八ッ場ダムは今

8月30日(土)

一昨日の28日、国交省は来年度予算の概算要求を発表。
八ッ場ダムの本体工事を含む事業費119億2500万円を盛り込んだ。
この要求額には、千葉県をはじめ関係都県の負担分が含まれている。

本体工事については、今月の一般競争入札で落札した清水建設JVが
514日間の工期短縮の技術提案を行い、国交省関東地方整備局は
予定どおりに10月本体着工をめざしている。
ところが、吾妻渓谷における本体準備工事は大幅に遅れているのだ。

先月7月15日、八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会メンバーと
現地視察を行い、その様子をつぶさに見てきた。
転流工付近
仮排水トンネル(転流工)付近の様子
流れをせき止める堰が大雨で流れてしまっていた。

最近のダムサイトの状況については、ガイド役をしてくださった
八ッ場あしたの会の渡辺洋子さんが報告している。

詳細は、以下をご覧ください。
 ↓
本体準備工事の遅れ

昨秋、国から4度目の基本計画変更が示され、工期4年延長、2019年度完成
に千葉県をはじめ関係6都県は同意した。
しかし、これで終わりではない。
現計画の総事業費は4600億円だが、今後、追加の地すべり対策や東電の
水力発電所への減電補償費などで500~600億円の事業費増額が
見込まれる。
国から事業費増額の基本計画変更が示されるのは、必至!

7月15日 水力発電所 取水口を望む
水力発電所

八ッ場ダム事業については、あまり大きく報じられていないが、
今回の本体工事の入札不正疑惑や代替地への有害鉄鋼スラグ使用問題など
が次々と発覚している。
関東地方整備局はこれらの問題の真相が明らかになる前に
本体工事着工の既成事実をつくろうと躍起になっているとしか見えない。

先日、広島で甚大な土砂災害が起き、おおぜいの方が命を失い、
住む家を失い、今も生活再建の見通しが立たず、途方にくれている。
同じように集中豪雨が八ッ場ダム現地で起きたとしたら…
と考えると、恐ろしい。

ダムサイトをはじめ移転代替地の一体は火山灰が降り積もった脆弱な地質。
地すべり地帯も多く、天明の浅間間山噴火の痕跡も遺跡となって
発掘されている。
その様子も1都5県議連のメンバーと見てきた。

東宮遺跡1
東宮遺跡発掘作業の説明を聞く。

東宮遺跡2
日本のポンペイともいえる広大かつ貴重な遺跡群が出現!

昨年2月、多くの科学者たちが連名で八ッ場ダムを中止し、
現地一帯を文化遺産と自然遺産を生かしたフィールド・ミュージアム
にしてほしいと国に要望している。
 ↓
日本のポンペイに

さまざまな観点からも有害無益な八ッ場ダム。
本体工事未着工の今なら、まだ間に合う。
とにかく造ってはいけない。