令和6年9月議会 一般質問

目次

2024年9月24日(火)
立憲民主党 入江あき子

なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。

一般質問原稿

こんにちは。佐倉市・酒々井町選出、立憲民主党の入江あき子です。今日は傍聴にお越しいただき、ありがとうございます。

それでは、通告に従い、早速質問に入ります。

1.人獣共通感染症対策・ワンヘルスについて

人に感染症を引き起こす微生物は、現在確認されているものだけで1400種以上あり、このうちの約60%が人と動物双方に感染する「人獣共通感染症」を引き起こすとされています。新型コロナウイルス感染症をはじめ、新興感染症の約75%は人獣共通感染症であり、時に爆発的に伝播し、大流行して人に甚大な危害を及ぼします。これらは、人口増加、森林開発や農地化等に伴う生態系の破壊や、気候変動等による人と動物との関係性の変化により、もともと野生生物が持っていた病原体が様々なプロセスを経て人にも感染するようになったとされています。

例えば、コロナウイルスが原因となる人獣共通感染症のうち重症急性呼吸症候群(SARS)についてはコウモリ等の野生動物が保有していたウイルスが、また中等呼吸器症候群(MERS)についてはヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスが、それぞれ人に感染するようになったと言われており、重症肺炎を引き起こしています。新興感染症は、多くの人が免疫を持たず、治療法が確立されておらず、新型コロナウイルス感染症のようにパンデミックを引き起こす可能性があります。

様々な分野にわたる問題が要因とされている人獣共通感染症ですが、「人と動物の健康と環境の健全性は一つ」と考えるワンヘルスの理念に基づく対応が世界的に広がっています。

議長のお許しを得て資料を机上配布させていただきました。ご覧の通り、日本でも2016年に開かれた国際会議において福岡宣言が採択され、令和2年12月福岡県議会においてワンヘルスの推進を掲げた条例が議員提案により制定されました。

今年7月末、福岡県を訪ね、同県ワンヘルス推進行動計画に位置付けられた多岐にわたる部局の事業や予算措置等について、学んできました。全国初の条例制定とのことですが、他県からも視察調査があるとのことです。そこで、2点お伺いします。

(1)家畜や野鳥における人獣共通感染症の発生状況はどうか。また、発生を予防するため、どのような対策を講じているのか。

(2)人獣共通感染症に対するワンヘルスアプローチという考え方に関する県の認識はどうか。また、県は人獣共通感染症に対してどのように取り組んでいるのか。

2.成田空港機能強化に伴う地域づくりについて

成田国際空港株式会社によれば、2028年度末に予定されている成田空港の機能強化、年間発着回数50万回時に期待される効果として、旅客者数は現在の約2倍の7500万人、貨物取扱量は約1.5倍の300万トン、空港内従業員数は約2倍の7万人という数字が示されています。

地元・佐倉市においても、この拡張を地域活性化の絶好の機会と捉え、今年4月から企画政策部内に「企業誘致・公民連携推進室」を設置し、取組を強化しています。課題として、機能拡張を支える人材の確保や基盤となる人・物の移動や就業者の居住空間等の充実があげられています。いずれも、千葉県や近隣自治体との広域連携による取組が重要です。

一方、空港周辺9市町(成田、富里、香取、山武、栄、神崎、多古、芝山、横芝光)においては、「成田空港周辺の地域づくりに関する実施プラン」に基づく事業が進められていますが、この対象に佐倉、酒々井、四街道や白井等は入っていません。そのため、対象外となっている自治体や連合千葉からは、印旛地域全体にその効果を広げて欲しい。千葉県総合計画において成田空港を擁するエリアとしている印旛地域全体を企業誘致の推進や空港関連の雇用促進の受け皿として活用できるようにしてほしいとの要望が出されています。
特に、空港内で働く従業員の居住地の確保や産業地区整備などには、市町村をまたがっての地域づくりが不可欠となります。そこで、お伺いします。

(3)成田空港の機能強化に伴う効果を印旛地域全体の活性化につなげていく必要があるが、県として今後具体的にどのように取り組んでいくのか。

3.博物館行政について

令和2年9月に示された「千葉県立博物館の今後の在り方」に沿って、中央博物館を「知の創造拠点」として機能強化を図り、地域史と特定テーマを扱う4館については、地元での利活用が模索されています。今年3月には「県立中央博物館みらい計画」が策定され、地域振興やデジタル技術の活用も進められると聞いています。

また、今年4月には、佐倉市にある歴博、国立歴史民俗博物館と千葉県が包括連携協定を結びました。歴博においては、平成28年2月に佐倉市と連携協定を締結して以来、小中学生の教育や生涯学習の充実など、佐倉の魅力である歴史・文化を生かした事業を連携して行っています。このたび新たに千葉県との連携が強化されることにより、さらなる相乗効果が生まれるのではないかと大きな期待を寄せているところです。

一方、県内には41の登録博物館を含めおよそ100以上の博物館があり、様々な魅力と特徴を有しています。県立博物館と各館が連携を深め、千葉県の文化振興や地域の魅力発信に向けて、より一層取り組んでいただきたいと思います。そこで、お伺いします。

(4)県は、国立歴史民俗博物館を含む県内博物館等との連携をどのように進めていくのか。

4.プレコンセプションケアについて

プレコンセプションとは、妊娠前からの体と心、性の健康へのケアという意味があります。特に若い世代が、妊娠の計画の有無に関わらず、早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、自分たちの生活や健康に向き合うことが大切です。この問題について、私は令和4年6月議会代表質問で取り上げたところですが、認知度はまだ低い状況です。

一方、福岡県では今年4月30日全国初となるプレコンセプションケアセンターを開設し、性と健康に関する正しい知識の発信や相談対応を一体的に行っています。今年7月末、同センターを訪問し、事業を委託されている福岡県助産師会の佐藤香代会長、福岡県子育て支援課長をはじめ、多くの関係者の方々から設立の経緯や取組状況などについて、詳しくお話を伺ってきました。

相談事業については、電話や来所面談、メールやライン相談と多くの ツールを活用していることから、開設から3カ月足らずにも係わらず、 相談件数も多く、妊活中や妊娠を考えていない人から、また男性不妊に関する相談もあるなど、ニーズの高さが見られました。また、お配りした資料にあるとおり、大学における出前講座や養護教諭を対象とした研修会等々、積極的に取り組まれています。県担当課のボトムアップの政策が知事の決断を促し、県助産師会の熱意で素晴らしい事業展開に結びついていることに感動しました。

近年、出産年齢の高齢化や過度なダイエットなどによる妊娠・出産リスク上昇の一方、若年者の望まない妊娠の増加などが社会課題となっています。千葉県としても、この問題に対し、縦割りではなく一体的に取り組んでいただきたいと思います。そこで、お伺いします。

(5)県として、プレコンセプションケアセンターを設置し、積極的に取り組む必要があると考えるがどうか。

5.特定妊婦等への支援について

令和5年9月国が公表した「こども虐待による死亡事例等の検証結果(第19次報告)」によれば、死亡時点のこどもの年齢は、心中以外の虐待死では0歳児が48.0%、月齢0か月児が25.0%と最も多くなっています。実母が妊娠期・周産期に抱えていた問題として、「予期しない妊娠/計画していない妊娠」が32.0%で最も多く、「妊婦健康診査未受診」も28.0%となっています。背景には、妊娠したことを身近な家族やパートナーにも相談できない関係性、妊娠に気がついても受診をためらうなど経済的な問題もあります。このように様々な困難を抱える特定妊婦等への支援は急務です。

県内の要保護児童対策地域協議会における特定妊婦の登録数は、例年200件を超える程度。県が令和元年から始めた「にんしんSOSちば」における相談対応件数は、例年1500件から2000件弱で推移しています。 昨年度は633人の相談者があり、その7割以上が29歳以下で、10代は3割を超え、215人でした。特定妊婦と行政が把握している数は、氷山の一角とも言われ、母子保健と児童福祉分野の狭間にあって必要な支援が届きづらい存在です。

そのような中、今年度こども家庭庁は「妊産婦等生活援助事業」を創設し、特定妊婦等が安心して生活できる居住の場の提供、日常生活の支援や養育に関する相談・助言、自立に向けての伴走型支援が法定化されました。そこで、お伺いします。

(6)特定妊婦等の支援にあたって、県として妊産婦等生活援助事業を早期に実施すべきと思うがどうか。

また、特定妊婦等への支援を行う上でも、市町村をはじめとする関係機関等との連絡調整が重要であり、その機能を担うことが期待されている「こども家庭センター」の設置が進められているところです。そこで、お伺いします。

(7)県内市町村におけるこども家庭センターの設置状況はどうか。また、設置促進に向けて、県はどのように支援していくのか。

6.こどもホスピスについて

小児慢性特定疾病をもつ子どもは全国に約11万人、そのうち小児がんなど生命を脅かす状態にあるLTC(Life-Threatening Conditions)と言われる子どもの数は推定2万人とされています。しかし、その正確な人数や集計方法が明確に定義されておらず、LTCの子どもと家族への政策や支援体制が遅れています。

こどもホスピスは、小児緩和ケアを提供する場の一つですが、従前の「緩和ケア」が持っていた「治療を諦め、死を受容する」というイメージから、「QOLの向上を目指し、豊かな生を積極的に支える」という概念への転換が起きています。

国内では、2012年大阪市の病院内に初めて「こどもホスピス」が開設され、その後、名称や支援の形態にかかわらず、病気と闘う子どもたちが安心して過ごせる環境をサポートする取り組みも各地で広がりを見せています。

国においても、令和3年4月「子供・若者育成支援推進大綱」において、いわゆる「こどもホスピス」に関する調査検討の必要性が示され、ようやく動き始めました。今年4月に公表された調査研究報告書によれば、LTCの子どもの成長や発達を地域で支援する体制は十分とはいえず、家族が心理的に孤立してしまうことも課題となっています。そこで、お伺いします。

(8)いわゆる「こどもホスピス」について、県内の動きはどうか。また、県として今後どのように取り組んでいくのか。

千葉県こども病院は、小児がん連携病院に指定されています。先の国の報告書では、LTCのこどもへのケア・支援について「小児がん連携病院では、こども、親、きょうだい児の心理的苦痛の緩和について課題を感じている割合が特に高い」「医療施設以外で地域型のこどもホスピスや患者家族滞在施設との連携が必要と考えている割合が高い」との分析がなされています。医療では治療や症状管理、看取りに主眼が置かれ、こどもの「生きる時間」を充実させることは後回しになりがちです。そこで、お伺いします。

(9)千葉県こども病院において、LTCのこどもへのケアや支援をどのような体制で行っているのか。

7.農地の保全活用と担い手の確保について

直近の農林業センサスによれば、令和2年本県の基幹的農業従事者数は5万328人、平成17年に比べて43%減少、65歳以上が占める割合は67%と15ポイント増加し、就業者数の減少と高齢化に歯止めがかかりません。一方、農業の基盤となる耕地面積は12万3500ヘクタール、作付け延べ面積は11万ヘクタール、耕地利用率も89%と減少傾向にあります。

実際、私の地元・佐倉市内でも後継者不在で耕作されなくなった農地をどうしたらよいのか、荒廃農地となっても支払う義務がある土地改良区の賦課金を子や孫の代まで負担させるのは納得がいかない等々、お聞きしているところです。

令和7年度が最終年度となる千葉県農林水産業振興計画では、数多くの成果目標や達成指標が掲げられています。今回は、農業の基盤となる農地の保全活用と担い手確保の観点から、質問いたします。

初めに、新規就農者については、令和7年度の目標数年間450人に対し、過去5年間平均で約330人に留まっており、その約6割が他業種など農家以外からの新規参入とのことです。そこで、お伺いします。

(10)新規就農者を確保するため、さらなる取組が必要だがどうか。

次に、農地の集積・集約化の取組についてです。ご承知のとおり、農地の集積とは、農地を所有したり借り入れたりすることで、利用する農地面積を拡大し、担い手に農地の所有権や耕作権を集中させることを意味します。一方、農地の集約化とは、農地の利用権を交換するなどして、点在する耕作地をまとめ、効率化を図る目的があります。これらの取組を通じて、高齢化や担い手不足、耕作放棄地の解消につなげようとするものです。そこで、お伺いします。

(11)担い手への農地中間管理機構を通じた農地の集積・集約化の取組状況と課題はどうか。

8.日本語指導が必要な児童生徒に対する教育環境の整備について

県内に暮らす外国人の増加に伴い、日本語指導が必要な外国人児童生徒は年々増加しています。今年8月、文科省から令和5年度「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」の結果概要が公表されました。今回の質問に当たり、私は政務調査を通じて千葉県内市町村のデータを入手し、資料を作成しました。今回は、市町村教育委員会が所管する小・中・義務教育学校における状況に絞っています。

特筆すべきは、資料1のとおり、2年前と比較して対象の児童生徒数が小・中学校を併せて4064人、2倍以上となっていることです。主な使用言語は、約40、市町村における在籍数は表3の通りです。資料裏面の表4は県内市町村における担当教員の配置状況、表5は、各市町村による独自施策の一覧になります。

今回の調査のきっかけとなったのは、地元・佐倉市を含む印旛管内の小中学校に勤務する教員の方々からのお話でした。日本語指導が必要な児童生徒が増加する学校現場では、指導体制や教育環境が十分に整っていないこと、全く日本語が分からない状態で転入してくるケースもあり、対応に苦慮していること、様々なご苦労があると伺っています。県教育委員会が県内の学校現場の実態を把握し、速やかな対応をとる必要があると考えます。そこで、2点お伺いします。

(12)県内の小・中学校における日本語指導担当教員の配置状況はどうか。担当教員の確保に向けて、どのように取り組んでいるのか。

(13)各市町村教育委員会における日本語指導の取組状況はどうか。また、県教育委員会としてどのように支援していくのか。

以上で、1回目の質問を終わります。

2回目(再質問・要望)

知事、教育長、関係部局長、ご答弁ありがとうございました。それでは、2回目の再質問と要望をさせていただきます。

初めに、3点、再質問します。

1.人獣共通感染症対策・ワンヘルスについて、です。

【再質問1】

今年4月に改訂された感染症予防計画において、「その他感染症予防の推進に関する重要事項」として、動物由来感染症対策や薬剤耐性対策が記載されています。しかしながら、それらを具体的に推進するための連絡会議などが位置づけられていません。ワンヘルスを推進するためには、庁内横断的で実効性のある体制づくりが必要です。
そこで、お伺いします。

(再質問)新たなパンデミックに備えて、早期に具体的な連携体制を構築する必要があると思うがどうか。

7.次に、農地の保全活用と担い手の確保についてです。

【再質問2】

都道府県別の農地集積率を比較すると、関東圏は比較的集積率が低い傾向にあります。そのような中、お隣の茨城県では2017年からの6年間で約3800ha(東京ドーム4.6×約830個分)、年平均で約640ヘクタールの荒廃農地を再生させています。再生費用の補助や農地の貸主にも協力金を出すなど、県として力を入れています。また、差別化・ブランド化を図る中で、小規模農家が多い有機農業も積極的に推進しています。6年前(令和元年度)からは、県北地域でモデル団地づくりに取り組み、約20haまで拡大したと聞いています。

一方、千葉県の荒廃農地の推移をみると、発生面積、再生面積ともほぼ毎年横ばいの状況ですが、再生面積については、年平均で300ヘクタール弱、茨城県の半分にとどまっています。農業産出額3位の茨城県に学ぶ必要があるのではないでしょうか。そこで、再質問します。

(再質問)荒廃農地の解消に向けて、他県の事例に学ぶなど県のさらなる取組が必要と考えるがどうか。

8.日本語指導が必要な児童生徒に対する教育環境の整備について、再質問します。

【再質問3】

資料の表4下の記載にあるように、担当教員が配置されていない自治体が12、小学校・中学校を合わせて347となっています。日本語指導を必要とする児童生徒がいても少人数の場合は配置されないケースが多いと考えられ、その場合、表5のように、市町村が独自の施策でカバーしているのではないかと推測します。そこで、再質問します。

(再質問)市町村の個別の実情に応じた支援を行うために、県教育委員会はどう取り組むのか。

続きまして、要望を申しあげます。

2.成田空港機能強化に伴う地域づくりについて

【要望】

振興事務所と管内各市町の連携について、研究を進めていただけるとのご答弁、ありがとうございます。

先日、連合議員団会議で成田国際空港株式会社を訪問し、ご説明を受けたところ、空港内の事業者数は、約600、従業員数は約3万6千人(NAA調査で619事業者、従業員数36,315)、このうち佐倉市と酒々井町に居住されている方は、約2700人とお聞きしました。成田市が約13,000人(13,509)で4割弱(37.2%)に次ぐ人数とのことです。印旛地域全体の人口減少が進む中、空港で働くことを選んでもらえる魅力ある就労環境、住みたくなるまちづくりに向けて、引き続き市町と力を合わせていただくよう要望いたします。

3.博物館行政についてです。

【要望】

現在、中央博では、常設展示のリニューアルや収蔵庫の増築等の施設整備計画が進められているとのことです。私は、令和4年2月議会において、中央博に集約される大利根分館の収蔵資料の取扱いや、中央博の新たな収蔵庫の整備について意見を述べさせていただきました。農業博物館としても価値の高い分館の資料には、イネの種子標本もあります。また、その種子を保存継承するために分館の職員が代々敷地内の圃場で田植えをしてきたという歴史、このような有形無形の財産もあります。この先はどうしていくのか、様々な課題もあると思います。

中央博は総合博物館としてリニューアルを目指していますが、1989年に自然誌博物館として設置された歴史と知の集積についても、しっかりと次世代に継承し、さらなる発展につなげていただくようお願いいたします。

4.プレコンセプションケアについて、です。

【要望】

プレコンセプションケアについては、ぜひご紹介した福岡県のセンターを参考にしていただき、県助産師会の方々との意見交換等についても、ご検討をお願いいたします。

5.特定妊婦等への支援について、です。

【要望】

「妊産婦等生活援助事業」の早期実施についてですが、福岡県では国に先駆け、令和3年度から同様の事業を県内の母子生活支援施設3カ所で行っています。今年7月末、福岡県と福岡市の委託先の2施設を(「こどもと女性包括支援センターここはる」と福岡市の委託先(「産前・産後母子支援センターこももティエ」)を訪ね、特定妊婦への産前・産後の切れ目ない支援に取り組む現場を見てまいりました。やはり民間がこれまで行ってきた女性支援の現場、実践から多くを学ぶことが重要だと感じています。千葉県においても、この点に留意し、特定妊婦等の支援にしっかりと取り組むよう要望いたします。

6.こどもホスピスについて、です。

【要望】

国の令和7年度概算要求には、「仮称こどもホスピス支援モデル事業」1億2000万円が新規・推進枠として盛り込まれています。関係者による協議会等の開催、管内のLTCにあるこどもの実数等を把握するための実態調査の実施、地域型こどもホスピスの取組支援に全額国費が充てられます。千葉県として、ぜひこの新規モデル事業に手をあげていただき、こどもホスピスの施策化に向けて取り組んでください。早期の検討を強く求めます。

以上で、2回目といたします。

3回目(要望)

それぞれご答弁いただき、ありがとうございました。それでは、最後に要望をさせていただきます。

1.人獣共通感染症対策・ワンヘルスについて

【要望】

今回の新型コロナでは、感染症5類に移行する昨年5月8日まで、県内では約148万人が感染し、入院者数約4万7千人、死亡者数も4千人近くに及んでいます。

(また、薬剤耐性対策も大変重要な課題です。薬剤耐性菌による感染症が発生した場合、これまで使用していた抗微生物剤が効かなくなり、治療が困難になるなど深刻な事態が生じます。)

次なるパンデミック、新たな新興感染症の蔓延を防ぐためにも、ワンヘルスアプローチは極めて重要です。
千葉県としても、福岡県の取組に学ぶなど、推進体制の構築を急ぐよう強く求めます。

7.農地の保全活用と担い手の確保について、です。

【要望】

(先ほどご紹介した茨城県県北の常陸大宮市では、昨年12月、緑の食糧システム法施行に伴い、全国で初めて「有機農業を促進するための栽培管理に関する協定」を結びました。市内小中学校15校すべての学校給食のお米、年間37トンを100%有機米とするため、令和9年度までに15ヘクタールに拡大する目標で取り組むとのことです。県内でもいすみ市が先駆けて全国の取組をリードしています。子どもたちのためにというモチベーションが原動力になっているとお聞きしています。

農業は命を支え、将来世代に繋げなければならない重要な産業です。そして、)

食料安全保障の根幹は、農地と担い手の確保です。千葉県における食料自給率の維持確保にむけて、他県の取組事例も参考にしながら、しっかりと取り組んでいただきたい。(次期農林水産業振興計画における成果目標や達成指標に数字として成果が示されることを期待しています。)

8.日本語指導が必要な児童生徒に対する教育環境の整備について

【要望】

(少子高齢化による人手不足の深刻化に伴い、政府は外国人労働者を積極的に受け入れる制度を整えており、)

今後、日本語指導が必要な子どもがさらに増加することが予想されます。言語や文化が異なる外国の方々と地域でともに安心して暮らしていくためには、小・中学校における日本語指導が非常に重要です。日本語指導担当教員の適切な配置をしっかりと進めていただきたい。

また、現状において、学校現場だけでの対応に負担が生じていることに対し、教育委員会だけではなく多文化共生や多様性尊重の施策との連携により、各市町村の実情に応じた支援を進めていただきたい。

以上、要望を申しあげまして、私の一般質問を終わります。

ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

配付資料

答弁要旨

1.人獣共通感染症対策・ワンヘルスについて

(1)家畜や野鳥における人獣共通感染症の発生状況はどうか。また、発生を予防するため、どのような対策を講じているのか。

  1. 県内における令和5年の発生状況は、家畜では、高病原性鳥インフルエンザが5件、サルモネラ感染症が2件、豚丹毒が6件であり、野鳥では、カモ類の糞便から鳥インフルエンザウイルスが確認された例が2件ありました。
  2. このため、県では、農場における消毒の徹底指導や、いのしし防護柵や防鳥ネットなど野生動物の侵入防止に係る経費への助成に加え、高病原性鳥インフルエンザの感染情報については、関係部局や市町村、関係団体等と共有を図っているところです。

(2)人獣共通感染症に対するワンヘルス・アプローチという考え方に関する県の認識はどうか。また、県は人獣共通感染症に対してどのように取り組んでいるのか。

  1. 人獣共通感染症は、全ての感染症のうち約半数を占めており、その課題に対しては、人・動物・環境の3分野の関係者が協力し、分野横断的に解決に向けて取り組むワンヘルス・アプローチの考え方が重要であると認識しています。
  2. 国においては、この考え方を広く普及・啓発し分野間の連携を推進しているところであり、県においても、野鳥や家きんの鳥インフルエンザの発生について、関係部局間で情報共有する等、対応を行っているところです。
  3. 今後も、ヒトと動物、それを取り巻く環境は、相互につながっていると包括的に捉え、部局横断的に取組を進めてまいります。

【再質問】
新たなパンデミックに備えて、早期に具体的な連携体制を構築する必要があると思うがどうか。

県では日頃から、動物由来感染症の発生状況や保有状況の把握、家畜等における飼養衛生管理の推進など、部局横断的に取組を行っていますが、人獣共通感染症対策には各分野の連携が重要であり、引き続き、協力体制の強化をしてまいります。

【要望】
千葉県としても、福岡県の取組に学ぶなど、推進体制の構築を急ぐよう強く求める。

2.成田空港機能強化に伴う効果を印旛地域全体の活性化につなげていく必要があるが、県として今後どのように取り組んでいくのか。

  1. 成田空港では、第3滑走路の新設など更なる機能強化に伴い、様々な業種で雇用が生まれ、空港内の従業員は、現在の4万人から約7万人まで増加すると見込まれます。
  2. こうした中、空港を支える人材を地域から輩出し、地域活性化につなげるため、県では、航空関連企業等へのヒアリングなどにより人材ニーズの把握を行うとともに、成田空港活用協議会や空港会社が、印旛地域をはじめ県内各地において、小学生の空港見学会から就職希望者の合同企業説明会まで、幅広い取組を実施しています。
  3. また、印旛地域では、地域振興事務所と管内各市町が連携し、空港の機能強化の効果を取り込み、地域の活性化につなげられるよう研究を進めていくこととしており、今後も、地域の発展に向けて取り組んでまいります。

【要望】
成田空港機能強化に伴う地域づくりについて、振興事務所と管内各市町の連携について、研究を進めていただけるとのご答弁、ありがとうございます。

先日、連合議員団で成田国際空港株式会社を訪問し、ご説明を受けてきました。空港内の事業者数は、約600、従業員数は約3万6千人、このうち佐倉市と酒々井町に居住されている方は、約2,700人とお聞きしました。成田市が一番多くて、約13,000人で4割弱。この人数に次ぐ数となっております。印旛地域全体の人口減少が進む中、空港で働くことを選んでもらえる魅力ある就労環境、また、住みたくなるまちづくりに向けて、引き続き市町と県が力を合わせていただくよう重ねて要望いたします。

3.県は、国立歴史民俗博物館を含む県内博物館等との連携をどのように進めていくのか。

  1. 県では、県内博物館と連携し、千葉県誕生150周年記念事業「写真で見るちばのあゆみ」の巡回展や共同研究、資料の相互借用等を実施するとともに、県内の博物館で構成される「千葉県博物館協会」において合同研修会等を行っているところです。
  2. 特に、国立歴史民俗博物館とは、本年4月に包括連携協定を締結し、広報の強化を図るとともに、県立中央博物館と「千葉県の海藻文化と東アジア」等についての共同研究を開始し、成田空港の利用者を始め、多くの方が本県に来訪いただけるよう取り組むこととしております。
  3. 県内の博物館が、本県の豊かな自然や歴史等の様々な魅力を協働して広く発信することにより、一層の博物館活動の活性化や地域振興を図ることができるよう連携を深めてまいります。

【要望】
中央博は総合博物館としてリニューアルを目指していますが、1989年に自然誌博物館として設置された歴史と知の集積についても、しっかりと次世代に継承し、さらなる発展につなげていただくようお願いいたします。

4.県として、プレコンセプションケアセンターを設置し、積極的に取り組む必要があると考えるがどうか。

  1. プレコンセプションケアは、女性やカップルが将来の妊娠を考えながら自分たちの生活や健康に向き合い、心身の健康管理を促す大切な取組と認識しています。
  2. 県では、学生等に向け、必要となる知識や情報を学び、将来のライフイベントについて考える機会となるセミナーを開催しているほか、「千葉県不妊・不育専門相談センター」を設置し、自身も不妊の経験を持つ「ピアカウンセラー」や、専門性が高い「不妊症看護認定看護師」を配置して支援の充実を図ってるところです。
  3. 引き続き、正しい知識の普及・啓発に努めるとともに、国の動向や他県の状況を踏まえ、プレコンセプションケアに関する関係機関の連携など、必要な取組について研究してまいります。

【要望】
福岡県のセンターを参考にし、県助産師会との意見交換等についての検討を要望する。

5.特定妊婦等への支援について

(1)特定妊婦等の支援にあたって、県として妊産婦等生活援助事業を早期に実施すべきと思うがどうか。

  1. 妊産婦等生活援助事業は、家庭生活に支障が生じている特定妊婦や出産後の母子等に対する支援の強化を図るため、支援計画の策定、相談支援、生活支援等を行う事業で、本年度から新たに制度化された。
  2. 県では、現在、事業実施に向けて、支援を行う母子生活支援施設の認定などの準備を進めており、今年度は、1施設での実施を見込んでいる。
  3. 今後とも、母子生活支援施設をはじめとする関係機関との連携により、支援が必要な妊産婦等が安心した生活を行うことができるよう取り組んでいく。

【要望】
「妊産婦等生活援助事業」の早期実施について、民間がこれまで行ってきた女性支援の現場・実践から学ぶことが重要と感じている。千葉県においてもこの点に留意し特定妊婦の支援にしっかり取組むよう要望する。

(2)県内市町村におけるこども家庭センターの設置状況はどうか。また、設置促進に向けて、県はどのように支援していくのか。

  1. 本年4月に施行された改正児童福祉法において、市町村は、妊産婦、子育て世帯、こどもに対する包括的な支援等を行う中核的な機関として、こども家庭センターの設置に努めることとされ、本県では、現在、23の市町村が設置しています。
  2. 県では、市町村の担当課長会議において、こども家庭センターの役割等について有識者による講演を行うほか、市町村の要望に応じ、アドバイザーを派遣するなど、こども家庭センターの設置を促進しているところです。
  3. 今後とも、こども家庭センターの全市町村への設置に向け、未設置の市町村に対し、必要な助言や情報提供を行うなどにより、設置を働きかけてまいります。

6.こどもホスピスについて

(1)いわゆる「こどもホスピス」について、県内の動きはどうか。また、県として今後どのように取り組んでいくのか。

  1. 国では、いわゆる「こどもホスピス」など、小児がんの患者や小児慢性特定疾病を抱える児童、重症心身障害児等が、家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の整備について検討しており、昨年12月に発表した「こども大綱」においても全国普及に向けた取組を進めることとしています。
  2. 県内では、一昨年、民間団体が「ちばこどもホスピスプロジェクト」を立ち上げ、こどもとその家族を対象とした交流と憩いのイベントや、ホスピスに携わるボランティア向けに基礎知識を学べる研修会等が開催されており、その設立フォーラムに県も後援したところです。
  3. 今後とも、国の動きを注視するとともに、関係団体や市町村等の意見も伺いながら、こどもホスピスに対する支援等について研究してまいります。

【要望】
国の令和7年度概算要求には、「仮称こどもホスピス支援モデル事業」1億2千万円が新規・推進枠として盛り込まれている。関係者による協議会の開催、管内のLTCにあるこどもの実数等を把握するための実態調査の実施、地域型こどもホスピスの取組支援に全額国費が充てられる。千葉県として、ぜひこの新規モデル事業に手をあげていただき、こどもホスピスの施策化に向けて取り組んでいただきたい。早期の検討を強く求めたい。

(2)千葉県こども病院において、LTCのこどもへのケアや支援をどのような体制で行っているのか。

  1. こども病院では、院内学級の開設や各病棟への保育士の配置に加え、多職種で構成する緩和ケアチームを設置し、生命を脅かす状態いわゆるLTCのこどもを含めた全ての患者及びその家族に対して、身体の痛みや精神面の不安などのケアを行っています。
  2. 緩和ケアチームは、医師、緩和ケア認定看護師を含む看護師、薬剤師、心理士、チャイルドライフスペシャリストなど多様な専門知識を持つ職員で構成しており、定期的に病院内をラウンドし、相談・支援を行っています。
  3. こども病院は、県全域を対象とする県内唯一の小児専門病院として、LTCのこどもを含めた緊急・重症の患者を多く受け入れております。引き続き、患者及び家族へのケアを行いながら、小児の高度専門医療を提供してまいります。

7.農地の保全活用と担い手の確保について

(1)新規就農者を確保するため、さらなる取組が必要だがどうか。

  1. 新規就農者を確保するためには、県内外の幅広い人材が本県農業に興味を持ってもらうことで、就農を希望する方を増やすとともに、就農に向けた準備をサポートすることが重要です。
  2. そこで県では、昨年度から民間のウェブサイトを活用し、本県農業の魅力や高い収益を上げている事例を発信しているほか、県内外での就農相談会の実施に加え、新規就農者に対する就農前後の資金交付や技術指導など伴走型支援を行っているところです。
  3. また、就農に関心のある移住希望者を対象とした都内での説明会や現地見学会に取り組むとともに、今年度からは、県内10校の経済系大学の学生を対象に、多角経営で成功している県内の農業法人を訪問して話を聞く機会を設けるなど、就農意欲を喚起する対象を広げ、新規就農者の更なる確保に取り組んでまいります。

(2)担い手への農地中間管理機構を通じた農地の集積・集約化の取組状況と課題はどうか。

  1. 県では、担い手への農地の集積・集約化を推進するため、平成26年度から、農地中間管理機構を介した農地の貸借などを推進してきたところです。
  2. その結果、令和5年度末の農地の集積面積が耕地面積に占める割合は、目標の51%に対し、約30%にとどまっており、これは区画が小さく排水が悪い農地など、耕作条件が整っていないことや、貸出希望の農地が散在していることなどが課題となっているものと認識しています。
  3. そのため県では、農地中間管理機構の取組を引き続き周知するほか、地域計画に位置付けられた担い手へ農地の集積・集約化がさらに進むよう、国の事業も活用しながら、取組を進めてまいります。

【再質問】
荒廃農地の解消に向けて、他県の事例に学ぶなど県のさらなる取組が必要と考えるがどうか。

  1. 県では、農地中間管理機構を介した担い手による耕作条件の改善支援を行うとともに、県内の耕作放棄地解消の事例集を活用した普及啓発に取り組んでいるところです。
  2. 今後は、他県の取組事例も参考にしながら、荒廃農地のさらなる解消に向けて取り組んでまいります。

【要望】
食糧安全保障の根幹は農地と担い手の確保である。千葉県における食糧自給率の維持確保に向けて、他県の取組事例も参考にしならがしっかりと取り組んでいただきたいと思う。

8.日本語指導が必要な児童生徒に対する教育環境の整備について

(1)県内の小・中学校における日本語指導担当教員の配置状況はどうか。担当教員の確保に向けて、どのように取り組んでいるのか。

  1. 年々増加する、日本語指導が必要な外国人児童生徒に対応するため、県教育委員会では、国の加配を受け、日本語指導担当教員を、今年度、公立の小学校88校、中学校23校に配置しています。
  2. 昨年度と比べ、小学校2校、中学校1校をそれぞれ増やしたところですが、12の市町村においては、対象児童生徒の人数が国の教員配置基準に満たないことから、担当教員が配置されていない状況となっています。
  3. 今後とも、外国人児童生徒が少数在籍する学校に対しても、加配が拡充されるよう国に要望するとともに、採用に当たっては、特別免許状の授与等による指導実績のある人材を登用するなど、担当教員の確保に努めてまいります。

【要望】
日本語指導担当教員の適切な配置をしっかりと進めていただきたい。

(2)各市町村教育委員会における日本語指導の取組状況はどうか。また、県教育委員会としてどのように支援していくのか。

  1. 今年度、日本語指導を必要とする児童生徒に対し、千葉市など9市が国の補助事業を活用して、授業の補助をする支援員の配置、翻訳機の導入、別室での日本語指導などに取り組んでいます。
  2. 県教育委員会としては、市町村担当者を対象とした会議の開催等を通して、国の補助事業の活用方法などを周知し、より多くの市町村において、日本語指導が必要な児童生徒への取組が進むよう支援してまいります。

【再質問】
市町村の個別の実情に応じた支援を行うために、県教育委員会はどう取り組むのか。

県教育委員会としては、日本語指導に携わっている教員等を対象とする会議や、各教育事務所による学校訪問を通じて、市町村や学校が抱える指導上の課題等を把握した上で、有識者の知見を踏まえながら、好事例の紹介や改善策の提案を行ってまいります。