二瀬ダム&滝沢ダムの視察
5月17日(木)
東京駅8時過ぎの電車で埼玉の奥秩父にある2つのダムの視察に向かいました。
熊谷からは初めて秩父鉄道に乗り、御花畑という可愛らしい駅で下車。
群馬からのマイクロバスと合流し、最初の二瀬ダムに到着したのが11時前。
今回の視察は、八ッ場あしたの会と八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会
の共催企画ですが、下見など群馬の渡辺洋子さんにお世話になりました。
この2つのダム周辺は火山灰が堆積した地すべりを起こしやすい地質と地形
であり、八ッ場ダムも共通の問題点を抱えています。
国交省関東地方整備局二瀬ダム管理所の木村所長から説明を受ける
二瀬ダムは1961年完成後も貯水池周辺の地すべり対策に悩まされ続け、
2年前には麻生地区に大がかりな集水井戸を2基設置しています。
井戸の上に建っているかつての民宿はダムの水位が下がると家がギシギシ
きしみ、柱や床材が斜めに歪んでずれるなどの地割れの被害を被ってきました。
地下水を排除するためにパイプ管を放射状に施工し、工事費は約1.7億円も
かかっています。
さらにこの二瀬ダムは堆砂問題が深刻です。
運用されて50年が経ちますが、すでに計画量の9割も堆砂が進み、除去のための
対策費が年間1億円もかかっています。
大雨が降ると地すべりが起こりやすいので、6月から8月末にかけて、
毎日90㎝ほど徐々に水位を下げているとのことでした。
昼食をはさみ、次に向かったのが、滝沢ダム。
(独)水資源機構滝沢ダム管理所の池上所長から説明を受けました。
このダムは、地すべりで有名です。
1999年にダム本体工事に着手し、2004年に完成しましたが、
2005年10月の試験湛水開始から地すべりが頻発。
ようやく一昨年の3月に供用開始となりましたが、地すべり対策に
かかった費用が、なんとトータルで300億円。
供用開始後の対策費に145億円もかかっています。
国道や市道にも亀裂が入り、これまで7回の対策工事をしています。
ダム完成後も地すべりを押えるアンカーボルトの維持管理のために600箇所
も計測器をつけており、予断を許さない状況です。
また、二瀬ダムと同様に急激な水位低下による地すべりを回避するため、
今年は5月10日頃から50日間かけて、一日40センチほど水位低下し、
20メートル下げていくとのこと。
農業用水などの利水者の同意も得ているとのことですが、
要するに「水は要らない」「足りている」ということでしょうね。
この先も続くダムの維持管理費も含め、いったい誰のための何のための
ダムなのでしょうか?
アンカーボルトがむざんにも一面に施されたダム湖は、八ッ場ダムの将来
を彷彿とさせます。
無駄な上に自然を破壊する公共事業はこれ以上続けるべきではありません。
思いを強くし、滝沢ダムを後にしました。