平成29年12月議会 発議案討論

会派を代表し、発議案第10号及び第11号について、賛成討論を行います。

初めに、発議案第10号拙速な改憲発議を行わないよう求める意見書についてです。日本国憲法施行70周年にあたる今年5月3日、安倍首相は憲法9条の1項、2項を残したうえで自衛隊を明記した第3項を加えるという案を示すとともに2020年の新憲法施行を表明。これを受けて、自民党は10月の衆議院選挙の公約で「改憲4項目」を掲げ、結果として改憲発議に必要な「3分の2」の議席を手にしました。また、一昨日20日の自民党の憲法改正推進本部の会合で改憲4項目の論点整理が示されたと報じられました。

しかし、そもそも国民の多くは安倍政権の下での憲法改正をまったく支持していません。衆院選での「与党圧勝」を分析すると、投票率は戦後ワースト2位の53.68%、比例区の自民党得票率は33.3%。これを掛け合わせると有権者人口の17.9%、わずか2割にも満たない積極的支持により、自民党の議席占有率61.1%が実現してしまうのです。選挙制度のパラドックスが現在の政治状況を生み出してしまっているのであり、決して安倍政権支持の3分の2ではありません。第4次安倍政権の発足を受けて11月1・2日に行われた共同通信社の世論調査では、憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正に賛成が38.3%、反対が52.6%でした。この事実を真摯に受け止め、憲法改正に対する国民の意思がどこにあるのか、慎重に見極める必要があります。

言うまでもなく、憲法とは、国家権力を制限し、国民の自由と人権を保障する国家の基本法です。その憲法を守らなければならない、憲法順守義務のある首相自らが権力を縛るどころか数の力で権力を意のままに暴走し、立憲主義をないがしろにしてきたのです。森友・加計学園問題にみられる官邸への忖度行政、内閣による解釈改憲が主導した「集団的自衛権の容認」と安保法制への流れ、国家権力の強化をめざす共謀罪の強行成立等々。この間の官邸主導政治が国会での議論を空洞化させ、政治への国民の信頼を失わせてきたことを忘れてはなりません。

憲法9条をめぐる自民党の論点整理では、安倍首相の自衛隊明記案、その他に戦力不保持をうたう2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するという案が併記されたとのことですが、いずれにせよ憲法の恒久平和主義原理を破壊するものです。9条が「武力によらない平和」から「武力による平和」の規定へと豹変し、国家が軍事組織を持つことを憲法が正面から認めることになるのです。

さらに「緊急事態条項の創設」について、自民党改憲草案では「外部からの武力攻撃や内乱に備えるため、内閣に緊急事態を宣言する権限を与え、国会や裁判所の権限を制限し、内閣に独裁的権限を与え、人権の制限の根拠を設けること」としています。これと似たものが、ヒトラーがワイマール憲法を無効化し、独裁体制樹立に道を開くために濫用した「大統領緊急措置権」といわれています。

そもそもこのような改憲を必要とする切迫した情勢に今日本はおかれているのか、また多くの国民が改憲を望んでいるのでしょうか。自民党の中からも9条改正に明確に反対する意見が発せられています。昨年亡くなった加藤紘一元自民党幹事長は生前「憲法9条の一字一句を変えることにも反対。9条が日本の平和を守っている」と断言。また、今年7月には野中広務元自民党幹事長も安倍首相の改憲案について明確に反対を表明し、「私みたいに戦争に行き、死なずに帰ってきた人間は、再び戦争になるような道は歩むべきではない。これが私の信念です」と語っておられます。このような保守政治家が少なくなり、安倍政権は軍事国家への道を突き進んでいます。

北朝鮮問題を背景とした国難意識が改憲の気分へと向かわされている今、私たちは立ち止まり、戦後日本が歩んできた歴史をしっかりと振り返らなければなりません。平和で民主的な社会の礎となってきた憲法9条の価値を改めて認識し、拙速な改憲発議を強引に推し進めることがあってはなりません。

次に、発議案第11号日英戦闘機ミサイル共同開発に反対する意見書案についてです。

今月14日、ロンドンで開かれた日本とイギリス両政府の外務・防衛閣僚会合、いわゆる「2+2」で、予定通り空対空ミサイル「ミーティア」の命中精度を上げる「共同開発」を正式に合意しました。

今回の共同開発は、初の「準同盟国との兵器開発」という問題点とともに、このミサイル開発がフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデンの資本が入った合弁企業によるものであり、21世紀に入ってからの兵器開発のトレンドである多国籍化、国際共同開発に日本がさらに関与することも大きな問題です。

そして、射程100km以上、速度マッハ4という、強力な殺傷能力のある「攻撃型兵器」の性能を日本の技術でさらに向上させ、同じく国際共同開発による次期主力戦闘爆撃機F35に搭載が予定されていること、さらに搭載戦闘機の開発と資本参加国への輸出も視野に入れていることは、安倍政権の元で大幅に緩和された武器輸出基準「防衛装備移転3原則」の第一原則にも抵触すると指摘されています。

また、今回の「2+2」共同宣言では、日本での陸上自衛隊と英陸軍との初の共同演習、海上自衛隊とイギリス海軍の艦艇2隻によるアジア太平洋地域での共同演習も盛り込まれています。同共同宣言は「朝鮮民主主義人民共和国に核開発などを放棄させるため最大限の圧力をかける方針」が基調となっており、「対話による解決」を希求する国際社会の潮流に逆行するものといわざるをえません。アジア太平洋域の安全保障環境をますます悪化させる「兵器共同開発」と「軍事同盟」の一方的強化は、日本国憲法の平和主義の理念に著しく反しており、到底認めることはできません。

今回の日英空対空ミサイル共同開発と前後して、政府防衛省は突然のごとく「敵地攻撃能力」を有するミサイルの保有の方針を固め、アメリカやノルウェーからのミサイル購入を来年度予算に計上する方針を明らかにしました。これに8月の概算要求にすでに計上されている自国開発の「島嶼防衛用高速滑空弾」「島嶼防衛用新対艦ミサイル」を加えるならば、小野寺防衛大臣が繰り返している「あくまでも専守防衛」という枠組など有名無実であることは明らかです。 日本の安全保障政策を根本から改変し、アジア太平洋域のみならず世界の安全保障環境を軍事優先に不安定化する、一連のミサイル開発・導入政策に断固として抗議し、その撤回を求めるものです。

以上、議員各位のご賛同を求め、討論を終わります。