笑いありの法廷?

6月3日(月)

八ッ場ダム住民訴訟、東京高裁での初めての法廷が開かれた。
傍聴者に配布する資料の印刷も直前になり、バタバタの中
さくらネットのメンバーと電車に飛び乗る。

以下、関係者に送った報告文をご覧ください。

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午後2時15分から始まった法廷では、裁判所から与えられた
1時間20分の時間内で大熊孝さん、嶋津暉之さんから新たな事実に基づく
説得的な証言が展開されました。

河川工学の専門家である新潟大学名誉教授の大熊さんは、八ッ場ダムの
必要性を導き出している根拠のおかしさについて証言。
洪水時に水が山を上ったというあり得ない洪水氾濫図や洪水流量をはじき
出す計算式の作為性など国交省の出したデータや資料のデタラメさについて
ご自身が利根川江戸川有識者会議のメンバーとなって会議の場で指摘し
説明を求めてきたこと、それに対する回答らしい回答も得られず、
国交省は科学的根拠がないままダムありきの治水計画をつくったことなど
具体的な事実をあげて分かりやすく説明しました。
広瀬弁護士から大熊証人への尋問は、お二人のやりとりが会話のように
とても自然であっという間に50分が過ぎました。

続いて嶋津さんと拝師弁護士のコンビで、利水面で八ッ場ダムが不要で
あることを明快に証言。
県水道と県工業用水について水余りの実態を分かりやすくグラフで
提示し、人口減少にも拘わらず過大な水需要予測をしているのは、
ダムに参画することが前提となっているからに他ならない、
八ッ場ダム計画がなければ大阪府のように実績に基づいた水需要予測に
なるはずだと指摘。
千葉県が八ッ場ダムに参画する必要はまったくないと力強く訴えました。

証人尋問が終わり、加藤裁判長は、被控訴人千葉県の従来からの主張、
住民訴訟の申立てが「濫用」にあたるとしている点について、
「学者で住民訴訟をせばめようとする学説をしている人がいるのか?」
と県側代理人の伴弁護士に問いかけ、原告側には「判断枠組みがおかしい
ということであれば、それを最終準備書面で主張してほしい」と
投げかけました。

伴弁護士は裁判長から両証人への反対尋問をしないことを確認され、
閉廷後に反対尋問に代わる意見書を出したい旨を発言。
これに対して原告側から「おかしい」「反論があるならば、この場で
やるべきだ」との意見が出され、裁判長までも「反対尋問を放棄する
くらいだから、いっそのこと出さなくてもいい」と発言。
結局、意見書を出すのであれば、6月25日までに提出することになりました。
いつもの裁判は四角四面で堅苦しい雰囲気ですが、落研出身という
名物裁判長の訴訟指揮で時には笑いも起こる場面もありました。
詳しい解説は弁護団にお願いしたいと思いますが、わずかな希望が見えた
法廷でした。

法廷には千葉弁護団をはじめ、群馬、茨城、東京の弁護士の皆さんにも
出席していただき、強力な体制で県側を圧倒することができました。

40数席ある傍聴席は茨城、埼玉、東京からも応援傍聴に駆けつけて
いただき、満席。
県側の職員は十数名参加していました。
柵の中にも15名程度の原告が入ってぎゅうぎゅう詰めになりましたが、
関心の高さを裁判所に訴えることができました。

次回の裁判は、7月17日(水)午後3時からです。
結審となる見通しですが、原告の意見陳述を含め、
40分の時間が与えられました。
ぜひ応援傍聴に駆けつけてください。