名ばかりの地方自治

6月18日(火)

今日は6月議会一般質問の最終日。
終了後、職員給与削減の議案とこれに連動する議員報酬削減の発議案が
最終日を待たず、議決された。
いずれも7月1日施行となっているからだ。

職員給与削減については、国が今年度の地方交付税8500億円を一方的
に削減し、国家公務員に準じて地方公務員の給与を減らすよう今年1月に
「要請」してきた。
これを受けて千葉県でも国と同様に給与削減を行うとしているが、
「地方自治の本旨」を逸脱した国の強権発動という今回の事の重大さを
知事は分かっていないようだ。
地方交付税という人質を盾に、自治体独自で決定する職員給与にまで
口出しするというのは、まさに地方自治の破壊そのものである。

千葉県では平均7.8%の削減、6万人の職員に影響し、
総額は215億円程度となる。
これによる地域経済への影響について県当局は明言を避けているが、
確実に消費行動にマイナス影響が出ることは間違いない。
経済連関表の数式に単純に当てはめたところ、120億円程度のマイナス
影響との試算が出た。

問題はこればかりではない。
今回は公務員給与を決定するための人勧制度を無視し、また労使間の
交渉も一方的に打ち切り、議会に提案している。
病院局は6月議会開会後の12日に交渉決裂となったとのこと。
なぜここまで強硬姿勢なのだろうか?
「本県も被災県であるから、国と一丸となって復興を進めたい」と提案
理由を示してはいるが、そこまで国に追随する必要があるのだろうか?

岩手、宮城、福島など被災地となった自治体でも国から同様に「要請」
が行われている。
10年来の行革により人員は減らされ、ただでさえ人手不足のところに
大震災が襲った。
今なお復旧・復興のために汗を流しがんばっている自治体職員の士気を
低下させるのではないだろうかと危惧する。
この間、千葉県からも30名の職員が東北の被災地に応援に
駆けつけている。
政府は交付税は削減するが、減災・防災事業に3000億円を地方に
渡すとしているが、この予算が本当に実のある事業に使われるのか、
甚だ疑わしい。
というのも、巨額の復興予算がこれまで「目的外使用」されてきた経緯
があるからだ。
千葉県の割当額は55億と試算、今回の補正予算に盛り込まれている。
減災・防災の美名の下、ムダな公共事業の推進につかわれないよう
チェックするのが、議会の役割でもある。

一方、議員報酬減額について、自民党会派から10%削減、民主党会派
から20%削減が提案され、議場で質疑を行った。
答弁者が議員というのは慣れないものだが、議会というのは議員間討議が
基本であり、活発な議論をするなかで論点を明確にし、合意形成を図ると
いうのが議会本来のあるべき姿であると思う。

議員報酬については、多いか少ないかを議会の中だけで決めるのではなく
議会改革の流れの中でそのあり方をまずはじっくりと協議し、県民を
含めた第三者機関に諮ることが必要だ。
いずれの提案者も特別職の報酬にかかわる審議会の答申を引き合いに
していたが、執行部サイドの審議会の動きを待つと言うのではあまりにも
受け身の姿勢ではないだろうか。
また、過去の答申からずいぶん時間が経過しており、社会経済情勢に
照らして見直しが必要だと思う。

この8年間を調べると、議会費は年間、約27億円、議員個人に支給
される議員報酬は14億円。
この数字を多いとみるか、少ないとみるか。
ちなみに一般会計に占める議会費総額は、0.18%程度になる。
「議員が多すぎる」「議員報酬が多い」という声も確かに多く聞くが、
それは議員や議会がしっかりとその役割を果たしていないという不満
からくるのではないだろうか。
二元代表制の一翼を担う議会が行政へのチェック(監視機能)と
政策立案・条例提案(立法機能)をきちんと果たしているのであれば、
1%未満の議会費は意味のある経費となるはずだ。
1%の経費で99%を県民の願いに応える生きた税金の使い方にする
ことができるのではないか。

もっとも自分自身は市民ネットの代理人のため、私個人が受け取る
報酬額は年間320万円と決まっているが、やはり1200万円程度
という今の議員報酬は多すぎる気がする。
いずれにしても、三重県、長崎県などの先進議会に倣い、議員定数も
含めてしっかりと議会で議論し、県民意見を反映して議員報酬を
決めていくことが必要だと思う。

千葉県議会でも今議会前の代表者会議で「議会基本条例」の検討が俎上に
上ったが、その後、話が前に進まなくなっている。
「県民のための議員」ということでの基本スタンスはすべての議員が
同じはず。
議員報酬のあり方はもちろん「オール千葉県議会」でぜひ前向きに
話し合っていきたい。

長文お読みいただき、ありがとうございます。
最後にお口直しではなく、お目直しの写真をご覧ください
さつき2
さくらネット事務所で開いている坂本さんの盆栽展

いろいろなさつきが入れ代わり飾ってあります
さつき3
まだの方は、ぜひお立ち寄りください。