無惨!切り刻まれた山々
9月23日(金)
1都5県議会議員の会も共催したシンポジウム「知っていますか?
八ッ場ダムの真実」の会場準備のため、8時半過ぎの電車で新前橋
に向かう。
1時半の開場で来場者は330人を超え、大ホールは満席状態。
プログラムも大変充実していたが、いかんせん時間が足りない。
今回はダム建設予定地、付替え鉄道や道路、代替地など周辺の脆弱な
地質がもたらす危険性の問題に焦点を当てた。
地域環境科学研究所代表で砂防工学がご専門の中川鮮さん、
応用地質専門で元東京都土木技術研究所ご出身の中山俊雄さんが
現地がいかに危険かを語った。
八ッ場ダムが利水・治水面で必要性を失っていることは明らかだが、
作ってはいけない有害無益なダムであることを声を大にして訴えたい。
翌日24日(土)は、現地視察。
河川工学の大家、京大名誉教授の今本先生も昨日に引き続き同行され、
渡辺洋子さんに問題ヵ所を案内していただいた。
政権交代後、八ッ場ダム中止宣言は出されたが、ダム本体工事を除く
付帯工事は着々と進行中。
山肌は無惨にも削られ、あちらこちらにコンクリートの構造物が出現。
来るたびに目を覆いたくなる光景が広がっている。
前原大臣の時にダム本体だけではなく、付帯工事も含めて見直すべき
と申し入れた湖面1号橋。
休日にもかかわらず、工事が進められていた。
続いて、河原湯温泉宿が移転する打越代替地。
対岸からの映像だが、山を切り開き30メートルの超盛土の上に
家が建っている。
人工的に切り開いた土地の温泉街に果たして観光客が訪れるのか?
9月初旬の台風時、背後の山から土石流が河原湯駅まで下った。
中川先生や今本先生いわく、「箱庭的な工事手法で、背後の自然の
大きな力を無視している」とのこと。
国交省の検証もあくまでも机上の計算によるもの。
現地調査を踏まえた上での検証ではない。
それにしても、60年間もダム計画で苦しめられてきた現地の方々の
安全を真剣に考えているのだろうか?
大震災が起これば代替地は崩落する危険性が高いという。
所変わって、河原湯新駅の予定地。
ここも昔から背後の山の崩落が繰り返されている場所。
酪農を営んでいる地権者は代々その話を受け継いできた。
地盤も軟弱で基礎工事も難航している。
新駅が出来なければ鉄道は通らず、ダム本体の工事もできない。
国交省は工期の3年延長を示しているが、用地買収の見通しも立たず、
おそらく完成予定は未定となるだろう。
最後は、滝見橋からの吾妻渓谷の1枚。
コンクリート構造物は、転流工(てんりゅうこう)。
ダム本体をつくる前に川の流れを変えるための仮排水トンネル。
新緑の頃、紅葉の頃と幾度となくこの地を訪れたが、
これ以上の自然破壊は耐えられない。
私たちは今回の大震災で自然の猛威を痛いほど思い知ったのではなかったのか?
本来、公共事業とは人々を豊かに幸せにするもの。
こんな当たり前のことを見失った国家は情けない。