コロナ後遺症及びワクチン後遺症への対応強化を求める意見書

新型コロナウイルス感染症から回復した後も、長期にわたって疲労感、呼吸困難、筋力の低下、記憶障害などの後遺症(コロナ後遺症)に苦しむ人が多いことが、厚生労働省研究班の大規模調査で分かってきた。不安や抑うつ、恐怖感、睡眠障害の傾向が強いことも特徴的である。「ブレインフォグ(脳の霧)」の報告もあり、コロナ後遺症によって活力が低下し、仕事の能率が下がったと自覚する人もいる。また、新型コロナワクチンの接種が進む一方で、接種後の体調不良や歩行困難、関節痛、慢性疲労等の遷延する症状(いわゆるワクチン後遺症)を訴える人も少なくない。

医療機関で検査をしても異常が見つからない患者もおり、医療機関を「たらい回し」にされる事例もある。コロナ後遺症やワクチン後遺症に対する医療者や周囲の理解不足が患者をさらに苦しめており、通常の保険診療であることから、医療費の負担も生じている。発症の仕組みはいまだに解明されておらず、どんな症状がどんな人に起こるのか、どれだけ長く続くのかについても分かっておらず、効果的な治療法も確立していない。爆発的に感染が広がったオミクロン株による後遺症患者や、ワクチン後遺症患者が今後さらに増える可能性があり、対応を強化する必要がある。

よって、国に対し、悩んでいる患者に寄り添い、以下の施策を実施することを強く求めるものである。

  1. 新型コロナウイルス感染症の後遺症及びワクチン後遺症に悩む人の相談体制を整備するとともに、診療する医療機関を拡充するなど、地域の医療機関で迅速に治療を受けられるようにすること。
  2. 新型コロナウイルス感染症の後遺症及びワクチン後遺症の影響で仕事を失ったり休業を余儀なくされたりする人が相次いでいることから、職場への復帰や再就職、福祉施策と結びつけた支援を行うこと。
  3. 新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態調査や研究を続けるとともに、最新の知見をもとに、診察やリハビリの方法などを示した「手引き」を適宜改訂すること。都道府県や医療機関に対しワクチン後遺症の存在や治療方法等について情報収集や研究等、国が取り組んでいる内容を速やかに発信するとともに、ワクチン後遺症の診療に関する「手引き」を作成すること。
  4. 新型コロナウイルス感染症の後遺症及びワクチン後遺症への理解・啓発を行うとともに、社会全体で認識を深め、患者が孤立することがないよう積極的な情報発信を強化すること。

以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。

令和4年10月14日

千葉県議会議長

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官、ワクチン接種推進担当大臣
新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣