八ッ場ダムは今(続編)
1月25日八ッ場ダム現地視察記
国交省現地事務所による案内は左岸作業ヤードで終了。
その後、地質の専門家である中山俊雄さんの案内で川原畑地区へ。
ダム貯水池周辺のこの地区は熱水変質帯が広く分布しており
地滑りがすでに起っています。
茂四郎トンネルの西側の付け替え国道では縁石の亀裂が広がっており
一昨年から群馬県の委託で地滑り調査が行われていますが、
結果は明らかにされていません。
地滑り対策で打ち込まれたアンカーボルトが赤茶色に変色しています。
次に、天明の浅間山噴火の泥流に飲み込まれ、当時の暮らしがタイムカプセル
として発掘された貴重な遺構の地を訪れました。
前回訪れたのは春で発掘作業が行われていましたが
今は、だれ一人いない雪の原でした。
住民が生活道路としていた県道は工事のため閉鎖され
時折ダンプカーが往来していました。
次に向かったのは、王湯。
川原湯温泉移転に伴い、すでに閉鎖されてしまいました。
温泉の匂いが漂い、下を覗くと湯気が湧き上がっています。
この源泉は関東屈指の泉質と言われていただけあって、本当に無念…。
地方創生どころか、地方破壊です。
水没予定地の長野原町はかつて(1979年)は340世帯でしたが
昨年3月末時点では、わずか4世帯。
その多くは移転代替地ではなく他地区へ転出し、移転代替地に移ったのは
わずか86世帯(外部からの流入を含む)とのこと。
中に全長約10キロにわたり、ベルトコンベヤーが走っているとのこと。
ダム本体の完成は2018年度中、試験湛水は2019年度から始め
2020年3月にダム完成の予定となっていますが、この先の事業費増額は
必至です。
2011年度国交省によるダム検証の結果では
・事業費の増額分から減額分を差し引いて、33.6億円。
・追加的な地滑り対策の点検により、109.7億円。
・代替地の安全対策の点検により、39.5億円。
合計 183億円の増額が示されました。
しかし、実際にはさらなる増額要因が見込まれます。
・地滑り対策のさらなる増額として、100億円以上?
・代替地の整備費用の負担として、80~100億円
・東京電力水力発電所への減電保障費が、160~200億円以上
八ッ場ダム、このまま造っても大丈夫なのか?
千葉県として、ダムの安全性も国任せでは困ります。
750億円もの税金投入をし、将来世代に借金をつけ残してまで
推進すべき公共事業なのか?
国の言い分を鵜呑みにするのではなく、県自ら現地に足を運び
ダムの安全性を含めて検証すべきではないでしょうか?
引き帰すのは、まだ遅くありません。
凍てつく吾妻川を見下ろしながら、帰途につきました。