政府による拙速な原発政策の方針転換を行わないよう求める意見書

岸田首相は、8月24日GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、原子力発電の再稼働の促進と新増設を目指す方針を表明した。その背景には、ウクライナ侵攻や円高の影響による石油・天然ガス調達価格の高騰、電力需給のひっ迫があり、脱炭素とエネルギー安全保障を両立できるとして原発政策の転換を図ろうとしている。

岸田首相は「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」と宣言したものの、再稼働にあたっては、原子力規制委員会が求める安全審査やテロ対策をめぐる検査の通過、地元自治体の同意が事実上の前提条件であり、政府の法的権限は明らかではない。また、これまで政府は原子力規制委員会の審査の領域に踏み込んでおらず、岸田首相が規制にかかわる領域に踏み込んだ今回の発言は看過できない。

政府は年末までに具体策をまとめる方針とのことだが、今後の原子力規制委員会のあり方が問われている。同委員会は原発事故の反省と教訓から原子力行政の推進側の経済産業省から切り離し、平成24年独立性が高い環境省の外局いわゆる「三条委員会」として発足した。しかしながら、今年7月にはその独立性が問われる人事任命が行われ、政治的圧力も取り沙汰されている。

原発の再稼働・新増設についての各種世論調査でも国民の意見は二分しており、原発政策をめぐる与党内での足並みもそろっていない状況である。

以上のことから、国に対し、下記の事項を強く求めるものである。

  1. 原子力規制委員会の独立性と透明性を担保すること。
  2. 国民合意のないまま原発政策の方針転換を行わないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年10月14日

千葉県議会議長

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  あ て
経済産業大臣
環境大臣