令和3年4月臨時議会 会派討論原稿

2021年4月20日(火)
立憲民主・千葉民主の会
入江あき子

会派を代表し、議案第1号、第3号、第4号、第5号及び第10号について、賛成の立場から討論いたします。

初めに、議案第1号知事等の給与の特例に関する条例の制定についてです。コロナ禍で県民生活や県内経済に厳しさが増す中、就任直後から感染収束に向けた対策に取組み、県民の痛みに寄りそう姿勢を冒頭の議案第1号として示したことに対し、賛意を表します。

今年度当初予算においても、新型コロナの影響による企業業績の悪化や個人所得の減少などにより、法人二税・個人県民税を含む県税全体の収入が約267億円減額の見込みとなっているところです。本議案による知事、副知事等の給与月額等の削減額は、11カ月で約740万円。一方、議員報酬の削減については、昨年8月から今年6月までで約9千万円の削減となります。自主財源確保が厳しい折、これらすべての血税を実効性あるコロナ対策に活用していかなければなりません。

議案第3号、第4号及び第5号は、新型コロナ感染拡大防止にかかわる飲食店等への時短要請協力金と高齢者施設等職員へのPCR検査実施の専決処分について、それぞれ承認を求めるものです。関連議案に対し、一括して討論します。

時短要請にかかわる協力金については、昨年12月23日~年明け1月11日までを要請期間とする第1弾から、今年3月22日~31日までとする第5弾まで受付期間も細かく分かれ、非常に分かりづらく申請漏れへの救済や支給の遅れが指摘されてきたところです。4月23日からは、第1弾・第2弾の申請についての追加受付開始、第3弾・第4弾の受付期間の延長という改善策が示されました。一方、協力金の支給については、前知事任期中の事案ではありますが、支給が遅いと県民・事業者からの声が多数寄せられています。第2弾については、3月17日の受付終了から1か月が経過しましたが、書類の不備等による手戻りが多くあり、有効とされた申請件数23,091件への支給が未だ完了していません。

4月16日現在、第1弾から第5弾までの有効申請件数は延べ8万1千件ですが、支給状況が公表されていないため、いつ協力金が手元に届くのか、目途がつかず、資金繰りに苦労している飲食店も多いと聞いています。県は委託業者の取組み状況をしっかりとチェックし、支給実績等のデータを適宜公表するなど申請者目線で改善していく必要があります。

また、すでに支給が始まっている協力金事業の専決処分に係る総額約672億円分についても、未だに国から交付されておらず、県のキャッシュフローに懸念が生じていることが分かりました。今後の速やかな協力金の支給に向けて、これらの課題解決に引き続き取組むよう強く要望し、賛成といたします。

次に、高齢者・障害者入所施設等職員へのPCR検査の実施40億円にかかわる専決処分についてです。

2月7日国から示された基本的対処方針に基づき、県は感染多発地域における高齢者施設等職員へのPCR検査を3月末まで実施し、その後は県全域での月1回の定期的検査を6月まで行うとしています。当初感染多発地域とした東葛・印旛圏域では対象施設821の約5割、416施設で実施、政令中核市を除く圏域では対象施設684の約6割強、452施設で検査が実施されたとのことです。4月12日現在、県全体で2,582施設、76,787人が一斉検査を受けています。

検査の実施率を上げる働きかけは続けていかなければなりませんが、県による検査を希望しない理由として、系列の病院で検査できる、自治体の補助事業や民間事業で実施している、等々があるとのこと。県内全域での検査の結果、陽性率は0.038%ということですが、クラスターを防ぐ有効策となっています。感染リスクの高い入所者と職員の命と健康を守るため、引き続き幅広く取組む必要があります。

また、本日20日から県内5市にまん延防止等重点措置が適用されます。そのうち松戸、市川、浦安市においては、千葉県が4月9日改定の基本的対処方針に基づき、措置区域内における「高齢者施設等従業者への検査の頻回実施」や「歓楽街等での陽性者が出た場合の重点的検査の実施」を行うこととされています。これにより、千葉県には新集中的実施計画の見直し、国への定期的な実績報告が求められているところです。まん延防止等重点措置適用に伴う新たな対応については、議案第5号専決処分の40億円内で賄える見通しとのことでした。

一方、歓楽街等での重点的検査については、市町村との連携により、実施方法を協議していくとのことです。今後、事業内容や予算措置については、議会への速やかな情報提供をお願いいたします。

 

次に、議案第10号令和3年度一般会計補正予算(第2号)についてです。まん延防止等重点措置適用となる4月20日から5月11日までの期間、対象地域とその他地域における飲食店等への時短要請協力金支給に303億円、飲食店の感染防止に関する現地調査事業2億円、合計305 億円の計上です。

重点措置対象エリアと対象外エリアが近接した駅前繁華街における不平等感や感染リスクの高まりによる警戒感が生じています。県による丁寧な説明は勿論、場合によってはエリア外でも特例的に8時までの時短要請をするなど、県の柔軟な対応策の検討も必要です。知事は、4月6日対策本部会議で飲食店の感染防止対策について、認証制度などのしくみの検討やモデル市での段階的な実施を目指すよう指示されました。今回の重点措置適用に伴う現地調査にあたり、県担当課が委託先任せにせず主体的に取組み、実効性のある対策を鋭意研究するよう求めます。

また、財源となる地方創生臨時交付金については、これまでの全体必要額約2600億円に対し、国から3割以下800億円弱の交付に留まっている現状です。新たな協力金支給事業の円滑な執行に向けて、国に速やかな交付を引き続き要請するとともに、本議案による委託事業の進捗管理を県がしっかりと行うよう重ねて求めます。

最後に、日々刻々と変わる新型コロナウイルス感染症に対し、知事を先頭に執行部の皆様が全庁をあげて取り組まれていることに、心から敬意を表します。

本日20日より県内5市が重点措置適用となりましたが、感染力の高い変異株の増加、感染拡大の傾向への警戒を強め、先手先手の対策を進めていかなければなりません。長引くコロナ禍により、飲食店だけではなく観光・小売業など様々な分野にわたり、県経済の99%を占める中小零細事業者の体力が落ち、困窮する県民も増えてきています。コロナ災害の収束はまったく見通せません。

モニタリング体制の強化、変異株の監視体制の強化や積極的疫学調査の徹底、保健所の体制強化、新たな医療提供体制の構築、テレワーク推進支援等々、課題が山積しています。熊谷知事におかれましては、スピーディかつタイムリーな政策の立案、機動的な県庁組織への変革を期待しております。

本会議終了後、当会派といたしまして、コロナ対策をはじめとする県への政策要望を提出させていただきます。県民の命と暮らしを守る県政の実現に向けて、議会が知事と活発な政策議論を交わし、その職責をしっかりと果たしていくことを表明いたしまして、討論を終わります。