令和元年12月議会 会派代表質問(入江担当箇所原稿及び答弁要旨)
目次
2019年12月4日(水)
会派「千葉民主の会」代表質問(入江担当箇所)
「保健行政について」
なお、質疑要旨は正式な議事録ではありません。
質問内容
保健行政について
保健所について
県内13の保健福祉センターは、地域保健、公衆衛生活動の広域的、専門的な中心的機能を持ち、医療機関をはじめ関係団体と連携しながら県民の健康水準の向上や健康づくりに取組み、食品衛生や環境衛生、健康危機管理などにも大きな役割を果たしています。また、市町村が実施する母子、高齢者、障がい者等に対する保健福祉について、専門的かつ技術的支援を行うとともに、地域保健福祉の総合的サービスの提供に向け、企画調整機能も求められています。
このような保健所の役割を果たすうえで司令塔ともいうべき保健所長の適正配置は欠かせませんが、公衆衛生医師は、全国的に不足という深刻な状況です。本県においても長生、夷隅、君津の3保健所で所長が選任ではなく兼務となっており、令和4年度までに5名の保健所長が定年退職する見込みです。そこで、お伺いします。
(1)保健所長確保の取組みと今後の見通しはどうか。
また、少子高齢化が進み、家族機能や地域の見守り・支えあい機能が弱まる中、地域における新たな健康課題に向き合い、県民の健康状態の把握や健康づくり、ヘルスプロモーションを進めるうえでも、保健所保健師が果たすべき役割やその重要性はますます高まっています。特に市町村保健師との連携により、日々の地域保健活動の中で公衆衛生的な視点から地域の健康課題や健康資源を把握し、地域住民に気づきや主体的な活動を促すことが求められています。しかし、残念ながら千葉県職の保健師数は、直近で178人、市町村保健師は常勤1274人、非常勤296人、全国比較では人口10万当たり33.3、全国43位と非常に少ない状況です。一方、健康長寿日本一を誇る長野県では、保健師数も全国トップレベルで昔から地域保健活動が活発に行われています。本県でも保健師の増員や育成に、より一層力を入れて取り組む必要があります。そこで、お伺いします。
(2)地域の健康課題の解決に向けて、保健所保健師は市町村保健師と連携しながらどのように取組んでいるのか。
要望
保健師の果たす役割の重要性に鑑み、千葉県内の保健師の増員及び専門性の向上に向けて、さらに力を入れて取り組んでいただきたい。
結核予防対策について
次に、結核予防対策についてです。
今年4月より「改正出入国管理法」が施行され、今後アジアを中心とする来日外国人の増加が見込まれ、保健所における感染症リスク拡大防止策が求められています。特に結核については、在留外国人の患者数がこの5年間で1.4倍に増加。2013年時点では、新規登録患者のうち外国出生者の割合は全国で5.2%、千葉県で5.9%でしたが、昨年は全国で10.7%に対し、千葉県では14.4%と突出して高くなっています。昨年の県全体の新規登録患者は755人、罹患率12.1と減少傾向にありますが、結核蔓延国といわれるアジア6カ国(フィリピン、中国、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマー)からの来日外国人の患者数が増え続けています。
国は来年にもアジア6カ国からの3カ月以上の長期滞在予定者に対し、入国前検査を義務づける方針ですが、具体的な実施時期は決まっていません。また、結核は感染から発病まで数カ月から数年かかることが多く感染者が入国後に発病するリスクも残されており、外国人留学生や実習生らの定期検診実施による早期発見や確実な治療に向けた施策を強化していく必要があります。そこで、お伺いします。
(1)外国籍の方の感染を早期に発見するため、今後どのように取り組んでいくのか。
結核は国内最大級の慢性感染症であり、10万人当たりの患者数を示す指数は12.3と10を切る欧米よりも高い水準にあります。千葉県もより一層危機感を持ち対策にあたるべきですが、平成25年6月保健所における結核対策事務手続きのコンプライアンス違反が発覚し、杜撰な対応が明るみになりました。具体的には入院勧告が決済もせずに口頭で行われている、書面も交付されずに強制入院させられてしまう等々、不適切な事例が64件。基本的人権にかかわる問題です。しかも、これ以前から厚労省の指導監査でも入院勧告を要する結核患者に対する法令順守が再三にわたり厳しく指摘されていたにもかかわらず、改善していませんでした。この問題を契機に、同年8月「入院勧告を要する結核患者の業務計画・進行管理表」が作られ、本庁の疾病対策課が毎月各保健所の進行状況を一元的に把握する措置が取られました。しかし、翌年9月にはこの進行管理表の報告期限を無くし、事実上保健所任せの運用となっています。しかし、これで大丈夫なのか。結核対策事務の法令順守が担保されているのか、各種検診率や家庭訪問の実施率が向上しているのか。感染拡大を防ぐための対策を着実に実施しているのか、検証する必要があります。そこで、お伺いします。
(2)定期的に実施されている国の指導監査への対応状況はどうか。
再質問
アジアからの留学生が多い大分県では保健所が大学と連携し、結核対策に力を入れ、検査や治療を受けやすい環境を作り、感染拡大の防止につなげています。また、日本語学校が多く集まる新宿区では学生向けの検査を昨年度から年3回に増やし、患者の早期発見に努めています。本県においても国の対応待ちの姿勢ではなく市町村との連携をはじめ県としてできることを最大限に必要がある。そこで、お伺いします。
国が掲げる人口10万人対罹患率、来年度10以下という目標に対し、千葉県としてどのように取組んでいくのか。
要望
結核は過去の病ではなく現在においても恐ろしい病気であり、感染拡大を防ぐためには患者の人権、自由をも制限しなければならない。重大事を扱っているという認識を持ち、緊張感を持って対策を進めてほしい。保健所は公衆衛生にかかわる許認可をはじめ私たち県民の日常生活の要となる重要な機能を果たしていることを再認識し、専門職の適正配置とコンプライアンス順守に努めていていただきたい。