中学校教科書展示会が今日からスタート
千葉県内の中学校教科書展示会が始まり、早速佐倉の中央公民館に足を運んだ。
昨年度は小学校教科書の採択があり、印旛合同庁舎に見に行ったのだが、会場が2階の奥の薄暗い部屋で他に誰ひとり閲覧者はいなかった。それに比べて中央公民館は配食サービスや趣味のサークル活動などで出入りが活発。
教科書展示が目につきやすく一歩前進である。
展示会場にて
しかし、どれほどの人が今回の教科書採択に関心をもっていることだろう。
学校教育にとってなくてはならない教科書だが、その内容がどのような視点で書かれているかが問題である。
もちろん文科省の教科書検定を通ったものだけが選定の対象となっているのだが、特に歴史や公民については必ずしも似かよった中身とは言えない。
特に今回は「新しい歴史をつくる会」の流れをくむ自由社に加え、育鵬社も検定にパスしている。
これらの教科書については、戦争を美化・正当化し、基本的人権よりも国家や社会の秩序を優先するなど、他の教科書とは明らかに異なる視点で書かれており、憲法改正論者から熱い支持を受けている。
今年に入ってから、各地方議会ではこれらの教科書を支持する側から「もっともふさわしい教科書を選ぶべきだ」いう内容の請願が出され、千葉県でも2月県議会で自民党の賛成多数で採択されている。しかし、このような教育行政への政治介入は法的にも許されていない。自覚がなさすぎるのではないか。
話は戻って、教科書展示会。
公民の教科書6社を手に取り、憲法や基本的人権をどのように扱っているか、読み比べた。
人権については、「公共の福祉」「子どもの権利条約」「外国人参政権」「男女平等」などがどのように位置づけられているか、或いは全く言及がないか、読みふけっているうちに1時間が過ぎ、午後1時からの政策室会議に大幅に遅刻してしまった。
会議終了後、県庁会派室に戻り、今回の教科書展示や採択手続きを確認するため、担当課職員から聞き取りした。
数時間前に各展示会場でとっているアンケートの取り扱いについて、数人から問い合わせがあったからだ。
その結果、アンケートは展示会の運営に関する意見集約だけで、教科書の中身に関する意見は全く取り上げられていないことがはっきりした。これでは、あんまりではないか。一般の教員や保護者の意見はいったいどこで吸い上げるのであろうか?
千葉県の採択手続きについては、現場教員の意見反映や会議の公開などの透明性の確保をはじめ、さまざま改善すべき点がある。東京や神奈川は会議の公開をしているのに、なぜ千葉県は「静謐(せいひつ)な環境確保」を盾に8月末まで全て非公開で秘密裏に進めるのか?
今年度、単独採択市である千葉市と船橋市は採択決定をする最後の場面(教育委員会会議での採決のところ)は、公開することになったそうだ。しかし、採決に至るまでの議論は依然として、非公開、秘密会のままとのこと。
「法的しばりがないにもかかわらず、県が非公開としていると理由は何か?教育に限らずあらゆる分野で情報公開が進められ、行政の透明性が求められているのに、ブラックボックスの中で決められるのはおかしいのではないか。」と投げかけたところ、「ブラックボックスとは……。確かに法的な規制はないが、これまでの慣例で非公開とした方が外からの働きかけや圧力から守られ、静謐な環境で教科書採択事務を進めることができると県が判断した。」とのこと。
非公開の判断を変えるためには、教育委員会会議で議論の俎上に上げ、決定する必要がある。
県民の声が届かない、見えないところでの決定を信じよと言われても、どうだろうか?