21世紀の最重要課題とは
常任委員会では、県民共生センターの統廃合問題が突然議案として出された。
今月末をもって柏にある東葛飾センター(分館)を廃止し、職員を引き上げ、
稲毛の本館に集約・機能強化を図るという。
相談機能は残すというが、あまりにも拙速な進め方ではないか。
第三者機関の懇話会にも諮らず、周辺自治体や利用者団体への説明は
議会が開かれる直前に行われたが、いつどこで政策決定したかは明らかに
されなかった。
質疑の結果分かったのは、昨年3月に開かれた行政改革推進委員会で
出された意見を踏まえ、経費縮減を第一目的として統廃合するということ。
4千万円程度の削減効果が見込まれているが、拠点機能を廃止するデメリット
をどれだけ検討したのだろうか?
男女共同参画社会の実現に向けて、何よりも大切なのは地域で活動を
広げていくことであり、そのための拠点づくりが何よりも大事なはず。
ハコものが絶対必要ということではないが、政策を戦略的に進める人の
配置は必要不可欠だ。
加えて、財政力が低い自治体は独自のセンターを持つことは難しい。
県内に設置されたセンターはわずか11市であり、南房総、東上総、
北総などにはまったくセンターはない。
広い県内にセンターが1つというのも県民からは足を運びにくく、
県にとっても自治体の状況把握、目配りも難しくなる。
しかし、委員会では私以外の全員が議案に「賛成」し、可決されてしまった。
この重要な政策課題について、いまだに共通認識を得にくいという現状そのもの
が「男女共同参画社会」が実現できていない証左ともいえるのではないか。
男女共同参画基本法が制定された99年から十数年経ったが、まだまだ先が
長い道半ばの状態…。
99年当時の自民党政権において法案に前文を書き加えるよう自民党、
民主党・新緑風会、公明党、自由党から修正動議が出され、成立したことを
どれだけの県議が知っているのだろうか?
この修正提案を行ったのは、ほかならぬ当時の自民党議員、海老原義彦
参議院議員である。
素晴らしい内容なので、以下掲載する。
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、
男女平等の 実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動
しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。
一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済
情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ
責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮すること
ができる男女共同参画 社会の実現は、緊要な課題となっている。
このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国
社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、
男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが
重要である。
ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにして
その方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同
参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この
法律を制定する。
すでに若い世代では共働き家庭が過半数を超え、仕事と家庭のワークライフ
バランスが課題となったり、退職した男性が地域活動に仲間入りするなど、
社会背景も少しずつ変わりつつある。
私も次男が生まれてすぐ夫の転勤で大阪の豊中市に住んでいた頃、
男女共同参画センター「ステップ」設立の市民委員として2年近く
活動し、担当課の職員さんや地域の仲間たちと会館の機能や部屋割りから
議論し、オープニングイベントの企画・実施までやり遂げた熱い思いがある。
その時の担当企画は「女性を議会へ」の講座だったが、まさか自分が
議員になるとは100%思っていなかった!
初めての関西生活だったが、良い仲間と出会い、貴重な経験をさせてもらい、
佐倉に戻った後、男女平等参画懇話会の公募委員として基本計画づくり
に参加するきっかけにもなった。
一方「ステップ」は、私が豊中を去った後、突然の所長解任問題で紛糾し、
全国的にもバックラッシュが吹き荒れたが、拠点があることの意義は肌で
感じている。
千葉に話を戻すと、全国47都道府県中、本県だけ男女共同参画条例がない。
というより、条例が成立できなかった「事情」がある。
現時点においても、全国に後れを取っているという認識があまりにもなさすぎる
のではないか。
増してこの先、県の男女共同参画の基本姿勢が大きく後退することになれば、
千葉の将来にとって大きな損失になることだけは間違いないだろう。