八ッ場ダムの行方
12月25日(火)
明日の新政権発足に向け、人事調整が行われ、国土交通相には公明党から
太田昭宏氏の入閣が報じられている。
八ッ場ダムをはじめ、公共事業の今後の行方が気がかりだ。
自民党は10年間で200兆円、公明党はその半分の100兆円を投入すると
言っているが、震災復興費の目的外使用と同様、不要不急の事業に
使われるのではないかとの疑念がある。
八ッ場ダムは民主党への政権交代時のマニフェストで建設中止が
明記されたが、その後の国交大臣交代劇の中で紆余曲折をたどり、
ちょうど1年前の12月末に藤村官房長官の裁定により、本体工事は
条件付きで凍結されている。
条件の一つである河川整備計画策定については、この1か月ほどすっかり
動きが止まっているが、新国交相のもとでどのような判断がされるのか、
目が離せない。
先週21日(金)には、東京都の八ッ場ダム住民訴訟の第2審が東京高裁
で結審した。
弁護団はこの日がおそらく最終弁論になるであろうと予見し、
財務会計行為、治水、利水、危険性、環境ほか、あらゆる論点で
最終書面づくりに取り組み、6人の弁護士が各論点から1時間にわたり、
法廷で陳述した。
それぞれ簡潔明瞭に事実を述べ、原告の思いを訴えてくださった。
治水担当の弁護士は、陳述の最後にある意味挑戦的な言葉を裁判官に
突きつけた。
「私は裁判所に期待していない。しかし、事実を踏まえた判決が書けるの
ならば、やってみなさい。」
この言葉を裁判官はどのように受け止めるのだろうか。
高裁でも被告側の東京都はいっさいの反論を行わず、
というよりも行えず、この日も裁判長から発言の有無を問われたが、
被告代理人の橋本弁護士からは「ありません」のひと言だった。
八ッ場ダムは治水上必要なので、治水負担金を支払う義務があると
主張する東京都には、「重大・明白な利益」を受けるという事実を
具体的に主張立証する責任がある。
にもかかわらず、それを行わないのであれば、原告側の主張を認めた
と判断されてもおかしくない。
納税者である都民を前にただ黙っているだけというのは、
まったく責任を果たしていない。
今回の法廷と今後の見通しについて、高橋弁護団長から解説
左は大川副弁護団長、右は只野弁護士
・裁判長から「判決言い渡しは3月29日」と告げられたが、結審から
3か月というのは、結論ありきといわざるをえない。
・原発とダムはつくづく同じだ。方や独占企業で、方や税金を無尽蔵に
使うだけ。(原発訴訟も担っている弁護士談)
厳しい見通しの一方、弁護団や嶋津暉之さんのコメントで
力づけられた。
・裁判に勝つ見通しがあるか?勝った時が見通しという気持ちで
運動してほしい。裁判所にはどんな理屈よりも事実を直視して
まともな判断をしてほしい。
・たとえ本体工事に入ったとしても、2020年代には完成できない。
本体工事に入って止まった例もある。
有害無益なダムを造ってはならない。
・私たちは負けることはない。なぜなら勝つまでやるからだ。
あきらめずに闘う(諫早湾干拓中止の弁護士の言葉をひいて)
再びの政権交代でますます八ッ場ダム問題の行方が厳しくなってきた。
だからこそ、ネバーギブアップでさらに運動を盛り上げていこう!
再び仲間と誓い合った。