安全な給食を追及する鎌倉市
5月25日(金)
市民ネットワーク政策調査室のメンバーで鎌倉市山崎浄化センターへ。
給食食材の安全性を担保するために、1ベクレル/㎏まで測定できる機器を
購入したとの話を聞き、早速視察をお願いしました。
9時半待ち合わせのため、通勤ラッシュに四苦八苦しながら、
なんとか大船駅に到着。
そこから、車で10分弱で現地に到着。
住宅街の一角にあるセンターは、なんと下水処理場でした。
案内してくださったのは、所長の原さんと脇さん。
測定機器導入の経緯ですが、昨年12月頃に市長が決断し、2月議会に
人件費を含めた補正予算を組み、承認されたことで3月末の納品が
間に合ったとのこと。
これが遅れていれば、今年度からの測定はタイミング的に難しかったようです。
千葉県にもあるゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリー
で、1台1750万円。
月曜日から金曜日まで毎日、翌日の食材を小学校1校から2検体、
公立保育園1園から1検体について、順番に調べています。
今のところ、小学校13校、公立保育園6園が対象とのこと。
ちなみに中学校は、お弁当持ちのようです。
早速、測定の手順を説明してくださる原所長。
給食食材を納入する業者から、測定に必要な食材2キロを受け取り、
まずは入口の外で簡易測定。
奥へ進むと、何やらまな板に向かってせっせとジャガイモを刻む男性の姿が。
測定の助っ人としてかり出された元市幹部、技術職OBとのこと。
食材が玉ねぎの時は所長ともども涙を流しながら切り刻んでいるそうです。
にらの時は匂いが充満し、にんじんの時も後片づけが大変だとか…。
1つ1万5千円もするマリネリ容器に2リットル押し込めて、いよいよ測定。
あらかじめ下準備してあった冷凍ミカンを機器にセッティングします。
右奥にある機械がゲルマニウム測定機器で、真下にはマイナス190℃の
液体窒素を設置。
この測定器は、2リットルのものを900秒(15分)で3ベクレル、その倍の
30分で1ベクレルまで測れます。
鎌倉市は測定を民間委託していた時も、3ベクレルの基準でやっていたそう
です。
5月23日に小田原産冷凍ミカンから放射性物質が検出されたとのニュース
があり、鎌倉市で測ったところ、8ベクレルの値が出たとのこと。
4月からの新基準値である100ベクレルは大幅に下回ってはいるが、
教育委員会と子ども未来局の判断で、給食には使わないと決まったそうです。
そこで、長崎産の冷凍ミカンに切り替えました。
週明け28日(月)の給食に出せるかどうか、たぶん大丈夫と思いながらも
一同モニター画面をのぞき込み、脇さんから説明を受けます。
ND、つまり不検出です。
こちらで出た検査結果は、担当部局を通じて午後3時には公表しているとのこと。
保護者の方々も安心です。
また、給食食材だけではなく、いま注目の鎌倉野菜も測定したところ、
問題はなかったそうです。
今後は海水浴場や学校のプールの水なども測っていく予定とのこと。
現場の皆さんは大忙しですが、とても生き生きと誇りを持って
仕事に取り組まれている様子がひしひしと伝わってきました。
お忙しいところ、熱心にご説明いただき、本当にありがとうございました。
神奈川県内で同様の測定機器を持っているのは、政令市のみとのこと。
鎌倉市は人口もわが佐倉市と同規模の17万6千人の一般市ですが、
議会からも強力なバックアップもあり、精度の高い測定が実現しました。
市長、議会、職員が住民の立場に立ってともに動くことができれば、
街づくりも良い方向に向かいます。
つい最近、鎌倉に居を構えた弟家族の選択は大正解だったかもと
思いながら、センターを後にしました。