平成29年9月議会 会派代表質問
目次
質問原稿
1.知事の政治姿勢について
佐倉市選出・市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。会派を代表し、質問を行います。
いま国会では解散風が吹き荒れ、森友・加計学園問題の説明責任、アベノミクスの効果検証もどこかに吹き飛ばされようとしています。国政のあり方が問われていますが、県政においては二元代表制の下、県民の命と暮らしを守る政策をどのように実現するのか、自治体の独自性、地方自治の本旨が問われています。
それでは、通告に従い、質問に入ります。
(1)千葉県行政改革計画・財政健全化計画「仕事改革・働き方改革」について
今年8月、千葉県は新たな行政改革計画・財政健全化計画原案を示し、「組織改革・人材育成」の中で、職員数の適正管理、様々な任用・勤務形態の職員を最適配置するとしています。この中に、今年5月可決成立した地方公務員法、地方自治法改正で新たに創設された「会計年度任用職員」の活用も盛り込まれ、3年後の2020年4月1日施行されます。
政府は、昨年9月「働き方改革実現会議」を発足。この間、働き方改革は官民共通の課題であるとして検討対象を公務員まで広げ、「残業規制」「同一労働同一賃金」の2本柱で議論が進められてきました。そして、これまで自治体ごとにばらばらだった非正規職員の採用実態を統一するため「会計年度任用職員」という採用類型がつくられました。
非正規公務員は、国では約15万人、地方自治体では約70万人といわれています。その多くが働いてもなお貧しいワーキングプア層であり、非正規公務員の処遇は、正規の3割未満。民間の正規・非正規の賃金格差は、100対65.8という昨年の総務省調査結果と比べても、非正規公務員が極めて低水準に置かれていることが分かります。地方公務員には非正規労働者の保護法制としての労働契約法やパート労働法が適用されず、不安定雇用と低収入を余儀なくされ、官製ワーキングプアが常態化しています。「会計年度任用職員」については、分かりにくいので、議長のお許しを得てお手元に資料を配布しました。(*クリックで資料(PDFファイル)を開きます)
県は法改正に伴い、今後非正規職員の実態調査を行うとのことですが、公務労働のあり方をどのように考えるのか、まさに自治体の本質が問われています。
そこで、4点質問します。
- 千葉県庁の長時間労働の実態及び改善状況はどうか。また、今後どのように見直ししていくのか。
- 千葉県職員の正規職員及び臨時・非常勤職員の数、割合はどのように推移しているのか。
- 会計年度任用職員制度導入により、現在の臨時・非常勤職員への影響はどうなるのか。
- 「同一労働・同一賃金」の観点から、非正規職員の処遇見直しをどのように行っていくのか。
(2)子どもの貧困について
子どもの6人に一人が平均所得の半分以下、貧困ラインを下回る家庭で暮らしています。2014年1月子どもの貧困対策推進法の施行を受け、千葉県では一昨年12月に子どもの貧困対策推進計画を策定し、教育の支援、生活の支援、保護者への就労支援、経済的支援、4つの重点的支援に取り組んでいます。どれも必要な事業ですが、最も厳しい状況に置かれている子どもたちへの支援策に、より一層スピーディに取り組む必要があります。とりわけ母子世帯の8割以上が働いていても、平均年収291万円とワーキングプア状態。そこで、5点質問します。
県公営住宅におけるひとり親世帯の応募件数に対する入居件数、また全体の入居割合はどうか。特にひとり親世帯への優先入居枠を設ける必要があると考えるがどうか。
- 児童養護施設等の退所者への新たな支援策の取り組み状況はどうか。
- 千葉県奨学資金貸付金の返還金の滞納者、滞納金額の現年度分、過年度分の状況はどのようになっているか。
- 奨学資金貸付金の延滞利息の利率14.5%について、見直す必要があると考えるが、検討状況はどうか。
- 千葉県の奨学資金について、高校生向けの給付型奨学金を導入すべきと考えるがどうか。
(3)木更津駐屯地へのオスプレイ配備について
今年1月末、木更津基地では米海兵隊オスプレイの定期整備拠点としての機能を開始したばかりですが、先月後半「陸自オスプレイ17機 木更津に暫定配備」と一斉に報じられました。昨年12月の沖縄での墜落大破事故に続き、8月初めにはオーストラリアで同じく普天間基地所属のオスプレイが墜落、ついに3名の犠牲者が出ました。なぜ木更津なのかと地元の不安は高まるばかりです。しかし、2014年1月の段階で配備先は佐賀空港か木更津基地とされており、その理由はどちらにも1800メートル規模の滑走路があること。辺野古に建設が強行されている新基地のⅤ字滑走路も1800メートルと同じであり、辺野古は米海兵隊と自衛隊がオスプレイを運用する共用基地となります。
佐賀県の山口知事は当選直後からオスプレイ受け入れには極めて慎重でしたが、8月の墜落事故を受け、地権者の有明海漁協が改めて断固反対を表明したことで再び慎重姿勢を示しています。このタイミングで「木更津暫定配備」が浮上してきたのです。そこで、森田知事にお伺いします。
県民の命と安全を守る責務を負う知事の立場から、木更津駐屯地での米海兵隊所属オスプレイの整備拠点機能の凍結、新たに陸自導入オスプレイの暫定配備を行わないよう国に要請すべきと考えるがどうか。
2.再生土埋立問題について
配布資料の2枚目をご覧ください。(*クリックで資料(PDFファイル)を開きます)
佐倉市の南部、神門地先で行われている再生土埋立事業について、質問します。昨年4月から第1期の埋め立てが始まり、9月末に第3期が終了する予定です。地元では昨年7月ごろから埋立土壌から異臭が発生し、第3期埋立下の農地には黒く濁った油のような汚水が浸みだしています。近隣住民は腐敗したような鼻をつく悪臭で窓も開けられない生活環境に置かれ、地下水汚染や健康被害の不安から精神的にも追い込まれています。写真は今年8月末、現地調査の時に撮ったものです。その時も辺り一面強烈な悪臭が漂い、足元は腐ったような汚泥でぬかるんでいました。
再生土の埋め立てについては、法規制がないため、千葉県では昨年9月に土壌や地下水の汚染、崩落防止の安全基準を盛り込んだ行政指針を策定し、対応してきました。しかし、県の指導に従わない事業者が多く、県内各地で問題が発生しています。今年8月には4市3町の首長から規制強化を求める要望もあり、先週の議会答弁で条例制定の方向性が示されました。鋭意進めていただきたいと思います。
併せて、神門の埋立事案についても、県のさらなる指導が必要です。今年7月5日、佐倉市は千葉県に「再生土等の埋立てに伴う悪臭の発生について」照会しています。埋立に使用されている再生土は品質を満たした資材なのか、廃棄物ではないのか、事業者が敷地境界を超えて埋立した再生土を撤去した土地から腐敗臭が発生し、黒い水の流出が続いていることから、発生原因は当該再生土にあるのではないかという問い合わせです。
これに対し、県は8月24日「業者から提出された計画書の内容及び現場で再生土の外観を確認したところ、現時点では廃棄物に該当しないと考えている。また、再生土自体から腐敗臭及び黒い水の発生を確認しておらず、関連性は不明」と市に回答しています。これでは、十分な調査を行ったとはいえません。その後、9月5日、県は佐倉市と合同で第3期埋立地の土壌を深さ1メートル、5メートルおきに採取し、土質分析を委託したと聞いています。神門地区の環境汚染を食い止め、一日も早く元の生活環境を取り戻せるよう県の真摯な対応を求め、4点質問します。
- 佐倉市神門地区での悪臭や汚濁水の発生後、県は佐倉市とどのように対応してきたのか。
- 廃棄物混入の可能性を視野に入れ、埋立事業場を含めた周辺土壌や水質のボーリング調査が必要と考えるがどうか。
- 県内自治体における再生土埋立事業にかかわる規制強化の動向はどうか。
- 29年7月1日現在、11市5町村県に条例化を含めた規制強化が求められているが、今後の対応はどうか。改めてお伺いします。
3.医療問題について
(1)医療・介護の連携、地域包括ケアについて
高齢化が全国2番目のスピードで進む千葉県において、医療・介護の提供体制づくりは最優先課題です。とりわけ住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるしくみづくり、地域包括ケアシステムを早急に整えていく必要があります。現在、県では来年度からの次期保健医療計画の改定に向けて、9つある2次医療圏ごとに地域の医療関係者等で構成する会議が開かれ、将来の望ましい医療提供体制について話し合われています。また、市町村では介護保険事業の中で医療と介護の連携が進められています。特に介護と看護の両方を提供し、高齢者の在宅生活を支える「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や通いを中心に訪問、泊りなど柔軟なサービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」、これに看護を加えた「看護小規模多機能型居宅介護」等の地域密着型サービスは、地域包括ケアを支える基盤となるものです。
また、病院から在宅、地域へ安心して戻るためには、地域の診療所や介護施設など幅広い機関との連携を進めることが重要です。先月、島根県庁を訪ね、全国的にも注目されている島根医療情報ネットワーク(通称まめネット)について、お話を伺ってきました。まめネットは、全県を結ぶヘルスケアのための専用ネットワークで病院、診療所、訪問看護、薬局、介護施設、行政等が参加し、患者の情報を相互共有し連携するものです。島根県がネットワーク基盤を整備し、参加機関が連携カルテ、画像中継・画像診断・在宅ケア支援、調剤情報管理等のサービスを選択しています。県内病院の84%、診療所の47%、約800機関が参加し、利用カードの発行枚数は約4万枚、対県民人口での割合は5.6%で全国1位とのこと。連携カルテサービスを利用した診療所からは「他の病院での検査結果など正確なデータを基に診察することができる」「採血やCTなどの重複を避け、患者さんの身体的、経済的な負担を減らすことができる」訪問看護ステーションからは「写真も共有できるので患者さんの状態を訪問前に確認し、適切なケアをすることができる」非常に有効だという声が多く寄せられているそうです。病院完結型医療から地域完結型医療へ移行していく中、関係機関の情報連携の必要性はますます高まっています。千葉県の医師・看護師の数は、ともに全国第45位で、介護職も圧倒的に不足しています。限られた医療介護資源を効率的、かつ効果的に活用するための連携ツールについて、千葉県も再検討する段階にきていると思います。そこで、3点質問します。
- 市町村の在宅医療・介護連携事業における相談支援の取り組み状況はどうか。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護について、県内の整備状況はどうか。また、整備促進に向けて、県の支援が必要と考えるがどうか。
- 医療・介護の切れ目ない提供に向けて、情報共有のツールとしての千葉県共用地域医療連携パスの使用実績と課題はどうか。
(2)国際医療福祉大学附属病院について
国家戦略特区による規制緩和により、既存の医学部とは異なる医師を養成するとして、今年4月国際医療福祉大学医学部が成田に新設されました。医学部新設に伴う総事業費は、約160億円。昨年1月29日大学側から千葉県と成田市に財政支援の要請があり、県は、直後の2月議会に提案した新年度当初予算に3年間で35億円を上限とする大学への補助金を計上しました。3月27日には同大学と県で医学部の開設等に関する協定書を締結。協定書では、医師・看護師等の具体的な採用計画の策定、地域医療への貢献、医学部卒業生の県内医療機関への就業等々が盛り込まれています。そこで、伺います。
- 国際医療福祉大学医学部開設等に関する協定書締結後、県は大学と具体的にどのような協議を行っているのか。
今年3月、国は同大学附属病院の640床を医育機関として特例的に認め、3年後2020年度のオープンを目指し、この8月には千葉県に付属病院の開設申請が出されています。どのような病床機能を持つ病院なのか。大学から県への支援要請書によれば、40の診療科を標榜し、医師数は200人から350人。世界に通用する高機能の病院をめざすため、多額の資金が必要になると繰り返し、記述されています。
一方、35億円の県費支出という問題に加え、この病院が地域医療に与えるインパクトを心配する声が大きくあり、県の医師会も成田への医学部新設には反対してきました。
先ごろ出された28年度の病床機能報告の結果によると、2025年時点の印旛医療圏における高度急性期の必要病床数594床に対し、1098床も過剰、大幅にオーバーとなるとのこと。6年後に北総日医大病院が高度急性期病床を現在の52から600床に変更、これに加え新たに国際医療福祉大学付属病院が600床申請しているためです。その一方、印旛医療圏の回復期病床は1048床も不足することになります。そこで、お伺いします。
- 保健医療計画策定にあたり、国際医療福祉大学附属病院の地域医療への位置づけや影響について、県はどのように考えているのか。また、印旛医療圏における病床機能の再編に向けて、県は具体的にどのように調整していくのか。
(3)県立病院について
病院局の昨年度決算は、過去最大47億6千万円の赤字となる見込みです。2014年がんセンターにおける腹腔鏡下手術を受けた患者の死亡が相次ぎ、その後も医療事故が続いて赤字収支に転落、佐原病院の医師不足などの影響もあり、昨年度は全体の患者が約4万人減少しました。経営の健全化に向けて、信頼回復が大きな課題となっています。そのような中、今年6月病院局は今年度から4年間の「県立病院新改革プラン」を公表、将来の県立病院のあり方や役割について示しました。一方、県立6病院の医療現場では人手不足の中、医師・看護師をはじめとする医療スタッフが県民の命と健康を守るため、日夜奮闘されています。その働きに応えるべく、事務方が経営改善に真剣に取り組み、病院の機能を維持・発展させていかなければなりません。
特にがんセンターについては、今年秋に新病棟の建築工事に着工予定で、2019年度末の完成を目途に進められています。新改革プランによると、2020年の新棟稼働に向けて、病床数を現在の341床から109床増やして450床、これに伴い医師を現在の90人から100人に増員し、患者増、増収を見込んでいます。しかし、医療事故後に患者数は大幅に減少し、昨年度の病床稼働率は目標90.9%に対し、70.5%と決して楽観視できない状況です。そこで、2点お伺いします。
- がんセンターにおける医療安全管理の取組状況はどうか。また、がん診療連携拠点病院の再指定の見通しはどうか。
- がんセンターの新棟オープンに向けて、医療人材の確保などの課題にどのように取り組んでいくのか。
新改革プランでは県立病院の果たすべき役割として、がんセンター、救急医療センター、精神科医療センター、子ども病院の4病院は高度専門医療を担う病院として引き続き位置づけられる一方、地域の中核医療を担っている循環器病センターと佐原病院については、将来的な役割の検討が必要と含みを持たせる書きぶりとなっています。折しも、9月初め、循環器病センターの脳卒中担当の常勤医師4名のうち2名が東千葉メディカルセンターに異動することが明らかとなり、10月以降は現在の365日、24時間の受け入れ、救急体制が取れなくなるとのこと。同病院の入院患者の三分の一、年間約1,000件が脳卒中、8割の患者が心臓と脳疾患であることから、このままでは病院経営も厳しくなることは間違いありません。そこでお伺いします。
- 循環器病センターが掲げる医療機能を維持・発展していくために、どのように取り組んでいくのか。
(4)国保の都道府県化について
来年4月から県が市町村とともに国民健康保険の保険者となり、県が財政運営の責任を担ういわゆる国保の都道府県化、広域化が始まります。医療費削減という国の目的が背景にあります。全国知事会では都道府県化にあたり、国からの財源1兆円を求めていましたが、3400億円で見切り発車、5500億円ともいわれる国保の実質赤字の解消は解決せず、国保の構造問題は残されたままです。
今年7月、向こう6年間を対象期間とする千葉県国保運営方針骨子案が出されました。千葉県の国保の現状として、被保険者数は約160万人で減少傾向、27年度は54市町村のうち33団体が単年度収支で赤字、26団体が赤字補てんの法定外繰入れを全体で約152億円行い、3団体が次年度予算を先借りする「繰上充用」を行っています。保険料の収納率は89.53%で全国45位、一人当たりの医療費は約32万円と全国でも低水準となっています。
都道府県化に伴い、県は市町村ごとに割り当てる国保事業費納付金、市町村が納付金を納めるために必要な標準保険料率を示します。9月8日県が公表した第3回試算結果では、県民平均一人当たりの標準保険料は29年度試算で10万3955円、27年度との比較でマイナス1,012円、市町村別の試算結果では16団体で増加、38団体で減少となっています。【佐倉市は激変緩和をしない場合、5144円(5.4%)増、激変緩和ABCのパターンでは、600円(0.6%)~1,004円(1.1%)の増といずれも保険料の値上がりが示されています。】
今後、保険料負担の激変緩和のやり方について、市町村との協議が年明け頃まで続けられる見通しです。都道府県化は避けられませんが、国の言うなりに市町村を医療費削減レースに駆り立て、無理な保険料の取り立てや、診療制限に追い込むことがあってはなりません。国民皆保険の根幹である国保は、国民の命、健康を支える最後の砦であり、生存権を保障するものです。県は、国の責任で十分な財政基盤をつくるよう、これまで以上に国に働きかける必要があります。そこで、2点お伺いします。
- 県の国保運営方針の策定にあたり、保険料の目標収納率や収納対策、法定外一般会計繰入の解消・削減について、市町村とどのような協議を行ってきたのか。また、今後の予定はどうか。
- 市町村の保険料の滞納世帯数と割合、短期被保険者証及び資格証明書の交付状況はどうか。また、「都道府県化」による影響はどうか。
4.治水政策
1997年に河川法が改正され、今年で20年目を迎えます。改正河川法では、新たに「環境保全」と「住民参加」の視点が盛り込まれ、河川整備計画の条項を創設、計画策定に流域住民が参加する道筋が作られました。それは「川は国のものではなく、流域住民のものであり、川のあり方を決めるのに住民参加が必要」との考え方によるものでした。利根川江戸川河川整備計画の策定にあたり、私も過去2回の公聴会で関東地方整備局の原案に対する意見陳述を行い、印旛沼流域における現実的な治水対策を求めるとともに、治水上も役に立たない八ッ場ダムについて問題提起してきました。しかし、国交省は公聴会やパブリックコメント等で出された多くの住民の意見に真摯に耳を傾けず、産官学、政界の利権構造を温存させ、河川整備計画に無駄なダムや高規格堤防を位置付け、推進しています。
近年、全国各地で豪雨による河川の氾濫、堤防の決壊や内水氾濫被害が頻発しています。利根川水系では2年前の鬼怒川の大洪水が記憶に新しいところですが、上流部にいくつものダムが造られていたにもかかわらず、あのような壊滅的被害が起こったのは、ダム優先で下流域の堤防強化を怠っていたことが原因と専門家も指摘しています。60年経ってもできない八ッ場ダム、400年経ってもできないスーパー堤防では、今日明日の流域住民の命と財産は守れません。今まさに流域の実情に沿った実現可能な治水対策を進めていくことが必要であり、国は河川法改正の原点に立ち返るべきです。そこで、3点質問します。
- 利根川・江戸川の堤防整備の進捗状況はどうか。また、国への治水直轄負担金の総額のうち、ダム建設と河川整備の内訳はどのようになっているのか。
- 県内における過去5年間の内水氾濫被害の状況はどうか。
- 内水氾濫を解消するための取り組み状況と今後の展開はどうか。
5.ウナギの生息地保全について
国のウナギ漁獲量は大きく減少し、利根川水系でも1960年代の年間1000トンをピークに70年代からは減少し、2015年はわずか3トンでした。日本ウナギは、2013年に絶滅危惧種に指定されています。ウナギ減少の大きな要因として、海洋環境の変化、過剰な漁獲、生育場の環境変化があげられ、水産庁も危機感を募らせ、2013年に鰻生息状況緊急調査を行い、千葉県も共同研究しています。
一方、市民サイドでは、「利根川流域市民委員会」が専門家の協力を得て、一昨年から利根川流域の漁協や住民を対象にウナギに関するアンケート調査を実施し、6都県51の内水面漁協、千葉県では7つの漁協からご協力を得ることができました。アンケート結果では、利根川でウナギが少なくなった理由として、多い順番から、農業用水路の三面コンクリート化、利根川河口堰の建設、利根川の護岸整備、シラスウナギの乱獲、利根大堰の建設があげられています。今年3月、環境省は「日本ウナギの生息地保全の考え方」を示し、日本ウナギを河川、湖沼、沿岸域を含む水辺の生態系のシンボル種として、生物多様性の回復を促進するよう、関係省庁等の連携・協力を求めています。そこで、2点質問します。
- 県内河川・湖沼におけるウナギの漁獲量の推移はどうか。
- 水産庁と共同で実施している鰻の来遊・生息調査の結果はどうか。
かつての印旛沼にはウナギがたくさん生息していましたが、50年前の印旛沼開発、流域の都市化、外来生物の繁殖などにより、かつての自然環境、生物多様性は大きく失われてきました。千葉県は今から16年前の2001年10月印旛沼流域水循環健全化会議を設立し、この間水質改善、生態系保全、治水安全度や親水性の向上など、健全な水循環を達成するため、流域の住民、専門家、市町や関係機関との連携で進めてきました。改正河川法の趣旨である「環境保全」「住民参加」の視点を踏まえた素晴らしい取り組みを続けていると思います。今年3月には、第2期行動計画がスタートしました。そこでお聞きします。
- 印旛沼流域の河川環境の再生に向けて、どのような取り組みを行っていくのか。
6.教育問題について
(1)図書館行政について
現在、県立図書館は、中央、西部、東部の3館体制です。今年で築49年の中央図書館は老朽化が激しく、さらに耐震不足のため、昨年7月から一部立ち入りが規制されています。この間、議会でも早期建替えの声が上がっていましたが、ようやく先の6月議会で調査委託費が計上され、今年度中に方向性が示される予定です。県立図書館が、県民の読書環境を豊かにし、地域の発展を支え、過去からの千葉の英知をつなげる情報拠点として、また620万県民の知の発信拠点として、その役割や機能を十分に発揮できるよう施設整備とともにソフト面での充実も求められています。
一方、全国に目を転じると、図書館数は増えているのに、予算とスタッフは削減傾向にあるとのこと。そこで本県の図書館の状況を調査したところ、この5年間で専任の司書を減らしていないことは評価できますが、資料購入費は35%の減、施設整備費は47%の減でした。また、全国の都道府県図書館との比較結果については、お手元に配布させていただきましたので、ご覧ください。(*クリックで資料(PDFファイル)を開きます)
全国4番目の財政力がありながら、あまりにも少ないと言わざるをえません。そこで、3点お伺いします。
- 県立図書館の今後の在り方をどのように考え、重点事業を進めているのか。
- 県内市町村における図書館の設置状況はどうか。また、未設置の自治体に対し、県はどのような支援をしているのか。
- 学校図書館を活性化させるために、県立図書館ではどのような取り組みを行っているのか。
(2)スクールソーシャルワーカーの配置について
子どもは社会を映す鏡であり、いじめや不登校、貧困や児童虐待の背景には、家庭、学校、地域など子どもの置かれている環境に課題があるケースが多くあります。子どもの心理面をケアするスクールカウンセラーだけでなく、子どもを取り巻く環境に働きかけ、子どもの最善の利益を保障する福祉の専門家としてのスクールソーシャルワーカーの必要性を国もようやく認めるようになりました。2009年から国は都道府県・政令・中核市におけるスクールソーシャルワーカー配置事業を国費1/3負担で進めており、2019年度までに約1万の全中学校区に配置する目標を掲げています。
千葉県としてのスクールソーシャルワーカー配置は、一昨年度まで県内5名体制、昨年度は8名体制、そして今年度から12名体制となっています。昨年度の県内全体数は、政令・中核市、県立高校配置を合わせて16名、児童生徒1万人当たりの数は、0.3と全国最下位でした。ワーカーの増員と同時に質の確保、専門性を高めるための育成も喫緊の課題です。そこで、3点質問します。
- スクールソーシャルワーカーの活動状況及び課題は何か。
- ワーカー育成のための研修の充実、スーパーバイザーの設置、人材確保のための処遇改善など、さらなる取り組みが必要だがどうか。
- 国は全中学校区への配置を目標にしていることから、市町村への委託事業に切り替える考えはないか。以上、お答えください。
7.高齢者の交通安全対策について
今年3月改正道路交通法が施行され、75歳以上の運転免許保有者が免許更新時、或いは一定の違反行為をした時に認知機能検査が義務づけられ、「認知症のおそれがある」と判定された場合は、医師の診断を受けなければならなくなりました。本県における高齢ドライバーによる事故件数は毎年3,700件前後でしたが、今年は7月末時点ですでに2,085件となっています。公共交通網が不足している地域においては、移動の手段を確保するための運転免許は命綱でもありますが、何よりも安全運転第一に事故防止により一層取り組む必要があります。
鳥取県警では一昨年12月から「免許センター認知症等早期発見対応推進事業」を実施していると聞き、先月会派でお話を伺ってきました。県内3カ所の運転免許センターに運転適性相談員として看護師を配置し、認知症スクリーニング機器(タブレット)を活用しながら高齢ドライバーや家族からの相談に応じるほか、公民館等での高齢者の集まりに出向き簡易検査を行ったり、必要に応じて訪問調査するなどの働きにより、認知症の相談件数は急上昇し、運転免許の自主返納につながり、大きな事業効果を上げているのことでした。運転免許センターへの看護師等専門職員の配置については、すでに全国でも広がっており、20都県で実施されているそうです。そこで、2点お伺いします。
- 運転適性相談の取扱い状況や相談体制はどのようになっているのか。特に認知症の疑いがある高齢者への対応状況はどうか。
- 運転免許センターに看護師を配置し、市町村、地域包括支援センター、医師会等との連携強化を行うことで、さらなる高齢者の交通安全対策に取り組む必要があるがどうか。
以上で1回目の質問を終わります。