平成25年9月定例議会 代表質問

原発事故子ども・被災者支援法への対応について

入江あき子
質問
入江あき子

皆さんこんにちは。佐倉市選出、市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。

会派を代表いたしまして質問を早速行います。

ありがとうございます。

初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。

1番目、原発事故子ども・被災者支援法基本方針への対応についてお伺いします。

東日本大震災から2年半が経過しましたが、東京電力福島第一原発は、事故発生から現在に至るまで、地下水の汚染水流出など深刻な事態が続いています。福島を初めとする被害者は、今なお放射能汚染と被曝の脅威にさらされており、15万人の人々が故郷を追われ、家族と別れて避難生活を余儀なくされております。こうした中、昨年6月に超党派による議員立法で全会一致で可決成立した、いわゆる原発事故子ども・被災者支援法に基づく施策の早期実行が待ち望まれています。しかし、政府はこの法律の基本方針を1年たっても定めず、ことし6月、復興庁幹部による中傷ツイッター問題で発覚したとおり、意図的に棚上げしたままでした。そして、去る8月30日、ようやく復興庁は原発事故子ども・被災者支援法の実施のための基本方針を発表しました。福島県内の33市町村を支援対象地域に指定し、個々の施策ごとに準支援地域とする案を発表し、9月23日までパブリックコメントにかけました。この法律では、放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分解明されていないことに鑑みて、居住、避難、帰還の選択を被災者みずからの意思で行うことができるよう国が支援することになっています。また、特に子供の健康影響の未然防止、健康診断及び医療費減免等が盛り込まれています。法第5条では、政府は支援対象地域の範囲や被災者生活支援計画などを含む基本方針を定め、その過程で被災者の声を反映することになっています。

しかし、発表された基本方針案には多くの問題点があります。まず、何よりも支援対象地域が狭過ぎること。全施策120のうち87の施策がことし3月に発表された被災者支援パッケージと全く同じ内容で、既存施策の寄せ集めになっていることなどなどです。同法律でも最も重要な避難の権利を保障する支援策は全く見られず、被災者の切実な声に応えていません。法の理念や目的は完全に無視されています。

そこで、以下3点お伺いします。

1点目、8月30日、国から示された基本方針案は、法の施行から1年2カ月も経過した上に、法の理念とはかけ離れた内容となっているが、知事はどのように評価しているのか。

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答弁
森田健作知事

市民ネット・社民・無所属の入江晶子議員の代表質問にお答えいたします。

まず、政治姿勢についてお答えいたします。

国が示した原発事故子ども・被災者支援法の基本方針案をどのように評価しているかとの御質問でございます。本県といたしましても、基本方針の着実な策定を国に対し要望していたところであり、時間を要したものの、ようやく基本方針の案が示されたと受けとめております。今後、国においては施策の具体的な内容について速やかに検討を進め、子供を初めとする被災者の生活支援に取り組んでいただきたいと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、支援対象地域については、原発事故による追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上となる全地域とするよう、汚染状況重点調査地域に指定された県内自治体からも国に意見が出されています。県としても国に働きかけるべきと考えるが、どうか。

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答弁
森田健作知事

追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上となる全地域を支援対象地域とするよう、県として国に働きかけるべきと考えるがどうかとの御質問でございます。基本方針案では、各種支援策を網羅的に実施する地域として、避難指示区域と連続する福島県内の33市町村を支援対象地域として定めております。また、これら以外の地域においてもそれぞれの施策ごとにその趣旨、目的等を踏まえた上で、支援対象地域に準ずる地域として必要な施策は講じていくこととされております。このように、外部被曝線量の測定や健康管理に関する支援策などについては、福島近隣県でも実施されるとされていますが、その具体的な対象地域は明らかにされておりません。今後、関係省庁において検討していくと聞いており、その動きを十分注視してまいりたいと思います。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、放射線量の高い県内地域での子供を初めとする住民の定期的な健康管理調査を県独自で実施するよう求めるが、どうか。

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答弁
森田健作知事

住民の定期的な健康管理調査を県独自で実施するよう求めるがどうかとの御質問でございます。子ども・被災者支援法では、健康調査については国が必要な措置を講ずることとしており、本年8月30日に示された基本方針案では、今後実施する被災者生活支援等の施策の1つとして、放射線による健康への影響調査、医療の提供等が示されております。しかしながら、この施策の取り組みの中で、福島近隣県を含め事故後の健康管理に関する検討を行うとされているものの、健康調査については対象地域の範囲など具体的なことが明確にされておらず、国が今後新たに開催する有識者会議で検討すると聞いていることから、その動向を注視してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2番目、再生可能エネルギーの推進について質問いたします。

昨年夏、政府が行った将来のエネルギー、環境に関する国民的議論のパブリックコメントでは、87%の市民が原発ゼロのシナリオを選択しました。しかし、その後自民党政権にかわり、安全性の担保もないまま原発推進へと方向転換しています。経済産業省は、来年度予算の概算要求で原発の維持拡大に向けた事業費を今年度より軒並み増額しています。一方、多くの市民が家庭や職場を初めとする身近なところで省エネに取り組み、太陽光を初めとする再生可能エネルギーに対する関心や設備投資も広がっています。自然環境や防災、低炭素社会づくりの観点からも、エネルギーの地産地消、自立分散型電源の普及拡大が急ぎ求められています。 また、国の電力システム改革の道筋が定まらない中、全国の自治体では先進的な取り組みが広がっています。長野県飯田市では、ことし4月、再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例を制定、市民力発電を初め、行政との協働で再生可能エネルギーを創出し、持続可能な地域づくりを目指しています。また、滋賀県ではことし3月、2030年を展望し、再生可能エネルギー振興戦略プランを策定しました。本県においても、脱原発社会の実現に向けて、エネルギー政策の長期的ビジョンや目標達成のためのロードマップを示し、市民や企業を初めさまざまなセクターと共通認識を図り、着実に取り組んでいくことが必要です。

そこで、以下2点お伺いします。

1点目、本県における再生可能エネルギー発電設備の設置状況と普及率はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

私からは、まず、再生可能エネルギーの関係についてお答えを申し上げます。

まず、再生可能エネルギーの導入状況に関する御質問でございますけれども、県内では、昨年7月から始まりました固定価格買取制度によりまして、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進んでおりまして、その規模は5月末時点で約105メガワットに達しておるところでございます。また、国の認定を受けている設備容量は約852メガワットでございまして、全国第7位、件数では第4位となっており、運転開始予定のものが700メガワットを超えておりますので、本県の再生可能エネルギーの導入量は今後さらにふえるものと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、温暖化防止や省エネを含めた総合的なエネルギー政策の実現に向けて、数値目標を盛り込んだ県独自のエネルギー戦略プランを策定し、全庁的に力を入れていくべきと考えるが、どうか、お答えください。

答弁
答弁
副知事

それから、続きまして県独自のエネルギー戦略プランを策定し全庁的に力を入れていくべきと考えるがどうかとの御質問でございますが、県では、「新エネルギーの導入・既存エネルギーの高度利用に係る当面の推進方策」を策定いたしまして、エネルギーの分散確保、環境負荷の低減及び地域経済の活性化を図ることを基本目標に、庁内横断的に取り組んでおるところでございます。現在、民間による太陽光発電に加えまして、県、市町村の公有地や施設を活用した太陽光・小水力発電の導入など多様な取り組みが展開をされているところでございますが、引き続きこの推進方策に基づき再生可能エネルギーの利用促進に取り組んでまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

3番目、男女共同参画の推進についてです。

2003年、政府はあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%にするという目標を立て、2010年に閣議決定した第3次男女共同参画基本計画に初めてクオータ制を明記しました。この取り組みが202030です。昨年10月、世界経済フォーラムが2012年版の男女格差報告を発表、日本は調査対象となった135カ国中101位となり、前年より順位を3つ下げました。2年連続の順位低下となり、女性議員が少なく、企業幹部も男性に占められていると指摘されました。今こそ1999年に国会で全会一致で可決成立した男女共同参画社会基本法の目的を改めてしっかりと捉え返し、決定の場における男女の偏りを是正していく必要があります。

そこで、本県の現状と2020年までの取り組みについて4点お伺いします。

1点目、知事部局、県警、公立学校における女性職員登用の現状と今後の具体的な取り組みはどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

続きまして、男女共同参画の推進につきましてお答え申し上げます。

まず、知事部局、県警、公立学校における女性職員登用の現状と今後の具体的な取り組みについての御質問でございますが、平成25年4月1日現在で知事部局における係長・主査級以上の女性職員は860名で23.3%、県警におけます巡査部長以上の女性警官は256名で3.7%、公立学校における教頭以上の女性教員は361名で12.4%という状況でございます。今後とも職員の意欲や能力等を十分に考慮いたしまして、適材適所を基本に、男女の区別なく登用を図ってまいります。また、研修による意識改革や人材開発に努めますとともに、引き続き職域の拡大も図ってまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、特にこれまで女性の参画が少なかった県及び市町村の防災会議委員の取り組み状況はどうか。

答弁
答弁
副知事

それから、次に県及び市町村の防災会議委員の女性の参画に向けた取り組み状況はどうかとの御質問でございますが、まず、千葉県防災会議におけます女性委員の割合につきましては、平成25年4月1日現在52名中1名でございまして、1.9%となっております。また、市町村の防災会議につきましては、平成25年9月1日現在54市町村の合計で8.4%となっております。現在、県では男女共同参画の推進と多様な主体の参画を図るという災害対策基本法の改正趣旨を踏まえまして、防災会議への女性委員の委嘱を検討しておるところでございます。また、市町村に対しましても、防災会議への女性の参画が促進されるよう、国の「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」等の関係通知について周知を図ったところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、国が2020年までに30%という目標を掲げて取り組む中、県として具体的にどのようなポジティブアクションにより推進していくのか。

答弁
答弁
副知事

男女共同参画の推進について、国が2020年までに30%という目標を掲げて取り組む中、県として具体的にどのように推進していくのかとの御質問でございます。県では、第3次千葉県男女共同参画計画において、政策・方針決定過程への男女共同参画の促進を図るため、施策の数値目標と達成すべき期間を設定して重点的に取り組んでいるところでございます。具体的には、県が設置する審議会等への女性委員の登用について、平成27年度までに40%にする目標を掲げているほか、職場や事業所、団体等における女性登用についても、具体的な数値目標と達成すべき期間を設けているところでございます。今後も男女共同参画の促進を図るため、目標達成に向けて取り組んでまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

4点目、男女共同参画を進めていくための調査研究を市民とともに活発に行い、政策課題の解決も協働で進めていく必要があると考えるが、どうか。

以上お伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

それから、男女共同参画を県民と協働で進めていく必要があると考えるがどうかとの御質問でございますけれども、男女共同参画を推進するためには、県民のお一人一人がその大切さや必要性を理解し、意識を高めていくことが重要と考えております。このため、県では県民と行政のパイプ役であります男女共同参画地域推進員との協働事業として啓発講座を開催するなど、県民の意識啓発に取り組んでおるところでございます。今後とも県民や民間団体等と協働し、男女共同参画に対する県民の理解や意識がさらに向上するよう努めてまいります。

行財政改革について

入江あき子
質問
入江あき子

2項目め、行財政改革について質問いたします。

現在、新たに総合計画案、行政改革計画・財政健全化計画案が示されています。

そこで、以下6点についてお伺いします。

1点目、国の人口動態調査や他機関の人口推計に鑑み、これまで右肩上がりの人口予測を下方修正すべき時期と考えるが、新たな総合計画案で人口推計の見直しを行っていないのはなぜか。

答弁
答弁
副知事

次に、行財政改革についてお答えいたします。

新たな総合計画案で人口推計の見直しを行っていないのはなぜかとの御質問でございますが、県が行った将来人口推計では、本県の人口は平成29年まで増加すると見込んでいましたが、震災等の影響により、昨年、一昨年とそれぞれ1万人を超える減少を生じました。しかしながら、本年4月以降は人口の増減が震災前の傾向に戻りつつあります。こうした状況の中、転入転出の動向が不安定な現時点において適切な推計を行うことが難しいことから、今回の計画では新たな人口推計は行わないことといたしました。人口動態については引き続き注意してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、財政健全化計画案では、25年度から28年度までの計画期間中の財源不足額を1,760億円程度と見込み、歳出抑制で820億、歳入確保で240億円、合わせて1,060億円を捻出することで不足額を700億円に圧縮する案が示されています。歳出抑制額820億円のうち720億円が人件費の抑制となっていますが、その詳しい内容はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

財政健全化計画案における人件費抑制の内容についての御質問でございますが、財政健全化計画案では、人件費の抑制、適正化により4年間の確保目標額を一般財源ベースで720億円と見込んでおり、その主な内容は、退職手当の支給水準の段階的な引き下げで約440億円、今年度実施している国からの要請に基づく給与減額で約170億円となっております。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、人口減少社会に対応した公共事業に向けた抜本的な見直しをするために、これまでの事業評価の手法を再検討すべきと考えるが、どうか。

答弁
答弁
副知事

これまでの事業評価の手法は再検討すべきと考えるがどうかとの御質問でございます。現在、県では道路のバイパス事業や立体交差事業など、規模の大きい公共施設の整備に当たり、事業の効率化と透明性の一層の向上を図るため、学識経験者等から成る県土整備公共事業評価審議会に諮っているところでございます。この審議会では、必要性、経済的、社会的効果、財政的負担の見通し、環境に与える影響などの視点から評価が行われるところでございます。県といたしましては、今後ともこの審議会の意見を踏まえ、対応方針を決定してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

4点目、道路橋梁、河川、上下水道等の社会基盤施設の老朽化対策、維持保全のための計画策定はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

私からは、行財政改革についてなどにお答えいたします。

まず、道路橋梁、河川、上下水道等の社会基盤施設の老朽化対策、維持保全のための計画策定はどのようになっているのかとの御質問でございます。県で管理している社会基盤施設のうち、橋梁、河川施設、都市公園施設、流域下水道施設、県営住宅については、これまでに施設ごとの長寿命化計画を策定したところであり、港湾施設については現在計画を策定しているところでございます。また、県水道局においては、現在中期経営計画に基づき施設の老朽化対策に取り組んでいるところであり、あわせて中長期的な整備計画の策定を進めているところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

5点目、公社等外郭団体の見直しについては、これまで継続的に改革が進められているが、県の財政支出額及び県の派遣職員数はどのように推移しているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、公社等外郭団体改革における県の財政支出額及び派遣職員数の推移に関する御質問でございます。公社等外郭団体については、これまで県依存型の経営から自立型の経営への転換を基本的な考え方として廃止や統合を含む改革に取り組んできました。その結果、公社改革の基本的な考え方を定めた平成14年度から平成24年度までに県の財政支出額については375億円削減して148億円に、県の派遣職員数については565名削減して137名にしたところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

6点目、公社等外郭団体に退職職員が役員や職員として再就職している実態はどうか。こうしたいわゆる天下りがなくならないのはなぜか。以上6点お伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

次に、公社等外郭団体への再就職の実態はどうか。また、こうした状況がなくならないのはなぜかとの御質問でございます。県では、公社等外郭団体から再就職の要請があった場合に、適任者がいれば求人情報を紹介するにとどめており、採用については団体において判断されているところでございます。公社等外郭団体の常勤の役職員に再就職している県退職者の人数は、平成14年度は100名でしたが、平成24年度では75名に減少しております。

復興予算について

入江あき子
質問
入江あき子

3項目め、復興予算についてお伺いいたします。

東日本大震災発災から4カ月半たった2011年の7月、政府は復興の基本方針において復興財源のあり方を示し、10年間の復興期間を通じた事業規模を少なくとも23兆円程度と推計しました。うち、5年の集中復興期間において19兆円程度と見込み、復興増税10兆5,000億円で賄うことが決まっています。増税の中身は、所得税2.1%増税を2013年から25年間、法人税10%増税を2012年度から3年間、個人住民税均等割1,000円上乗せを2014年から10年間の内容となっています。

そこで、これら復興増税が私ども千葉県民に与える影響額について、財政当局から示された計算式に当てはめ試算をしてみました。国税分である所得税については25年間で3,345億円、法人税が3年度の間で約456億円、そして市県民税が10年間で約300億円の増税ということになります。甚大な被害を受けた東北各県はもとより、本県も被災県であり、これら復興予算が被災地の復興と被災者の生活再建に有効に使われなくてはなりません。しかしながら、復興予算が全国防災対策費といった被災地以外の自治体の防災・減災事業に充てられていること、国から自治体への交付金が本来の目的に沿って使われていない実態などが明らかになり、復興予算のあり方が問われています。

そこで、3点お伺いします。

1点目、本県におけるこれまでの復興予算の総額及び財源内訳、その主な事業と予算額はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、復興予算についてお答えいたします。

これまでの復興予算の総額及び財源内訳、その主な事業と予算額はどのようになっているのかとの御質問でございます。東日本大震災からの復旧・復興のため、これまでに1,282億円の予算を計上してまいりました。この財源といたしましては、国庫支出金310億円、地方債171億円、災害復興・地域再生基金等から成る繰入金193億円、諸収入342億円などとなっているところでございます。 また、主な事業と予算額については、道路や橋梁、農業用施設等の災害復旧事業353億円、震災等により被害を受けた中小企業の資金繰りを支援する中小企業振興資金事業300億円、被災者住宅再建支援金事業40億円、県立学校、公園等の除染事業10億円などでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、いわゆる復興予算の流用として問題となっている、国が交付した基金1兆1,570億円の使途について、本県ではどのような状況なのか。

答弁
答弁
副知事

復興予算で措置された基金の使途に関する御質問でございます。国の23年度第3次補正予算及び24年度当初予算において、復興予算として全国で16の基金に総額1兆1,570億円が交付されたところでございます。このうち本県分といたしましては、緊急雇用創出事業等臨時特例基金、地域自殺対策緊急強化基金、森林整備加速化・林業再生基金及び高校生修学等支援臨時特例基金の4基金に総額62億1,900万円が交付され、国の交付金の趣旨にのっとり24年度末までに計34億8,500万円を執行したところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、防災、減災の名のもとに、不要不急の公共土木事業が行われることのないよう、事業の優先順位を客観性、透明性の観点から決める必要があると考えるが、具体的にどのような体制でチェックしていくのか。

以上、お答えください。

答弁
答弁
副知事

次に、復興予算についての質問のうち、防災、減災の名のもとに不要不急の公共土木事業が行われることのないよう、どのような体制でチェックしていくのかとの御質問でございます。公共事業の実施に当たっては、県民が真に求め、本県の将来の発展のために必要な事業を限られた財源の中で効率的に、効果的に実施していくことが重要であると考えております。今後とも、真に必要な事業について、県民の要望や計画の熟度等を勘案し、着実に実施してまいります。

八ッ場ダム事業及び治水・利水政策について

入江あき子
質問
入江あき子

4項目め、八ッ場ダム事業及び治水・利水政策について質問いたします。

ことし8月6日、国交省関東地方整備局は、八ッ場ダム建設事業の工期を4年延長し2019年度とする基本計画変更案を示しました。これに対し、千葉県として国の計画変更に同意する議案が今議会で出されています。八ッ場ダム事業は、御承知のとおり今から60年以上前に計画され、当初は2000年に完成する予定となっていました。しかし、これまで4回にわたる計画変更を繰り返し、現時点では2015年完成、総事業費は4,600億円となっています。また、今回の変更案は工期延長と洪水調節ルールの変更のみであり、事業費の増額は含まれていません。ところが、国交省が2011年に行ったダム検証では、地すべり対策等による183億円の増額が示されています。さらに、このほかの増額要因として、地元住民が移転する代替地整備費への負担金が80億から100億円程度、ダム完成に伴い生じる東京電力水力発電所への減電補償が160億から200億円以上、そしてダム完成後の試験湛水中に予想される地すべり対策工事費に少なくとも100億円が見込まれ、合わせて500から600億円以上の増額が試算として出されています。

国交省が今回の計画変更に事業費増額を盛り込まなかったのは、負担金を出す関係6都県の反発をかわすためであり、問題を先送りしたと言っても過言ではありません。

そこで質問いたします。八ッ場ダム事業工期延長の原因とダム完成の見通しをどのように考えているのか。今後の事業費増額による5度目の基本計画変更は必至と考えるが、どうか、お答えください。

答弁
答弁
副知事

次に、八ッ場ダム事業及び治水、利水の政策についてお答えいたします。

八ッ場ダムの工期延長の原因と完成の見通し及び今後の事業費増額に関しての御質問でございます。八ッ場ダム建設事業は、ダム事業の検証等でおおむね4年のおくれが生じたことから、事業完成の予定が平成31年度となったところでございます。また、今回事業費の増額はありませんが、今後さらなるコストの縮減について国に働きかけてまいりたいと、そのように思っております。

八ッ場ダムを初めとする新規水源開発にかかわる千葉県の負担額などについての御質問でございます。八ッ場ダム建設事業における県内利水者の計画負担額は約331億円となっております。また、霞ヶ浦導水事業及び思川開発事業は、事業主体である国等において事業費の点検を行い、事業の妥当性について検証作業を進めているところでございます。県水道局など各事業体は、それぞれの地域の実情を踏まえ、将来にわたり必要な水量を確保するため、八ッ場ダムなどの水資源開発に参画しているところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次は、八ッ場ダム事業を治水面で必要と位置づけた利根川・江戸川河川整備計画と、この計画の大もとである利根川水系河川整備基本方針についてです。

ことし5月、国交省は戦後最大規模のカスリーン台風が再来し、堤防が決壊すれば34兆円の被害が生じるとの前提で河川整備基本計画を策定しました。この中には、今後20年から30年の間に行う治水対策として、八ッ場ダムのほかに首都圏氾濫区域堤防強化対策事業なども含まれています。この事業は、八ッ場ダムがあっても利根川の堤防が決壊するとの前提に立ち、利根川中流部と江戸川上中流部の右岸堤防を拡幅する大がかりな工事です。多くの家屋移転を伴い、約2,700億円の事業費が見込まれています。右岸側の堤防を強化することで東京側を守る事業で、左岸の千葉県にとってのメリットは見当たりません。 一方、利根川、江戸川の全体的な堤防の状況について、国交省は、洪水時に水が堤防内を浸透して壊れる破堤の危険性がある堤防が6割を超えると報告しています。にもかかわらず、国交省の河道整備は首都圏氾濫区域堤防強化対策事業の対象区間を除くと、流下能力の増強対策が優先して進められており、堤防の質的な改善は後回しになっています。また、関宿地点で利根川と江戸川が分派する際、江戸川への分派率が低く、千葉県側に水害被害を発生しやすいという江戸川分派の問題についても、計算上の対策が示されているだけで現実的な対策は棚上げされたままです。

2006年に示された利根川水系基本方針では、実現不可能な治水対策の図が描かれています。一例を挙げると、八ッ場ダムのほかに、上流にさらなるダム建設が必要なこと、利根川の洪水時に印旛沼を経由して毎秒1,000トンを流下させる新利根川放水路の計画も示されています。

そこで質問です。八ッ場ダム建設が盛り込まれた利根川・江戸川河川整備計画及び同計画の上位にある利根川水系河川整備基本方針の実現可能性をどのように考えているのか。これら治水対策が本県の治水安全度をどの程度向上させ、具体的にどのような効果をもたらすのかお答えください。

答弁
答弁
副知事

次に、八ッ場ダムについてお答えいたします。

まず、利根川水系の河川整備基本方針及び河川整備計画の実現可能性及びその効果についての御質問でございます。国は、利根川水系河川整備基本方針に基づき、おおむね30年間で実施する具体的な整備内容を示した利根川・江戸川河川整備計画を本年5月15日に策定したところでございます。この計画では、利根川の治水安全度が現在おおむね30分の1から40分の1にとどまっているものを、おおむね70分の1から80分の1に高めることにより、洪水による被害の軽減を図るものでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

近年、全国的に異常気象による局地的豪雨が相次ぎ、予想を超える被害が続いています。河川整備計画で想定している計画規模を上回る洪水に直面し、兵庫県や金沢市では、ダムだけに頼らない総合治水対策条例を策定しています。また、滋賀県でも今議会に流域治水推進条例が提出され審議中です。8月末、会派で滋賀県庁を訪れ、条例の制定過程や目的について詳細にお話を伺ってまいりました。流域治水対策室の主幹は、この条例の核心について次のように述べておられました。流域治水は、ダムによる治水効果を否定していないが、ダムの効果は限定的であり、かつ計画を超える超過洪水には対応できないこと。しかも、ダム建設には長い年月と費用がかかり、費用対効果の点からも優先すべき対策ではないこと。また、何よりも今生きている住民の命は守れないことに尽きるとのことでした。

そこで、本県の治水対策について2点お伺いします。

1点目、本県における近年の水害被害状況はどうか。河川整備事業の実施に当たっては、客観的基準にのっとり優先順位が決められているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、本県における近年の水害の状況と河川整備事業の優先順位についての御質問でございます。ことしも全国的に各地で豪雨などにより甚大な被害が発生しましたが、幸い本県では平成22年の浸水被害後は県管理河川の氾濫は発生しておりません。本県における河川整備は、1時間当たり50ミリメートルの降雨による洪水が安全に流下できるよう、主として河道の拡幅を行いつつ、特に都市部においては調節池の整備や流域における流出抑制など、総合的な治水対策を実施しております。これらの対策については、治水安全度が低い河川において重点的に進めているところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、近年の気象状況を踏まえ、ダムだけに頼らない治水対策、超過洪水に備えた流域治水対策をどのように進めていくのか。

以上2点お伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

最後に、近年の気象状況を踏まえ、治水対策及び超過洪水に備えた流域治水対策をどのように進めていくのかとの御質問でございます。本県の治水対策は、河川改修に加えて都市部を中心に調節池の整備や流域における流出抑制など総合的な治水対策を実施しております。また、ソフト対策として、きめ細かい降雨状況の監視強化や雨量、河川水位などの情報提供を県民へ行うとともに、市町村による水防活動や避難警戒活動への支援を図るなど、被害の軽減に努めております。今後も県民の安全・安心を確保するため、これらの対策を推進してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

次は、利水政策についてです。

八ッ場ダムに参画する目的の1つは、さらなる水需要の増加に備えて水利権を確保することにあります。しかしながら、千葉県の県内の県水道局を初めとする5つの事業体では、水利権取得後も使われていない未利用の水利権が毎秒1.238立方メートル、日量換算で約10万7,000立方メートルもあります。その一方、千葉県では八ッ場ダムに参画することで新規に毎秒2.35立方メートル、日量換算で20万3,000立方メートルの水利権を得る予定です。既に取得した水利権があるのに活用しないのはなぜか。合理的理由が見当たりません。

そこで、以下2点お伺いします。

1点目、本県における直近の1日最大給水量の実績及びその人口はどのようになっているのか。また、水需要のピークを迎える時期はいつか。このときの水需要及び人口をどのように推計しているのか。

答弁
答弁
副知事

続きまして、治水・利水政策の関係でございますが、本県における1日最大給水量及び人口の実績と推計についての御質問でございます。平成23年度におけます水道用水の1日最大給水量は約206万立方メートル、給水人口は約587万人でございます。また、平成32年度を目標年度といたします各水道事業体の水需要予測を取りまとめました千葉県長期水需給調査結果におきましては、平成32年度の1日最大給水量は約238万立方メートル、給水人口は約608万人となっておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、今後八ッ場ダムを初めとする新規水源開発にかかわる千葉県民の負担額はどのぐらいか。人口減少は明らかであり、不要な水源開発から撤退すべきタイミングは今と考えるが、どうか、お答えください。

次は、地下水の継続的活用についてです。私の住む佐倉市の水道水は、65%が地下水、残り35%は利根川の表流水からなっています。市が所有する33本の深井戸からくみ上げる地下水は安価で良質な水道水源であり、原発事故で河川水から放射性物質が検出されたときも、佐倉市民は安全でおいしい地下水を飲むことができました。これは、近隣で地下水の豊富な酒々井町や四街道市でも同じでした。しかし、この足元に広がる貴重な資源である地下水が、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業完成と同時に河川水への転換を余儀なくされ、25本の井戸が閉じられることになります。水道水に占める地下水の割合も65%から25%程度に減らされ、水道料金も1.5倍にはね上がります。

県環境保全条例において地盤沈下を理由に地下水くみ上げ規制が行われ、佐倉市はその対象地域に指定されているからです。確かに、地盤沈下の観点からもこれ以上の地下水くみ上げは問題かもしれませんが、今まで有効活用してきた地下水を全面的に放棄することのマイナス面にも目を向けるべきではないでしょうか。

そこで2点お伺いします。

1点目、県内における地下水の利用実態をどのように把握しているのか。また、水循環の健全化や防災の観点からも、地下水の継続的利用が必要と考えるが、どうか。

答弁
答弁
副知事

続きまして、地下水の利用に関してお答えを申し上げます。

各水道事業体からの報告によりますと、平成23年度の上水道事業における地下水の年間取水量は約9,765万立方メートルとなっております。また、地下水は災害等の非常時におきまして活用できる貴重な水資源でございますので、今後とも地盤沈下等に配慮しながら、適切な利用を図ってまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、県環境保全条例でくみ上げが許可されている水道水源井戸について、地盤沈下の状況を詳細にモニタリングしながら、現在と同程度の地下水のくみ上げを認める方向で柔軟に対応すべきと考えるが、どうか。

答弁
答弁
副知事

また、地下水のくみ上げについて柔軟に対応すべきとの御質問でございますけれども、本県におきましては地盤沈下の防止対策として県環境保全条例に基づき地下水採取の規制区域を定めるなどの対策を講じているところでございます。また、毎年地盤変動の詳細なモニタリングを行いまして、地盤沈下の状況を把握しておるところでございます。地盤沈下は、依然として広範囲に及んでおりまして、また、一度起こりますともとに戻らないということもございまして、条例に基づく地下水採取の規制を継続することが必要だと考えておるところでございます。

児童福祉について

入江あき子
質問
入江あき子

5項目め、児童福祉についてです。

昨年度、県と千葉市の7つの児童相談所における虐待相談件数は4,776件、前年度の2,960件の約1.6倍も増加しました。児童相談所の一時保護所の入所状況についても、県の施設だけでことし5月1日現在116人、うち2カ月以上入所している児童は30名もおり、最長日数は217日、約7カ月間も家に戻れず、学校にも行けず、一時保護所の敷地内で暮らしています。さまざまな困難を抱えて、心や体が傷ついた子供たちに安心して生活できる環境を一日でも早く用意してあげたいと、誰もが願わずにはいられません。

しかし、そのための受け皿は、本県でも質、量ともに不足しています。国は、里親制度や特別養子縁組を進める方針ですが、そのための社会的環境がまだまだ整っておりません。先日、君津市にオープンした民間の児童養護施設を見学いたしました。

緑豊かな自然環境に加え、子供たちを支える職員の方々の熱い思い、地元の方々の温かい思いに触れ、大変感銘を受けました。親に限らず愛情を注いでくれる大人が周りにいれば、子供たちは成長することができます。

そこで質問に入ります。児童相談所について質問です。老朽化した施設の建てかえや増設の見通し、所管エリアの見直しの検討はどこまで進んでいるのか。

答弁
答弁
副知事

続きまして、児童福祉についてお答えを申し上げます。

まず、児童相談所の建てかえや所管区域の見直しについての御質問ですが、各児童相談所の管内人口や相談件数に偏りがありますことから、所管区域の見直しにあわせて建てかえや移転などについて現在総合的に検討を進めておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次は、児童養護施設などの環境整備について4点お伺いします。

1点目、県内の乳児院及び児童養護施設の入所数、入所率はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

それから、県内の乳児院及び児童養護施設の入所数、入所率についての御質問でございますけれども、県内6カ所の乳児院につきまして、平成25年4月1日現在で入所定員123名に対しまして88名が入所しておりまして、入所率は71.5%でございます。また、児童養護施設につきましては、平成25年4月1日現在17カ所、定員995名に対しまして889名が入所をしておりまして、入所率は89.3%となっておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、社会的養護を必要とする子供たちの受け皿整備について、国の小規模化、家庭的養護の方針を受け、今後どのように取り組んでいくのか。また、特に民間児童養護施設の施設整備や職員配置等について、より一層財政的支援を行っていくべきだと考えるが、どうか。

答弁
答弁
副知事

次に、児童福祉についてお答えいたします。

国の小規模化の方針を受けて、施設設備の今後の取り組み、また民間児童養護施設の施設整備等への財政支援についての御質問でございます。県では、国が示している施設の小規模化と家庭的な養護の推進の方針に沿った家庭的養護推進計画の策定を各施設に要請し、各施設の計画を踏まえた千葉県推進計画を策定することとしております。今後、国の方針に沿った県の計画のもとに、児童養護施設等の小規模化を進めることから、施設設備費の補助等について国に要望してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、県立乳児院は24年3月の公の施設の見直し方針で、来年度を目途に廃止の方向性が示されています。県が直営で行う必要性も含め、今後のあり方についてどのように検討を進めていくのか。

答弁
答弁
副知事

続きまして、県乳児院の今後のあり方についての御質問でございますが、県乳児院につきましては、平成24年3月の公の施設の見直し方針で、民間施設の設置状況等を踏まえて、平成26年度をめどに廃止する方向で具体的な検討を進めるとの提言がございました。このため、県乳児院の入所状況等も踏まえ、今後のあり方について現在検討を行っておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

4点目、県立生実学校について、ハード、ソフト両面での整備が早急に求められていますが、検討状況はどうか。また、特に義務教育を修了した児童の自立支援寮の建設や退所後の支援を行うための職員体制の充実については、今後どのように対応していくのかお伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

それから、生実学校の今後の体制整備等についての御質問でございますが、生実学校につきましては、平成19年3月の社会福祉審議会の答申を受けまして、県立児童福祉施設整備検討委員会におきまして、施設整備等の検討を行った結果、義務教育の修了した児童の自立訓練のための自立支援寮の必要性や定員数等建てかえ内容の詳細について平成21年の9月に報告があったところでございます。この報告を受けまして、施設整備及びその際の体制について現在検討を行っておるところでございます。

医療・介護問題について

入江あき子
質問
入江あき子

最後は、医療・介護問題についてです。

千葉県では、医師・看護師不足を初め、全体的な医療資源が不足しており、全国順位は下位低迷から脱却できません。一方、高齢化は全国2番目のスピードで進んでおり、医療・福祉政策は最優先課題です。昨年10月、日本医師会総合政策研究機構、日医総研が全国の2次医療圏別の人口変化と医療資源に基づく既存分析データをまとめて発表しました。全国的な人口減少はあるものの、75歳以上の人口は2035年まで急増することを踏まえ、2035年までの2次医療圏別の医療・介護需要を推測し、地域の医療提供体制の現状と将来について分析を行っています。

千葉県については、3つの特徴が挙げられています。1つとして、全体的に極度の医療資源不足。2つとして、大都市部とその他の地域ともに医師・看護師不足だが、様相が異なること。大都市部では極度に医療機関が不足する一方、その他の地域では特に山武・長生・夷隅では医療提供体制がほとんど存在しないこと。3つ目として、75歳以上の高齢者が激増する大都市部を最重要地域と捉え、医療、介護の需要増に向けて早急に対応すべきであると指摘されています。  2035年の本県の75歳以上の医療需要は、2010年との比較で101%の増、とりわけ私が住む佐倉市を含む印旛医療圏は大都市型に分類され、県下で断トツの136%増という結果が示されています。印旛医療圏には3次救急、救命救急を担っている成田赤十字病院や日医大千葉北総病院を初め、佐倉市内にも東邦大佐倉病院や聖隷佐倉市民病院などの中核病院があり、医療環境としては比較的恵まれております。しかし、日医総研のデータからも、千葉県の医療問題を中長期的観点から解決していくことが何よりも求められていると再認識いたしました。県内全体の医療資源不足を解消し、県民が公平に医療サービスにアクセスできる環境整備に向けて、客観的データに基づく政策が求められています。

また、先進事例から学ぶことも課題解決のヒントが得られると考え、去る7月、会派で長野県の地域医療の現場を視察してまいりました。長野県の平均寿命は男女ともに全国一、そして県民1人当たりの高齢者医療は低いほうから4番目です。長野県庁や複数の病院で健康長寿の理由を伺ったところ、予防医療、県民参加の健康づくりにその鍵があるのではないかと感じました。現に、長野県では医療施設や医師の数は全国平均以下ですが、保健師や看護師の数は全国平均よりかなり上回っております。地域医療の先進病院である諏訪中央病院では、老健施設や特養、看護学校が併設され、地域の医療機関とのネットワークのかなめとなっていました。2次救急病院として、24時間365日患者さんを断らないことをモットーとしていますが、それを可能としているのは総合診療医の存在であることがわかりました。

81人の医師のうち、3分の1が総合診療医であるため、夜間救急の当直体制もとれている。救急患者のうち9割がこうした総合診療医の対応で事足りるので、残り1割の専門治療が必要な場合に院内の専門医や外部につなげているということでした。総合診療医が的確な初期診断を行うことで、救急医の負担軽減につなげているとのことです。今後における総合診療医の重要性を印象づけるお話でした。

また、佐久総合病院では、「農民とともに」を掲げて地域に医師、看護師が出向く農村医療の実践が脈々と受け継がれており、保健、医療、介護、福祉といった近年提唱されている地域包括ケアシステムの原型とも言える取り組みが活発に行われておりました。両病院には、地域医療に情熱を傾ける研修医が全国からたくさん集まっています。健康長寿世界一を掲げる長野の地域医療の現場から多くを学ぶことができました。

そこで質問に入ります。

初めに、医師及び看護師の養成確保について2点お伺いいたします。

1点目、地域医療再生計画に基づき、医師・看護師確保対策に使われた予算及び目標達成の見通しはどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、医療・介護問題についてお答えいたします。

地域医療再生計画の医師・看護師確保対策の予算と目標達成見通しについての御質問でございます。医師、看護師の確保は、地域医療再生計画において全県的に取り組むべき重要課題と位置づけ、医学部定員増に伴う医学生への修学資金の貸与、医師キャリアアップ・就職支援センターの設置運営、看護学部の新設や看護学校の定員増への補助などに約18億4,000万円を平成24年度末までに執行しています。これらの事業は本年度も実施しており、医学部定員増が当初の目標15名に対し18名を増員、医師キャリアアップ・就職支援センターについては平成23年末から運用を開始し、看護学部の新設や定員増は4校に対し7校となる見込みであるなど、当初の目標をおおむね達成できる見通しと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、地域医療、プライマリーケアを支えるいわゆる家庭医、総合診療医の育成について、千葉県として積極的に進めるべきと考えるが、どうか。また、県内病院において、これら専門医を目指す研修医の受け入れ状況はどのようになっているのかお伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

家庭医、総合診療医の県内病院における受け入れ状況と育成についての御質問でございます。現在、認定基準が確立している家庭医療専門医を目指す研修医を受け入れる施設は県内に11病院あり、このうち6病院で26名が後期研修を実施しているところでございます。県では、今後の高齢化の進展に伴いニーズが高まる総合診療部門を設置して、総合的な外来診療や研修医の教育を行う臨床研修病院に財政支援を行い、総合診療を担う医師の育成のための環境整備を行うこととしております。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、県立東金病院閉院後の後医療についてお伺いします。

来年3月末をもって閉院する県立東金病院後医療と、東千葉メディカルセンターについてです。2003年度から千葉県、山武地域の市町村や医療関係者等の間で地域の医療体制の検討が行われ、県立東金病院の医療機能を地元市町村が運営する新病院に引き継ぐという基本的な考え方が合意されました。その後、紆余曲折を経て2010年に東金市と九十九里町が地方独立行政法人東金九十九里地域医療センター──現在は東千葉メディカルセンターと呼ばれております──を設立。救命救急センターを併設する3次医療の拠点として整備するため、国からの地域医療再生交付金が重点的に投入され、来年4月の部分開院に向けて、病院建設と人材確保が進められています。ことし秋には来年度からの第2期中期目標が定められ、年末には中期計画が策定されると聞いております。

そこで、初めに、今年度、来年3月末をもって閉院する県立東金病院閉院後の後医療について2点お伺いします。

1点目、県立東金病院の医療機能の引き継ぎについてどのような協議が進められているのか。具体的に、現在指定されている救急基幹センター、災害拠点病院、エイズ治療拠点病院といった機能や、循環型地域医療連携の先進的モデル、わかしお医療ネットワークはどのような形で引き継ぐのか。

答弁
答弁
副知事

次に、県立東金病院の関係についてお答えを申し上げます。

まず、県立東金病院の医療機能の引き継ぎに関する御質問でございますが、県立東金病院がこれまで担ってまいりました救急医療、災害医療、エイズ治療の拠点としての役割につきましては、東千葉メディカルセンターに引き継がれるものとして関係機関と協議を行っておるところでございます。また、東金病院の糖尿病患者さんの情報を地域の医療機関や調剤薬局の間で共有するシステムでありますわかしお医療ネットワークにつきましては、東金病院の閉院に伴いまして循環器病センターに引き継ぐ方向で検討をしております。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、県立循環器病センターへの一部移管に伴い、東金病院の医療スタッフの異動の見通しはどうか。循環器病センターでは、現時点でもスペースが不足しておりますが、今後どのように対応するのかお答えください。

答弁
答弁
副知事

次に、東金病院医療スタッフの異動の見通し等についての御質問ですが、東金病院の医療スタッフのうち、業務の移管に伴って必要な職員については循環器病センターへの配置を考えておるところでございますが、他の県立病院の職員の配置状況や本人の意向等を総合的に勘案した上で判断することとなります。また、循環器病センターのスペースにつきましては、患者サービスや職場環境への影響も考慮しながら対策について検討しているところでございまして、病院の業務に支障が生じないよう適切に対応してまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、東千葉メディカルセンターについて5点お伺いします。

1点目、来年4月の部分開院に向けて、医師、看護師初め医療スタッフの人材確保の進捗状況はどうか。千葉大がことし7月末締め切りでかけた医師の全国公募はどのような結果だったのか。

答弁
答弁
副知事

次に、東千葉メディカルセンターの医師等医療スタッフの人材確保の進捗状況はどうか。千葉大学の医師の全国公募はどのような結果だったかという御質問でございますが、まず、医師につきましては、これは千葉大の全面的な協力のもとで確保が進められておりまして、このうち教授候補者は全国公募し現在選考が進められておるというふうに聞いております。なお、公募結果については公表されていないところでございます。また、医師以外の看護師を初めとする医療スタッフにつきましては、平成26年4月の開院に向け順調に確保が進められていると聞いております。

答弁
答弁
副知事

続きまして、3次救急の赤字負担に係る周辺自治体の財政支援の協議についての御質問ですが、3次救急医療に対する周辺自治体の財政支援につきましては、現在東金市及び九十九里町とともにスケジュール等を含めて今後の方針について検討をしておるところでございます。県といたしましては、周辺自治体の御理解が得られるように粘り強く両市町とともに説明をしてまいりたいと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、地域医療の連携にかかわる関係団体等との協議は現在どのように進められているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、地域医療の連携にかかわる関係団体等との協議はどのように進められているかとの御質問でございますが、現在東千葉メディカルセンターの設立団体であります東金市、九十九里町及び運営主体であります地方独立行政法人東金九十九里地域医療センターが、地方独立行政法人法に基づきます第2期中期目標及び中期計画を策定中でございまして、その中で同センターが担います具体的な医療機能が明らかになる予定です。そのため、第2期中期医療目標等が確定次第、同センターと地域の医療機関との医療連携につきまして協議の場を設けてまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

4点目、当センターへの事業費の推移及び県の支出総額・内訳はどのようになっているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、当センターの事業費の推移及び県の支出総額・内訳はどのようになっているかとの御質問でございますが、東千葉メディカルセンターの事業費につきましては、設立時の128億5,400万円から東日本大震災の影響によります建設費の高騰等によりまして、現在は140億3,400万円となっておるところでございます。県では、施設整備に対する85億6,000万円の支援に加えまして、救急医療の拠点整備や災害医療体制の整備に対しまして、国の地域医療再生臨時特例交付金を活用し支援することとしておりまして、総額97億8,900万円となっておるところでございます。

答弁
答弁
副知事

東千葉メディカルセンターの県の包括的支援はどのようなものか。また、東金病院閉院後の地域医療に関する御質問でございますが、県は、東金病院の機能を引き継ぐ救急医療、急性期医療を核とした地域の中核病院として整備が進められている東千葉メディカルセンターに対し、これまで職員の配置など人的支援や財政的支援などのさまざまな支援を行っているところでございます。また、東金病院の医療機能の引き継ぎに係る協議の場を設けるなどの支援を行い、当該病院閉院後の地域の医療提供体制に支障を来さないよう努めてまいります。

私からは以上でございます。他の問題につきましては副知事からお答えをいたします。

入江あき子
質問
入江あき子

最後は、在宅医療及び地域包括システムの推進についてです。

ことし5月に公表された県政世論調査によると、介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けたいかとの質問に対し、暮らし続けたいと答えた県民が79%に達しました。その際に必要なものは、介護のための施設サービス、訪問診療、介護、介護サービスの充実との結果となっております。本県においても、この先激増する後期高齢者に病床数が追いつかず、医療・介護難民発生という事態も懸念されます。国も、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供され、住みなれた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの構築を打ち出してきております。県内では、柏市にある豊四季台団地を舞台に、柏市、東大、都市再生機構が共同し、在宅医療の推進を超高齢化社会のまちづくりのテーマに地域包括ケアシステムの取り組みが進められています。

そこで、3点お伺いします。

1点目、県内の在宅医療を行っている施設はどのくらいあるのか。また、今後医師会等との関係団体とどのような連携で進めていくのか。

答弁
答弁
副知事

次に、医療・介護問題についてお答え申し上げます。

在宅医療・地域包括ケアシステムの推進に関しまして、県内の在宅医療を行っている施設はどれくらいあるのか。また、今後医師会等の関係団体とどのような連携で進めていくのかという御質問でございますけれども、県内で在宅医療を行っている主な施設といたしましては、病院、診療所が平成23年9月時点で548カ所、訪問介護ステーションが平成24年9月時点で219カ所となっております。県といたしましては、在宅医療の提供体制の整備を進めていくため、千葉県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会が行っております在宅医療に関する事業について支援を行っておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

2点目、県内における地域包括ケアシステムの現状と課題、県の役割をどのように捉えているのか。

答弁
答弁
副知事

次に、県内における地域包括ケアの現状と課題、県の役割をどのように考えるかという御質問でございます。本県は、地域によりまして医療、介護等の社会資源、連携の状況、ニーズなどがさまざまでございまして、地域包括ケアシステムは、その地域の実情に応じて市町村が主体となり構築することが必要だと考えております。

そこで、県では市町村を総合的に支援するために庁内の連絡協議会を設置し情報共有を図りますとともに、市町村と連携をしながら在宅医療・介護などの地域包括ケアシステムを担う人材の育成、認知症などにおける多職種連携の仕組みづくり、各種介護施設の整備など、高齢者の状況に応じた住まいの確保等の各種施策を実施しているところでございます。また、地域包括ケアシステムの構築に向けまして、市町村が開催をしております地域ケア会議の支援のほか、先進事例の紹介や市町村との意見交換等を行い、県全体の底上げを図ることとしております。

入江あき子
質問
入江あき子

3点目、柏市豊四季台団地をモデルフィールドに展開している東大寄附プロジェクトの在宅医療システムモデルを県として今後どのように生かしていくのか。

以上で第1回の質問を終わります。(拍手)

答弁
答弁
副知事

最後に、東大寄附プロジェクトの在宅医療システムモデルを今後どのように生かしていくのかという御質問でございますが、東京大学は、今後日本の各都市で進行する急激な都市高齢化に対応するため、柏市、独立行政法人都市再生機構とともに、平成21年の6月から柏市豊四季台地域におきまして、誰もが安心して元気に暮らすことができるまちづくりのあり方を検討しておるところでございます。その一環として、県は、東京大学に要請をして在宅医療を担う人材育成や多職種連携などの研修のシステムモデルの構築を進めていただいているところでございます。東京大学の取り組みの成果は、国が今後在宅医療の推進に当たっての方法として参考にしているところでもございまして、県といたしましては、その成果を県内の在宅医療の推進のために市町村に推奨してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。

再質問

入江あき子
質問
入江あき子

たくさんの質問に御答弁いただきましてありがとうございました。

それでは、再質問に移りたいと思います。

初めの知事の政治姿勢のところで、今回の原発事故子ども・被災者支援法の基本方針案に対する県のスタンスをお伺いしました。御答弁では、国の動向を注視していくといったようなお答えでしたが、県内汚染状況重点調査地域の自治体が9市ございます。この自治体の首長からは、国に対して意見も出されておりますし、直接復興庁に出向かれた首長さんもいらっしゃいます。汚染状況重点調査地域ということで、除染もされている。これは放射能に汚染されているということでして、当然この方針の支援対象地域に含まれるものと考えておりますが、県として国の動向を注視するだけではなくて、9市の首長と一緒に県内の9市、汚染状況調査地域となっているところを支援の対象区域とするように、県として働きかけていただきたいと思いますが、これは再度知事の御見解をお伺いしたいと思います。

dummy
答弁
森田健作知事

たくさんいただきました。

国に対して健康調査の実施を要望すべきとの御質問でございます。県として、本年7月に子ども・被災者支援法の着実な実施について国に対して要望したところであります。国は、本年8月に基本方針案を示し、今後健康調査について有識者会議で検討することとしております。

それから、原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域について、国へ強く要望すべきではないかとの御質問でございます。外部被曝線量の測定や健康管理に関する施策などの具体的な対象地域は明らかにされておりません。今後、関係省庁と検討していくと聞いているため、国の動きを十分注視してまいりたい、そのように思っております。

支援対象地域について、国の検討をまつまでもなく、県として国へ働きかけるべきではないかとの御質問でございます。健康管理に関する施策については、国が有識者会議を設け、支援のあり方も含めて検討していくとされているため、国において責任を持って対応するものと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

ことし5月、国連の人権委員会というところが福島の現地を調査いたしまして、1ミリシーベルト以上の地域に居住する人々に対して健康管理調査を実施すること、また、子供の健康調査は甲状腺検査に限らず実施し、血液・尿検査を含む全ての調査を拡大すべきこと。それから、避難地域、公衆の被曝限度に関する計画を科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎を置いて策定し提言するように、国の、政府の被曝対策に対して大変批判的な発信をしておりますが、この国連の勧告、大変重い勧告だと思いますが、この点について知事としてどのように受けとめられるのか、この点についてもあわせてお伺いしたいと思います。

答弁
答弁
保健医療担当部長

国連人権理事会の勧告についての御質問ですが、健康調査につきましては、今後国が有識者会議により、さまざまな知見をもとに、高度な専門性に基づき検討されるものと認識しており、その動向を注視してまいります。

以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、再生可能エネルギーについてですが、県としては当面の推進方策によって順次進めていくというお答えだったと思います。私としては、やはり国にエネルギー政策を任せていく時代ではない、自治体としてエネルギーのポテンシャル調査、実態調査、どういったことが千葉でできるのか、そういった基礎的な調査からまず取り組んでいただきたいと思いますが、この点についてお伺いいたします。

答弁
答弁
副知事

私のほうからは、まず、再生可能エネルギーに関してお答えを申し上げます。先ほどもお答え申し上げましたように、現在当面の推進方策に基づく取り組みが順調に推移をしているものと認識しておりまして、この方策で着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

次に、男女共同参画の推進についてです。

知事部局、県警、教育庁の数字をお答えいただきました。まだまだ大変低い数字になっていると思います。国の202030というのは、先ほど質問でも申し上げたとおりクオータ制、割り当てということも含めての推進でございます。そういった点で、千葉県としても数値目標を定めて取り組んでいかなければ実際この数字は上がらないのではないでしょうか。数値目標を設定して推進することについてのそれぞれのお考えについてお伺いしたいと思います。

dummy
答弁
森田健作知事

それから、男女共同参画に関して県も数値目標を設定すべきという御質問でございますが、第3次男女共同参画計画の中で、県職場の役付職員に占める女性の割合は25%という目標を掲げて、着実に女性の登用を進めておるところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

質問の次は、地域防災会議への女性委員の登用についてであります。

あらかじめいただいた市町村の状況の資料を見ますと、県内の市町村の中で16市、約3分の1の自治体で女性の防災会議の委員がゼロという自治体があることがわかりました。県として、地域防災計画に男女共同参画の視点というのを明確に基本的な考え方として盛り込んだわけでございますので、やはりこれを実効性を高めていくためには、決定の場、防災会議というところに女性の委員がいなければ、実際この地域防災会議でうたった男女共同参画の視点ということは非常に具体性が出てこないのではないかと思います。これから市町村への働きかけを含めてどのように対応されるのかお伺いしたいと思います。ゼロのところに関して、特に重点的に働きかけを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

dummy
答弁
森田健作知事

それから、市町村の防災会議に対して女性委員が登用されるように働きかけるべしという御質問でございますが、今後とも市町村に対しまして情報提供を含めて、女性委員の登用の促進に向けた取り組みを働きかけてまいります。

入江あき子
質問
入江あき子

続きまして、行政改革についての質問をさせていただきます。

先ほど公社、外郭団体等への天下りの実態がなぜなくならないのかということで、余り納得できるお答えがありませんでした。そこで、外郭団体のほうから県のほうに推薦依頼があった場合、どのような基準で推薦しているのか。また、本来このようなあっせんをやめるべきと考えますが、再度御見解を伺います。団体の自立を促すという点では、県から148億円の財政支出、そして137人も職員を派遣しているという状況があると今お聞きして驚きました。この点、天下りを絶つための具体的な行動を求めますが、いかがでしょうか。

答弁
答弁
副知事

天下りはやめるべきではないか。また、どのような基準で紹介しているのかとの御質問でございます。

県では、団体から再就職の要請があった場合に、適任者がいれば求人情報を紹介しているところでございます。公社等外郭団体では、県退職者の経験、能力を有効に活用しているものと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

3番目の復興予算についてお伺いします。

復興予算については、本当に巨額の予算が使われているにもかかわらず、なかなかその実態が県でも明らかではありません。緊急、そして急を要するということで、なかなか県民の関知しないところで事業が次々と行われていく、そういった不安を感じております。公共事業の見直しについて、40億円を超えたものについては事業の評価、事前を含めた評価があるということですが、この40億円の根拠はどういったことなんでしょうか。もっと県民参加、そして県民に開かれた形で、大型公共事業の採択も含めてチェックしていくことが必要ではないかと思いますが、御見解をお伺いします。

答弁
答弁
副知事

それから、評価の対象とする全体事業費40億円以上の根拠ということでございますが、規模が大きく県民生活へ広く影響が及ぶ道路のバイパス事業や、河川改修事業などについて事業評価を行っております。

それから、公共事業費を減らしていくべきではないかとの御質問でございます。公共事業の実施に当たっては、県民が真に求め、本県の将来の発展のために必要な事業を効果的に実施していくことが重要だと考えております。今後とも県民のニーズを踏まえ、必要な事業を進めてまいりたいと、そのように思っているところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

続きまして、八ッ場ダムについて御質問いたします。

初めに、基本計画の変更ということで工期延長、4年間ダム検証があったためという理由でしたが、本当にそうなんでしょうか。本来、ダムの本体工事に着手するためには、鉄道と県道のつけかえが完成していなければ、ダムの本体工事には着手できないはずです。とりわけ、JR吾妻線がダムの下に沈むということで、この工事が2010年度までに完成していなければダムの本体工事に着手できないという、物理的にそういった事情があるので、そのつけかえ工事がおくれたことが工期延長につながっているというふうに私は認識しておりますが、事実認識として間違っているのでしょうか。その点について教えていただければと思います。

答弁
答弁
副知事

それから、八ッ場ダムの工期のおくれの関係でございますが、平成21年1月に八ッ場ダム本体工事の入札公告手続が開始されまして、同年9月に予定されていた開札が中止となっていることからも、八ッ場ダムの検証等が工程のおくれの主要因であるというふうに考えております。

以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

続いて、八ッ場ダムの治水、利水の必要性のところで、まず、治水についての必要性について再度お伺いします。 利根川においては、カスリーン台風の後、60年間の中で最大の洪水は1998年の9月洪水となっております。このときに、利根川中流部において水位が最高どれだけ上がったのかということを国交省が痕跡を調査いたしました。それによると、堤防の天端、一番高いところから4メートルから5メートルも下を流下していたという調査結果が明らかになっております。堤防の余裕高は2メートル必要ですが、その2倍以上の余裕を持って流下したということが事実でございます。また、国交省が想定した堤防の破堤地点、これは埼玉県になりますけれども、136キロメートルの上流から付近を見ても、洪水の水の流れた痕跡の水位は、堤防の天端、上から5メートル下にあるという、このデータも国交省の開示資料で明らかになっております。実際、利根川本川は昭和27年のカスリーン台風後、一度も破堤しておりません。このことに鑑みて、千葉県における水害被害のほとんど、水害統計を見ますと、内水氾濫による被害がほとんどでございます。

そこで質問ですが、今回の八ッ場ダムありきの河川整備計画では、2万2,000トンという過大な洪水流量に基づく国任せの巨大治水対策となっておりますが、千葉県として内水氾濫への対応など、千葉県の流域特性に応じた最少の費用で最大の効果が見込める現実的な治水対策、これを進めていくべきと考えますが、御見解を伺います。

答弁
答弁
県土整備部長

治水対策について質問がありましたのでお答えいたしたいと思います。我が国最大の流域面積を誇る利根川の治水対策につきましては、堤防強化等の河道整備、また上流域でのダム群の整備、中流域におきまして調節池の整備など、それぞれの地域での役割分担をし、水系全体でバランスよく治水安全度の向上を図ることとしているところでございます。また、県内の河川におきましては、流域においてさまざまな流出抑制を行い、総合的な治水対策を実施しているところであり、今後もこれらの対策の推進を図ってまいります。

以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

続きまして、利水面での必要性について伺います。

八ッ場ダムが完成する予定の2015年、平成27年の人口は625万9,000人という前提でした。しかし、直近のことし9月1日現在の最新値によりますと、人口は619万2,351人と既に620万人を切っています。県の総合計画における人口推計、これは私、先ほど過大ではないかと指摘しましたが、その推計においても人口のピークは、先ほどもお伺いしましたが、平成29年、2017年の626万2,000人がピークということでございます。八ッ場ダムが完成される、今回の計画変更によって完成するのは2019年、平成31年完成ということでございますが、実際、ダムが完成する2年前には既に人口のピークを過ぎているということになります。

今まで千葉県は国に対して八ッ場ダムに参画してきたわけですけれども、前回の計画変更のときも、これ以上の工期延長は認められない、そして事業費についても増額は認められないという意見を付して同意してきたわけですね。そういったことからも、全然納得できる理由が、お答えが、利水上の必要性について納得できる御答弁がありませんでしたので、再度今申し上げた数字を踏まえてお答えいただければと思います。

答弁
答弁
県土整備部長

事業費増額による5度目の基本計画変更があった場合、どのように対応するかとの御質問でございます。県といたしましては、今後とも関係する1都4県とも連携を図りながら、コスト縮減について国に働きかけてまいりたいと、そのように思っております。

それから、利水の関係でございますが、それぞれ利水の考え方もございましょうけれども、例えば水道に関して言いますと、やはりいろんな渇水とかいろんなことも考えて、それぞれの各水道事業者がそれぞれに水需要の予測を立てまして、それに基づいて算定をしているところでございます。

入江あき子
質問
入江あき子

続きまして、児童福祉について質問いたします。

特に、県立乳児院のあり方については先ほど検討していくというお答えだけでしたが、私ども会派で県内の民間の児童養護施設や乳児院を視察させていただいたんですが、そのときに現場の方からのお話ですと、やはり公的に県立の乳児院が必要である。なぜならば、障害の重いお子さん、そして病気を抱えているお子さんに対応していくためには、民間ではとても人的に対応が難しいということでした。実際、通院にも半日かかるとか、やはりさまざまな人手がそれなりに必要となってくるわけです。

それで質問ですが、県立の乳児院については、こども病院などの医療機関との併設も含めて、県の直営で存続していただきたいと考えますが、県として現時点でどのようなお考えなのかお伺いします。

答弁
答弁
県土整備部長

それから、乳児院に関してでございますが、先ほども申し上げましたように、県内の乳児院の入所状況等も踏まえまして、今後のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

入江あき子
質問
入江あき子

最後に、医療問題についてお伺いいたします。

総合診療専門医の養成について県としても取り組まれているということで、高齢化に向かう中で、やはりプライマリーケアをしっかりと、プライマリーケアの専門の先生を、お医者さんをふやしていくということが医師不足の千葉県にとっては大変大きな打開の鍵になるのではないかと思います。先日、千葉大の医学部に伺ったところ、千葉大としても、ことしの秋から総合診療専門医の養成について、国の補助金を受けてこれから取り組んでいくというお話でした。ことし3月に国の検討会、厚労省のほうで総合診療専門医が専門の医療科目に追加されまして、19番目の専門医ということが決定いたしましたので、千葉県でも県立病院でこの総合診療医を育てる、育成する、そういったプログラムを取り組んでいただきたいと思います。県立東金病院では、家庭医療学の専門医の研修制度がありまして、東金のドクターが減る中で、地域でお医者さんを育てるということで大変先進的な取り組みをしておりました。東金病院が閉院しますので、ぜひこういったよい取り組みを循環器のほうでも展開していただければと思いますが、いかがでしょうか。

答弁
答弁
県土整備部長

県立病院の総合診療科に関する御質問でございます。現在、県立病院においては佐原病院で内科において総合診療を行っているところでございます。また、東金病院では現在3名の家庭医療専門医を養成しているところでございます。総合診療科を設けるかどうかは、地域医療を担っている各病院の状況を踏まえながら検討してまいりたいと、そのように思っているところでございます。

答弁
答弁
病院局長

家庭医療専門医について、現在東金病院で行っている養成を県立循環器病センターでも実施すべきではないかという御質問でございますが、循環器病センターは、現在この家庭医療専門医養成施設の認定の基準をまだ満たしておりません。そういう状況ですので、認定取得のための条件を整備した上で検討してまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

最後に、東千葉メディカルセンターについてお伺いします。

先ほどのお話ですと、千葉大からの全国公募の結果も公表されていないということでしたけれども、現在公表されているドクターの数字は、外科と消化器とそれから救急医の3人のドクターが今就任されているということです。来年3月には30人のドクターが必要で、それが確保できなければ予定どおり146床の病床も開設できないということで、大変この医療スタッフの確保ということが鍵となっております。その点いかがでしょうか。

答弁
答弁
病院局長

それから、東千葉メディカルセンターの、まず医療スタッフの関係でありますけれども、これは千葉大学が全面的に協力をしていくということで話が進んでおります。県といたしましても、千葉大のこういった動きをしっかりと見てまいりたいというふうに思っております。

入江あき子
質問
入江あき子

また、3次救急の赤字負担についても、現時点では東金と九十九里の両市と相談するという御答弁でしたが、オープンまであと半年しかありません。地域の皆さんは本当に東千葉メディカルセンターが予定どおりオープンして、地域医療が求める、そういった医療を提供してくださるのか大変不安なお気持ちで見守っていると聞いております。この赤字負担については、東金の9月の市議会でもこの点についての質問が出まして、市長さんが赤字負担のことについては県が主導して、この点の解決については県が主体的にこの問題について解決してほしいというような答弁をしておりました。この点についてお伺いしたいと思います。

以上で終わります。

答弁
答弁
病院局長

それから、救急医療に関する赤字負担に関してでございますけれども、先ほど申し上げましたのは、これから東金市、九十九里とともに始めましょうということではなくて、東金、九十九里町あるいは法人、独法とはいろいろ相談をしておるところでございまして、今後周辺市町村の方も恐らく利用されると思います。こういったことも含めて丁寧に、粘り強く御説明をしていきたいというふうに考えております。

私からは以上でございます。

入江あき子
質問
入江あき子

はい、御答弁ありがとうございました。

子ども・被災者支援法の基本方針については大変残念です。県民が首長まで一緒になって国に働きかけているときに、県が何も手を出さないで国の動向を見ている、そういったことでは本当に県民はがっかりするのではないでしょうか。ぜひもう一度お考えをいただいて、お力添えをお願いしたいと思います。支援対象地域に千葉県内の自治体が入れるように、そういった働きかけをぜひ考え直していただきたいと思います。
それから、東千葉メディカルセンターについては、構成市である東金も九十九里も成東病院に出していた負担金、年間2億6,500万円、これ以上は出せないと、そういうことを評価委員会でも言っているわけです。もうオープンまで半年しかないわけですから、お互いどちらが責任をとるのかはわかりませんけれども、地域の住民の方たちの地域医療を充実するということで始めた話ですから、しっかりと千葉県は地域医療に責任を持って、構成市の九十九里と東金だけに責任を負わせることのないように、このあたりをしっかりとやっていただきたいと思います。

それから、人口減少に向かう中、これまでと同じような公共事業、そういったことをやっていたのでは、限られた財政ですからもう立ち行かなくなるわけです。そういったところも含めて、総合計画の人口推計の見直しも私は求めましたが、その点もこれからお考え直していただければと思います。

以上で終わります。

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