健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する政府方針を撤回し、健康保険証の存続を求める意見書(案)

政府は「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」を進めるため、2024年秋に健康保険証の廃止を目指している。セキュリティを確保した上で、健康保険証とマイナンバーカードを一体化し、希望する人がマイナンバーカードを取得して、健康保険証としても利用すること自体は否定しない。しかし、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードの取得を事実上義務付ける政府方針には、疑問や問題点が山積している。

政府は、本方針のメリットとして、「健康・医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただけることが可能となる」と説明してるが、医療機関で受けた診療行為や処方された薬剤等の履歴が全て分かったとしても、それだけで「よりよい医療」が受けられるわけではない。

そもそも医療機関の受診等に関する情報は患者自身のものであり、患者自身が有している自らの情報を取り扱う権利を最大限に尊重しなければならない。

政府は、医療機関に自らの情報を提供するかどうか、医療機関の受診時などにおいてその都度、同意するか否かの選択を求めることとし、情報提供の選択権は患者にあると強調している。しかし、情報を提供することによるメリットとデメリットが判然としない中では、患者は情報を取り扱う権利を適切に行使できない。

また、従来の健康保険証の存続を望む人もいる中で、政府は健康保険証を廃止する理由を明確に説明できていない。健康保険証を廃止する真の目的が、マイナンバーカードの普及にあることは明らかである。

現行法においてマイナンバーカードの取得は申請主義であり、義務ではない。しかし、本方針が実現すれば、マイナンバーカードの取得を事実上義務化することとなり、法律と実態に齟齬をきたすことになる。デジタル社会の形成にとって、カードはあくまで「手段」であり「目的」ではない。

よって、政府に対し、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する政府方針を撤回し、国民皆保険の下、誰もが必要な時に、必要な医療が受けられる体制を堅持するため、健康保険証を存続させることを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年12月6日

千葉県議会議長

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  あて
厚生労働大臣
総務大臣
デジタル大臣