平成26年6月定例議会 一般質問

原発事故子ども・被災者支援法について

入江あき子
質問
入江あき子

おはようございます。佐倉市選出、市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。

きょうは朝から傍聴においでいただきまして、ありがとうございます。また、きょう6月23日は沖縄戦から69年目になります。平和憲法を持つ意義を改めて考え、きょうは行動していく日にしたいと思います。

それでは、早速通告に従い質問に入ります。

初めに、知事の政治姿勢についてです。

原発事故子ども・被災者支援法について。昨年10月、政府は原発事故子ども・被災者支援法の基本方針を閣議決定。支援対象地域を福島県内33市町村に限定し、法の理念は骨抜きにされています。先月21日、私も所属する「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟は基本方針の見直しや緊急課題の解決を求め、政府交渉を行いました。とりわけ子供の健康被害を未然に防止するための健康管理体制と医療・保健支援が急ぎ求められています。

そこで2点伺います。

1点目、国に基本方針の見直しを求め、汚染状況重点調査地域に指定された佐倉市を初め県内9市を含めて追加被曝線量年間1ミリシーベルト以上の全地域を支援対象地域とするように働きかけるべきと考えるが、どうか。

答弁
答弁
防災危機管理部長

私からは原発事故子ども・被災者支援法に関する御質問のうち、支援対象地域についての御質問にお答えをいたします。

国が策定いたしました基本方針では、各種支援策を網羅的に実施する地域といたしまして、避難指示区域と連続する福島県内の33の市町村を支援対象地域としております。

また、これら以外の地域におきましても、それぞれの施策の趣旨、目的等を踏まえました上で、支援対象地域に準ずる地域として必要な施策を講じていくこととしております。

このうち、外部被曝線量の測定や健康管理に関する支援策などにつきましては、その対象地域が明らかになっておりません。現在、関係省庁におきまして具体的な検討を行っていることから、県としては、その動向を注視しております。
以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、9市における子供への健康影響をどのように把握しているのか。

県が低線量被曝の健康被害を防ぐため、子供の定期的な健康管理調査を実施するよう求めるが、どうか。知事の御見解をお聞かせください。

答弁
答弁
保健医療担当部長

私からは原発事故子ども・被災者支援法関連1問と医療・介護関連2問につきましてお答え申し上げます。

まず初めに、子供への健康影響の把握と子供の定期的な健康管理調査の実施についての御質問でございます。柏市、松戸市などが市民の不安軽減を主な目的として、内部被曝線量測定を希望する方に対し費用の助成を行い、また、その測定状況等を公表していることについては把握しております。子ども・被災者支援法では、健康調査については、国が必要な施策を講ずることとされていることから、国において専門家会議が設置され、これまでの会議において、事故後の放射線による健康影響の評価等について議論されています。県としては、国の責任による被災者支援施策の実施に向け、放射線による健康影響について、専門的見地からの検討を着実に実施するよう要望してまいります。

医療、介護について

入江あき子
質問
入江あき子

2項目、医療、介護について。

地域包括ケアシステムについてお伺いします。先日、国会で医療・介護推進法が成立。今後、2025年、75歳以上高齢者激増に向けて施設から地域へ、医療から介護へ在宅医療にシフトする流れの中で、保健、医療、介護、福祉の連携、地域包括ケアシステムの構築が求められているところです。

先月、会派で地域包括ケアシステムの発信地広島を訪れ、公立みつぎ総合病院、尾道市立市民病院、そして広島県庁でお話を伺ってきました。国に地域包括ケアを提唱し、実践してこられたのは、みつぎ総合病院名誉院長である山口昇医師です。人口8,000人の中山間地にあるみつぎ総合病院では、25年ほど前から医療の出前、訪問看護、訪問リハビリをスタートし、町行政を動かして医療と福祉の壁を取り払い、寝たきりゼロ作戦を展開しました。その結果、10年間で寝たきり高齢者が3分の1に減少、国保医療費もダウンしました。一昨年には広島県地域包括ケア推進センターを創設。県内125ある日常生活圏域ごと、地域特性に合った地域包括ケアをつくるため、多職種連携の支援、人材の確保、地域リハビリテーションの推進、相談機能の強化など、県が全面的にバックアップしています。 特に参考になったのは見える化、可視化の取り組みでした。具体的には、地域のニーズを把握するために医療・介護レセプト等を解析して地域診断カルテを作成。その情報をもとに、何をいつまで実現するかロードマップ化し、27年度から実行するというように着実に進められています。全国に向けて発信する広島県の取り組みに千葉県も学び、市町村の取り組みを積極的に支援してほしいと思います。 そこで4点質問いたします。

1点目、地域包括ケアシステム構築に向けた市町村の現状と課題はどうか。

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答弁
森田健作知事

市民ネット・社民・無所属の入江晶子議員の御質問にお答えいたします。

医療、介護についてお答えいたします。

地域包括ケアシステム構築に向けた市町村の現状と課題はどうかとの御質問でございます。市町村においては、現在の介護保険事業計画で医療との連携、生活支援サービスの充実などを優先事項として計画に位置づけ、地域包括ケアシステムの構築に向け取り組みを進めているところでございます。地域包括ケアシステムの中核となる事業のうち、本県では、現在、定期巡回・随時対応サービスが11市、在宅医療連携拠点事業が4市で進められておりますが、今後は医療と介護の連携を進め、より多くの市町村での取り組みが求められております。県では、定期巡回・随時対応サービスが普及するよう運営費を補助するとともに、在宅医療連携拠点事業の検証結果を情報提供するなど、地域包括ケアシステムの構築に向けて市町村を支援してまいりたい、そのように思っております。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、広島県地域包括ケア推進センターの推進体制を参考に、本県でも地域包括支援センターの機能強化や多職種連携の取り組みをさらに進めてほしいが、どうか。

答弁
答弁
健康福祉部長

私からは医療・介護関係1問、それから児童福祉関係4問、障害者福祉関係2問について、合計7問にお答え申し上げます。

まず最初に、地域包括支援センターの機能強化や多職種連携に取り組むべきではないかとの質問です。県においては、市町村が設置する地域包括支援センターの業務を支援するため、センター職員を対象とした研修会を実施するとともに、多職種の専門的視点を交えて地域課題を解決する地域ケア会議へ助言者を派遣するなどの支援を行っております。広島県では、平成24年6月から県が設置した広島県地域包括ケア推進センターにおいて、市町村の取り組みを一元的に支援していると聞いております。県といたしましては、地域包括ケアシステムの構築に向け、広島県の取り組みを参考に、引き続き地域包括支援センターの機能強化や多職種連携を図ってまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、地域包括ケア推進の鍵となる医師会との連携をどのように進めていくのか。

答弁
答弁
健康福祉部長

地域包括ケア推進の鍵となる医師会との連携はどのように進めていくのかとの御質問でございます。地域包括ケアを推進するためには、在宅医療の提供体制の整備、充実は重要でございます。そこで、県では在宅医療を担う人材を育成するため、千葉県医師会が設置、運営する千葉県地域医療総合支援センターに対して支援をしております。これまでこのセンターでは、在宅医療で中心的な役割を期待される医師を対象とした研修や、市町村職員や介護関係者とのネットワークづくりを目的とした研修などを実施してきたところでございます。今後、県医師会と連携し、在宅医療提供体制の拡充のため人材育成などに取り組んでまいりたい、そのように思っております。 私からは以上でございます。他の問題につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

入江あき子
質問
入江あき子

4点目、回復期リハビリテーション病棟の整備状況はどうか。特に印旛保健医療圏の整備率は県内で最も低く、人口10万人に対して24床にとどまっています。今後の見通しについてお伺いします。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、回復期リハビリテーション病棟の整備状況はどうか。また、印旛保健医療圏の今後の見通しはどうかとの御質問でございます。県では、回復期リハビリテーション病棟整備を全県的に促進するため地域医療再生基金を利用し、病院が行う回復期リハビリテーション病棟整備に対する支援を行ってきたところであり、平成23年度から25年度までの3年間で合計590床分の整備に対する補助を実施いたしました。なお、印旛保健医療圏では、平成24年3月に回復期リハビリテーション病床についても病床配分を行ったところでございまして、今後、各病院の整備が進むことにより病床数の増加が図られる見込みでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、東千葉メディカルセンターについてお伺いします。ことし3月末に県立東金病院が閉院、4月から後継の医療機関として、新たに救命救急センター併設の東千葉メディカルセンターがオープンしました。東金、九十九里両市町が設置主体となり、16の診療科、146床で部分開院しました。2003年、山武地域医療センター構想から紆余曲折を経て当センターが設置されたのは、山武長生夷隅保健医療圏に3次救急がなく、管外搬送率が高いという理由からでした。その一方、管外搬送率の増加は医師不足が大きな原因と指摘する県内医療関係者も少なからずいます。具体的には、2004年度導入された新医師臨床研修制度により、県立東金病院の内科医師が12人から2人に激減、その余波で旧成東病院の内科医師9人が2006年3月に一斉退職し、2次救急体制が崩壊したことが原因というのが現場の認識です。県は、一昨年からセンター建設費として85億6,000万円の財政支援をスタートしましたが、地域医療の担い手は市町村主体でというスタンスを変えようとしていません。しかし、県みずからが再び医療崩壊を誘発することのないよう、センターの今後の運営を含め、地域住民のニーズに応える医療環境を整備していく、そのための責任をしっかりと果たすべきです。

そこで伺います。当センターの3次救急にかかわる財政負担問題、フルオープンに向けた28年度末までの医師、看護師の確保等の諸課題について、県は今後どのように責任を果たしていくのかお答えください。

答弁
答弁
健康福祉部長

最後に、東千葉メディカルセンターに関して、県は今後どのように責任を果していくのかとの御質問でございます。県では東千葉メディカルセンターに対して、県立東金病院の医療機能を引き継ぐ地域の中核病院として安定した運営が行われるよう、これまで包括的な支援を行ってきたところです。なお、3次救急に対する周辺市町村による財政負担については、東千葉メディカルセンターの開院後の実績なども見ながら、設立団体である東金市、九十九里町と対応を協議してまいります。また、フルオープンに向けて課題が生じた場合は、東千葉メディカルセンターと設立団体が責任を持って対応するものと考えております。県といたしましては、引き続き人的支援や財政的支援を行ってまいります。
私からは以上でございます。

児童福祉について

入江あき子
質問
入江あき子

3項目、児童福祉についてです。

児童相談所、一時保護所についてお伺いします。千葉県でも児童虐待件数が増加の一途をたどる中、子供の命を社会全体で守る取り組みをさらに進めなければなりません。先月29日、君津と東上総児童相談所を視察しました。両相談所の一時保護所では、幼児から高校生までが寝食をともにし、職員は月五、六回の宿直体制で24時間支えています。6市10町1村を管轄する東上総の虐待相談件数は昨年度県内トップの伸び率であり、通報が集中した場合の対応や里親委託の現状など、多くの課題を知ることができました。

これまで県内5カ所の児童相談所、県立乳児院や生実学校を視察してきました。施設の老朽化、狭隘化の問題から時代の変化に伴う機能強化の必要性など、ハード、ソフト両面での抜本的な見直しが迫られていると感じます。さまざまな事情を抱え、心身ともに傷ついている子供たちと日々向き合い、温かく支える現場職員の皆さんに改めて感謝申し上げ、質問に入ります。

1点目、児童相談所及び一時保護所における対応件数はそれぞれどのように推移しているのか。また、職員体制については必要な専門職が十分に配置されているのか。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、児童相談所及び一時保護所の対応件数と専門職の配置についての質問です。県が設置いたします児童相談所における相談対応件数は、平成23年度が1万2,006件、24年度は1万3,249件、25年度は1万3,568件、また、一時保護人数は23年度704人、24年度864人、25年度940人となっております。また、職員の配置につきましては、児童福祉司や児童心理司の増員を段階的に図っているところであり、3年間では児童福祉司は17人、児童心理司は7人ふえておりますが、相談件数の増加に対応するため、今後も人員の確保に努めてまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、児童相談所の所管区域の見直しや施設の移転、改修、県立乳児院の今後のあり方、生実学校の自立支援寮の整備等、さまざまな検討課題に対して、いつまでに結論を出し着手するのかお伺いします。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、児童相談所、それから県立乳児院、生実学校に係る検討課題についての御質問でございます。児童相談所の所管区域の見直しや建てかえ、県立乳児院の今後のあり方、義務教育を終了した児童のための自立支援寮の生実学校への設置などは、いずれも大変重要な課題であると考えております。現在、これらの課題については、児童相談所の相談対応件数や施設における児童の受け入れ状況などを踏まえ、今後のあり方を検討しているところでございます。なお、施設の整備につきましては、県有施設全体の計画的な整備に向けた全庁的な見直しの取り組みと整合を図りながら検討を進めてまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、家庭的養護、施設の小規模化についてです。国は、今後15年間でグループホームや里親委託をふやしていく計画策定を求めています。この取り組みを進めるためには、児童養護施設を初めとする民間との連携、県民の理解や協力が不可欠です。 そこで2点伺います。

1点目、家庭的養護推進計画の策定を各施設に求め、それを踏まえて県の計画を策定すると聞いているが、進捗状況はどうか。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、家庭的養護の推進に係る県の計画策定についての御質問です。県では、国が示しております施設の小規模化と家庭的養護の推進の方針に沿った家庭的養護推進計画の策定を児童養護施設及び乳児院に要請しており、各施設の計画を踏まえた県の推進計画を策定することとしております。現在、各施設において計画を策定しているところであり、今後、施設の定員規模の設定、改築や大規模修繕の時期等について各施設と調整を行い、県推進計画を策定してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、家庭的養護を進めるために、県民に広く支援を呼びかける取り組みが必要と考えるが、どうか。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、家庭的養護を進めるために、県民に広く支援を呼びかける取り組みについての御質問です。児童虐待の増加などにより保護者の適切な養育を受けられない子供は、平成25年度には県内で約1,200名となっております。これらの子供たちが家庭的環境の中で安心して生活し、人との適切な関係のとり方を学んだり、身近な地域社会で必要な社会性を獲得するためには県民の協力が欠かせません。児童養護施設などでは、地域行事への参加や講演会の開催など、地域との交流を進めておりますが、県といたしましても、社会的養護を必要とする子供たちへの支援への理解を深めていただけますよう、今後も広報に努めてまいります。

障害者福祉について

入江あき子
質問
入江あき子

4項目、障害者福祉についてです。

昨年11月、重い知的障害のある19歳少年の命が奪われた千葉県袖ヶ浦福祉センターにおける虐待暴行死事件。その後の調査で、過去10年間で15人の職員が23人の施設入所者や利用者に虐待暴行を行ってきたことが明るみになりました。なぜこのような信じがたい人権侵害が行われ、なおかつ封じ込められてきたのか。この一連の事件を通して問われているのは、委託先の県社会福祉事業団のあり方はもとより、県の障害福祉施策を行う上でのビジョン、取り組み姿勢です。

先月8日、強度行動障害にかかわる県の事業を委託している社会福祉法人菜の花会を視察し、モデル事業であるケアホームと強度行動障害者支援研修についてお話を伺いました。明確なビジョンと行動計画に基づき、知的障害者への支援活動を行っている当事業者初め民間から県が学ぶべきことは多くあると感じています。国の基本指針で示された施設から地域へ、地域移行というメーンテーマに県は本気で取り組むのか。袖ヶ浦福祉センターという大規模入所施設を今後どのようにするのかも含め、しっかりと議論を深めていく必要があります。
そこで第五次千葉県障害者計画策定について2点伺います。

1点目、障害者の地域移行の進捗状況はどのようになっているのか。特に強度行動障害者グループホームの開設については、建設補助予算の拡大、改修補助の新設、職員配置加算を求める声も現場から上がっています。県に前向きな検討を求めるが、どうか。

答弁
答弁
健康福祉部長

次に、障害者の地域移行の進捗状況や強度行動障害者グループホームの開設に係る支援についての御質問です。第四次千葉県障害者計画においては、平成18年度から平成26年度末までの入所施設からグループホーム等への地域生活への移行者数の目標を1,500人としており、平成24年度末までに1,133人が移行しております。強度行動障害のある方も地域生活へ移行できるよう、県においては、平成25年度から27年度までの3年間のモデル事業として、障害特性に応じ、構造の工夫したグループホームの整備費用と生活支援員を加配するための費用を一体的に助成するモデル事業を実施しているところです。本年4月から、入所施設の利用者が本モデル事業で整備したグループホームでの地域生活を開始したところであり、この成果や課題を検証しながら、地域生活への移行に向けた支援のあり方について検討を進めてまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、地域生活をバックアップするために相談支援や緊急時の対応等を行う支援拠点の整備を図るべきと考えるが、どうか。以上、お答えください。

答弁
答弁
健康福祉部長

最後に、地域生活をバックアップするために支援拠点の整備を図るべきであると考えるが、どうかの質問でございます。本年5月に国が示した都道府県障害福祉計画の策定に当たっての基本指針では、平成29年度末までに各市町村または障害福祉圏域に少なくとも1カ所、地域生活支援拠点等を整備することを基本とされております。この支援拠点は、地域生活への移行等に係る相談、ショートステイによる緊急時の受け入れ、本人と地域の関係機関とのコーディネートなどの機能を集約するものとされ、地域生活のバックアップが期待されております。県といたしましては、今年度中にこの指針をもとに次期障害者計画を策定することとしており、今後策定をしていく中で障害者総合支援協議会等の御意見を聞きながら、障害者支援施設の活用も含めて支援拠点の整備について検討してまいります。
私からは以上でございます。

利水政策について

入江あき子
質問
入江あき子

5項目、利水政策についてです。

人口減少にもかかわらず、千葉県ではさらなる水源確保が必要とし、八ッ場ダムを初めとする新規水源開発に巨額の負担金を支出しています。その根拠となるのが、平成32年度を目標年次とする千葉県長期水需給調査結果です。これまで本会議や常任委員会で過大な水需要予測を見直し、必要性を失ったダム建設からの撤退を求めてまいりました。

私の地元佐倉市の水道水は、地下水が65%、利根川の表流水が35%の割合です。ところが、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水が完成すると、地下水から表流水への転換が余儀なくされ、25本の井戸が閉じられます。地下水の割合が25%に減らされ、水道料金が1.5倍にはね上がります。これまで佐倉市議会では千葉県に対し、おいしくて安価な地下水を守り飲み続けたいと、県環境保全条例の見直しを求める意見書を提出してきました。一方、県内、ほかの水道事業体においても十分な保有水源があり、水余りの状態にあります。必要のない公共事業を国の言うなりに進め、自然環境を破壊、次世代に借金をつけ残すことは財政面からだけではなく、道義的にも問題です。水循環の健全化や持続可能性を考えるならば、地下水や水利権を取得したのに使っていない未利用水利権も含めて、今ある水資源をいかに有効活用するか、これを第一に考えるべきだと思います。

議長にお許しを得て、お手元に資料を配付させていただきました。ごらんいただければと思います。1枚目の資料1には県全体、資料2は県水道局の水需給予測と実績のグラフを示してあります。私がお示ししていますのは、千葉県全体の水需給予測と実績のグラフとなっております。いずれも実績は横ばい、そして暫減傾向──だんだん減っている、そんな傾向が読み取れるかと思います。 そこで2点質問いたします。

1点目、県内水道事業体の未利用水利権及び新規水源開発による水量は日量換算でどのぐらいあるのか。水資源の有効利用や財政的観点から、未利用水利権の活用や水利権の転用等の調整をなぜ県は進めないのか。

答弁
答弁
副知事

私からは利水政策2問についてお答えをいたします。

まず、水道用水に係る未利用水や新規開発水量の状況、水利権の転用等の調整についての御質問です。既に供用を開始していますダムなどの水資源開発施設に係る参画水量のうち、現時点で使われていない水量は6水道事業体で、合わせて最大毎秒1.238立方メートル、日量に換算しますと10万立方メートル強となります。また、八ッ場ダム等、現在開発が進められている施設に係る参画水量は、3施設で毎秒3.923立方メートル、日量に換算すると33万立方メートル強となります。これらの水量は、各事業体が将来必要として参画したものであり、また、使う見込みがなくなった水については、これまでも房総臨海地区の工業用水や宅地化が進んだ江戸川周辺の農業用水を水道用水に転用する等の調整を図ってきたところです。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、千葉県における直近の水道用水の1日最大給水量及び給水人口はどのようになっているのか。過大な長期水需給予測の見直しを行わないのはなぜかお伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

続きまして、水道用水の給水状況と長期水需給予測の見直しについての御質問です。県内の水道用水における平成24年度の1日最大給水量は約203万立方メートルで、給水人口は約587万人となっています。千葉県の長期水需給予測は、平成32年度を目標年度として、各水道事業体がこれまでの実績に加え、それぞれの地域の実情や将来計画などを踏まえながら、渇水等の非常時においても安定的に水を供給できるように推計したものであり、現時点では妥当なものと考えております。私からは以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、治水政策についてです。

先ごろニホンウナギが絶滅危惧種に指定されました。千葉県内でも、12年前に22トンあった漁獲量が3年前には6トンに激減しました。利根川水系においても、ダムや河口堰、護岸工事等による河川環境の変化でウナギの生育環境が悪化したとする調査結果も多く発表されております。1997年、河川法改正があり、そのときには新たに環境保全と住民参加の視点が盛り込まれました。ところが、現在の河川行政はこの2つの理念を置き去りにし、真逆の方向に進んでいます。

昨年5月策定した利根川水系河川整備計画は過大な洪水流量を設定し、八ッ場ダムを強引に位置づけてしまいました。また、江戸川では、300年たっても完成しないスーパー堤防、利根川中流部、江戸川上中流部右岸では、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業に巨額の税金が投入され、工事が進められています。しかし、国交省が策定した治水計画は数字の上でのつじつま合わせ、いつまでたっても実現不可能な机上の空論と言わざるを得ません。近年、異常気象による局地的な豪雨など、計画規模を超える洪水が多発しています。国交省の水害統計を見ても、千葉県での水害被害は、川の氾濫はごく一部で、そのほとんどは内水氾濫によるものです。今、急ぎ進めるべきは脆弱な堤防の強化対策です。

お手元の資料4と5をごらんください。国交省の調査で、利根川の堤防の6割が脆弱という結果が出ていますが、国交省への開示資料をもとに県内箇所を示しました。見方ですが、安全度1に近づくほど堤防破壊の危険性が高くなります。河川工学者は、堤防を越流しても破堤しなければ被害は最小限に抑えられる、スーパー堤防の数十分の一以下の費用で済む耐越水堤防を優先的に進めるべきと国交省に申し入れています。流域住民の命や財産を守るためには、費用対効果を踏まえた実現可能な治水政策が求められています。また、私は昨年9月議会で滋賀県の流域治水、総合治水の考え方に千葉県もぜひ学んでほしいと質問いたしました。これらを踏まえ、2点質問いたします。

1点目、昨年10月の台風26号では、印旛沼流域の総雨量は264ミリメートル、印旛沼の最高水位は4.17メートルと歴代1位を記録しました。流域市町村における洪水被害はどのような状況だったのか。内水氾濫や超過洪水に備えて、関係自治体とともに流域の総合治水対策に取り組むべきと考えるが、どうか、お伺いします。

答弁
答弁
県土整備部長

私からは治水政策についての2問にお答えをいたします。

台風26号による印旛沼流域の市町における洪水被害の状況、また、関係自治体とともに流域の総合治水対策に取り組むべきではないかとの御質問でございます。印旛沼流域の佐倉市を含みます10市2町においては、台風26号により、内水と洪水被害を合わせ、1,586棟の床上・床下浸水被害があったところです。現在、印旛沼流域では、河川の整備とともに流域対策として、学校や公園などの公共施設を活用した雨水貯留浸透施設の整備や各家庭などでの雨水浸透ますの設置など、市、町と連携して流域の総合的な対策を行っています。さらに、今後も迅速な水防活動や住民避難を図るため、市、町に対する雨量や水位の情報の提供、洪水ハザードマップ作成支援などを行い、関係自治体との連携のもとで内水や洪水被害の軽減に取り組んでまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

また、2点目として、国が進める利根川・江戸川河川整備に伴う県の負担金支出はどのように推移しているのか。県内区間における脆弱な堤防箇所の状況及び強化対策の進捗はどのようになっているのかお伺いします。

答弁
答弁
県土整備部長

続きまして、利根川・江戸川河川整備に伴う県の負担金支出の推移及び県内区間の脆弱な堤防箇所についての御質問でございます。平成21年度から平成25年度までの最近5カ年間の負担金支出額は、平成21年度の約89億円から平成25年度の約14億円までの間で推移しております。国では、洪水時に重点的に巡視点検を行う重要水防箇所として、利根川、江戸川の千葉県区間に38カ所、約15キロメートルを定めております。千葉県区間の利根川の堤防整備状況については、必要区間約145キロメートルのうち約108キロメートルの、そして江戸川については、必要区間約82キロメートルのうち約53キロメートルの整備が完了しております。
私からは以上でございます

学校における安全対策について

入江あき子
質問
入江あき子

最後に、学校における安全対策についてです。

今から22年前、県立犢橋高校校舎4階のひさしから1年生の男子生徒が転落、全身を強打し、間もなく死亡しました。同様の転落事故が過去10年間で14件発生、そのうち3名の生徒が死亡しています。その後、文科省は、千葉での転落事故をきっかけに学校施設整備指針を見直し、94年以降に建築された学校施設にはひさしはなくなりました。しかし、千葉県の県立高校の多くがそれ以前に建てられているため、安全対策が急がれています。実際、私も事故が起こった学校現場を何校か視察し、その後、早急に安全対策を行うよう求めてきたところです。また、昨年5月には県立茂原樟陽高校で、サッカーゴール転倒による死亡事故も起こっています。

そこでお伺いします。県立学校における校舎のひさしからの転落防止、運動器具その他にかかわる安全確保など、危険箇所の点検及び対策をどのように進めてきたのか。学校現場での重篤なけがや死亡事例はなくなったのかお伺いします。

答弁
答弁
教育長

私からは、まず学校の安全対策に関する御質問にお答えします。

県教育委員会では、普通教室等のひさしのある窓に手すりやストッパーの設置を進め、平成24年度までに全て完了したところであります。また、昨年度、サッカーゴールによる事故が発生しましたことから、各学校に緊急の安全点検を指示し、危険な設備や備品等についての修繕や撤去を行いました。その上で、今年度中に全ての県立学校を訪問し、安全点検の実施状況の確認及び体育施設設備の点検を行い、安全管理の徹底と事故の再発防止に努めております。それぞれの対策を講じて以降、児童・生徒の重篤なけがや死亡事例は発生をしておりません。

入江あき子
質問
入江あき子

最後は、子供を化学物質による健康被害から守る取り組みについてです。化学物質過敏症は、一度発症すると長期にわたって健康被害に苦しむケースが多いのが特徴です。そこで、成長段階にある子供たちが発症することのないよう、学校現場での農薬や薬剤等の使用については厳しく規制していく必要があります。この3年間、私は学校安全保健課に政務調査を依頼し、県立学校における農薬、薬剤等の使用状況を調べていただきました。

そこで伺います。県立学校における農薬使用を減らす取り組みをどのように進めてきたのか。依然として危険な有機リン系農薬が使用されているが、今後、さらにどのように取り組んでいくのか。

答弁
答弁
教育長

次に、県立学校における農薬使用に関する御質問ですが、県教育委員会では、化学物質による児童・生徒の健康被害を防ぐため、平成21年2月に学校におけるシックハウス症候群・化学物質過敏症対応マニュアルを作成いたしました。これまで県立学校に対してマニュアルを活用し、学校薬剤師等の意見を聞いて農薬の使用を減らすなど、健康被害の防止に努めるよう指導してまいりました。今後ともマニュアルや国からの農薬使用に関する最新の情報に基づき適正な農薬使用について周知徹底に努めてまいります。私からは以上であります。

入江あき子
質問
入江あき子

以上で第1回の質問を終わります。(拍手)

再質問

入江あき子
質問
入江あき子

御答弁いただき、ありがとうございました。2回目の質問をさせていただきます。

まず初めに、知事の政治姿勢というところで原発事故子ども・被災者支援法にかかわる知事の御見解、今、国の動きが非常に停滞している中、県民の健康、特に子供の放射線からの健康被害を防ぐための、そういった国の施策が動かない中で、千葉県知事として、ぜひ国に支援対象区域にしっかりと含めるようにというような働きかけをしていただきたいと、これまでの議会でも申し上げてきました。御答弁がなかったのは大変残念であります。

再度知事にお伺いしますが、この健康管理調査、国の動向をいつまで見ているおつもりなのでしょうか。対応は一刻も早く急がなければならないというふうに私は思いますが、ぜひ知事にそのリーダーシップをとっていただき、千葉県の9市も対象区域に含めるように、国への働きかけを求めます。御見解を伺います。

答弁
答弁
保健医療担当部長

私からは子ども・被災者支援法関係1問並びに医療関係2問についてお答え申し上げます。

まず、健康調査につきまして、国の動向をいつまで見ているつもりなのかという御質問でございます。子供への健康調査につきましては、子ども・被災者支援法において、国が必要な措置を講ずるものとされており、現在、専門家会議で検討がまさに進められているところでございます。国の動向を注視してまいりたいと思います。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、医療と介護で地域包括ケアシステムのところですけれども、広島の取り組みを参考に進めていくというお答え、大変ありがとうございます。市町村の間で格差が生じる懸念があります。県がしっかりと市町村の取り組みをバックアップしていく、そういったことに力を入れていっていただきたいと思います。それで、県の医師会に1億2,000万円を出して今建設中の県の医師会館に千葉県地域医療総合支援センターを整備することになっておりますが、その事業展開について、千葉県としてどのようなことを求めているのか。これは質問いたします。

答弁
答弁
保健医療担当部長

続きまして、千葉県地域医療総合支援センターにおける事業展開はどのようになっているのか。また、今後どのように進めていくのかということでございます。これまでセンターでは、在宅医療に関する知識の普及や市町村職員、介護関係者とのネットワークづくりなどを行ってまいりました。今後、医療従事者などが在宅医療を実施する上で必要な実践力を高める研修などにも新たに取り組むこととしております。こうした積極的な取り組みを進められるよう、相談しながら取り組んでいきたいと思います。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、東千葉メディカルセンターについてです。

オープンに当たっては、医師や看護師の確保ということが本当に手当てできるのかということで大変心配されておりましたが、オープンはいたしました。しかし、26年度の病院の計画に照らして、現時点でどういうような状況になっているのかお伺いしたいと思います。計画では、病床の利用率70%、平均患者数1日88.2人、外来の平均患者数1日412.2人という、そういった目標が掲げられておりますが、2カ月たった現状はどのようになっているのか。その点お伺いしたいと思います。

答弁
答弁
保健医療担当部長

最後に、東千葉メディカルセンターの現状に関する御質問でございます。開院から5月末までの入院患者数は延べ人数で約3,000名、外来患者数は延べ人数で約2,900名となっております。また、救急車やドクターヘリなどを利用した救急患者数は5月末までで657名となっております。

私からは以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、児童福祉についてです。

先ほど児童相談所にかかわるいろいろな検討課題については、まだ結論が出ていないというお話でした。ぜひ庁内で結論を出すのではなく、児童養護施設を含めた民間の意見、そして社会福祉審議会といった専門家に諮って議論を十分深める中でさまざまな改革について決定していただきたいと思いますが、今後どのように進めていかれるのかお聞きします。

答弁
答弁
健康福祉部長

私からは養護施設等のあり方について、千葉県社会福祉協議会等できちっと議論を尽くしてもらいたい、そういう御質問です。養護施設等の施設のあり方につきましては、平成19年3月に社会福祉審議会から答申をいただいておりまして、それを基本として、その後の社会情勢や環境変化を考慮しながら今具体的な検討を進めているところでございます。今後、対応案を審議会にお示しして御意見はいただく考えでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、障害者福祉についてです。

地域移行のためのグループホーム建設を希望する事業者は多くあると聞いていますが、どのぐらいあるのか。また、そのための予算措置は十分とられているのかお伺いいたします。

答弁
答弁
健康福祉部長

地域移行のためのグループホームの創設等の希望者数という御質問だったと思いますけども、補助金の要望があった数は、平成25年度は53件ということになっております。

私からは以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、利水政策についてです。

私は、たびたび過大な水需給予測を見直すべきと訴えてきたわけですが、現時点では見直す予定がないという御答弁。その一方で、千葉県でも人口減少にかかわってプロジェクトチームが立ち上げられております。そこで、県の政策の見直しというのもいろいろ行われるというふうに理解しているんですけれども、現時点で千葉県の人口のピークはいつと予想しているのか。この水需給予測をするに当たっては、人口予測というものが一番大きな鍵になります。ですから、将来使うかもしれないから未利用水利権はとっておくとか、そういったことを言っているような財政状況ではないと思います。また、先ほどの未利用水にかかわる水量は教えていただきましたけれども、この使われていない未利用水利権を取得するに当たって、一体どれだけの税金が投入されているのか。その点について、しっかり把握していらっしゃると思いますので、教えていただきたいと思います。

答弁
答弁
副知事

まず、利水対策の関係での県の人口のピークでありますけれども、県の計画の中では、平成29年度がピークというふうに現在計画をつくっておりますけれども、各事業者のほうは水道普及率の向上にも努めておりますので、人口減少がそのまま水需要の減少につながるかどうかというふうなこと等々を考えますと、一昨年の渇水のように、非常時にも安定的に水が供給できるような水需給予測計画を現在各事業者でつくって、それを取りまとめておるところでございまして、現時点では妥当なものと考えておるところでございます。

それから、水需要に係る財政負担の問題でありますけれども、現在、新規水源開発に係る県内の財政負担は3事業合計で約499億円でありますが、そのうち八ッ場ダムの建設事業費が331億円、他の2事業につきましては、現在、妥当性について国のほうで検証作業を進めておるところでございます。 私からは以上です。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、治水政策についてです。治水対策、総合治水ということで内水氾濫、外水氾濫、いろいろな要因がありますので、さまざまな部署、また市町村と連携して総合治水を進めていく必要があると思いますけれど、どうも今までの県の動きを見ていますと、相変わらず縦割りです。実際、台風26号、この被害をどういうような──分析ですね。今後の対策をするに当たって、台風26号の被害については、流域の市町村及び庁内の担当課と一体どういうような分析をされ、どのような対策をとっていくのか。具体的にそういった協議の場というのは開かれたんでしょうか。その点について教えていただければと思います。

答弁
答弁
県土整備部長

私からは台風26号を契機として、関係機関などの連携はいかに図っているのかという御質問にお答えさせていただきます。

台風26号により、印旛沼流域では大きな浸水被害が生じたことから、昨年12月に、ここに関係いたします機関による、印旛沼に係る浸水被害軽減に向けた調整会議を開催しました。引き続き関係部署や地元市町村との連携のもとで浸水被害の軽減に努めてまいります。

私からは以上です。

入江あき子
質問
入江あき子

また、学校における安全対策については順次進めていただいているということです。これからもしっかりと安全対策、よろしくお願いいたします。

以上です。

御答弁ありがとうございます。千葉県も確実に人口減少に向かっています。そういった中で多額な税投入を必要とする、そういった従来からの公共事業を見直していかないと、財源難の千葉県政、これから高齢化が進む中で社会保障費がたくさん求められてきます。そういった抜本的なところをぜひ人口減少のチームでやっていただくように強く申し上げて質問を終わります。