平成27年9月議会 代表質問
目次
総合治水について
おはようございます。佐倉市選出、市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。会派を代表して質問を行います。
初めに、知事の政治姿勢について。
総合治水についてお伺いします。
先月の関東・東北豪雨では、茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊。あふれた水が市街地に流れ込み、市内のおよそ40平方キロメートルが浸水しました。先月28日に開かれた国の専門委員会では、国交省関東地方整備局のこれまでの現地調査で、鬼怒川では7カ所で川から水があふれ出していたほか、被害は95カ所に上ることが報告されました。鬼怒川上流には国の大規模直轄ダムが4基もあり、そのうち2012年に完成の湯西川ダムに、本県もこれまで536億円もの負担金を支出してきました。今回の洪水では、湯西川ダムを除き計画どおりの洪水調節が行われましたが、鬼怒川下流での堤防決壊は防げませんでした。ダムは決して万能ではありません。中下流域での雨量も想定外に多ければ、今回のように氾濫の危険にさらされます。
利根川流域に目を転じれば、2013年5月、国が策定した利根川・江戸川河川整備計画に基づき、上流では八ッ場ダム事業、利根川中流部及び江戸川上中流部の右岸、つまり東京側を守るための大がかりな堤防拡幅工事も行われています。計画浮上から60年以上たってもできない八ッ場ダム、今後何百年たっても完成しないスーパー堤防など、大規模土木工事偏重の治水対策に国も県も巨額な税投入を行ってきましたが、今優先すべきは、きょう、あすの住民の命、財産を守るための現実的な治水対策です。
具体的には、利根川、江戸川の脆弱な堤防の強化対策こそ、急ぎ進めるべきです。水が堤防を越流しても破堤しなければ被害は最小限に抑えられます。そのためには耐越水堤防を優先的に進めるべきと、かねてから訴える河川学者の方々に私も同行し、この間、国交省に申し入れてきました。ところが、国は、堤防は土でつくるという土堤原則に固執し、堤防の質的な改善を後回しにしています。先般の鬼怒川決壊においても、堤防強化をおそろかにしたことが問題の本質です。近年、ゲリラ豪雨等が多発していることからも、計画規模を上回る洪水、想定外への事態にいかに対応していくのか。本県としても、利根川、江戸川の治水対策を国任せにし、言われるままに多額の治水負担金を支出するのではなく、最少の費用で最大限の効果を得られる治水対策こそ進めるべきです。また、ソフト面でも、避難勧告等の的確な発令に向けて市町村への支援、避難の迅速化、円滑化を図るためのタイムライン策定など事前の取り組み、大規模水害時等における広域避難や救助の備えなど、関係機関との連携が必要です。
そこでお伺いします。関東・東北水害を踏まえ、本県の水害対策について、ハード、ソフトの両面にわたり早急に検証すべきと考えるが、知事の見解はどうか、お聞かせください。
おはようございます。市民ネット・社民・無所属の入江晶子議員の代表質問にお答えいたします。
まず、政治姿勢についてお答えいたします。
関東・東北水害を踏まえ、本県の水害対策について、ハード、ソフト両面で早急に検証すべきと考えるが、どうかとの御質問でございます。県では、当面の目標として、時間雨量50ミリメートル、24時間雨量200ミリメートル相当の降雨に対応した河川整備を進めています。平成26年度末の整備率は約6割であり、残る未整備区間の進捗を図っていくことが重要と考えております。また、計画規模を超える大雨に対しては、迅速な水防活動や住民避難を図るため、市町村に対する雨量や水位情報の提供を行っているところでございます。市町村は、この水位情報などをもとに遅滞なく避難勧告等を発令することが求められ、県民には、この勧告等に基づき、早目に避難行動をとっていただくことが重要であると再認識したところでございます。県といたしましても、今後とも市町村に対し、適時適切な避難勧告等の発令について働きかけるとともに、県民の方々に対しては災害からの避難行動に関して平常時から啓発を行ってまいります。
平成18年度の国交省関東地方整備局の発表によれば、利根川及び江戸川本川の堤防の安全性を点検した結果、浸透破壊と基礎地盤のパイピング破壊の危険性があり、堤防強化が必要な区間の割合は、利根川が62%、江戸川が60%とのことでした。
そこで2点質問します。
県域の利根川、江戸川における国の堤防整備の進捗はどのようになっているのか。また、これら脆弱堤防の具体的箇所について、県はどのように把握し、住民に周知しているのか。
私からは総合治水などについてお答えいたします。
まず、利根川、江戸川における国の堤防整備の進捗と脆弱堤防の具体的箇所について、県はどのように把握し、住民に周知しているかとの御質問でございます。千葉県区間の平成26年度末における堤防整備状況は、利根川の必要延長約145キロメートルのうち約108キロメートル、江戸川の必要延長約82キロメートルのうち約53キロメートルの整備が完了していると聞いております。堤防整備に関しては、国と千葉県事業連絡協議会等を開催し、年度ごとに具体的な施工箇所の確認を行っており、機会を捉えながら早期に河川整備が完成するよう要望を行っているところでございます。さらに、国は洪水時に重点的に巡視点検を行う箇所を重要水防箇所と定め、出水期前に県と市町、地元の水防団体などと合同で巡視を行い、情報の共有を図るとともに、ホームページ上でも公開しているところでございます。
2点目、流下能力が不足しているところや堤防の安全度が保証されていないところが少なからずあることから、国交省に対して費用対効果の高い工法による堤防強化の早期実施を求めるが、どうか。
以上、お答えください。
国交省に対して堤防強化の早期実施を求めるが、どうかとの御質問でございます。国では、利根川、江戸川の堤防について、背後地の状況を考慮しつつ、経済性、施工性等を総合的に評価した工法で整備を進めていると聞いております。県としては、上下流、左右岸のバランスに配慮し、早期に一定の治水安全度が確保できるよう、機会を捉えながら国に要望を行っております。
次に、印旛沼流域の洪水対策についてです。平成25年10月の台風26号では、県内合わせて4,705棟の浸水が発生。佐倉市を含む印旛沼流域の10市2町においても1,586棟の床上・床下浸水という大変な被害でした。
そこで質問します。25年の台風26号以降、印旛沼流域における浸水被害軽減に向けてどのような対応を行ってきたのか。
次は、総合的な治水対策という観点から田んぼダムについてお伺いします。7月末、内水氾濫を防ぐためのユニークな治水政策、田んぼダムを展開している新潟県を会派で訪れました。田んぼダムとは、田んぼがもともと持っている水をためる機能を活用し、大雨が降ったときに田んぼに一時的に水をためることで洪水被害を軽減する取り組みのことです。具体的には、田んぼの排水溝に調整板を取りつけて排水路に流れる水量を抑え、増水時に河川に流れる量を調整することで氾濫防止につなげます。農家の協力なしには実現できませんが、新潟では現在、県内13市町村66地域、1万2,000ヘクタールにおいて実施されています。
田んぼダムの効果について調査研究している新潟大学農学部、吉川夏樹准教授から実際の成果についてお話を伺ったところ、2011年新潟・福島水害では、豪雨の3時間前に農家へ田んぼダムの徹底を指示し、80%の実施率となった結果、浸水面積が減少し、被害軽減額は12.2億円とのことです。また、田んぼダムは費用対効果の面でも大きなメリットがあり、調整板の設置費用は1個当たり、わずか数百円から数千円。昨年度から田んぼダムもメニューに加わった国の多面的機能支払交付金もあります。調整板の設置のほか、畦畔のかさ上げ、強化などにも使えるようになっています。田んぼならば、どこでもよいのではなく、内水氾濫の被害状況を分析し、適地を選び、集中的に取り組むことが効果が大きいとお話を伺ってきました。
そこでお伺いします。田んぼダムの県内での有効性を調査研究し、普及を検討してほしいが、どうか、お伺いいたします。
国交省の水害統計によると、千葉県の浸水被害の9割以上は内水氾濫ですが、川が氾濫する外水氾濫対策を優先する国の治水政策にこれまで県は追随してきました。しかし、気候変動による想定外の災害が頻発する中、これまでと同じ県のスタンスで果たして県民の命、財産を守ることができるのでしょうか。兵庫県や滋賀県では、県独自の治水条例を制定し、ダムだけに頼らない治水対策への転換、超過洪水に備えた流域治水、被害を最小限に抑えるためにハード、ソフト両面での総合的治水対策を進めています。そこでお伺いします。県民参加、部局横断による総合治水対策を進めるために、千葉県の流域特性に応じた条例制定が必要と考えるが、どうか、御見解をお聞かせください。
鋸南開発について
2項目めは鋸南開発についてです。四季折々の花々に彩られ、鋸山や豊かな漁場で有名な南房総の鋸南町。この町が今、汚染土壌埋立処分場問題に苦しめられています。議長の許可を得て、パネルでお示しいたします。こちらが現地の写真です。上の写真は2年前撮影されたもので、鋸南開発からの事前協議の申請があった直後の写真です。そして、下段の写真は昨年10月19日に撮影したものです。大分様相が変わっていることが皆さんにごらんいただけるかと思います。 採石法の許可違反で鋸南開発は深掘りを繰り返した結果、48万立方メートルもの大穴をあけてしまいました。その事業者に対し、本来、県商工労働部は採石法の目的や趣旨にのっとり、その穴を埋め戻すよう指導するのが筋です。ところが、県は事業者の言うなりに、汚染土による埋め戻しを軽微な変更でよしと認めてしまいました。採石法の許可違反をほかの法律で許したのは県の指導監督責任の放棄と言わざるを得ません。
平成24年2月17日、鋸南開発株式会社は、この採石場に埋立必要量48万立方メートルを上回る147万立方メートル、東京ドーム1.2杯分にもなる汚染土を埋め立てるための事前協議書を県の環境生活部に提出。以降、事業者、県、町との間で事前協議が行われてきました。事前協議は法的拘束力がない行政指導ですが、汚染土壌埋立処理施設を設置するための大前提となっている重要なプロセスです。県や町の関係機関と施設の構造、環境保全対策等について協議し、事業者には周辺住民への説明会の開催、環境保全協定の締結等を指導。必要な対応が図られなければ事前協議は終了することができません。
ところが、この段階で鋸南開発株式会社のうそ偽りが発覚。汚染土壌の実態は不明、外環道工事で発生する自然由来の汚染土はこのところには来ないこと、サッカー場にすると言っていた跡地利用はうそだったこと、そして地元本郷区元区長が独断で作成した確約書、許可後に環境保全協定を結ぶとした虚偽の確約書を利用したことなどなど、地元住民からの信用は全くありません。事業者に問題があることは間違いありませんが、重要なのは、このような状況を知っていながら、事前協議を一方的に終了した千葉県の行政手続の問題です。事前協議がスタートし、鋸南町が県に事業者との調整、協議が調っていないと最後に文書で回答したのが平成25年7月16日です。その後の5カ月は県とのやりとりは不通でしたが、12月19日、千葉県の職員が突然町に事前協議終了通知を持参したのです。まさに寝耳に水とはこのことです。町長はこの通知の受け取りを拒否し、12月26日には、地元との環境保全協定を結ぶとした確約書は無効との疑義が生じている、県に事実関係を慎重に判断してほしいという要請書を森田知事宛てに送っています。ところが、年明けの1月17日、県は町に事前協議終了通知を送りつけてきたのです。
この間、一体どのような議論や協議が県庁内で行われていたのか、私は関係資料を情報公開請求をして調べました。1カ月後に出てきたのは文書不存在の回答。驚くべきことに、この間の意思決定過程における文書決裁は全くなく、事前協議終了のための要件が欠落しているにもかかわらず、汚染土壌処理施設設置に道を開く重要な判断を誰がどのようにしたのか全くわからない、極めて不透明、そして不当な行政手続が行われたことだけがわかりました。
そこでお伺いします。事前協議終了の要件が整っていないにもかかわらず、県が一方的に終了とした根拠は何か、明確にお答えください。
自然の豊かさを生かして農業、漁業、観光、そして定住促進を推進している鋸南町にとって、有害物質を埋め立てる事業は町の発展を妨げるものです。鋸南開発の申請では、自然由来の汚染土に限定し、有害物質が溶け出さないよう不溶化して埋め立てると自主規制を約束していますが、土壌汚染対策法では自然由来、人為由来の規制はなく、不溶化も義務づけされていません。申請と法的規制には大きな隔たりがあります。施設から環境基準のほぼ10倍までの排出水を流すことができることから、地下水や川、海が汚染される、命や健康が脅かされると、住民の方が危機感を持つのは当然です。だからこそ、町の多くの団体が反対決議を上げ、町長を先頭に町を挙げて大反対しているのです。県庁での反対デモには、人口8,000人の町から毎回数百名の住民の方々が参加するほど切実な問題なのです。この間の千葉県の動きは一部業界のビジネスを利するように見えてなりませんが、優先すべきは町民の方の命や生活ではありませんか。鋸南町の豊かな自然環境や産業は千葉県のまさにポテンシャルであり、将来に引き継ぐべき千葉県の宝です。観光立県や地方創生を掲げる森田知事が鋸南町を窮地に追い込むことがあっては決してなりません。
そこでお伺いします。汚染土壌埋め立て反対という地元の民意を森田知事はどのように受けとめていますか。知事、鋸南町の皆さんとしっかり向き合い、明確にお答えください。
県は一方的に事前協議を終了させました。その後、鋸南開発は汚染土壌処理施設の建設工事を進め、完了。ことし5月には汚染土壌埋立処理業の許可申請が出され、現在、県で審査中です。しかし、鋸南町は、そもそも事前協議の終了を認めていません。要件が整っていません。
そこでお伺いします。事前協議のやり直しを求めるが、どうか、お答えください。
私からは、まず、鋸南開発についてお答えをいたします。
まず、事前協議に関する2問は関連をいたしますので、一括してお答えをいたします。
鋸南開発との事前協議につきましては、事業者から汚染土壌処理施設を設置したいとの相談があったため、行政指導の一環として実施をしたものです。県としては、施設の構造が法令の基準に適合すること、粉じん対策などの環境保全対策が図られること及び事業者と地元との間で環境保全協定への対応が図られる見込みとなったこと等から事前協議を終了したものであり、適切に対応してきたものと考えております。
現在、汚染土壌埋立処理業は廃棄物管理型最終処分場で行われています。土壌汚染対策法単独の施設として、今回の許可申請は全国でも初めてとなります。今後、採石事業が終了していない採石場での汚染土壌埋立処理業を千葉県が許可した場合、ほかの採石業者も鋸南開発に倣って新たなビジネス展開に乗り出してくるのではないでしょうか。その場合、千葉県は汚染土壌による埋め戻しを再び軽微な変更でよしとし、次々とゴーサインを出していくのでしょうか。
そこで質問します。事業が終了していない採石場での汚染土壌処理業を認めることは全国初であり、他の採石場においても今後認めることになると思うが、どうか、お答えください。
指定廃棄物について
次に、指定廃棄物について伺います。
千葉県内には、キログラム当たり8,000ベクレルを超える指定廃棄物が3,687トン、そのうち民間分は202トンあります。ことし4月24日、環境省は千葉県の最終処分場候補地を千葉市中央区蘇我地区の東京電力火力発電所敷地と発表いたしました。しかし、大規模地震が起こった場合の津波や液状化の危険性、東京湾への放射性物質の流出など深刻な被害が想定され、6月には千葉市も千葉市議会も発生元自治体での分散保管を前提に、環境省に再協議を申し入れています。
一方、千葉県が手賀沼流域下水処理場において一時保管していた柏、松戸、流山3市の指定廃棄物526トンについては、ことし3月までの保管期限を迎え、各市に持ち帰られています。8月26日、会派で3市のクリーンセンターを訪ね、指定廃棄物の保管状況を見学してきました。柏市では厚さ30センチ、放射線遮蔽率99%のボックスカルバートに373トンを保管、流山市も建設中のボックスカルバート2基にことしじゅうに移しかえる予定、松戸市では厚さ15センチ、遮蔽率89%のコンクリートボックスで指定廃棄物を保管していました。それぞれの市でできる限りの安全対策に努めている様子がわかりました。
一方、千葉県は、下水道汚泥焼却灰約540トンを手賀沼流域下水道施設内や敷地に設置された4棟のテント内でフレコンパックに入れて保管しています。しかし、この場所は浸水ハザードマップで5メートル以上の浸水地域であり、豪雨や強風の際、安全性が大丈夫なのかと地元から不安の声が寄せられています。
そこで3点質問します。
手賀沼流域下水道の発生汚泥焼却灰の保管に係る安全対策を強化すべきだが、どうか。
次に、指定廃棄物に関する御質問についてお答えをいたします。
民間を含めた県内の保管状況について把握する必要があると考えるが、どうかとの御質問でございます。指定廃棄物は、国が長期管理施設を設置するまでの間、市や民間事業者等が保管し、その保管状況については、国が責任を持って把握することになっています。県内の保管状況につきましては、国が保管場所全てに定期的に立入検査を行い、関連法令等に沿って適切に保管されていることを確認しており、県にも情報提供がなされているところでございます。
地下水と水循環の健全化について
次に、地下水と水循環の健全化についてです。
昨年3月、水循環基本法が成立、7月1日から施行されました。水循環の重要性、水の公共性、健全な水循環への配慮、流域の総合的管理、水循環に関する国際的協調の5つの基本理念のもと、水循環基本計画が閣議決定され、今後、県において流域水循環計画を策定する予定です。これまで地下水については公水と捉えるか、私水と捉えるか、二分論を基礎に議論されてきましたが、この法律で地下水の公共性が明確化された意義は大きく、自治体の条例による地下水採取規制等が法的にも担保されたところです。今後、県においては、地下水流動の解明、地下水マネジメントにより一層取り組むことになります。
そこでお伺いします。県内における地下水の利用実態はどうか。規制対象外のくみ上げについて、どこまで把握しているのかお聞かせください。
次に、地下水と水循環の健全化についてお答えをいたします。
地下水の利用実態についての御質問ですが、各水道事業体からの報告によれば、平成25年度の上水道事業における地下水の年間取水量は9,456万立方メートルとなっております。そのうち地下水採取の規制対象外の区域での年間取水量は約347万立方メートルで、全体の約4%となっております。
私の住む佐倉市の水道は、地下水の割合が62%です。市の水道局が32本ある深井戸を大切にメンテナンスし、安全でおいしい地下水を供給しています。4年前の福島原発事故発災時は利根川の水に放射性物質が入り込んで飲めなくなり、地下水が大活躍しました。まさしく命の水です。ところが、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業が完成すれば、県から暫定的に許可を受けている24本の井戸が閉じられ、地下水の割合が24%程度に減らされてしまいます。これまで私は本会議や常任委員会において、千葉県の人口減少による水余りの実態をデータで示し、ダム建設ありきの過大な水需要予測は早急に見直すべきと主張してまいりました。佐倉市も佐倉市議会も貴重な水道水源である地下水を守り飲み続けるために、県に条例による地下水採取規制の見直しを幾度となく求めているところです。
そこで3点お伺いします。
1点目、八ッ場ダム等の新規水源開発完成に伴い、廃止される予定の井戸は県内にどれぐらいあるのか。
次に、地下水と水循環の健全化についてお答えいたします。
現在、暫定的に地下水採取を許可されている水道水源井戸について、今後も継続して地下水の採取を認めるべきと考えるが、どうかとの御質問でございます。県では、地盤沈下の防止対策として、県環境保全条例に基づき地下水の採取を制限しているところでございますが、地下水にかえて他の水源を確保することが著しく困難である場合に限り、他の水源が確保されるまでの間、暫定的に地下水の採取を認めているところでございます。県内の地盤沈下は依然として広範囲で確認され、引き続き現状の地下水採取規制は必要と考えているところでございます。このため、現在、暫定的に地下水の採取を許可されている水道水源井戸についても、代替水源が確保された場合には水道事業者に速やかに地下水以外の水源に転換いただくこととなります。
3点目、水循環基本法制定を受け、地下水を公共水と位置づけ、マネジメントする役割を県が担っていくものと考えられますが、今後どのように対応していくのか。
以上、お答えください。
医療問題について
次に、医療問題についてです。
地域医療構想と保健医療計画の策定についてお伺いします。
昨年成立した医療介護総合確保推進法により、都道府県は2018年3月までに地域医療構想を策定することになります。地域医療構想、いわゆる地域医療ビジョンは、2025年に到来する超高齢化社会に向けて医療需要を推計し、地域の実情に合った医療提供体制をつくるためとされています。ことし3月、国から示されたガイドラインでは、慢性期病床を減らし、その受け皿として在宅医療の整備を進めるという方向性が強く打ち出されています。現在の療養病床、約34万床を最終的に20万床まで削減せよとのことですが、在宅医療の受け皿が地域で整っていなければ医療難民、介護難民が生じる事態も否定できません。医療提供の適正化、効率化は必要ですが、医療費削減ありきでは問題です。
議長にお許しを得て、皆様のお手元に資料を配付いたしました。ことし6月15日、政府の専門調査会が発表した2025年の病床数の推計です。これを受け、千葉県では地域医療構想の策定に向けて、7月10日、医療審議会地域保健医療部会が開かれました。
そこで2点お伺いします。
1点目、本県における医療機能ごとの病床の現状と2025年における必要病床の試算結果、特徴はどのようになっているか。
本県における医療機能ごとの病床の現状と、2025年における必要病床の試算結果、特徴はどのようになっているかとの御質問でございます。
地域医療構想ガイドラインに基づき、本県の2025年の必要病床数を試算した結果、後期高齢者人口の伸びを反映し、必要病床数は約5万床となり、平成25年度の医療施設調査の数値に比べ約3,000床の不足が見込まれております。また、機能別で見ると、高度急性期と急性期で病床が過剰に、回復期と慢性期で病床の不足が見込まれるところでございます。
2点目、地域医療構想策定に当たり、審議会等からどのような意見や課題が出されているのか。
地域医療構想を含めた保健医療計画改定に当たっては、県民の命と健康を守るために県が主体的な役割を果たすことが一層求められています。特に県立病院が担うべき役割については見直しが必要です。現在の保健医療計画において、県立病院は高度専門医療を担うことが基本とされ、東金病院や佐原病院のような地域完結型の一般医療については、県立病院から地域の自治体を中心とする新たな受け皿への転換を進めることになっています。この方針に基づき、昨年3月末をもって地域医療の中核を担ってきた県立東金病院が廃止されました。現在の県立病院は、がんセンター、救急医療センター、精神科医療センター、こども病院、循環器病センターの5つの高度専門医療機関、そして佐原病院です。県の医療政策として、これまでの県立病院は高度専門医療に特化するというスタンスですが、高齢化が急速に進む今後は、複合的な病気を抱える高齢者のニーズに応える地域完結型一般医療に目を向ける必要があるのではないでしょうか。特に県内でも医療資源の少ない山武長生夷隅、香取海匝の両医療圏について、地域住民が不安なく医療を受けられるよう、地域医療の底上げが県に求められています。
地域医療構想の策定に当たり、審議会等からどのような意見や課題が出されているかとの御質問でございます。県では、地域医療構想の策定に当たり、医療審議会や各医療圏の地域保健医療連携会議等で御意見を伺いながら作業を進めているところでございます。主な御意見といたしましては、病床機能報告制度や構想区域のあり方、病床機能、調整等を行う地域医療構想調整会議の運営方法等について御意見をいただいているところでございます。地域医療構想の策定に当たっては、いただいた意見を参考に検討してまいります。
昨年4月に県立東金病院閉院後の医療機能を引き継ぐ病院として東金九十九里地域医療センター、通称東千葉メディカルセンターが一部オープン。県はこのメディカルセンターに対し、これまで施設建設費への85億6,000万円を含め、総額97億8,900万円の財政負担をしています。オープン後も引き続き、県がこの地域の医療が崩壊しないよう責任を持って対応すべきです。
そこでお伺いします。県立東金病院廃止後の後医療を千葉県はどのようにフォローしているのか。具体的に東千葉メディカルセンターの諸課題をどのように認識し、今後どのように支援していくのかお聞かせください。
県立東金病院廃止後の後医療を県はどのようにフォローしているのか。具体的に東千葉メディカルセンターの諸課題をどのように認識し、今後どのように支援していくのかとの御質問でございますが、東千葉メディカルセンターは、東金病院の医療機能を引き継ぐ病院として、平成26年4月の開院と同時に救命救急センター及び災害拠点病院として指定されているほか、脳卒中、急性心筋梗塞などの疾患に対して高度で専門的な医療を提供しているところでございます。同センターの運営状況については、救急搬送による受け入れが目標値を大きく上回っている一方、産科医の不足や看護師の確保等の課題があると認識しております。同センターが地域で求められる役割を果たせるよう、引き続き支援を行ってまいります。
次に、香取海匝医療圏における県立佐原病院の果たすべき役割と今後の方向性についてです。
ことし7月末、会派で新潟県の魚沼基幹病院を視察しました。新潟県が設置、公設民営の新しいタイプの県立病院です。病院設立の背景をお聞きしたところ、魚沼医療圏域では、3次救急、高度医療はほかの医療圏に依存、県内7圏域で最低の医師不足地域、周辺病院の老朽化、施設間で機能分担と連携ができていない、このような課題を解決するため、新潟県では平成12年ごろから新潟大学や地元自治体に働きかけ、地域の公立病院も含めた医療機能の再編、ネットワーク化を目指して取り組んできました。新潟大学地域医療教育センターも併設され、初期から高度医療も診ることのできる総合診療医の育成、地域医療に意欲的な若手医師の集積など、基幹病院の機能をさらに強化しています。お話を伺った内山院長は、全国から医師が集まるマグネットホスピタルを目指すと、とても意欲的でした。新潟県と同じような課題を抱える本県においても参考になる事例と思われます。
そこでお伺いします。香取海匝医療圏域における地域医療構想策定に当たっては、県立佐原病院を核とする再編ネットワーク化を県がリードすべきと考えるが、今後の方向性についてどのように考えていくのか。
地域医療構想の策定に当たり、香取海匝医療圏において、県立佐原病院を含む医療提供体制についてどのように考えていくのかとの御質問でございます。県では、急速に少子高齢化が進む中、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、目指すべき医療提供体制を示す地域医療構想の策定作業を今年度末を目途に進めているところでございます。この地域医療構想で示される香取海匝圏域の目指すべき医療提供体制の中で、県立佐原病院を含む地域の医療機関の役割分担等について、地元自治体等とも協議しながら地域医療構想の実現に取り組んでまいります。
次に、県立病院についてお伺いします。
県立6病院の施設整備が遅々として進んでいません。厳しい財政事情であっても、患者の命や健康を守る県立病院の施設において、安全・安心な環境整備は待ったなしで進めていかなければなりません。
一方、厚労省は2003年度から包括医療費支払い制度、いわゆるDPC制度を導入。これまでの出来高払いの医療ではなく、病名や手術方式の違いによって、1日当たりの入院医療費を定額払いとし、効率的な医療提供を促し、国への報告も求めています。昨今は国の医療制度や診療報酬も目まぐるしく変化し、病院経営の力量が問われています。医療現場で懸命に働いておられる医師、看護師を初めとする医療スタッフの努力に最大限に応えるための環境整備に加え、特に事務方の経営能力をいかに向上させるか、良質な医療提供をしていくためにも県立病院として重要な視点と考えます。
そこで2点質問します。
1点目、各病院の施設整備等を早急に進めるべきと思うが、どうか。
次に、県立病院についてお答えをいたします。
各病院の施設整備等を早急に進めるべきと思うが、どうかとの御質問でございます。がんセンターにつきましては、施設の老朽化、狭隘化が著しいことから新棟整備に取り組んでおり、本年8月末に基本設計が完了したところです。その他の県立病院につきましても、病院へのヒアリング等を行い、施設の現況把握に努めているところであり、患者の安全・安心確保を最優先に、スタッフの勤務環境などにも考慮しながら計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。
2点目、DPC導入を初め病院の経営力を上げるためにどのような取り組みを行い、成果を得ていくのかお聞かせください。
DPC導入を初め、病院の経営力を上げるためにどのような取り組みを行い、成果を得ていくのかとの御質問でございます。県立病院では、経営力向上のため、医薬品、資機材の共同購入の推進等によるコスト削減、診療報酬改定への的確な対応等による収益の向上、標準的で合理的な治療を促進するDPCによる請求方式の導入などの取り組みを進めてきたところです。今後は、本年3月に国から示された新公立病院改革ガイドラインに沿って、具体的な経営指標に係る数値目標を設定するなど、病院局全体でさらに経営改善に取り組んでまいります。
児童養護について
次に、児童養護についてです。
千葉県における昨年度の児童虐待対応件数は過去最多の5,959件。県内でも昨年5月、市原市の生後2カ月の乳児が病院からの虐待通告で保護されました。大変残念なことに、半年後、家庭復帰の後、命を落としてしまわれました。現在、父親が逮捕、捜査中であります。
児童虐待は、御承知のように増加の一途をたどるばかりですが、特に千葉県では、児童相談所における児童心理司や児童福祉司といった専門職配置の不足、児童養護施設や里親委託などの受け皿不足など、さまざま、多くの課題を抱えています。どれも早急に対応すべきことですが、特に児童相談所の一時保護所は、虐待を受けている子供の緊急保護や非行をした子供の受け入れなど大変重要な役割を果たしています。これまで県内5カ所の児童相談所、一時保護所を視察してまいりましたが、老朽化や狭隘化が激しい施設も多く、入所児童が定員を超えて恒常的にパンク状態のところも多くあります。一時保護所の入所期間は最長2カ月とされています。しかし、児童虐待のケースでは9割が家庭復帰となり、この調整に時間がかかる場合も多くあります。
そこで3点お伺いします。
1点目、医療サイドからの虐待発見につなげるための取り組みをどのように行っているのか。
次に、児童養護についてお答えいたします。
医療サイドから虐待発見につなげるための取り組みについての御質問でございます。平成26年度における、県が所管する6カ所の児童相談所での虐待対応件数のうち、医療機関からの通告は全体の約3%となっていますが、これらは重篤な症状であることが多く、医療機関との連携は重要と考えております。このため県では、本年度からこども病院を拠点として、虐待が疑われる場合の入院先の確保や保護者との面会方法など、医療機関からの相談に応じるほか、関係機関のネットワークづくりや医療従事者の教育、研修等を行うこととしました。この事業により、医療機関との連携をさらに強化し、子供たちの安全・安心の向上につなげてまいります。
2点目、児童相談所における一時保護措置の状況はどのようになっているのか。保護期間が2カ月を超える児童はどのくらいか。
2カ月を超える一時保護の状況についての御質問でございます。平成26年度に県の児童相談所で一時保護した児童は908人で、1人当たりの平均保護日数は約46日でした。このうち保護期間が2カ月を超える児童数は297人で、小学生が134人、中学生が78人となっております。虐待対応件数が増加する中、子供を取り巻く状況は、親の離婚や再婚、親族や地域社会からの孤立、経済的な不安など極めて多様化しており、適切な援助方針を決定するため時間を要する場合があります。保護中の児童はなれない集団生活を送ることになり、また学校にも通えないことから、生活環境の改善や学習機会の確保に十分留意してまいります。
3点目、児童相談所の所管区域の見直しや施設の移転、改修、生実学校自立支援寮の整備の諸課題についての結論はいつ出るのかお答えください。
児童相談所の管轄区域の見直しや生実学校についての御質問でございます。県が所管する6カ所の児童相談所は管内人口や相談件数に偏りがあり、また老朽化しているところもあることから、移転、改修について、交通事情等、地理的な条件も考慮し、管轄区域の見直しとあわせて総合的に検討してまいります。また、生実学校等の施設整備については、県有施設全体の計画的な整備に向けた全庁的な見直しの取り組みと整合を図りながら検討を進めてまいります。
私からは以上でございます。他の問題につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。
性暴力・性犯罪被害者支援について
続いて性暴力・性犯罪被害者支援について伺います。
人としての尊厳を踏みにじり、魂の殺人とも言える性暴力犯罪。多くの被害者は犯罪を訴えることもできず、泣き寝入りするという現実があります。千葉県における昨年度の性犯罪の発生状況は、強姦80件、強制わいせつは345件と横ばいで、被害者の8割から9割が20歳代以下です。幼い児童を含めて、これらの卑劣な暴力、犯罪は到底許されるものではありません。ことし8月には、法務省の有識者検討会が強姦罪と強姦致死傷罪の厳罰化や、被害者からの告訴がなくても起訴できるようにする非親告罪に改めることを多数意見とする報告書をまとめました。現在、必要な法整備に向けての諮問が審議会に送られていると聞いています。
このような法整備とともに急がれるのが被害者支援の体制です。被害直後から被害者に寄り添う医療的支援と心理的支援が必要であるとともに法的支援、生活支援など、中長期的、総合的な支援をしていくことが求められています。そのためには医師、カウンセラー、弁護士を初めとする専門職の協力に加え、支援者の養成も必要です。千葉県においても、県警や千葉犯罪被害者支援センター、そして昨年7月に国立病院機構千葉医療センターの産婦人科を拠点に設立された千葉性暴力被害支援センターちさととの連携で被害者支援を行っているとのことです。国も性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置促進を各県に働きかけており、佐賀県や和歌山県では、既に病院拠点型のセンターを開設しています。
そこでお伺いします。ワンストップ支援センター設置に向けての検討状況はどうか。病院拠点型として既に活動を始めているちさととの連携も含め、今後どのように検討を進めていくのかお聞きいたします。
次に、性暴力・性犯罪被害者支援を行うワンストップ支援センター設置の検討に関する御質問です。
本県では、性暴力・性犯罪被害者に対し、相談や医療などの支援をワンストップで提供する民間団体ちさとが昨年7月に活動を開始いたしました。現在、県では、ちさとと支援活動の現状や運営上の課題などについて意見交換を行うとともに、他の都道府県における支援体制の状況や課題の把握を行っているところです。今後、被害者支援を行っている警察本部や千葉犯罪被害者支援センターなど関係機関とも意見を重ねながら、本県のワンストップ支援体制のあり方について引き続き検討してまいります。
カラーユニバーサルデザインについて
次に、カラーユニバーサルデザインについてです。
色覚、色の感じ方は、味覚や嗅覚と同じように人それぞれ違っています。色覚検査で先天性の色覚異常とされる人は、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人、日本全体では約320万人いると推計されています。また、白内障など老化に伴う目の疾患やロービジョンと呼ばれる方々を合わせると100万人以上存在すると言われており、色覚に障害のある人が読めない、使いづらいといった状況にならないよう配慮し、情報を正しく伝えていくための取り組みが必要です。
千葉県では、平成21年に障害のある人に対する情報保障のためのガイドラインを策定していますが、色覚障害については簡単にしか触れられていません。配付資料でお示ししたとおり、全国の自治体では、色覚の差が情報の差にならないように、誰に対してもきちんと正しい情報が伝わるように、色の使い方などにあらかじめ配慮するカラーユニバーサルデザインの取り組みが広がっています。
そこで伺います。色覚に障害のある方に配慮したカラーユニバーサルデザインを導入し、県の印刷物や公共施設整備等に取り入れることで的確な情報提供を行うよう求めるが、どうか、お聞かせください。
最後に、カラーユニバーサルデザインの導入についてお答えをいたします。
県では、障害者条例に基づく推進会議における決定を受けて、平成21年に作成した障害のある人の情報保障のためのガイドラインの中に、色覚に障害のある人に対する情報提供に関する配慮について記載し、県の機関、市町村や関係機関等に対して周知を図ってきました。また、千葉県福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアルでは、公共施設などの案内表示について、障害者等に対し色彩に配慮することを求めています。今後とも当事者の意見を伺うとともに、他県の例も参考にガイドラインの充実を図るなど、色覚に障害のある方に情報提供する際の配慮に一層努めてまいります。
私からは以上でございます。
県立市野谷の森公園の整備について
次に、県立市野谷の森公園の整備についてです。
流山にある市野谷の森は、オオタカを初めとする貴重な動植物が生息する生物多様性に富む緑地です。県はこの森の18.5ヘクタールを公園の計画区域とし、うち3.7ヘクタールを第1期とする事業認可を平成19年に取得。現在、29年度完了に向けて、用地買収や調整池工事着工に向けての準備が進められています。周辺はつくばエクスプレスの沿線開発に伴い、森の間際まで大型マンション建設や宅地開発が進行しています。一方、都市計画決定した平成12年以降、県は地権者への説明は行っていないと聞いています。2期整備の用地取得に当たっては、地権者の協力が必要不可欠です。
そこで2点お伺いします。
1期整備完了後、速やかに用地取得に入れるようにすべきと考えるが、2期整備の準備はどのように行われているのか。
次に、県立市野谷の森公園の整備についてお答えいたします。
市野谷の森公園の2期整備の準備はどのように行われているのかとの御質問でございます。市野谷の森公園は、住民が身近な自然と触れ合う場として緑地の保全、利用を図っていくという基本理念のもと、平成11年度に都市計画決定した約18.5ヘクタールの県立都市公園でございます。このうち1期区域、約3.7ヘクタールについては平成29年度の完成を目指して整備中であり、残る約14.8ヘクタールについては1期区域の整備完了後の事業化を検討しております。事業化に当たっては、国や地元流山市などとの協議、調整を行う必要があり、今後、1期区域の整備完了時期に合わせて検討してまいります。
2点目、2期整備の用地取得に当たり、地権者との関係を今後どのようにつくるのかお伺いいたします。
2期整備の用地取得に当たり、地権者との関係を今後どのようにつくるのかとの御質問でございます。1期区域完了後の市野谷の森公園の整備については、地権者や地元の方々の理解と協力が不可欠なものと考えております。事業着手後の用地の確保については大変重要な課題であり、今後、市とも連携を図りながら取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
教育問題について
最後に、教育問題についてお伺いします。
県立学校の環境整備についてです。
本県には高等学校、特別支援学校、合わせて173の県立学校があります。市民の方々から、県立学校の老朽化が激しく、子供たちが学ぶ環境として余りにひどいという訴えがありまして、先月10日、私の佐倉市内の4校の県立学校を見学いたしました。お手元の配付資料2枚目をごらんいただければと思います。当日は雨が降っていたため、4校全てで雨漏りしていました。特に築55年の佐倉高校では、天井に複数の大きな穴があいた普通教室で授業が行われており、また、昭和44年に建てられた図書館棟は倒壊の危険性があると閉鎖され、3・11後は全面的に立入禁止となっています。ほかの3校についても、補修、改修の要望は出しているものの、対応がおくれているそうです。教育の環境整備こそ県の役割であります。光り輝く教育立県ちば、こういったスローガンを掲げるのならば、学校現場の切実な声に応え、本腰を入れて環境整備に取り組んでいただきたい。
そこで2点質問いたします。
1点目、学校現場からの補修、改修の要望はどのようなものがあるか。また、昨年度、一昨年度の要望件数と措置件数、予算措置はどのようになっているのか。
私からは教育問題についての6問にお答えいたします。
まず、県立学校の環境整備について、学校現場からの補修、改修の要望内容や、要望件数とその対応状況等に関する御質問ですが、学校現場からの施設の補修、改修についての要望は、消防設備、電気設備等のふぐあいや校舎の雨漏りなど緊急の対応を要するものから、渡り廊下、屋外トイレの新設や電話設備、放送設備の更新など使い勝手の改善や予防的修繕まで多種多様な要望があります。また、平成26年度は学校からの要望件数は2,676件であり、そのうち年度内に対応したものは403件で、施設整備に係る当初予算額は7億円でした。平成25年度は2,482件の要望があり、年度内に対応したものは484件、当初予算額は6億5,000万円でした。
2点目、緊急性のあるものについても対応がおくれています。必要な予算確保を求めるが、どうか、お答えください。
緊急性のあるものについても対応がおくれており、必要な予算確保を求めるが、どうかとの御質問ですが、県立学校の校舎等の補修、改修については、担当職員が直接確認し、その状況を具体的に把握した上で学校と相談しながら、児童生徒に危険が及ぶおそれのあるもの、教育活動に著しい支障が生じかねないものから優先的に対応しております。学校からはさまざまな要望があり、全ての要望に対応することは困難な状況ですが、これまで最優先で取り組んできた校舎等の耐震化が今年度中におおむね一段落する見込みであることから、校舎等の補修、改修については来年度以降、できる限り早期の対応に努めてまいります。
次に、公立高等学校の中途退学についてです。
今年度から始まった第2期千葉県教育振興基本計画では、重点施策として学びのセーフティネットの構築が挙げられています。厳しい家庭環境や不登校など困難を抱える子供たちが増加する中、教育を受ける機会を保障し、将来的な自立に向けて取り組みをさらに充実していかなければなりません。特に安定した就労につなげるためには、高校卒業が1つの目標ともなります。
そこで3点質問いたします。
1点目、中途退学者数はどのように推移しているのか。
次に、公立高等学校の中途退学について、中途退学者数はどのように推移しているのかとの御質問ですが、最近10年間で最も中途退学者数が多かった平成17年度の2,593名からの推移は、平成20年度が2,185名、平成23年度が1,707名、平成26年度が1,477名となっており、徐々に減少しています。
2点目、定時制における中途退学者の割合はどのようになっているのか。
定時制高等学校における中途退学者の割合についての御質問ですが、平成26年度の中途退学者数は443名で、定時制高等学校の全生徒に対する中途退学者の割合は13.3%となっており、前年度の13.5%より0.2ポイント減少しています。
3点目、中途退学を減らすためにどのような支援を行っているのか。
中途退学を減らすためにどのような支援を行っているのかとの御質問ですが、平成26年度の中途退学の理由の上位には、学校生活・学業不適応や学業不振などが挙げられています。そのため県教育委員会では、教育相談の充実や生徒に対する丁寧な指導により退学者の減少に努めるよう、各学校に対して指導するとともに、中学校での適切な進路指導を促すため、中学生の一日高校体験入学などを実施しています。また、今年度はスクールカウンセラーの配置校を昨年度より10校ふやし80校にするなど、教育相談体制の充実を図っています。今後も中途退学者の減少に向けた取り組みを進めてまいります。
最後に、定時制高校の給食についてです。
今年度から千葉工業高校、東葛飾高校定時制における夜間給食が試行的に廃止されました。平成16年度から夜間定時制高校の給食が自校給食方式からデリバリー給食へと転換され、給食を食べる喫食率もそれに伴って低下しています。東葛高校では、ことし1月時点で喫食率が21%しかないことが廃止の理由でした。その後、学校現場から、森田知事や教育長に学校給食の復活を望む生徒の切実な声がたくさん寄せられています。食べられなくなると聞いて心がどん底に落ち込みました、いつも給食にどれだけ救われていたか、バランスのよい食事は給食だけなので、なくなると本当に困ります。そして先生方からも、給食の時間は生徒の様子を観察できる大切な時間、コミュニケーションをとる最高の場となっている、経済的に厳しい家庭が多く、頑張って働いている定時制の教育にもっとお金をかけてほしい等々の意見が出されています。定時制高校給食の今後の方向性については、庁内の検討チームで議論が行われていると聞いています。
そこでお伺いします。千葉工業高校、東葛飾高校定時制の給食廃止をしないように求めるが、どうか。
以上、第1回の質問とさせていただきます。(拍手)
最後に、千葉工業高校及び東葛飾高校の給食に関する御質問ですが、夜間定時制高校の給食は、生徒の就労状況や社会環境が変化する中で喫食率が低下傾向にあることから、現在、教育庁内に定時制高校給食検討チームを設け、給食のあり方について検討しています。2校の今後については、この結果を踏まえて対応することとしています。
私からは以上でございます。
再質問
御答弁いただき、ありがとうございました。それでは、2回目の質問をさせていただきます。
まず、知事の政治姿勢のところで3点ほどお伺いしたんですが、鋸南開発については知事みずから御答弁いただけなかったので、ぜひ再質問ではお答えをいただきたいと思います。
(傍聴人拍手)
それで、初めに総合治水についてです。
国が進めてきた大規模開発、ダムありきの治水政策から、県はこのたびの鬼怒川決壊の水害もきちっと受けとめて、やはり現実的な治水政策に転換していかなければならないと思います。言われるがままに治水負担金を出していたのでは、弱い堤防の強化も進捗がおくれております。
そこでお伺いいたしますけれど、国が堤防強化を始めた平成18年度から昨年度までの9年間、千葉県として、この利根川、江戸川の治水負担金、どれだけ出してきたのか。とりわけダムがどれぐらいの割合だったのかということをお聞かせください。
治水事業の直轄事業負担金に関する御質問でございます。平成18年度から9年間で合計443億円、うちダム関連は192億円でございます。
次に、鋸南開発についてです。事前協議を終了とした根拠は何かとお聞きしましたが、3点挙げられました。しかし、地元との環境保全協定への対応が図られる見込みというような答弁。事前協議終了の段階で見込みということではいけないんですよね。保全協定が結ばれてなければなりません。事前協議の段階で本当に終了すべき要件が整ったのかという点についてお伺いしたいんですけれども、千葉県が業者、そして町との指導事項のやりとりの文書を交わしています。その中で県の耕地課、そして水産課の指導事項の回答書が途中でなくなっているんですよね。内容は勝山漁協、そして鋸南町の土地改良区との調整がとれていないということが事実としてあるんですけれども、その指導事項を完了させないままに事前協議を終了したということは明らかに要件が欠落していると思います。その点についてどうか、お答えください。何で了解、合意が得られていないのに終了とできるんでしょうか。指導事項が終わってないですよね。その点について確認します。
私のほうからは鋸南開発の2問のお尋ね、そして指定廃棄物1問についてお答えをさせていただきます。
まず、鋸南開発関係で事前協議の終了についてのお尋ねでございます。先ほども副知事が答弁させていただいたとおり、施設の構造等が法令の基準に適合すること、そして環境保全対策が図られること、地元、事業者との間で協定への対応が図られる見込みとなったことから、総合的に判断いたしまして事前協議を終了としたものです。なお、この中で県関係機関との調整もなされているところでございます。
2点目は、現在、業者のほうから汚染土壌処理業の申請が出されて厳正に審査しているという答弁でしたけれども、その厳正な申請という点で、この鋸南開発の経理的基礎をどのように見ているのか。私が入手しました帝国データバンクの25年6月決算、鋸南開発のを見てみますと、売り上げが5億4,100万円、そして利益が1,158万円、その前年度、24年度の決算については、売り上げが4億1,000万円で利益がわずか925万2,000円なんです。従業員も8名のこの鋸南開発、56億円もの汚染土壌埋立処理業が果たしてこの財政規模の鋸南開発でできるのか。こういった点について、経理的基礎がしっかりしていなければ事業が行えませんし、また、何か問題が起こったときに対応する資金も手元にないということが容易に考えられます。この点については、経理的な基礎を審査されているということですから、どうなんでしょうか。具体的にお答えいただきたいと思います。採石場の土地を担保にお金を複数の金融機関から借りています。何億円も借りています。潤沢に資金がないところに56億円もの事業を行う能力はあるんでしょうか。その点について伺いたいと思います。
それから、2点目の審査項目の1つであります経理的な基礎に関するお尋ねでございます。具体的な例を挙げてお尋ねがございましたが、現在、申し上げたとおり、審査中の案件でございます。審査中の段階で個々具体的な項目や内容に対します私どもの評価、判断についてはお答えすることは控えさせていただきたいと考えております。引き続き資金能力の部分についても、法律に基づいて厳正に審査をしてまいります。
次に、指定廃棄物についてです。先ほどの御答弁ですと、国に情報をもらっていると。国が責任を持って、指定廃棄物については保管も含めて見ているので、県はタッチしなくても大丈夫だというように私には聞こえました。しかし、お伺いしたいのは、鬼怒川の決壊を受けて、その後、9月24日に、国は放射性物質汚染対策特措法が施行してから3年後の見直しをこの有識者会議で検討しました。そのときに、今回の東北・関東豪雨で放射能除染したさまざまなものが入っている袋が流出したことも受けて、各県において再発防止の徹底、そし都道府県に対して当事者意識を持ち、連携せよというような検討結果を出しているんです。この9月24日の有識者検討会を県としてはどのように捉えて今後につなげていくのかお聞きしたいと思います。
最後に、指定廃棄物のお尋ねでございます。有識者会議から示されました取りまとめについて、県としてどのように評価をしているかというお尋ねでございますが、まず、県内に保管されている指定廃棄物のさきの大雨による流出の状況、あったのかどうかということですが、これは既に環境省のほうで確認をしておりまして、県内の指定廃棄物に流出等の被害は発生してないということはきちっと報告を受けております。その取りまとめの内容そのものについては、私ども取りまとめられたということは承知をしております。これについて、国からの詳しい説明は今のところございませんけども、指定廃棄物の処理は国が責任を持って行っていくということには変わりがないと思いますので、私どもも、その中で引き続きできる限りの協力をさせていただくということでございます。
私からは以上でございます。
次に、地下水と水循環についてです。先ほどの答弁ですと、規制外の地下水の利用の把握ということで、規制対象となっている区域の地下水のくみ上げ状況については把握していらっしゃるということですが、民間の地下水くみ上げについてはどのように把握していらっしゃいますか。その点についてお聞かせください。
私からは地下水関係で、規制対象外の井戸に関する御質問にお答えいたします。
県では、一部の水道事業体において、大口需要者が水道水から規制対象外のいわゆる小口径井戸へ転換したことによりまして収益が悪化した事例がありますことから、平成24年度にホテルや病院などの専用水道設置者を対象に、小口径井戸による地下水の採取量等の調査を行いました。その後、専用水道設置者数は大きく伸びていないことから、現時点では新たな調査は考えておりません。
以上です。
次に、医療問題についてです。地域医療構想を今年度中に千葉県が策定するということで、私は県立病院のあり方、県がどのような立場でこの医療ビジョンにかかわっていくのかというところを質問させていただきました。県立病院、特に今、佐原病院が地域の基幹病院として1つだけ担っております。周辺の小見川総合病院も建てかえが、ことしの春、基本計画が出されまして、病床数も170から100にするという計画になっています。改めて佐原病院として、地域の医療機能の再編に役割を果たしていく、ますますそういう重要性が高まっていると思いますけれども、この医療再編について、特に香取海匝医療圏において、県の医療行政が主体的に役割を果たしていただきたい。このことについては要望させていただきます。
次に、県立病院については、循環器病センターを初め手狭になっている病院があります。状況の把握に努めているということなんですけれど、具体的な改修計画がなかなか見えてまいりません。財政的に大変厳しい病院局ではありますけれども、患者、そして働いている方々の安全、ぜひそういったものを第一に早急に対応していただきたいと要望いたします。
次に、児童養護についてですけれど、一時保護所が定員を超えたり、困難なケースが急に舞い込む場合がありますが、ただでさえ人手不足の一時保護所、どのように対応しているのか。一時保護所の教育環境も大変厳しいですが、どのような形で現場で対応しているのかお伺いいたします。
次に、ワンストップ支援センター、性暴力被害支援センターについては、今年度中に方向性を示していただきたい。早急にこの設置を要望いたします。
カラーユニバーサルデザインについても、他県で既に取り組みがありますので、千葉県としても色覚障害のある方に配慮した形で早急に整備していただきたい。要望いたします。
それから、市野谷の森についても、29年度までの完了ということで鋭意進めていただければと思います。
最後に教育問題についてですけれども、改修、修繕の要望箇所が2,600件余り。6分の1の400件しか対応できていないということです。予算も7億円。これを大幅に拡充していかなければ、子供たちや先生は雨漏りの下で、そして図書館もないところで勉強している。佐倉高校では10年間も図書館がありません。
(「図書館ないの」と呼ぶ者あり)
図書室はありますが、図書館がありません。50人しか入れないような普通教室を潰してやっております。ぜひこういった現場に知事も足を運んでいただきたい。知事は県立高校の現場をどれぐらい視察されているんでしょうか、お聞きします。
次に、公立高校の中途退学については、定時制の退学率は13.3%、全日制ですと1%台です。現在、県では子どもの貧困対策の計画に向けての調査を行われていますけれども、こういったところに光を当てていかなければ、子どもの貧困対策の計画をつくっても、ただ絵に描いた餅です。そういった部分について、これからどのように福祉と連携して中途退学することのないようにフォローしていくのかお聞かせください。
教育に関する2問の御質問にお答えしたいと思います。
施設の老朽化がひどい、予算をきちんとつけるべきではないか、現場に足を運んで現状を見るべきとの御質問でございますが、学校から補修、改修の要望があった全ての箇所を担当職員が直接確認しております。私も機会があるごとに学校を訪れ、直接お話をお伺いしております。厳しい財政状況ではありますが、今後とも必要な予算措置に努めてまいりたいと考えております。
最後に定時制高校の給食については、これは検討中ということですが、ぜひ復活を求めて要望させていただきます。同じく来年4月から開校する東葛飾高校の中学、こちらには8億6,000万円が投入されるんですよ。この定時制高校の子供たちの給食委託費はわずか550万円です。やはり全ての子供たちに差別なく目を向けていくことが教育の基本的姿勢ではないでしょうか。その点について、改めてこの給食は廃止すべきではないと申し上げて2回目の質問を終わります。
次に、経済的にも家庭的にも厳しい子供たちにもっと目を向けるべきと考えるが、どうかとの御質問ですが、今後も個々の生徒の置かれている状況の把握に努め、丁寧な指導を行うよう各学校を指導するとともに、関係部局とも連携をしながら対応してまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
知事、鋸南開発について答弁がない。なぜでしょうか。最高責任者は知事です。知事が事前協議を終了させてしまったんです。
(傍聴人拍手)
責任をもっと感じていただきたい。そして、先ほど部長から事前協議の要件を3つ示されました。環境保全協定が締結される見込み。事前協議の段階で見込みということは、あってはならないことです。事実、勝山漁協、そして鋸南土地改良区は事前協議の段階で、この汚染土壌対策事業については了解していない、承服していない、反対しているんです。そのことを知っていながら、なぜ事前協議終了とできたんでしょうか。私が情報公開で入手した先ほどの資料、今回のさまざまな手続についての文書決裁が全くないということです。それでは、町から7月16日に再協議してほしいという回答を得て1月16日に正式に事前協議終了するまで、一体、誰がどこで決めたんですか。そういうことがわからなければ、行政として説明責任果たしていないのではないですか。事前協議はやり直すべきです。このような、どこで誰が決めたかわからないような行政手続が蔓延していれば、私たち県民にとっては本当に信用できない、そんな千葉県政というふうに言わざるを得ないのです。ぜひ事前協議、もう1回やり直してください。
はい。以上で終わります。