埼玉の医療政策を学ぶ(その2)
4月18日(水)
視察報告の続きです。
埼玉県総合医局機構「地域医療教育センター」では、医師のスキルアップを
サポートするため、各種シュミレーターを設置し、実際の診療さながらの
研修を行っています。
平日は午前9時から午後9時まで、土日祝日も午後5時まで開館し、
年末年始以外は年中無休。
利用者は、週末が多いとのこと。
原則無料で利用申請もメールやファックスで行えるそうです。
早速シュミレーターを見せていただきました。
子ども病院の施設内ということもあり、乳児のマネキンが
たくさん並んでいました。
吸引、採血、縫合といった基本的な医療手技の練習や
超音波診断、呼吸音聴取、フィジカルアセスメントなどの
身体診察のトレーニング用シュミレーターも整備しています。
1機数千万円のシュミレーターを病院独自で導入することは
なかなか難しいのですが、研修医のスキルアップのために
県が最新設備を提供していることは大きな魅力です。
続いて、同施設内の埼玉県立小児医療センターへ。
病院長の小川潔さんからお話を伺いました。
同センターは小児疾患専門の第三次医療機関。
2016年12月に岩槻の郊外からさいたま新都心に移転し
隣接するさいたま赤十字病院と緊密に連携している状況を
ご説明いただきました。
診療科は、全部で29科目。
医師数は常勤非常勤を含めて、約170人、看護師も500名超。
診療領域を問わず、すべての重篤な小児救急患者を24時間体制で
受け入れる小児救命救急センターを開設しています。
高度救命救急センターであるさいたま赤十字病院とは集中治療を要する
小児患者の受け入れや救急医療スタッフの教育・研修など
様々な場面で連携しています。
小児救急患者の約4割は「不慮の事故」によるもので
重傷患者を受け入れるために専門の救急医を配置。
また、総合周産期母子医療センターでは、母体退治集中治療室
(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を備え、ハイリスク妊産婦や
新生児を24時間体制で受け入れています。
人口・出生数ともに全国第5位の埼玉県は、周産期医療の需要は多く
ハイリスク母体、ハイリスク新生児への高度な医療体制の整備が
求められており、当センターの役割は大きなものがあります。
昨年度に搬送された重症患者は424件、そのうちの75%が
お隣の日赤病院からだったそうです。
また、千葉県からの患者も搬送されていると聞き、改めて医療の
広域連携の実態を垣間見ることができました。
小川病院長に院内を案内していただきました。
この扉が開き、両病院での連携プレーが行われています。
千葉県のこども病院では産科医が確保できず、周産期医療が看板倒れ
となっていますが、当センターでは日赤病院と連携することでこの問題を
クリアしています。
新病院建替えにあたり、県から日赤に働きかけ、
お互いウインウインの状況を作り出すことができたことは
県の医療政策の先見性の結果です。
このような事例は全国で3番目。
民間病院との連携は全国初とのこと。
子どもたちが喜びそうなお菓子屋さんもありました。
埼玉県の医療政策を学び、実り多い視察となりました。
お忙しいところ丁寧に対応していただいた埼玉県の皆様、
本当にありがとうございました!