平成27年予算委員会 2日目 3月3日
目次
児童養護について
市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。
初めに、児童養護についてお伺いいたします。
昨年度の千葉県の児童虐待相談件数は5,000件を超え、過去3年前の2倍になりました。その背景には、貧困やドメスティックバイオレンス、孤立した子育てなど、厳しい家庭の状況があります。私は、この4年間県内の県立児童相談所、一時保護所5カ所、そして県立乳児院、生実学校、また民間の児童養護施設など複数足を運びまして、現場で懸命に働く職員の皆様方からさまざま御教示いただきました。私は、そして常々自治体行政の使命、そして役割というものについて、住民の福祉向上、そしてとりわけいかに困難な方にセーフティーネットを充実していくか、そのことが自治体の真価をあらわすものというふうに思っております。そういった思いで早速質問をさせていただきます。
初めに、児童相談所一時保護所について質問いたします。
まず、児童相談所一時保護所の環境改善が早急に求められますが、27年度においてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
児童家庭課長の伊勢田でございます。
児童相談所の一時保護所の環境改善につきまして、平成27年度は、柏児童相談所の老朽化による雨漏りを補修する防水工事を行うほか、君津児童相談所の遊具の更新等を行う予定としております。
その予算というのは余り大きくないということは容易に推測できるわけですけれども、児童相談所一時保護所、この入所状況、事前にいただいた資料を見ましたら6カ所あるんですけれども、その4カ所で子供が満床状態、平均しても97.4%というもうパンク寸前の状態です。
それで、2カ月を超えて一時保護所で生活しているお子さんの数も、昨年5月1日現在ですけれども、96人中34人と、実に3割のお子さんたちが学校に通うこともできず、この一時保護所で過ごしているわけです。ですから、余りにも乏しい予算措置ではないかなということで、ぜひこれを補正予算等で、もっともっと環境改善に向けて検討を進めていただきたいと思います。
次に、民間の児童養護施設についてお伺いいたします。
県内に現在20カ所の民間施設が、県立富浦も含めて20施設あります。国は、家庭的養護を進めるとして施設の小規模化を求めていますが、民間はどこも財政的に厳しいのが現状、多くの施設は寄附やボランティアを募って協力を呼びかけております。
県は、こうした民間の自助努力に頼り過ぎることなく、さらに財政支援する必要があると思いますが、県のそのための予算額、26年度と比べてどのような予算額となっているのかお伺いいたします。
平成27年度におきまして、児童養護施設の新設予定はございませんけれども、改修や小規模化に向けた改築など、施設の整備促進と児童などの処遇の向上を図るための県の予算額でございますけれども、平成27年度は1億1,489万4,000円でございまして、平成26年度と比べまして2,586万円の増額となっているところでございます。
増額ということですけれども、対象児童数もふえるということで、とても充実したとは言えないのかなと。
さらに、里親制度も施設整備とあわせて国の計画では進めていくということですけれど、千葉県は、他県に比べても圧倒的に受け皿が不足しているというふうに私は認識しておりますが、当局の御認識はいかがでしょうか。
児童養護施設を初め、里親さんということで、受け皿ということで、受け皿につきましては、私どものほうも不足しているという認識でございます。
受け皿が不足しているということで、一昨年度は民間に2つ施設を設置していただきましたけれど、この先、県はこの児童養護施設、施設の整備についてはどういう見通しを持っていらっしゃるんでしょうか、お答えください。
児童養護施設ということでの御質問でございますが、施設につきましては、委員先ほどもおっしゃったように家庭的養護の推進ということで、国のほうがそういう方針での整備を進めていくということで方針を示しているところでございます。
県におきましても、家庭的養護ということで、大舎制でやっているようなところにつきましては、やはり子供のケアをする単位を家庭に近づけるということで少人数化するというような方向で、各施設、民間施設のほうにも整備を進めていただくというような方向でお願いをしているところでございます。
その関係の計画ということで、27年度から15年間ということでの計画をということでございますので、そこのところは民間の施設も含めて、そういう家庭的養護の推進という方向に向かって整備を進めていくということで、県としてもそれを支援していくという考えでございます。
ありがとうございます。
27年度から今、課長がおっしゃったように、新たな長期計画で進めていくということですが、その際、県として国の補助に加えて単独で促進するためのそういう補助事業の検討というのも進められているんでしょうか、教えてください。
現時点におきまして、来年度施設整備を予定しておるというか実施する施設につきましては、国の補助制度の枠の中で県も負担をするという形になっておりますが、その制度を利用して施設整備ができるということですので、そのために必要な県の予算は来年度予算の中に確保しているところでございます。
その他の施設につきましては、今後の実施の状況等の確認をする中において、財政的な部分について状況を確認しながらということで、具体的にはまだそこまでの具体的なものは持っておりません。
ぜひそれは、さらに拡充を含めて御検討を進めていただきたいと思います。
それで、特に施設や里親家庭などを離れて自立に向けて旅立っていく子供についての支援について伺いたいんですが、そういった子供たちの進学、就職ですね。その進路やその後の生活ぶりなどについて、県は実態調査を行い支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
施設を退所した児童につきまして、進学や就職等の進路及び措置延長の状況につきましては毎年調査をしているところでございますが、委員おっしゃるその後の生活に関する実態調査というものにつきましては、実施の予定はございません。
ただ、他県でそのような調査を行った調査結果なども踏まえまして、今後の対応のあり方については検討してまいりたいと考えております。
他県で調査をしたということで、東京都も先駆けて行って、また、埼玉県でも25年度にその調査結果が出されています。恐らく千葉県でも同じような調査結果が出るかとは思いますけれども、効果的に旅立つ子供たちを自立支援につなげていくためには、やはり実態調査を行って、千葉県がどういう施策を展開していくのか、そういったことを検証するためにも実態調査は必要だというふうに思います。
また、国もこういった退所した子供たちの自立支援に向けて、25年度に都道府県に対してそういった子供たちを対象に就業支援事業を実施するよう求める通知というのも出されているところなんですけれども、県では、この通知を受け取ってどのような形で取り組んでいるんでしょうか。
ちょっと就労支援という形につきまして、ちょっと今手元に資料がございませんので、申しわけございません。
そうですね。多分、千葉県の場合、実態調査していないので、そこまでの事業につなげていないのかなというのが私の知り得た情報から推測することではあります。
また、子供が施設を出るときに、進学したり、就職したり、さまざまなケースがありますけれども、千葉県としてそういった子供たちに支度金を出しています。その額については、就職、進学ともに7万9,000円、県の単独の支度金として就職する場合に2万5,000円を出しておりますけれど、この額の妥当性について検討を行ったことはあるんでしょうか。少ないと思うんですけれど、いかがでしょうか。
県の補助のほうにつきましては、就職するときに2万5,000円ということでございます。
他県といいますか東京都などに比べますと低いというふうなことを聞いておりますので、そこのところにつきましては2万5,000円でいいかというところは検討の余地があるかと思います。
もう検討しているような段階ではないと思うんです。
私、3年前に本会議の場で、東京都の子供と千葉県の子が千葉県の民間児童養護施設に生活していて、それで進学する際に、千葉県の場合では7万9,000円、東京都は60万円近く出しているということを知りまして、この改善を求めてきたわけですけれども、全く一歩も進んでいないということで、今、子供の貧困ということが法律もできて、千葉県でも最重要課題というふうに認識していただきたいと思うところでございますけれども、そういった子供たちの、少しでも環境をよくするために、県の推進計画、27年度からスタートということですけれども、民間の施設の課題、そして要望というのをどのようにこの計画策定の中でとらえているのか、教えていただければと思います。
家庭的養護に関する県の推進計画のことということでございますけれども、この策定に当たりまして、県が所管する全ての児童養護施設及び乳児院に個別にヒアリングを実施いたしました。その結果でございますが、児童の生活単位を小規模化するための施設整備の費用ですとか、また、職員の確保などの課題がございまして、人材育成などにつきまして県への支援要望がございました。
そういった民間の要望をしっかり捉えて、県として最大限どういったことができるのか、財政的な支援を含めてしっかりと前に進めていただきたいと思います。
次に、生実学校についてお伺いします。
同施設は、DVや家庭崩壊などから生育過程でマイナス要因が多く、虐待経験など深刻な問題性を抱えている子供たちが生活している施設です。施設の老朽化が激しく、学校本館、寮舎の建てかえ、自立支援寮の新設が必要との答申が今から8年前に審議会から出されています。しかし、一歩もいまだに進められていない、これが現状でございます。特に、年長入所者の職業訓練、退所後の児童の自立支援のためにも、自立支援寮の設置や専門職の職員配置が急がれるところです。
そこでお伺いします。生実学校本館や寮舎の建てかえ、自立支援寮付設に向けて、早期に予算措置すべきと考えるが、どうか、お答えください。
生実学校の施設整備の必要性は十分認識しているところでございます。
ただ、県有施設全体の計画的な整備に向けた全庁的な見直しの取り組みとの整合を図りながら、今後も検討を進めてまいります。
全庁的に優先順位をつけることに異論はありませんけれども、とかく見ていますとこういった声の上げにくい子供の施設であったり、福祉施設であったり、そういうところが非常に置き去りにされている、そういう印象を私は強く持ちます。
ですから、先ほど冒頭に申し上げたように、やはり福祉の向上、セーフティーネットをどういうふうに充実していくのか、そういった観点も行政の大事な1つの視点であると思いますので、ぜひこの改修、新設に向けての予算措置を早期に求めて、次の質問に移ります。
県立学校における学校図書館の充実について
次は、県立学校における学校図書館の充実についてです。
インターネット等で手軽に情報が入手できるようになった一方で、子供たちがみずから必要な情報を収集、選択し、活用する力が失われている傾向にあると感じます。こうした中で、学校図書館がその機能を十分に発揮し、子供たちの考える力、生きる力を育てるための拠点として役割を果たしていただきたいという観点で質問いたします。
まず1点目として、県立高等学校における学校図書館担当職員の配置状況、司書、司書補などの資格を持つ職員の数はどのようになっているのか教えてください。
教職員課長の奥山でございます。
県立高校の学校図書館に、司書業務を行う専任職員は配置していませんが、平成24年度の調査では、学校図書館の業務を担当する職員は106人となっており、このうち61人が司書等の資格を有していました。
司書等の資格を有していたというのはたまたまということだと私は受けとめました。
といいますのは、この方たちは実習助手という職種であるということで、特段司書として採用された方ではないということになります。
それで、昨年6月に学校図書館法が改正されたんですけれども、学校司書という役割が明記されて、各自治体が努力義務で配置するようにという改正内容なんですけれども、これを受けまして、千葉県の県立高校でどのようにこの学校司書ということを位置づけて配置していくのか、そのことについてお聞きしたいと思います。
学校図書館法の改正を踏まえ、学校司書の配置については、現在、国において資格等の検討が行われていることから、その動向を踏まえ、対応してまいりたいと考えています。
以上でございます。
国からのほうで定義づけがまだ明確ではないということはわかりますけれども、それでは27年度の新年度予算でこの県立学校の図書館の充実、人的配置、そして書架の充実などいろいろありますけれども、どういうような形で子供たちの学校図書館を充実していかれますか、お伺います。
県教育委員会としましては、学校図書館を活用した教育活動を充実させるため、県立図書館が行っている研修に職員を参加させるなど、担当職員の資質向上に努めてまいります。
その他、学校図書館の活性化につながる先進事例について、研修や情報交換会等をするとともに、各校の学校図書館の充実に向けて参考となるよう、実践協力校の取り組みを記録集としてまとめ、県内の各学校に配付しています。
また、県立高校の書籍購入費用等、必要となる予算の確保に努めるなど、今後も環境面での整備にも取り組んでまいります。
以上でございます。
ありがとうございます。
やはり千葉県として子供たちに豊かな学びと育ち、そういった環境をつくっていくことが千葉県の未来の発展にもなりますし、人口の減少ということも考えあわせれば、そういった目に見えないソフト面のところにしっかりと予算を投じていただければと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)