旧統一教会等による被害の防止・救済を求める意見書

旧統一教会(旧世界基督教統一神霊協会、現世界平和統一家庭連合)は、その信者が、宗教団体であることや教義を隠して信者を勧誘し、多額の献金を強要したり、虚偽の説明や威迫的言動で印鑑や壺などを高額で売りつけたりするなどの活動を行い、信者が逮捕され、団体に対し献金の返金などを命じる判決がされるなどの事案を多数発生させている。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、2010年以降の被害額は約138億円にものぼると報告されているところである。

旧統一教会が多額の被害を発生させてきたにもかかわらず、政治家が教団の友好・関連団体が催したイベントに出席し、祝電を送るなどの形で接点を持ち、旧統一教会の活動に「おすみつき」を与える結果を生じさせてきた。こうした政治家と旧統一教会の関係について、報道機関が国会議員に対してアンケートを実施しているが、現時点で公表されている回答率は81.9%にとどまり、政治家と旧統一教会との接点の全容は明らかになっていない。

以上のことから、旧統一教会等による被害の防止・救済を実現するため、国に対し以下の対策を求める。

  1. 被害実態の把握を早急に進めるとともに、まずは現行法制度を最大限活用し、弾力的な救済を行うこと。
  2. 地方における消費生活等相談窓口の強化に向けて予算を増額するとともに、相談員の専門性を高める研修を行うこと。
  3. 被害者を団体から引き離すためには、専門的な支援が必要であり、被害救済のために専門家や団体との連携及び支援を行うこと。
  4. 悪質な業者による契約被害をなくし、安心・安全な消費者生活を確保するため、包括的つけ込み型勧誘取消権の創設を含めた消費者契約法の抜本的見直し、「生活に支障のある程度」を超える契約の取消しや第三者からの取消しの申立てを可能とする法整備を行うこと。
  5. 学生等が経験・情報不足などにより反社会的活動に取り込まれることなどがないよう、高等学校・大学等教育機関による周知・啓発の実施支援を行うこと。
  6. いわゆる「宗教二世」の当事者や親族に対し適切な公的支援を提供する国の公的窓口の充実に加え、地方行政の支援窓口に対する人的支援及び啓発・研修の充実を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年10月14日

千葉県議会議長

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
消費者及び食品安全担当大臣  あ て
法務大臣
文部科学大臣