堤防強化・国交省公開ヒアリング
5月22日(木)
かねてから地元の秋本真利衆議院議員にお願いしていた国交省旧河川局
(現在は水管理・国土保全局)との公開ヒアリングが実現。
現在、利根川流域で進められている治水対策はダムやスーパー堤防が
主役で6割を占める脆弱な堤防の強化は遅々として進まず、費用対効果の
点からも大いに問題だ。
今後、急ぎ進めるべきは堤防強化であり、とりわけ想定外の大洪水にも
対応できる「耐越水堤防」の必要性とそのような堤防をつくるための技術
堤防強化工法について、国交省側と河川工学の専門家との
ディスカッションの場を設定していただいた。
河野太郎議員も同席
右手内側から治水課高橋技術調整官、国土技術政策総合研究所
河川研究部服部河川研究室長、岡本治水課課長補佐
市民側は、新潟大名誉教授(河川工学)大熊孝さんと水問題研究家の
嶋津暉之さんはじめ、十数名が傍聴参加。
議論の焦点は、堤防の「土堤原則」。
堤防を比較的低コストで強化できる工法(パワーブレンダー工法やTRD工法)
があるが、国交省はこれらの技術は未確立だとし、採用していない。
その根本的な考えは、「土堤原則」にあり、堤防は土で造るのが原則で
その他のもの(粘性土や混合処理・改良土)入れないということ。
しかし、日本で開発された上記の強化工法はアメリカでも実際使われている。
「国交省は最初からこれらの技術を否定するのではなく地震の時に
どの程度耐えられるのかなど検証する必要があるのではないか。
大型実験をぜひやってほしい」と大熊さん。
嶋津さんも利根川中流部右岸堤防の脆弱性(国交省調査のすべり破壊と
パイピング破壊の安全度)を示し、耐越水堤防への強化は浸透による
破堤防止の対策にもなると指摘。
江戸川下流部で進められているスーパー堤防(高規格堤防)は1メートル
当たり4000万円かかるのに対し、パワーブレンダー工法は50~100万円で
済むと訴えた。
河野・秋元両議員からもスーパー堤防は300年かかるとされている
それが完成するまで当面危ない堤防を放置していいのか
費用対効果を考えるべきではないのかとの発言があり、
引き続きこの問題に関心を持って取り組んでくださる感触を得た。
今回の話し合いはまったくの平行線ではなく共通認識が持てる場面もあり
今後につながる一歩となった。
道のりは長いが、流域住民の安全を守る真の治水対策に向けて有意義な
話し合いが持てたことに改めて感謝したい。
今日は江戸川区北小岩1丁目スーパー堤防事業の強制立ち退き問題に
苦しむ住民の方たちも参加。
橋を渡って市川側へ
この時案内してくださったMさんのお連れ合いが心労が重なって体調を崩し
入院されたと今日、お聞きした。
本来、人のための公共事業が人の人生まで狂わせている。
こんな現実があるのだ。