ウナギはどこに行った?
11月25日(月)
突然の話だが、シラスウナギは3年連続の不漁となり、このところ価格も
高騰している。
今年9月には水産庁がウナギ資源の回復に向けて、全国的な緊急調査を
開始した。
千葉県でも県の水産研究所が委託を受け、①利根川におけるシラスウナギ
等の来遊動向の把握②クロコウナギを標識放流し、利根川河口堰の敷設
魚道へのウナギ遡上量を推定する調査が行われる。
利根川流域市民委員会で活動を共にしている霞ヶ浦漁業研究会の
浜田篤信さんによると、利根川のダム数とウナギの漁獲量に高い相関関係
があるとのこと。
そこで、この問題について流域の漁業関係者に聞き取り調査することに
なった。
というわけで、印旛沼漁協に連絡を取り、今日は成田市北須賀にある
同事務所に足を運んだ。
事務所で小川組合長と事務局の瀬尾さんにお話を伺った。
小川さんによると、台湾の今年のウナギの漁獲量は昨年の100倍も
あったとか。
こちらでは12月から4月が漁期とのことだが、東庄堰や酒直水門ができて
以来、印旛沼の漁獲量は激減。
それでも毎年7月に300㎏の稚魚を放流しているそうだ。
一方、漁協ではビニールハウス内の地下水プールで稚魚を養殖している。
台湾などでは半年で大きくしているが、こちらでは1年かけて育てる「周年ウナギ」。
稚魚は満潮時に九十九里で捕まえたものだが、2kgで500万円とお高い。
1㎏あたり、5000~6000匹程度いるので、1匹あたり500円ほどになる。
どおりでお値段が高いわけだ。
また、印旛沼の天然ウナギはまったくゼロではないが、数は少なく
流通することはないそうだ。
愛知県では完全養殖に成功しているが、商業ベースにはなっていないとのこと。
ちょっと意外だが、ウナギはデリケートなので、水温が下がるなど環境が
変わるとえさを食べなくなるそうだ。
「これまでで印象的だったウナギのエピソードは?」とお聞きしたところ、
「50年前の9月、船に大量の下りウナギがあふれ、捕まえきれなかった
こと」と嬉しそうに答えてくださった小川組合長。
ちょうどお昼時ということもあり、新装開店したばかりのお店で
ウナギを注文。
生きたウナギをその場でさばくため、少々時間がかかったが、
ふっくらとした触感で味も良い。
絶滅危惧種に指定されている日本ウナギ。
川の自然な流れを妨げるダムや堰などの人工構造物がウナギの生育環境
を阻害し、激減の一因になったことは確かだ。
いつの日かまた利根川に多くのウナギがカムバックできるよう
河川環境の再生を祈りつつ、感謝して美味しくいただいた。