただけで、
特に回答期限は示されていないとのこと。
折しも22日(月)には、八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会と
利根川流域市民委員会の共催で利根川堤防見学ツアーを実施。
群馬、埼玉の県議や市議をはじめ、千葉県議会からも4名が参加。
埼玉県加須市の大越地先にある漏水堤防や決壊すると計算上34兆円の
被害が出るとされている堤防、スーパー堤防に引き続き2700億円かけて
建設が進められている首都圏氾濫区域堤防強化対策の現場を視察した。
2001年9月の台風15号の時、堤防の下から水漏れが生じた大越地先
国会議員仲介の視察ということで、利根川上流河川事務所長がじきじきに
説明に参上
参加者から「有効な治水対策をとるための徹底調査がきちんと行われて
いないのはなぜ?」と鋭い質問が飛ぶ。
強風が吹きすさぶ午前中の現地視察に引き続き、午後は学習会
まさのあつこさんから、TRD工法という聞きなれない堤防強化の話を
していただく。
この工法は日本発の技術だが、国内では堤防は土で造るという
「土堤原則」があってまだまだ普及していないそうだ。
有効な工法であるにもかかわらず、国交省があまり評価していない
のはなぜ?
流域住民の命と暮らしを守る、真に安全・安心の治水対策を進めると
いうならば、利根川の6割を占める脆弱な堤防を強化することが
ダムよりも優先すべきではないのか。
今まさに八ッ場ダムありきで進めようとしている河川整備計画は
机上の空論に他ならないことは、有識者会議の議論の中でも
明らかにされてきた。
その議論を一方的に打ち切る国交省は本当の意味で国民の安全・安心
を考えて仕事をしているのか?
その問いは、当然千葉県知事にも同じく向けられている。
国任せ、国の言うなり、国が期待する「答え」を出すのではなく
千葉県民にとって有効な治水対策はなにか、科学的知見に目をそむけず、
真摯に考えてほしい。