初ブログ 震災・エネルギー問題を考える

大震災から3か月経過。私の実家である宮城県も甚大な被害を受けた。震災直後から3日間、仙台の両親とも連絡が取れず、不安な思いで過ごした。市内ではライフラインも復旧し、徐々に日常を取り戻しているが、今なお避難所での生活を余儀なくされ、生活再建の目途も立っていない多くの方々がいる。
  
震災後の統一地方選を終え、県議会で発言の場を与えていただいた。その後の5月臨時県議会では震災関連予算530億円の提案があり、全会一致で可決。しかし、福島第1原発事故による放射能汚染への対応が極めて不十分と指摘し、会派として知事へ申し入れたり、担当課にヒアリングしたりと声をあげてきた。5月時点での放射能への取り組みは消極的だったが、その後、東葛6市や印旛9市町をはじめとする首長から要望書が出され、県もようやく重い腰をあげている。6月補正予算では携帯型放射能測定機器35台の購入に2千万円ほど、農林水産物等の放射性物質測定機器購入に4千万円等が提案されている。少しは前進しているが、何よりも問題なのは、子どもたちの命や健康被害を防ぐという視点が欠如し、対応に腰が引けていることだ。
   
市町村からも保育園・幼稚園・学校など子どもたちが過ごす環境におけるきめ細かな放射能測定を県主導で進めてほしいといった要望が多く出されている。地上50㎝や1mでの大気の測定は市町村が先行して行っているが、園庭や校庭の土壌測定のハードルが高い。私たちも県教委の担当課に対し、「県内の子どもたちの健康被害を防ぐために早急に実態調査を進め、対策を検討するように」と幾度となく働きかけているが、国の示す毎時3.8マイクロシーベルト、年間20ミリシーベルトの基準を盾に県は独自の取り組みをしようとはしない。毎回、押し問答なので、ついには「それでは、国が1ミリシーベルト以下の基準にすれば、県は対応するのですか?」と聞いたところ、「………」。無言に終わった。

シンポジウム「福島第一原子力発電所の事故を通して、世界のエネルギー・環境問題を考える」  
 
 昨日は日弁連と関東弁連が主催するシンポジウム「福島第一原子力発電所の事故を通して、世界のエネルギー・環境問題を考える」に参加した。当日の司会は千葉の及川智志弁護士、趣旨説明は茨城の坂本博之弁護士、コーディネーターは東京の只野靖弁護士と、ふだん八ッ場ダム住民訴訟弁護団でお世話になっている弁護士の皆さん。原発もダムも問題の本質は同じだとつくづく感じた。原発反対派と推進派が一堂に会しての企画ということで、両者の徹底討論を期待していたが、3時間という時間制限があり、いささか消化不良ではあったが、意欲的で素晴らしい企画でだった。第2弾をお願いしたい。
パネリストの顔ぶれは、次のとおり。
  
・後藤政志さん(元東芝原子炉格納容器設計技師、工学博士)
・林勉さん(元日立製作所原子力事業部長、エネルギー問題に発言する会代表幹事)
・飯田哲也さん(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
・小野章昌さん(コンサルタント、元三井物産原子力燃料部長)
・松村敏弘さん(東京大学社会科学研究所教授)
・千葉恒久さん(日弁連公害対策・環境保全委員会特別委嘱委員)

パネリストの方々
   
 多岐にわたるお話を聞いたが、印象的だったのは、後藤さんの「本質安全」という考え方。「原発には原理的に本質安全が成立しない」という後藤さんに対し、林さんは「これまでの原発の安全思想を見直す必要はあるが、二重三重の防護で技術的なカバーが可能である」と技術に対する絶対的な自信を語った。また、今後のエネルギー対策について、「ドイツの先進事例に倣い、自然エネルギーシェア増加への課題はあるが、政策的に着実に進めていくべき」とする飯田さんの話は説得的だったが、小野さんは「自然エネルギーは不安定でエネルギーは貯蔵能力がないとダメ。2020年に自然エネルギー30%の実現方策は不可能だ」とし、ドイツのメルケル首相の下、哲学者らが多く入った倫理委員会での脱原発決定に異論があるとのことだった。これに対し、千葉さんはチェルノブイリ事故後のドイツのエネルギー転換の25年間の道のりを説明し、「ドイツでの脱原発は、安全か危険かの選択ではなく、社会が原発を受け入れないということ。判断基準は、持続可能性と責任である」と締めくくった。今回の原発事故は明らかに人災だが、責任の所在が国だとか東電だとか、狭いところでの議論で終わらせてはならない。私たちひとり一人がエネルギー問題を通してこれからの自分たちの生活、社会のありようを真剣に考え、行動していくことでしか、問題解決にはつながらないと改めて思った。

右手司会の及川さん。左手でマイクで話している坂本さん。

右手司会の及川さん。左手でマイクで話している坂本さん。

 
記念すべき(?!)第1回のブログで長文となってしまったが、これからもよろしくお願いします。

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